ウルトラマンジードの最終回

リクたちとAIBは、ウルトラマンベリアル アトロシアスに対し、その力の源であるカレラン分子の分解酵素を撃ち込み、さらにウルトラマンジードと時空破壊神ゼガンのエネルギーの干渉で、ベリアルを永久追放空間に追放する作戦をとる。
しかし、ウルトラマンゼロがベリアルの前に倒れ、分解酵素を積んだネオブリタニア号(秘密基地・星雲荘の宇宙船モード)も撃墜される。



GEED(ジード)の証



リク「融合!」「アイ・ゴー!」「ヒア・ウィ・ゴー!」

音声『ウルトラマンベリアル!』『ウルトラマンキング!』『我、王の名のもとに!』
音声『ウルトラマンジード・ロイヤルメガマスター!』

リクがウルトラマンジードの最強形態、ロイヤルメガマスターに変身し、ウルトラマンベリアルに挑む。

音声『シフト・イントゥ・マキシマム!』

リク「ディフュージョンシャワー!!」


地上では、ライハと伏井出ケイの戦い。
ライハの刀が、ケイの杖を叩き落とす。

ライハ「拾いなさい。まだ戦いは終わってない!」
ケイ「今とどめを刺さないのが、お前の甘さだぁ!」


雨が降り出す中、ジードとベリアルの戦いが続く。
ベリアルの痛烈な一撃で、ロイヤルメガマスターの変身が解け、ジードは基本形態のプリミティブに戻ってしまう。

ベリアル「お前が持つキングの力は、ちっぽけなカプセルのみ。一方、俺は全宇宙から凄まじい量のキングのエネルギーを集めている。今なお増大し、その差は歴然だ」
ゼロ「ベリアルぅぅ──っ!」

ウルトラマンゼロが、ネオブリタニア号のカレラン分子分解酵素の砲弾を手に、ベルアルに突撃する。
ベリアルのカラータイマーを目がけ、分解酵素の砲弾を直に叩き込む。
しかし、ベリアルがゼロの胸に、鋭い爪を突き立てる。
ゼロが光と化して消滅。重傷を負ったレイトが、地上に投げ出される。

モア「ウルトラマンベリアルアトロシアスの体内から、カレラン分子が消滅。でも、ゼロが……」
ゼナ「状況を説明しろ」
モア「……えっ!? 別宇宙から、何か来ます!」

空の彼方から、巨大な光球が地上に舞い降りる。

ベリアル「貴様はぁ!?」

光の中から現れたのは── なんと、光の国の宇宙警備隊大隊長、ウルトラの父。

父「私がこの場を引き受ける。いったん退いて、態勢を整えるんだ」
ベリアル「また俺の邪魔をする気か、ケン!」
父「ベリアル、お前の好きにはさせない」

ウルトラの父がベリアルに立ち向かう。
2人の姿が、ウルトラの父の巨大な光のバリア・ウルトラコクーンで覆われ、見えなくなってゆく。


ライハと戦っていたケイが、忽然と姿を消す。


ベリアルの攻撃で破損したネオブリタニア号が、天文台の地下に帰還する。

レム「基地モードに移行します。被害状況を確認」


重傷のレイトは病院に担ぎ込まれ、妻ルミナと娘のマユ、モアが駆けつける。

看護士「伊賀栗さん、聞こえますか!? わかりますか!? こちら病院ですよ!」
ルミナ「レイトくん!」
マユ「パパ!」
看護士「部外者は下がってください! ここからは私たちに任せてください」


街頭ビジョンがジードたちの戦いの模様を伝え、人々が不安げに見上げている。

『ウルトラマンベリアル アトロシアスに対し、ウルトラマンジードおよびウルトラマンゼロは敗北。謎のウルトラマンの登場により一時停戦状態となりましたが、予断を許さない状況が続いています』


半壊状態の秘密基地・星雲荘。
リクたちのもとを、モアが訪れる。

リク「モア、レイトさんは無事!?」
モア「一命は取り留めたけど……」
リク「ロイヤルメガマスターでも、歯が立たなかった……」
ペガ「リク、元気を出して」
ライハ「私たちは、ウルトラマンキングの力に触れた。だからきっと、奇跡は起こせるはず」
モア「ゼロとレイトさんの努力を無駄にしないように、作戦は続行よ」


ウルトラの父とベリアルの戦いが、ウルトラコクーンの中で続いている。

ベリアル「どうした、限界か? お前の苦しみもがく様を見たいと思っていた。何万年も、果てしない時間…… 俺の受けた屈辱、絶望を、お前ら光の国の奴らにも味わわせてやる!」

その光景を見つめるゼナのもとに、モアが駆けつける。

モア「ゼナ先輩、大変です!」
ゼナ「どうした?」
モア「ウルトラの父の、フォースフィールドが消えそうです!」

リク「ベリアルが動き出す!」
ライハ「作戦開始ね」
ペガ「頑張って!」


ウルトラコクーンが消え、ウルトラの父がガックリと膝を突く。

ベリアル「老いたな、ケン。お前に俺は、止められない」


リクとライハが共に、戦いに臨む。

ライハ「ジーッとしてても……」
リク「ドーにもならねぇ!」

リクとライハが拳をぶつけ、頷き合う。
ライハはケイとの戦いへと駆け出す。

リク「行くぞ。最後の戦いだ。融合、アイ・ゴー…… ヒア・ウィ・ゴー」

音声『フュージョンライズ!』

リク「決めるぜ、覚悟。ジード!」

音声『ウルトラマン!』『ウルトラマンベリアル!』『ウルトラマンジード・プリミティブ!』

リクの変身したウルトラマンジードが再び、ベリアルに立ち向かう。

父「来たか、若きウルトラマン」
ベリアル「また邪魔をする気か? 息子よ」
ジード「僕はジード、ウルトラマンジードだ!」


ゼナ「カム・タタール・シャドー…… 時空破壊神ゼガン!」

ゼナも時空破壊神ゼガンと一体化し、戦場へと向かう。
ジードとベリアルの戦いの場にゼガンが参戦し、ゼガントビームを放つ。

ジード「今だ! レッキングバーストォ──!!」

ジードもレッキングバーストを放ち、2つの光線がぶつかり合い、空中に時空の裂け目が広がる。

ペガ「やった! 成功だ!」


ケイが息を切らしつつ、その光景を見上げる。
そこへライハが現れる。

ケイ「律儀だな…… 昨日の続きを望むか?」
ライハ「光栄に思いなさい。私が看取ってあげる」
ケイ「エンドマークを打つのはお前じゃない…… 私だぁぁ!!」


ベリアル「次元の狭間に追放する気か? 思い通りにはさせん!」

ベリアルがアトロスバーストを放ち、ゼガンを撃破する。
地上に投げ出されたゼナに、モアが駆け寄る。

モア「ゼナ先輩!?」
ゼナ「無事だ」

リク「あとは僕がやる! この宇宙から、出て行けぇ!」

既に日も暮れた中、夜の街でジードが単身、ベリアルに挑む。

リク「レッキングリッパー!」「レッキングロアー!」

ジードが次々に技を繰り出すものの、ベリアルには一向に通用しない。

ベリアル「所詮お前は実験体、父親の俺を超えられるわけがない。諦めろ」

ベリアルの猛攻の前に倒れたジードが、力を振り絞って立ち上がる。

リク「諦めない! お前との決着は、僕がつける!」

その闘志に呼応するかのように、リクの持つ全てのウルトラカプセルが同時に起動する。

レイトの入院した病院。ルミナとマユが尽きそう中、病室のレイトがうっすらと目を開く。

ルミナ「レイトくん!?」
マユ「パパ!」
ルミナ「レイトくん、わかる?」

ゼロ「リク…… お前の声、聞こえたぜ」

父「力強く、崇高な意志だ」

リクの声は、ウルトラセブンウルトラマンレオウルトラマンヒカリウルトラマンにも。
そして惑星ジュランのウルトラマンコスモスにも、ウルトラ族の長老・ウルトラマンキングにも届く。

リクの強い意志によるジード・プリミティブの奇跡の技、ジードマルチレイヤーが発動する。
ソリッドバーニング、ロイヤルメガマスター、マグニフィセント、アクロスマッシャー。
プリミティブも合わせ、5形態すべてのウルトラマンジードが実体化して現れる。

リク「みんな……!」
ベリアル「何だと!?」
リク「行こう!」

5人のウルトラマンジードがベリアルに立ち向かう。
プリミティブが先制して突進。ソリッドバーニングのパワーとアクロスマッシャーのスピード攻撃。
そしてマグニフィセントとロイヤルメガマスターの連携攻撃。
一同の攻撃が、次第にベリアルを追いつめてゆく。

ベリアル「お前らぁ!」

プリミティブ「ヒア・ウィ・ゴー!」
ソリッドバーニング「ストライクブーストォォ!
ロイヤルメガマスター「ロイヤルエ──ンド!
プリミティブ「レッキングバーストォォ!
マグニフィセント「ビッグバスタウェイ!
アクロスマッシャー「アトモスインパクト──ッ!

ジード全形態の5大必殺光線の一斉攻撃技、ジードプルーフがベリアル目がけて一気に炸裂する。
ベリアルがギガバトルナイザーで防御するものの、ギガバトルナイザーをも撃破し、光線がベリアルに浴びせられる。
アトロシアスへの強化変身が解け、通常のベリアルの姿に戻る。

ベリアル「馬鹿な…… おのれぇ!」
リク「今だ!」

ジード・プリミティブが突進し、ベリアルを捕えて飛翔し、頭上の次元の裂け目の中へ飛び込む。

ペガ「大変だ! リク…… 一緒に行っちゃった!」


ライハとケイの戦いが続いている。
ベリアルにストルム器官を奪われたケイは、すでに体が限界に達し、視線はライハを捉えず、宙を泳いでいる。

ケイ「ベリアル様ぁ…… わ、私は、あなたのお役に立てたでしょうか……? ベリアル様ぁ……」

弱々しく差し出すケイの手を、ライハが憐れむように握り返す。

ライハ「えぇ。あなたはベリアルの役に立った。だから、安心して消えなさい」
ケイ「ベリアル様…… 私は、あなたのおそばに……」

ケイの体が光の粒子と化して、消滅する。


時空の裂け目の向こうで、ジードとベリアルが対峙する。
そして精神世界の中、土砂降りの雨が降りしきる中、リクとベリアルが殴り合う。

遥か過去、ベリアルが光の国のエネルギー源、プラズマスパークを奪おうとした光景──

リク (これは…… 記憶なのか?)

(ベリアル『力だ、力が欲しい。超えてやる、俺を見下したあいつらを!』)

過去の光景が続く。
光の国を追放されたベリアルに、レイブラッド星人が力を与え、異形の姿へと変貌してゆく。

リク (伝わってくる…… 怒りが、悲しみが)

亡霊魔道士レイバトスを、ベリアルが必殺のデスシウム光線の一撃で撃破する*1
そしてベリアルに使えるケイと、配下である5人悪徳宇宙人軍団ダークネスファイブ*2

(ベリアル『俺は完全復活を遂げた。光の国の奴らへの、復讐のときだ!』)

こう言って超時空消滅爆弾を見上げる。

リクが殴り合いの末に、ベリアルを抱きしめる。

リク「何度も何度もあなたは生き返り、深い怨みを抱いて……」

ベリアルの体からレイブラッド星人の姿が抜け出て、ベルアルが本来の光の国での姿、アーリースタイルに戻る。

リク「疲れたよね。もう、終わりにしよう」

ベリアル「わかったようなことを言うなぁ!」

ベリアルがデスシウム光線を放つ。

リク「レッキングバーストォォ──!!」

ジードもレッキングバーストを放つ。
必殺光線の撃ち合い。双方の光線が中央で激しくぶつかり合う。

リク「はあぁぁ──っっ!!」

ジードが渾身の力を込め、光線を押し返す。

ベリアル「ジードォォ──!!」

ベリアルが光線を浴びつつ、初めてジードの名を呼び、そして大爆発──!!

リク「さよなら…… 父さん……」

リクもまた、ベリアルを初めて父と呼び、その最期を見届ける。


モアたちの見上げる中、上空の次元の裂け目が次第に閉じてゆく。

モア「空が、閉じる……」

ハルヲや町の人々、レイト一家が固唾をのんで見つめている。
次元の裂け目が完全に閉じるその寸前、ジードが飛び出し、その姿を現す。

モア「わぁっ、やった~! リクくぅん!」

ライハも安堵の笑みを漏らす。

レイト「やった…… あっ、痛ってえ!」
ルミナ「大丈夫? もう……」

『速報です。ベリアルが滅び、ジードが帰還に成功。地球に平和が訪れました。ベリアルに似ていると恐れられていたジードが、人類を救ってくれました!』

報道がジードを讃え、ハルヲや街の人々が割れんばかりに喚起する。


変身を解いたリクのもとに、ライハが駆け寄る。

リク「終わったよ、ライハ」
ライハ「こっちも…… 終わった」

リクがキングのカプセルを起動させ、ウルトラマンキングが姿を現す。

リク「ウルトラマンキング……」
キング「私の体は戻り、宇宙の傷も完治した。これから、この星の未来を担うのは、君たちだ」

キングの隣に、ウルトラの父が並ぶ。

父「すごい子ですね」
キング「あぁ。本来の力は、まだ秘められている。無限の可能性が」
父「また逢おう。若きウルトラマン」

キングと父が共に、光となって姿を消す。


平和な日々が戻る。
銀河マーケットが客たちで賑わっている。

ハルヲ「ドンシャイン見ようぜ、ドンシャイン」
子供たち「見よう、見よう」

リクも子供たちと共に、テレビの特撮番組『ドンシャイン』に見入る。

リク「やっぱ格好いいよね、ドンシャイン」
子供「ん~、でも古いんだよね」
リク「えっ?」
子供「やっぱり一番は、ウルトラマンジードだよ。ジードごっこしよう」
ハルヲ「お~、しようしよう! ははは、よ~し!」

ハルヲと子供たちが、楽しそうにジードごっこで遊ぶ。
微笑ましくその様子を見ているリクの隣に、ペガが顔を出す。

ペガ「見て、リク。君は、みんなのヒーローになったんだ!」


秘密基地・星雲荘のライハとモア。

モア「平和も戻ったことだし、ここ、出ていくんでしょ?」
ライハ「あぁ…… しばらくいるよ。星雲荘の修理、手伝いたいし」
モア「え~っ!? ちょっ…… 私もここに住む!」

モアがテーブルを叩いた拍子に、警報が鳴り出す。

レム『自爆装置が作動しました』
2人「はぁ!?」
レム『3分以内に退避してください』
ライハ「よし、壊そう!」

(リク『なんとか無事だったらしいけど……』)


森の中。
ゼロの巨体を、まだ傷の癒えないレイトが、ルミナとモアと共に見上げる。

レイト「行っちゃうんですね、もう」
ゼロ「あぁ。ベリアルもいなくなって、ブレスも直ったことだしな。レイト、俺がいなくなっても頑張れよ」
レイト「自信ないです……」
ルミナ「大丈夫よ、レイトくんなら」
マユ「また、遊びに来てね」
ゼロ「おう! もちろんだ。あ、マユ。俺の子になってもいいんだぞ?」
レイト「ゼロさん! 2万年早い……」

レイトがゼロのポーズを、傷んだ腕で真似ようとする。

レイト「痛痛っ!」
ルミナ「あ~、もう!」
ゼロ「ハハッ。じゃあな」
マユ「バイバーイ!」

ゼロが時空の彼方へと飛び去る。マユが無邪気に、手を振って見送る。


リク、ライハ、ペガが、夕暮れの川岸を歩く。向こうからモア、レイト、ゼナがやって来る。

リク「モア!
モア「リクくぅん!」

リクとモアが抱き合い、互いにドンシャインのポーズを真似る。

果てしない運命を越えて、未来はある。
辛いことがあっても、立ち上がり、抗う。
そういう力が、僕たちにはあるんだ。

合言葉は──

リク「ジーっとしてても……」
一同「ドーにもならねぇ!!」

夕陽に向かってリクたちが大きくジャンプし、物語は終わる。

そして、物語は「つなぐぜ! 願い!!」へと続いていく…。


(終)

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最終更新:2022年08月19日 11:18

*1 ウルトラファイトオーブの最終回の映像の流用だが、ジード(プリミティブ)ではなくなっている(両作品の監督を務めた坂本は、これを『ウルトラファイトオーブ』とは異なる別バージョンであると述べている(『ウルトラマンジード Blu-ray BOX II』に封入されているSPECIAL NOTES(構成・執筆:トヨタトモヒサ)より)が、これはテレビシリーズ用に改めて撮影されたもので、『ファイト』シリーズの映像がテレビシリーズでは使用できず、それに対してテレビシリーズの映像も『ファイト』シリーズで使用できないため(『ウルトラマン公式アーカイブ ゼロVSベリアル10周年公式読本』の75ページに収録されている「CREATION of ZERO ゼロを作りし者たち Interview 坂本浩一[監督]」より)であることが明かされている)。

*2 メフィラス星人 魔導のスライ、テンペラー星人 極悪のヴィラニアス、ヒッポリト星人 地獄のジャタールグローザ星系人 氷結のグロッケン、、デスレ星雲人 炎上のデスローグの5人で構成されている