超獣戦隊ライブマンの第47話

※ ここまでのあらすじは超獣戦隊ライブマンの第46話をご覧ください。


武装頭脳軍ボルトの本拠地・ヅノーベース。
その最奥部にある大教授ビアスの秘密の部屋「ヅノールーム」には、千点頭脳となった人間の脳髄が入るカプセルが12個、ビアスの玉座を円形に囲む形で並んでいる。
カプセルの1つは、まだ空のまま。

ビアス「最後のカプセルに入るのは、果たしてドクター・ケンプか、それともドクター・マゼンダか……」


ヅノーベースの広間。得点表は、ケンプが前回の功績で960点、マゼンダは920点。

ビアス「よくぞここまで来た! もはや千点は目前ではないか!」
ケンプ「はい!」
ビアス「ここまで来たからには、最後の力を振り絞り、一刻も早く千点に達するのだ!」

拳を振り上げて熱っぽく語るビアス。
ケンプとマゼンダが敬礼する。

ビアス「私の世界征服作戦を助けてくれるのは、果たしてどちらかな?」
ケンプ「もちろん、私に決まっております!」
マゼンダ「いいえ、私よ! とっておきの作戦があるのよ」

広間を出ていくマゼンダを見て、ビアスが不気味な笑みを浮かべる。
その傍らでは、いつも何も言わず自分の銃を磨いているガードノイド・ガッシュが、なぜかナイフを取り出して刃を磨いている──。



千点頭脳! マゼンダ!!



マゼンダ「千点頭脳になるのは私よ!」

マゼンダは自分の研究室に入ると、機器を操作し、椅子に座って目を閉じる。
マゼンダの全身から立ち上るオーラが、ヅノーベースから地球に向けて照射される。

マゼンダ「総攻撃だ……」


突如、街にマゼンダの分身が、幽霊のような半透明の姿で出現する。

分身マゼンダ「幽霊ヅノーたちよ!」

分身マゼンダが呼びかけると、かつてライブマンの前に敗れ去った4体の頭脳獣が、半透明の巨大な姿となって街に現れた。
頭脳獣たちの攻撃で、街が炎上し、人々が逃げ惑う。

ライブマンがライブロボで駆け付けた。

ライオン「どうなってんだ、こりゃ!? デンソーヅノーにテストヅノー……」
バイソン「ガルヅノーだ」
サイ「あっ、インセキヅノーもいるぞ!」
ファルコン「幽霊を出して戦うしかなくなったんだ。よし、みんな行くぞ!」

ライブロボが幽霊頭脳獣たちを攻撃するが、攻撃はすり抜けてしまう。

マゼンダ「頭脳獣・アクムヅノー!!」

4体の幽霊頭脳獣が合体し、1体の巨大頭脳獣・アクムヅノーと化す。

ドルフィン「幽霊から頭脳獣ができるなんて!?」
ファルコン「くそっ!」

ライブロボがアクムヅノーを攻撃。しかしアクムヅノーは4体の幽霊頭脳獣に分裂し、攻撃をかわす。
逆にライブロボは、幽霊頭脳獣たちからの攻撃を喰らってしまう。

分身マゼンダ「ハハハハ! アクムヅノーは、どんなことをしても、絶対に倒せん!」
ファルコン「マゼンダの姿もまるで幽霊のようだ…… これは只事ではないぞ」

ケンプ「ビアス様、これは一体どういうことなんですか!?」
ビアス「夢だ」
ケンプ「夢?」
ビアス「マゼンダは自分の夢を実体化するシステムを考え出したのだ。すなわち、マゼンダが夢で見ていることが実際に起きるのだ。いかにライブロボでも、夢が作り出した物は倒せん。まさにこれは悪夢なのだ…… 悪夢なのだ! フフハハハハハ……!!」
ケンプ「凄い…… なんと凄い!」
ビアス「マゼンダ、960点!」

マゼンダの得点表が加算される。焦るケンプ。


アクムヅノーの猛攻撃を食らい、無敵を誇ったライブロボがついに倒れ伏した。
そこへコロンの操縦するライブボクサーが飛来し、アクムヅノーにパンチを見舞う。

コロン「ライブマン、ライブロボ、頑張って!」
ドルフィン「コロン、ライブボクサー…… ありがとう」
ファルコン「みんな、頑張れ!」

力を振り絞って立ち上がるライブロボ。
ブラックバイソンとグリーンサイがライブボクサーに乗り換え、2大ロボが並び立つ。

ファルコン「合体・スーパーライブディメンション!!
ライブマン「完成! スーパーライブロボ!!

ライブロボとライブボクサーが合体、スーパーライブロボとなる。

ファルコン「スーパービッグバースト!!

これまで幾多の頭脳獣を一撃のもとに葬り去ったスーパーライブロボの最強必殺技・スーパービッグバースト──しかしアクムヅノーは4体の幽霊に分裂し、攻撃を無力化してしまう。

バイソン「スーパービッグバーストも効かないなんて!」

ビアス「マゼンダ、970点!」
ケンプ「えっ!?」

マゼンダの得点表が加算される。

ケンプ「マゼンダに抜かれるなんて……」

アクムヅノーの強烈な攻撃が、スーパーライブロボに炸裂する。
崩れ落ちるスーパーライブロボ。
変身を解かれた勇介たち5人が、コロンと共に地上に投げ出される。

ビアス「マゼンダ、990点!!」
ケンプ「あぁっ、マゼンダが千点になってしまう……」

ビアスとガッシュがマゼンダの研究室を訪れる。
ビアスにナイフを手渡すガッシュ。

マゼンダ「千点頭脳は、すぐそこだ…… 行け、アクムヅノー……」

ビアスはマゼンダを一顧だにしない。


生身の勇介たちに、なおも分身マゼンダに率いられたアクムヅノーの巨体が迫る。
そこへ豪が、松葉杖を突きつつ必死に飛び出してくる。

豪「マゼンダ! やめろぉ!」
丈「あっ!」
勇介「豪……」
豪「マゼンダ…… 君は…… 脳を奪られてしまうんだぞ!」
丈「豪!」
豪「千点頭脳になったら、ビアスに脳を奪られるんだ!」
分身マゼンダ「何……?」


地上の映像はヅノーベースにも届いていた。

ビアス「おのれ、豪め!」
ケンプ「まさか……」


アクムヅノーの動きが止まる。

豪「嘘じゃない! 僕は前に、ビアスの不思議な部屋を見たことがあるんだ。そこにあったのは、人間の脳だったんだ!」

たじろぐ分身マゼンダ。勇介たちも黙って豪の話を聞いている。

豪「ビアスは、人間の脳を集めているんだ!!」


マゼンダの研究室。
豪の告白を聞いて苦しむマゼンダに、ビアスが命令を吹き込む。

ビアス「豪を倒せ!」


分身マゼンダが豪を目がけてオーラを放つ。

分身マゼンダ「豪め!」

直撃を受けて倒れる豪。

豪「うわあぁっ!? うぅ……」
丈「豪っ!」
豪「マゼンダ、証拠があるんだ…… 僕は、何十年も前から行方不明になっている、天才的な若者が何人もいることを調べたんだ。みんなビアスに誘われ、ビアスのもとへ行き、脳を奪られたんだ…… マゼンダ、次は君の番なんだ!」
マゼンダ「嘘だ…… 嘘だぁ──っ!!」

研究室で眠っていたマゼンダが、目を覚ます。ビアスは、とっさにナイフを隠す。
勇介たちの前から分身マゼンダが消え、アクムヅノーも姿を消す。

ビアス「豪の言うことなどを信じるのか? 今や君は、千点目前じゃないか!」

マゼンダはまだ迷いを捨てきれない。

ビアス「ライブマンを倒せ。奴らを倒せば、念願の千点頭脳だ!」

覚悟を決めたマゼンダ本人がボフラー戦闘機で出撃。
豪を避難させようとする勇介たちの前にマゼンダが降り立つ。

豪「マゼンダ……」
マゼンダ「ファイブフィンガーガン!」

勇介たちと豪を目がけ、銃撃の雨が降り注ぐ。

豪「うぅっ、マゼンダ……」
マゼンダ「貴様らを倒せば、千点頭脳になれるのだ! パームバズーカ!」
豪「やめろぉ!!」

豪が飛び出し、必死にマゼンダの腕にしがみつく。

豪「マゼンダ! まだ、わからないのか? 君たちは利用されているんだ! 目を覚ましてくれ、目を!」
マゼンダ「邪魔をするな、この落ちこぼれめが! パームバズーカ!」

マゼンダは豪を振りほどき、勇介たちに砲撃を見舞う。

マゼンダ「エルボーガン・ダブルヒット!」「ニーミサイル!」「トッパーミサイル!」

脳以外の全身を機械化したマゼンダの攻撃が、次々に勇介たちへ炸裂する。

ビアス「ドクター・マゼンダ、千点!!」
ケンプ「つ、ついにマゼンダが千点に…… はっ!?」

豪の言葉を思い返し、ビアスを見るケンプ。

ビアス「ガッシュ」

ビアスがガッシュを呼び、密かに耳打ちする。
ナイフを取り出すガッシュ。それを目の当たりにして、ついにケンプが真実を察する──。


一方、千点頭脳と認められたマゼンダの顔は喜びに満ちている。

マゼンダ「ハハハハハ! 見よ、これが最高の頭脳。この瞬間を、どれほど待ち焦がれていたことか……」
ガッシュ「ビアス様モナ」
マゼンダ「ガッシュ……!?」

ガッシュがマゼンダの背後に現れ、マゼンダを羽交い絞めにし、ナイフを突きつける。

ガッシュ「喜ベ。千点頭脳ヲ捧ゲル時ガ来タノダ」
マゼンダ「なんだと!? やはり…… やはり豪が言っていたことは、本当だったのか!」
勇介「マゼンダ……」

豪がとっさにガッシュに飛びかかる。ナイフが地面に落ちる。

豪「逃げろ、マゼンダ! 早く!!」

マゼンダが駆け出す。ガッシュは豪をたやすくふりほどき、マゼンダに銃を構える。
豪は果敢にも、自分を盾とする。

豪「逃げろぉ! マゼンダぁ!」

銃撃が豪に炸裂──

勇介「豪ぉーっ!!」
丈「豪っ!!」

豪は銃弾を浴びながらも、必死にガッシュを押さえる。

豪「マゼンダ…… 真人間に戻ってくれ! こんな俺の…… せめてものメッセージだ……」

ガッシュが豪をゴミのように振り捨て、再び銃を構える。
マゼンダは豪の様子に顔を強張らせつつも、駆け出す。

勇介「みんな、頑張れ! ……ライブマン!!

勇介たちがライブマンに変身し、ガッシュに立ち向かう。

ファルコン「ガッシュ、ビアス! 悪魔の所業、ライブマンが許さんぞ!!」

しかしマゼンダの攻撃で大ダメージを負っているライブマンは、ガッシュの正確無比な銃撃に何もできず倒れ伏してしまう。
倒れたライブマンを無感情に踏み越えてマゼンダを追うガッシュ。
あちこちを逃げまどうマゼンダ。ガッシュは感情の欠片すら見せずに追い続ける。

マゼンダ「バトルチェーン!」

マゼンダがチェーンでガッシュを捕縛するが、ガッシュは逆にチェーンでマゼンダを振り回す。
地面に叩き付けられ、転がるマゼンダに銃を向けるガッシュ。
そこへレッドファルコンが追いつき、ファルコンセイバーでガッシュに斬りかかる。
その隙にマゼンダが逃げ出す。
ガッシュが剣を抜き、一撃でレッドファルコンを切り捨て、再びマゼンダを追い始める。

マゼンダが海岸へと辿り着く。ガッシュは依然として追ってくる。
レッドファルコンがガッシュに追いつくが、ガッシュは彼をものともせずに、黙々とマゼンダを追う。
マゼンダもファイブフィンガーガンを放つが、ガッシュにはまったく効き目がない。

ついにマゼンダの目の前は断崖。ガッシュが銃で、狙いを定める。
レッドファルコンも必死で追いつく。

マゼンダ「やるものか! この脳は誰にも…… 渡すものか!!」

マゼンダが、自らの胴に仕込まれたスイッチを入れる。頭が光に包まれてゆく。

マゼンダ「うっ、うぅっ…… あ、あ、あぁ──っ!!」

光がやむ──マゼンダの唯一生身であった頭までが、機械の頭部と化している。

ケンプ「あっ、マゼンダ!?」
ビアス「マゼンダめ…… 脳までメカにしおって!」
ケンプ「マゼンダ……」
ロボマゼンダ「フフフフ…… ハハハハ…… 私はいつでも完全なメカになれるようにしておいたのだ」

他のライブマンたち、コロンに連れられた豪も駆け付ける。

豪「あぁっ……!」
ロボマゼンダ「私はもはや、完全なメカ。ビアス、もう私の脳は奪れないぞ!」

怒りのビアスがヅノーベースから光線を放つ。
ロボマゼンダとライブマンたちに光線が炸裂。ライブマンは変身が解除される。
ガッシュが去ってゆく。

ロボマゼンダ「うっ、うぅっ……」
豪「マ、マゼンダ……」

豪が傷ついた体を必死に引きずり、ロボマゼンダを助け起こす。

豪「マゼンダ……」
ロボマゼンダ「豪…… お前が、羨ましい…… 人間に戻れて……」
豪「……」
ロボマゼンダ「だが私は、自分の才能を伸ばすためだけに、自らメカになってしまった…… 人より優れているところを、見せたいためだけに……」

眼下には青い海、頭上には青空が広がっている。

ロボマゼンダ「海…… 空…… こんなに綺麗なものだったとは、知らなかった……」

豪が涙を流す。が、脳まで機械となったロボマゼンダには、もはや涙を流すことさえもできない。

ロボマゼンダ「愚かなことだ……」

ロボマゼンダがフラフラと歩き出す。

ロボマゼンダ「もう二度と、元へは戻れない…… もう二度と……」
豪「マゼンダ……!?」

思わずロボマゼンダの後を追おうとするめぐみの肩に、勇介がそっと手を置く。

ロボマゼンダ「さよ、な、ら……」

ロボマゼンダが断崖から、自らの身を投げる。
そして、大爆発──。

豪「あぁっ…… マゼンダァァ──ッッ!!」

豪がガックリと跪き、首から下げている十字架のペンダントを握りしめる。

豪「神様…… マゼンダをお許しにはならなかったのですね……」

めぐみ「最期は、自らの過ちを認めてくれたのね……」
勇介「それが、あいつのせめてもの救いだ」
丈「ケンプ…… あいつは一体どうしてるんだ?」


ヅノーベース。ケンプが蹲っている。

ケンプ「クッ、クッ……」

マゼンダの死と脳を奪われる恐れで泣き崩れているかと思いきや、次第にその声が笑い声に変わってゆく。

ケンプ「クッ、クッ、フフフ……! フフフフフ…… アハハハハハハハ……」

ガッシュがケンプを警戒し、銃を向ける。
ビアスは何も言わず、ただケンプを見下げている。



千点頭脳に達すれば、脳を奪られることが
分かった今、ケンプの胸に去来する思いは何か?

果たして、この笑いの意味は、何か!?



3人以外に誰もいなくなったヅノーベースに、ケンプの笑い声だけが響く──。



つづく



※ この続きは超獣戦隊ライブマンの第48話をご覧ください。

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最終更新:2022年03月18日 16:32