キカイダー01の第1話

荒野。突如として黒雲が空を覆い、天からの流星が地上に炸裂。
前作『人造人間キカイダー』で死んだはずのキカイダーの宿敵、ハカイダーが出現する。

ハカイダー「ハイル・ハカイダー!」

続いて赤・青・銀の装甲を持つ3人のハカイダー、レッドハカイダー、ブルーハカイダー、シルバーハカイダーが登場する。
さらに無数のアンドロイド兵、アンドロボットたちが登場する。

一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「時が来た! 今こそ我らハカイダー部隊の立ちあがる時だ」
一同「世界を闇に!」「全世界を、夜の闇に」「夜は、我らが征服する!」
ハカイダー「立て、ハカイダー部隊!」
一同「ハイル・ハカイダー!」

ハカイダー「見よ!」

虚空に幼い少年の姿が映し出される。

ハカイダー「この子供の顔をよく覚えておけ。この子供・アキラは、我らの全世界征服計画になくてはならん、重大な秘密を握っている。我々は一刻も早く、このアキラを捕まえなくてはならん。アキラはまだ、必ずこの近くにいる! 草の根を分けても捜し出すのだ!」
一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「出陣!」



無敵i!!
人造人間ゼロワン誕生!!




ハカイダーたちの捜し求める少年アキラは、町はずれの道をトボトボと歩いていた。

この少年アキラは、自分がなぜ今
この道を歩いているのか、わからなかった。
自分がどんな家に住んでいたのか、
どんな生活をしていたのかも
憶えていなかった。
ただ、かすかに、父の記憶だけは残っていた。

アキラはここ数日、たった1人で、
当てもなく歩き続けていた。
それが何日になるのか、何週間になるのか、
アキラはわからなかった。

発電所に辿り着いたアキラは、敷地内に忍び込み、水飲み場で喉を潤す。
作業員3人が歩いている。突然、どこからか鞭が伸び、1人を締め上げる。

作業員たち「うわぁっ! なんだ、こりゃ!?」「どうした!?」

電磁ムチを振るうブルーハカイダーが現れる。

作業員たち「化物!?」「逃げろぉ!」

続いて、シルバーハカイダーの電磁棒が炸裂する。

作業員たち「わぁっ」「また出たぁ!」

さらに、ボウガンを手にしたレッドハカイダーも現れる。

レッド「ミサイルボウガン!」
ブルー「電磁鞭、地獄回し!」
シルバー「電子棒・大車輪!」

瞬く間に作業員たちが一掃される。さらにハカイダーも現れる。

ハカイダー「やれぇ、ハカイダー三人衆! アキラがこの原子力発電所のどこかにいることは確かだ。火をつけ、焼き払って、アキラを燻し出すのだ!」

発電所施設が次々に爆破される。


まさに恐怖のハカイダー部隊。
恐るべき悪魔の使い、ハカイダー!
このハカイダーに立ち向かう者はいないのか?
ハカイダー部隊の行く手を阻止できる
正義の使者はいないのか?


炎上する施設内で、ハカイダーたちがアキラを追い回す。

ハカイダーたち「待て、小僧!」


とある古寺。
境内の仁王像の目が突如、らんらんと光ったかと思うと、仁王像が砕け散り、機械の戦士が姿を現す。

「キカイダー01(ゼロワン)!!」

キカイダー01。
ここに、太陽電池の力で動く正義の戦士、
キカイダー01が誕生した。

キカイダー01は、仁王像の中に3年の間、
眠っていた。
日本を取り巻く悪の力が増大し、巨大な
悪のエネルギーとなって動き出したとき
そしてそれが、一般市民の平和な生活を脅かす
危険の生じたとき、仁王像に組み込まれた
コンピューターが作動して
キカイダー01を自動的に誕生させる
システムになっていたのだ。

今や、我らのキカイダー01は生まれた。
ゼロワンは行く。世界平和を守るために。
世界平和に影を落とす、
巨大な悪の組織と戦うために!


アキラがマンホールから地下に逃れ、下水道を進み、再び地上へ顔を出す。
そこには、白髪の老婆がいる。

アキラ「あっ!?」

アキラが驚いて、逃げ出す。

老婆「アキラちゃん、待ってぇ!」

前方からハカイダーたちも現れ、後方からは老婆が追って来る。
挟み撃ちに遭ったアキラは、ハカイダーたちに捕まってしまう。

そのとき。どこからかトランペットの音が流れてくる。

ハカイダーたち「なんだ、あのトランペットは!?」「どこだ!?」「なんだ!?」「誰だ、出て来い!」「あそこだ!」」

主人公の青年イチローが、丘の上でトランペットを奏でている。

ハカイダー「何者だ、貴様!?」

ハカイダー「答えろ! さもないと……」
イチロー「悪のあるところ必ず現れ、悪の行なわれるところ、必ず行く。正義の戦士、キカイダー01!」
ハカイダー「何、キカイダー01!?」
イチロー「手を離せ! 俺は子供に手出しをする奴は、許すわけにはいかん!」
ハカイダー「むぅっ、受けてみろ!」

ハカイダーが愛銃ハカイダーショットを撃つ。

ブルー「食らえ、電磁鞭だ!」
レッド「ミサイルボウガン!」

イチローがハカイダーたちの攻撃から逃れつつ、丘の上に降り立つ。

イチロー「チェンジ・キカイダー01!!」

頭部の太陽電池が作動。イチローは人間態から、機械の戦士ゼロワンへと姿を変える。

ゼロワン「ハカイダー! 俺の記録コンピューターには、お前はダーク基地の大爆発で死んだことになっているが、生きていたのか!?」
ハカイダー「このハカイダーに、死という言葉は無い。俺はこの頭に、プロフェッサー・ギルの脳を組み込んで生き返ったのだ。ダークの誇る最高の科学者3人の脳を組み込んで、このハカイダー3人衆が誕生した」
ゼロワン「子供を離せ、ハカイダー!」
ハカイダー「取れるか、ゼロワン!?」

アンドロボットたちが出現。ゼロワンは彼らを次々に蹴散らす。

ゼロワン「ゼロワンカット!」「ゼロワンドライバー!」

ゼロワンの技がハカイダー部隊に炸裂。アキラはゼロワンにより、救い出される。

ハカイダー「おのれ、ゼロワン! 追えぇ!」

ゼロワンは愛車のサイドカー・ダブルマシーンで危機を脱し、ハカイダーたちがバイクでそれを追う。


ゼロワンとアキラは、どうにか湖畔まで逃げ切る。
ゼロワンは人間態のイチローに戻り、アキラは上半身裸で一休みする。

イチロー「坊や、名前は?」
アキラ「アキラ」
イチロー「お父さんの名前は?」
アキラ「パパ」
イチロー「フフッ。じゃあ、お母さんは?」
アキラ「……」
イチロー「うちはどこだ?」
アキラ「……」
イチロー「どっから来たんだい?」

アキラは口では答えず、無邪気にどこかを指差す。

イチロー「ふぅん。どこへ行こうとしてたの?」

やはりアキラは口では答えず、どこかを指差す。

イチロー (この子は、自分の生い立ちを憶えちゃいない。可哀そうに…… こんな小さい子供が、どうしてハカイダーなんかに狙われるんだ? この子は奴らにとって、どんな重大な秘密を握ってるというんだ?)

むき出しになったアキラの背に、3つのホクロがある。

イチロー (これは……?)

声「キャアァァ──っっ!」

イチロー「(今のは女の悲鳴!?) アキラくん、僕はすぐに戻って来る。ここでじっと待ってるんだ。いいかい? どんなことがあっても、動いちゃいけないよ。いいね?」


悲鳴の主は、アキラのもとに現れたあの老婆。
ブルーハカイダーの鞭に苦しめられている。

老婆「キャアァァ──っっ!」
ブルー「ババアめ、貴様のせいだぞ! ゼロワンにあのガキを奪い返されたのは、貴様のせいだ!」

そこへ、ゼロワンが割って入る。

ブルー「貴様ぁ!」

その様子を陰から、三枚目カメラマン、百地頑太が見ている。

頑太「なんだなんだなんだ!? あの化け物たちは何でしょ!? 何だか知らないけど、特ダネを撮れば一流カメラマンになれる! よぉし、撮っちゃお!」

ゼロワンの攻撃の前に、ブルーが逃走する。
気絶した老婆を、ゼロワンが介抱する。

ゼロワン「お婆さん、しっかりするんだ! お婆さん、しっかりするんだ!」

ゼロワンは、老婆の首元の変装跡に気づく。
顔とカツラを剥がすと、実は若い美女。驚いた頑太が寄って来る。

頑太「あらららら! やってみるもんねぇ~!」
ゼロワン「あっ、君。この人を病院へ頼む」
頑太「え? は、はい。あらぁ、さっきのババアが、こんなカワイコちゃんに!?」


その頃、湖畔ではアキラがレッドハカイダーに捕まり、アンドロボットたちに車に運び込まれている。

アキラ「離せ! 離せ! 何すんだよぉ!?」
レッド「フフフ、それで良い。行け! そのままハカイダー基地まで突っ走れ!」


ゼロワンが湖畔に戻ったときには、アキラはおらず、ハカイダーたちの姿もない。

ゼロワン「アキラくん!? アキラくん!? しまった……!」


荒野に築かれたハカイダー部隊の基地。中ではアキラが閉じ込められ、ハカイダー部隊たちが外を固める。

一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「聞けぇ! ゼロワンは来る! ゼロワンはアキラを取り返し、このハカイダー基地を爆破するために、必ず来る! 我々はアキラを奪い返されてはならん。このハカイダー基地を死守しなくてはならん! しかし、この大平原には無数の地雷が埋め込んである。いかにゼロワンとはいえ、この地雷原を突破できることはあるまい」

頑太が、その様子を窺っている。

頑太「地雷!? よし、特ダネだ。命懸けで特ダネを撮るぞぉ!」

ゼロワンがダブルマシーンで、爆音を響かせて向かって来る。

ハカイダーたち「来たぞ!」「来たな、ゼロワン!」
頑太「わぁ、来ちゃ駄目! ゼロワン! もう駄目! もう完全に駄目だぁ!」

地雷が次々に炸裂し、爆煙が上がるが、ゼロワンはそれをものともせずに突き進む。

ダブルマシーンが地雷を踏み、
そして地雷が爆発するまでの早さより、
ダブルマシーンのスピードのほうが
はるかに勝っていたのだ。

ハカイダー「むぅっ、恐るべきゼロワンめ! やれぇ! 殺せぇ!」

襲い来るアンドロボットたちを、ゼロワンは次々に蹴散らし、基地内へ突入する。

頑太「やったぁ! 大特ダネをモノにしたぁ!」

ゼロワン「アキラくん!? アキラくん!? アキラくん!?」

ゼロワンは、基地内のアンドロボットたちを倒しつつ、基地のさらに奥へ進む。

ゼロワン「アキラくん!」
ハカイダー「貴様の思い通りにはさせん、ゼロワン!」

ゼロワンがついに、囚われの身のアキラのもとへ辿り着く。

ゼロワン「アキラくん、もう大丈夫だ。心配いらない!」
レッド「ミサイルボウガン!」

レッドハカイダーのボウガンの矢を、ゼロワンが素早くかわす。

レッド「くそぉ!」

さらに襲い来るハカイダー部隊を、ゼロワンが次々に蹴散らす。
戦いの巻き添えで、基地内の機械類が火を吹く。

ゼロワン「さぁ、アキラくん、早く!」
ハカイダーたち「基地が爆発するぞ!」「早く逃げろぉ!」」

ハカイダー基地が大爆発、木端微塵となる。

頑太「わぁっ、また特ダネだ! よぉし…… あれ? フィルムが入ってない!? 馬鹿ぁ!」


ゼロワンとアキラは、基地の外へ無事に脱出する。
人間態に戻ったイチローが、脚を負傷しているアキラに包帯を巻く。

イチロー「さぁ、もう大丈夫だ」

ふと見ると、アキラの服にお守り袋が縫い付けてある。
お守り袋の中には写真。アキラと、あの謎の美女が笑顔で写っている。
裏には「アキラちゃんとリエコ」と書かれている。

イチロー「『アキラちゃんとリエコ』…… リエコ? あの女だ。アキラくん、このお姉ちゃんは、君の一体何だい?」
アキラ「……?」
イチロー「やはり、何も覚えちゃいないのか。それとも、誰かに記憶を消されているのか? この子を1人にしておくわけにはいかない。この子の家を捜し出して、早く両親のもとに返してやらなければいけない。リエコというこの女…… この女が、やはり何かを知っている!」


キカイダー01とハカイダー部隊の
壮絶な戦いは開始された。
アキラ少年の握る重大な秘密とは何か?
そしてアキラの父は、母は?
謎の美女リエコは何を知っているのか?
アキラとともにイチローは行く。
ハカイダーとの限りない道を!


イチローがアキラとともに、ダブルマシーンで荒野を疾走する。
ハカイダーがその様子を、彼方から睨みつけている。

ハカイダー「この怨み、きっと晴らすぞ…… ゼロワン!」


つづく

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最終更新:2019年05月16日 21:08