荒野。突如として黒雲が空を覆い、天からの流星が地上に炸裂。
前作『
人造人間キカイダー』で死んだはずのキカイダーの宿敵、ハカイダーが出現する。
ハカイダー「ハイル・ハカイダー!」
続いて赤・青・銀の装甲を持つ3人のハカイダー、レッドハカイダー、ブルーハカイダー、シルバーハカイダーが登場する。
さらに無数のアンドロイド兵、アンドロボットたちが登場する。
一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「時が来た! 今こそ我らハカイダー部隊の立ちあがる時だ」
一同「世界を闇に!」「全世界を、夜の闇に」「夜は、我らが征服する!」
ハカイダー「立て、ハカイダー部隊!」
一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「見よ!」
虚空に幼い少年の姿が映し出される。
ハカイダー「この子供の顔をよく覚えておけ。この子供・アキラは、我らの全世界征服計画になくてはならん、重大な秘密を握っている。我々は一刻も早く、このアキラを捕まえなくてはならん。アキラはまだ、必ずこの近くにいる! 草の根を分けても捜し出すのだ!」
一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「出陣!」
ハカイダーたちの捜し求める少年アキラは、町はずれの道をトボトボと歩いていた。
この少年アキラは、自分がなぜ今 この道を歩いているのか、わからなかった。 自分がどんな家に住んでいたのか、 どんな生活をしていたのかも 憶えていなかった。 ただ、かすかに、父の記憶だけは残っていた。
アキラはここ数日、たった1人で、 当てもなく歩き続けていた。 それが何日になるのか、何週間になるのか、 アキラはわからなかった。 |
発電所に辿り着いたアキラは、敷地内に忍び込み、水飲み場で喉を潤す。
作業員3人が歩いている。突然、どこからか鞭が伸び、1人を締め上げる。
作業員たち「うわぁっ! なんだ、こりゃ!?」「どうした!?」
電磁ムチを振るうブルーハカイダーが現れる。
作業員たち「化物!?」「逃げろぉ!」
続いて、シルバーハカイダーの電磁棒が炸裂する。
作業員たち「わぁっ」「また出たぁ!」
さらに、ボウガンを手にしたレッドハカイダーも現れる。
レッド「ミサイルボウガン!」
ブルー「電磁鞭、地獄回し!」
シルバー「電子棒・大車輪!」
瞬く間に作業員たちが一掃される。さらにハカイダーも現れる。
ハカイダー「やれぇ、ハカイダー三人衆! アキラがこの原子力発電所のどこかにいることは確かだ。火をつけ、焼き払って、アキラを燻し出すのだ!」
発電所施設が次々に爆破される。
まさに恐怖のハカイダー部隊。 恐るべき悪魔の使い、ハカイダー! このハカイダーに立ち向かう者はいないのか? ハカイダー部隊の行く手を阻止できる 正義の使者はいないのか? |
炎上する施設内で、ハカイダーたちがアキラを追い回す。
ハカイダーたち「待て、小僧!」
とある古寺。
境内の仁王像の目が突如、らんらんと光ったかと思うと、仁王像が砕け散り、機械の戦士が姿を現す。
「キカイダー01!!」
キカイダー01。 ここに、太陽電池の力で動く正義の戦士、 キカイダー01が誕生した。
キカイダー01は、仁王像の中に3年の間、 眠っていた。 日本を取り巻く悪の力が増大し、巨大な 悪のエネルギーとなって動き出したとき そしてそれが、一般市民の平和な生活を脅かす 危険の生じたとき、仁王像に組み込まれた コンピューターが作動して キカイダー01を自動的に誕生させる システムになっていたのだ。
今や、我らのキカイダー01は生まれた。 ゼロワンは行く。世界平和を守るために。 世界平和に影を落とす、 巨大な悪の組織と戦うために! |
アキラがマンホールから地下に逃れ、下水道を進み、再び地上へ顔を出す。
そこには、白髪の老婆がいる。
アキラ「あっ!?」
アキラが驚いて、逃げ出す。
老婆「アキラちゃん、待ってぇ!」
前方からハカイダーたちも現れ、後方からは老婆が追って来る。
挟み撃ちに遭ったアキラは、ハカイダーたちに捕まってしまう。
そのとき。どこからかトランペットの音が流れてくる。
ハカイダーたち「なんだ、あのトランペットは!?」「どこだ!?」「なんだ!?」「誰だ、出て来い!」「あそこだ!」」
主人公の青年イチローが、丘の上でトランペットを奏でている。
ハカイダー「何者だ、貴様!?」
ハカイダー「答えろ! さもないと……」
イチロー「悪のあるところ必ず現れ、悪の行なわれるところ、必ず行く。正義の戦士、キカイダー01!」
ハカイダー「何、キカイダー01!?」
イチロー「手を離せ! 俺は子供に手出しをする奴は、許すわけにはいかん!」
ハカイダー「むぅっ、受けてみろ!」
ハカイダーが愛銃ハカイダーショットを撃つ。
ブルー「食らえ、電磁鞭だ!」
レッド「ミサイルボウガン!」
イチローがハカイダーたちの攻撃から逃れつつ、丘の上に降り立つ。
イチロー「チェンジ・キカイダー01!!」
頭部の太陽電池が作動。イチローは人間態から、機械の戦士ゼロワンへと姿を変える。
ゼロワン「ハカイダー! 俺の記録コンピューターには、お前はダーク基地の大爆発で死んだことになっているが、生きていたのか!?」
ハカイダー「このハカイダーに、死という言葉は無い。俺はこの頭に、プロフェッサー・ギルの脳を組み込んで生き返ったのだ。ダークの誇る最高の科学者3人の脳を組み込んで、このハカイダー3人衆が誕生した」
ゼロワン「子供を離せ、ハカイダー!」
ハカイダー「取れるか、ゼロワン!?」
アンドロボットたちが出現。ゼロワンは彼らを次々に蹴散らす。
ゼロワン「ゼロワンカット!」「ゼロワンドライバー!」
ゼロワンの技がハカイダー部隊に炸裂。アキラはゼロワンにより、救い出される。
ハカイダー「おのれ、ゼロワン! 追えぇ!」
ゼロワンは愛車のサイドカー・ダブルマシーンで危機を脱し、ハカイダーたちがバイクでそれを追う。
ゼロワンとアキラは、どうにか湖畔まで逃げ切る。
ゼロワンは人間態のイチローに戻り、アキラは上半身裸で一休みする。
イチロー「坊や、名前は?」
アキラ「アキラ」
イチロー「お父さんの名前は?」
アキラ「パパ」
イチロー「フフッ。じゃあ、お母さんは?」
アキラ「……」
イチロー「うちはどこだ?」
アキラ「……」
イチロー「どっから来たんだい?」
アキラは口では答えず、無邪気にどこかを指差す。
イチロー「ふぅん。どこへ行こうとしてたの?」
やはりアキラは口では答えず、どこかを指差す。
イチロー (この子は、自分の生い立ちを憶えちゃいない。可哀そうに…… こんな小さい子供が、どうしてハカイダーなんかに狙われるんだ? この子は奴らにとって、どんな重大な秘密を握ってるというんだ?)
むき出しになったアキラの背に、3つのホクロがある。
イチロー (これは……?)
声「キャアァァ──っっ!」
イチロー「(今のは女の悲鳴!?) アキラくん、僕はすぐに戻って来る。ここでじっと待ってるんだ。いいかい? どんなことがあっても、動いちゃいけないよ。いいね?」
悲鳴の主は、アキラのもとに現れたあの老婆。
ブルーハカイダーの鞭に苦しめられている。
老婆「キャアァァ──っっ!」
ブルー「ババアめ、貴様のせいだぞ! ゼロワンにあのガキを奪い返されたのは、貴様のせいだ!」
そこへ、ゼロワンが割って入る。
ブルー「貴様ぁ!」
その様子を陰から、三枚目カメラマン、百地頑太が見ている。
頑太「なんだなんだなんだ!? あの化け物たちは何でしょ!? 何だか知らないけど、特ダネを撮れば一流カメラマンになれる! よぉし、撮っちゃお!」
ゼロワンの攻撃の前に、ブルーが逃走する。
気絶した老婆を、ゼロワンが介抱する。
ゼロワン「お婆さん、しっかりするんだ! お婆さん、しっかりするんだ!」
ゼロワンは、老婆の首元の変装跡に気づく。
顔とカツラを剥がすと、実は若い美女。驚いた頑太が寄って来る。
頑太「あらららら! やってみるもんねぇ~!」
ゼロワン「あっ、君。この人を病院へ頼む」
頑太「え? は、はい。あらぁ、さっきのババアが、こんなカワイコちゃんに!?」
その頃、湖畔ではアキラがレッドハカイダーに捕まり、アンドロボットたちに車に運び込まれている。
アキラ「離せ! 離せ! 何すんだよぉ!?」
レッド「フフフ、それで良い。行け! そのままハカイダー基地まで突っ走れ!」
ゼロワンが湖畔に戻ったときには、アキラはおらず、ハカイダーたちの姿もない。
ゼロワン「アキラくん!? アキラくん!? しまった……!」
荒野に築かれたハカイダー部隊の基地。中ではアキラが閉じ込められ、ハカイダー部隊たちが外を固める。
一同「ハイル・ハカイダー!」
ハカイダー「聞けぇ! ゼロワンは来る! ゼロワンはアキラを取り返し、このハカイダー基地を爆破するために、必ず来る! 我々はアキラを奪い返されてはならん。このハカイダー基地を死守しなくてはならん! しかし、この大平原には無数の地雷が埋め込んである。いかにゼロワンとはいえ、この地雷原を突破できることはあるまい」
頑太が、その様子を窺っている。
頑太「地雷!? よし、特ダネだ。命懸けで特ダネを撮るぞぉ!」
ゼロワンがダブルマシーンで、爆音を響かせて向かって来る。
ハカイダーたち「来たぞ!」「来たな、ゼロワン!」
頑太「わぁ、来ちゃ駄目! ゼロワン! もう駄目! もう完全に駄目だぁ!」
地雷が次々に炸裂し、爆煙が上がるが、ゼロワンはそれをものともせずに突き進む。
ダブルマシーンが地雷を踏み、 そして地雷が爆発するまでの早さより、 ダブルマシーンのスピードのほうが はるかに勝っていたのだ。 |
ハカイダー「むぅっ、恐るべきゼロワンめ! やれぇ! 殺せぇ!」
襲い来るアンドロボットたちを、ゼロワンは次々に蹴散らし、基地内へ突入する。
頑太「やったぁ! 大特ダネをモノにしたぁ!」
ゼロワン「アキラくん!? アキラくん!? アキラくん!?」
ゼロワンは、基地内のアンドロボットたちを倒しつつ、基地のさらに奥へ進む。
ゼロワン「アキラくん!」
ハカイダー「貴様の思い通りにはさせん、ゼロワン!」
ゼロワンがついに、囚われの身のアキラのもとへ辿り着く。
ゼロワン「アキラくん、もう大丈夫だ。心配いらない!」
レッド「ミサイルボウガン!」
レッドハカイダーのボウガンの矢を、ゼロワンが素早くかわす。
レッド「くそぉ!」
さらに襲い来るハカイダー部隊を、ゼロワンが次々に蹴散らす。
戦いの巻き添えで、基地内の機械類が火を吹く。
ゼロワン「さぁ、アキラくん、早く!」
ハカイダーたち「基地が爆発するぞ!」「早く逃げろぉ!」」
ハカイダー基地が大爆発、木端微塵となる。
頑太「わぁっ、また特ダネだ! よぉし…… あれ? フィルムが入ってない!? 馬鹿ぁ!」
ゼロワンとアキラは、基地の外へ無事に脱出する。
人間態に戻ったイチローが、脚を負傷しているアキラに包帯を巻く。
イチロー「さぁ、もう大丈夫だ」
ふと見ると、アキラの服にお守り袋が縫い付けてある。
お守り袋の中には写真。アキラと、あの謎の美女が笑顔で写っている。
裏には「アキラちゃんとリエコ」と書かれている。
イチロー「『アキラちゃんとリエコ』…… リエコ? あの女だ。アキラくん、このお姉ちゃんは、君の一体何だい?」
アキラ「……?」
イチロー「やはり、何も覚えちゃいないのか。それとも、誰かに記憶を消されているのか? この子を1人にしておくわけにはいかない。この子の家を捜し出して、早く両親のもとに返してやらなければいけない。リエコというこの女…… この女が、やはり何かを知っている!」
キカイダー01とハカイダー部隊の 壮絶な戦いは開始された。 アキラ少年の握る重大な秘密とは何か? そしてアキラの父は、母は? 謎の美女リエコは何を知っているのか? アキラとともにイチローは行く。 ハカイダーとの限りない道を! |
イチローがアキラとともに、ダブルマシーンで荒野を疾走する。
ハカイダーがその様子を、彼方から睨みつけている。
ハカイダー「この怨み、きっと晴らすぞ…… ゼロワン!」
最終更新:2019年05月16日 21:08