2代目宇宙刑事ギャバン・十文字 撃が、ホラーガールのアジトと思しき廃墟を発見する。
数人の衛兵たちが周囲を守っている。
撃「あの扉の奥に、ホラーガールが……!」
撃が単身で突撃、衛兵たちをたちまち叩きのめし、廃墟内に潜入する。
一方でホラーガールは、テレビのニュースを楽しんでいる。
『銀河連邦警察の発表によりますと、宇宙マフィアによる麻薬取引の捜査で、1人の宇宙刑事が命を落としました。また、マフィアに内通していた宇宙刑事の存在も明らかになり、危機管理体制の脆弱さが問われそうです』
ホラーガール「警察、だ~らしな~い! キャハハハハ!」
撃が、廃墟内の部屋に潜入する。
そこには「NOT EVEN CLOSE」の札がある。
撃「……『大ハズレ』?」
さらにテレビ画面に「DANGER」の文字が浮かび、「4, 3, 2……」とカウントダウンが刻まれる。
撃「わぁっ、ちょっと待て!?」
大爆発──!
間一髪、撃は火の粉を浴びながらも廃墟から飛び出す。
撃「熱、熱っ!」
通信機の音。
撃「エリーナ秘書官!?」
エリーナ『ギャバン、すぐに戻って。捜査は中止よ』
バード星の銀河連邦警察のゴードン長官とエリーナ秘書官のもとへ、撃が帰還する。
撃「なぜです、ゴードン長官!? やっとすべての元凶、ホラーガールの影が見えてきたのに!」
エリーナ「落ち着いて、ギャバン!」
ゴードン「実は、そのホラーガールに…… 娘のヒルダが誘拐された!」
撃「えっ!?」
ゴードン「脅迫メッセージが来たのだ。神官ポーと結託して娘を誘拐したと。捜査を中止しなければ…… 娘の命はない、とな」
撃「誘拐だと!? 神官ポー……!?」
ゴードン「もちろん、警察のトップである私が卑劣な犯罪者の言いなりになるわけにはいかない。だが、だが娘が……!」
エリーナ「ギャバン、長官の心情を察してあげて! 今からごく一部の上層部のメンバーだけで、緊急対策本部を立ち上げる。その決定が出るまでは、迂闊な行動は禁物よ!」
その頃、地球では烏丸 舟こと宇宙刑事シャイダーが、
ある指名手配犯を追っていた。
それが、ギャバンの追っている事件に関連しようとは、
神ならぬ身の誰1人、知る由もなかった──
東京のオープンカフェ。
2代目宇宙刑事シャイダー・烏丸 舟が、1人の女性の座っているテーブルに近づく。
舟「隣、いい?」
返事を待つまでもなく、舟は女性の隣に座る。
舟「お近づきになりたいな、名前は?」
女性は舟を相手にせず、別のテーブルに移る。
舟「あら?」
店員「お客さん、ご注文は」
舟「じゃあ、ウィンナーコーヒー、ウィンナー抜きで」
店員「……どうぞ、ごゆっくり」
店員が去った後、すかさず舟は、先の女性のテーブルに移る。
舟「ごめんねぇ~! 怪しい者じゃなくて……」
舟が身分証を示す。
舟「俺、宇宙刑事なんだ。でもって、凶悪犯を追跡中」
女性「凶悪……?」
舟「シーッ! だから、ちょっとだけ俺の女になって…… 大丈夫、痛くしないから」
店員が、覆面姿の怪しげな男に、大きな荷物を渡している。
覆面男「おっ、これかい? いつも済まねぇな」
舟「あれか……」
声「こらあぁ──っっ!!」
舟が覆面男のもとへ向かおうとしたところへ、彼のパートナー・女宇宙刑事タミ―が現れる。
タミー「何してんのよ、シャイダー!」
舟「えっ!?」
タミー「タミーキーック! やぁ──っ!!」
強烈なキックが炸裂し、舟が派手に吹っ飛ぶ。
舟「タ、タミー!? なんでここに!?」
タミーが舟の襟元を指すと、そこには発信機。
舟「あぁっ!?」
タミー「バビロスでキョドってたから追跡したのよ。最低! 浮気するなんて。宇宙刑事のクセにぃ!!」
覆面男「えぇっ、宇宙刑事!? まま、まずい!」
舟「待て、こらあぁ!」
タミー「逃げるなぁ! 浮気者ぉ!!」
覆面男が逃げ出し、舟がそれを追い、タミーは舟を追う。
店員「なんだこりゃ? わけわかんねぇ!」
覆面男がトラックで逃げようとする。
覆面の下から覗いた素顔は、かつての宇宙犯罪組織フーマの尖兵、不思議獣である。
タミー「えっ、不思議獣!?」
舟「待てっ!」
舟もジープに乗り込み、タミーも続く。
タミー「ちょっと、ねぇ!」
不思議獣「バイバーイ!」
タミー「何なの、シャイダー、どういうこと!?」
舟「うるさい、シートベルトしろ!」
舟とタミーが不思議獣を追う──
最終更新:2014年12月07日 10:44