突然の地軸移動により大変動が大地を襲った。 平原には巨大な亀裂が走り、南の島は極地に、海底は鉱山となり、眠っていた火山は火を吹き 空はいくつもの灰色の空で覆われていった。 多くの都市が破壊され地に飲み込まれ、あるものは海中深くへと沈んだ。 この大変動の前に全世界の人々はなす術も持たず、かつて営々と築かれてきた全ての文明はここに壊滅した。 |
ナレーターが語ると同時に惑星Ziの文明崩壊の風景が映る。
ナレーターがそう語った後、荒廃した大地に一つの芽が芽生え、昇った朝日を背景に大森林が映る。
生き延びた、わずかな人々の子孫たちは各地に新たな文明を築き上げていた… |
海底。
一人の少年であるルージ・ファミロンが海底奥底に沈んでいたゾイドを引き上げようとしていた。
準備を終えた後、ルージは海中から顔を出し父・ラージに話しかける。
ルージ「終わったよお父さん」
ラージ「お前も上がれルージ」
村人ら「素潜りであんな深くまで潜るとはなぁ…」「さすがルージだ」「始めるぞ!」「おー!」
海から上がったルージは村人と共にゾイドを引き上げる準備をする。
村人「空気を送るぞ!」
ルージを含む村人たちは物を引き上げる機械でゾイドを引き上げる。
一方で少女であるレ・ミィが川で泳いでいた魚を素手で捕った後、服を着る。
ミロード村。
村の中で剣が刺さったような1つの家でファミロン家の弟・ファージと母・ミン、祖母・シオがいた。
ファージ「お母さん早く!ゾイドの引き上げ終わっちゃうよ!」
ミン「大丈夫よ!ご先祖様のご加護を…」
シオ「ご先祖様のご加護を…」
ミン「行ってきます」
シオ「気をつけてね」
ミンはシオと共に剣のような装飾を崇めた後、次男・ファージの後を追う。
一方でルージと村人たちは引き上げ装置を稼働し続ける。
村人「一気に引き上げるぞ!」
村人が引き上げる中でゾイドが大きすぎたのか引っかかってしまう。
村人ら「沈むんじゃないか?」
ルージ「大丈夫、だいぶ余裕を見て設計してあるから。この船」
村人ら「ルージは素潜りだけじゃなくて計算も得意だからな」「一気に行くぞ!」
声を上げながら装置を稼働し続けた末に海底に眠っていたライオン型ゾイドは浮上した。
村人ら「こんなのが村の近くに沈んでいたとは…」「こんなでかいのは初めてだぜ」「始めるぞ!」「おお!」
村人らは付着していたフジツボを取り除く。
村人ら「世界一でっかいゾイドじゃないか…」「昔、東の国で山よりでかいゾイドが掘り出されたことがあるそうだ。誰も乗りこなせなかったらしいかな…」
「へぇ~、そんなでかいんじゃ売り物になんなかったでしょうね…」「ありました!操縦席です」
ラージ「分かった!」
ファージ「お父さん!お兄ちゃん!」
ファージとミンが木製のボートに乗ってやってくる。
ルージ「ファージ!」
ラージ「試し乗りは後回しだ。飯が来た!」
ルージを筆頭とする村人らは昼食をとる。
一同「いつもと味付けが違うな」「この前、村に来た商人から買った調味料を使ってみたんですけど、お気に召しませんでしたか?」「いやこれはこれでうまい」「その商人が言っていたが、何とかって国があちこちに戦を仕掛けてるそうだな。何でも見たこともない銀色のゾイドで攻めてくるとか…」
ラージ「ディガルド、そんな名前の国だ」
ミン「ディガルド?」
ラージ「遠い北の方での話だこの村には関係ない」
村人ら「でも万が一…」
ラージ「その時はあいつらで戦うだけさ。それがゾイド乗りの役目だ」
川辺の付近。
レ・ミィが捕って焼いた魚を食べていた時、どこからかの爆発音に気づくと地面に耳を当てる。
次に木に登って、高いところから様子を見る中、森から砂煙が吹き上がる。
レ・ミィは駆け足でどこかへと向かう。
レ・ミィ「おじ様…」
一方でミロード村の住人はフジツボを取り除く作業を続けていた。
ラージ「これくらいでいいだろう…ルージ!レッケルを入れてくれ!」
ルージ「分かった!」
ルージは赤い液体・レッケルをライオン型ゾイドに注ぎ込むとコックピット・操縦席部分が展開し村人らは中へ入る。
村人ら「とても何千年も海の中に沈んでいたとは思えないな…」
ラージ「30年以上、ゾイド掘りやってるが、こんな綺麗なのは初めてだ」
ファージ「このゾイド、なんて名前なの?」
ルージ「さあな…ゾイドの名前は最初に動かせた人がつける決まりだ。自然と頭の中に浮かぶものらしい」
ファージ「お父さん動かせるかな?」
ラージはゾイドを動かそうとする。
ラージ「だめだ、俺には合わないようだ」
村人ら「お頭に動かせないとなると…」「次は俺だ!」「さすがにでかすぎなのか…」「動けー!動けばこのゾイドは俺のもんだ!」
「お前には無理だって。交代交代!」
ラージ「大きいゾイドはあまり動かせる人間がいないと聞くが…」
村人ら「売りに出すしかありませんかね…」
ラージ「ああ…残念だが…そうなるかもな…」
ファージ「誰も動かせないみたいだよ」
ルージ「まだ試していない人もいるだろう」
ファージ「じゃあ僕も乗せてもらえるかな?」
ルージ「ファージは何も手伝ってないからな…」
ファージ「お昼ご飯持ってきたのに!?」
ルージ「一番最後だ」
ファージ「お兄ちゃんは乗らないの?これを見つけたの、お兄ちゃんなんでしょ?このゾイドお兄ちゃんなら動かせるかも!」
ルージ「これまでいろんなゾイドで試してみたけどダメだった。お兄ちゃんはゾイド乗りに向いてないんだ。みんな知ってる」
ファージ「でもひょっとしたら…」
ルージは首を振る。
ファージ「お兄ちゃん…」
一方でミロード村付近の森林で骨のような外見の恐竜型ゾイドが歩いており、中にあった人工知能と思われる動力源らしきものがモニターを通じて仲間と連絡しながら様子を見ていた。
恐竜型ゾイドの群れはリーダーと思われる赤い個体を筆頭に全速力で走ってミロード村へ近づく。
ミロード村の住民はライオン型ゾイドを所有していたゾイドで陸地に引き上げる。
村人ら「ちょっと…」「やっぱり、でかすぎるんだよ…」「せっかくの大物なのに…動かねえんじゃ…あ?」「どうした?」
村人が気づいた方向へ振り向くとミロード村付近には煙が上がっていた。
村人「村が火事だ!お頭!」
ラージ「どうした!」
ミロード村は恐竜型ゾイドに襲撃されつつあった。
村人「俺の家が!」
運搬したライオン型ゾイドが陸地に到着すると、ラージは即座に村へ向かって全速力で走る。
ラージ「先に戻る!ルージ!後は頼んだぞ!」
ルージ「分かった!父さん!」
ラージは村にあったゾイド・カノントータスに乗り込む。
村人「お…お頭!」
ラージ「これはただの火事ではないぞ!」
ラージらが乗っていたゾイドのサブモニターが表示され恐竜型ゾイドが映る。
村人ら「銀色のゾイド!?」「ティガルドが攻めてきたんだ!」「よくも俺たちの村を!」
「この村から出てけ!」
ラージはビームトータスで立ち向かおうとするも返り討ちにあい、ひっくり返る。
仲間のムカデ型ゾイドも立ち向かうが同様に吹き飛ばされる。
ラージ「あれを使うしかないか…先祖代々伝えられてきた幻の光を!」
ラージのビームトータスは攻撃態勢に入る。
ラージ「ビームトータス!お前の本当の力を見せてやれ!」
ラージのビームトータスは恐竜型ゾイドの群れに向けてビーム砲を放つも外れてしまう。
ラージ「くそっ!外したか!もう一発だ!」
ビームトータスは再びビーム砲を放ち、恐竜型ゾイドに命中するもダメージが全然効かなかった。
ラージ「何!?バカな!?」
一方で村人が混乱する中、1人自宅に残っていたシオが祈り続けていた。
シオ「ご先祖様…どうか村をお守りください!」
一方でルージらはライオン型ゾイドを見張っていた。
ファージ「僕も一緒に残るよ!」
ルージ「ダメだ!安全な場所に逃げるんだ!」
ファージ「ルージ…」
ルージ「大丈夫、何でもないよ。きっと…」
ルージがそう言った後、ライオン型ゾイドに張り付いて村の様子を見る。
ルージ「やっぱり…普通の火事じゃない…」
恐竜型ゾイドがビームトータスの砲台を噛みついて引っこ抜く中、砂浜付近にあったライオン型ゾイドに気づくと恐竜型ゾイドの群れはそこに向かってやってくる。
ルージ「銀色のゾイド…!」
ルージは力尽くでライオン型ゾイドのコクピットを閉じようとする。
ルージ「なんで閉じないんだよ!」
ルージは恐竜型ゾイドの遠距離攻撃がライオン型ゾイドに命中した拍子で操縦席に入り込むと窓のコクピットが閉じる。
ルージ「閉じた…」
ルージがそう言った後、操縦席内のモニターが映り、起動する。
ファージ「お兄ちゃーん!お兄ちゃん!大丈夫!」
ルージ「ファージ!逃げろ!」
ルージが乗っていたライオン型ゾイドは恐竜型ゾイドの攻撃を受け続ける。
ファージ「お兄ちゃん!」
ルージ「ファージ!。やめろ、攻撃をやめてくれ!」
一方でシオは祈り続けていた。
シオ「ご先祖様…ご加護を!」
恐竜型ゾイドの攻撃が続く。
ルージ「やめてくれ!」
ルージが叫び声の後に操縦桿を握ると、ライオン型ゾイドは起動し始める。
ルージ「動け!」
動いたライオン型ゾイドは恐竜型ゾイドの指揮官個体を吹き飛ばす。
ルージ「動いた…ムラサメライガーが…ムラサメライガー?そうか…こいつの名前か…」
ライオン型ゾイドの本名・ムラサメライガーが動いたことに村人らはその様子を見てた。
ファージ「兄ちゃんが動かしてるの?」
指揮官個体の筆頭とする恐竜型ゾイドはムラサメライガーに向かって火炎放射攻撃を放つ。
ルージ「なんだ!?」
ムラサメライガーはその攻撃で吹き飛ばされ海底へ沈む。
ファージ「お兄ちゃん!」
ルージ「せっかくゾイドを動かせたのに…こんなのってありかよ…」
ルージがそういう中、中央のモニターに村雨という文字が映し出され。同様にファミロン家の自宅に奉られた大刀にも同じ文字が映し出される。
ラージら「なんだ!」「この音は!?」「何が起こっているんだ!」「光ってる…」
ムラサメライガーは体勢を立て直して、上陸しようとする。
ルージ「ムラサメライガー!どこに行くんだよ!?」
ムラサメライガーが浮上すると同時にファミロン家の自宅の大刀が引っこ抜かれるかのように空へと舞い上がる。
ルージ「何!?あれは先祖代々うちに伝わってる大刀じゃないか!」
その大刀はムラサメライガーの背中のアタッチメントに装着される。
ルージ「うちの大刀が村雨ライガーに?元々、こいつのものだったんだ!いっけー!」
ムラサメライガーはムラサメブレードで恐竜型ゾイドを切り裂く。
ルージ「や…やった…」
?「そこまでだ」
ルージが声が聞こえた方に振り向くと、崖の上にはオオカミ型とシカ型の2体のゾイドがいた。
ルージ「他にも仲間がいたのか…!」
恐竜型ゾイドとオオカミ型・シカ型の2体のゾイドがムラサメライガーに一気に襲いかかってくる。
最終更新:2024年08月17日 17:41