ナレーション(以下N)「天を獲る」
地球のものとは違う外見の木々に覆われた町。
森の中に少女が横たわる。
N「世界を己の色に染める」
馬に乗っている仮面ライダー鎧武、
鎧武は異形の怪物「インベス」を軍勢として率いている。
N「その栄光を君を求めるか」
相対するのは仮面ライダーバロン。バイク・ローズアタッカーに乗り、
仮面ライダーグリドンにインベスと無人のスイカアームズを軍勢として率いている。
N「その重荷を君は背負えるか」
2つの軍勢はオレンジとバナナの陣形をとっていて、
その上の丘でブドウの陣形をとる軍勢、
仮面ライダー斬月と仮面ライダー龍玄とインベスの軍勢が鎧武とバロンの戦いを傍観している。
N「人は己一人の命すら思うがままにはならない」
少女が目覚め、鎧武達を見下ろす丘の上に出てくる。
N「誰もが逃げられず、逆らえず、運命という名の荒波に押し流されていく」
少女の髪飾りの花が外れ、地面に落ちると同時に
鎧武とバロンの軍勢は戦いを始める。
N「だがもしもその運命が君にこう命じたとしたら」
N「世界を変えろ、と。未来をその手で選べ、と」
N「君は運命に抗えない」
N「だが世界は君に託される」
鎧武とバロンが交錯し―――
街中で迷子を慰めている青年がいる。
主人公・葛葉紘汰(かずらば こうた)だ。
紘汰「そっか。ママとはぐれちゃったか」
「だれだって、泣きたいほど辛い時ってはある」
「でもな、そんなときこそ負けちゃいけない」
「そういう勝負、ゲームだと思ってみなよ」
「泣いちゃったら負けのゲーム、泣かない方法を見つけたら勝ちだ」
「だれだって、どんなときだって戦うことは出来るんだ」
「今、君が出来ること、何だと思う」
迷子「ママを見つけること・・・」
紘汰「よし!」
紘汰「お母さーん」
迷子「ママー!」
紘汰「ねぇおかあさん、迷子ですよ」
そうしている二人を迷子の母親が見つけてくれた。
母親「健一!」
紘汰「よかったなぁ、君の勝ちだぜ」
健一「お兄ちゃん、ありがとう!」
紘汰「いえいえ」
紘汰は停めていたカレー屋のバイクに乗る。
母親「あのぉ・・・配達の途中で?」
紘汰「ああ大丈夫っす、カレーはまだまだ暖かいんで」
計画都市沢芽市
サガラ「HELLO!沢芽シティ!DJサガラの生配信へようこそ!」
フリーステージではビートライダーズ・チーム鎧武が踊っている。
サガラ「踊りに踊りまくってるビートライダーズの諸君!」
「今日もユグドラシルタワーの向こうはサイトスタジアム!HERE WE GO!」
「まずは沢芽シティに溢れるホットなビートに乗っちまいな!」
しかし誰かが音響機器からパスを外してしまい、音楽が止まってしまう。
高司 舞(たかつかさ まい)「ちょっと!なんなのよ!」
呉島光実(くれしま みつざね)「またバロンの連中か」
ザック「今からここは俺達バロンのステージだ!」
ビートライダーズ、チームバロンが鎧武のステージに割り込んできて、
鎧武のサポーターからブーイングが飛ぶ。
サガラ「暴れさがりのお前らにストリートは狭すぎるだろ?だからって角を突き合わせちゃいけないぜ。そこんとこ、白黒はっきりスマートにつけてくれるのがこいつ!ロックシードだ!」
ザック「勝負するか?」
舞「いいわよ、やってやろうじゃん」
光実「舞さん、祐也さん呼ぼうよ」
舞「こんなヤツ、あたしだけで十分!」
ザックの持つクルミロックシードと舞の持つヒマワリロックシードが同時に開錠されると、仮想リングが現れ、次元の裂け目『クラック』からミニサイズのインベスが2体でてきた。
サガラ「ロックシードから呼び出すインベすで最後に勝ち残る!それが今、一番リスペクトできる本物のチャンプってヤツだ!」「OK!ビートにノリな!」
2体のインベスが仮想リングの上で戦いだした。
しかしバロンのメンバー、ベコが鎧武側の死角に隠れていて、
パチンコで舞の手元を撃つ。
舞「痛っ!」
舞はヒマワリロックシードを地面に落としてしまう。
すると、舞が呼んだ方のインベスが口を展開させたより凶悪な姿になり、
リングから出てきて舞達の方に迫る。
ザック「バカめ、試合中に錠前を手放すなんてな・・・」
逃げ惑う観衆がヒマワリロックシードを奥へ蹴飛ばしていく。
それを拾おうとする舞にインベスが飛びかかる。
舞「きゃ・・・」
しかし紘汰がバイクでインベスを跳ね飛ばし、
その間にヒマワリロックシードを拾い、ロックを戻す。
そうすると、インベスは帰っていった。
舞「紘汰・・・」
紘汰「怪我はないか?舞」
ミッチ「紘汰さん!」
ザック「先にインベスを退場させたんだ。試合放棄で俺達の勝ち、だろ?」
『YOU WIN』
その後、舞は紘汰に構わず帰ろうとしていた。
紘汰「舞! なぁおい、帽子」
舞「うるさいわね!ほっといて!」
「ビートライダーズって子供の遊びって言ってたじゃん!」
「紘汰はもう大人の仲間入りをしたんでしょ!今更首突っ込んでこないでよ!」
祐也「舞、大丈夫か」
そこにチーム鎧武リーダー・角居祐也が来ていた。
舞「・・・せっかく用意してもらったロックシード、使いこなせなかった」
「ステージもバロンに取られちゃったし」
祐也「トラぶったら俺が来るまで待ってろって言ってたじゃん」
舞「祐也だって忙しいし、いちいち呼べないよ」
祐也「でもな」
舞「ホントにゴメン!」
舞は足早に去っていった。
祐也「・・・よう、久しぶりだな。 お前が助けてくれたんだろ、紘汰」
サガラ「チーム鎧武のプレイヤー、肝心なところで痛恨のミス!結局は試合放棄!」
ネットではサガラが先ほどの様子を配信していた。
それを見ている人達は、『どちらがcool』というアンケートに
『バロン』と回答していく。
サガラ「バロンは相変わらずの快進撃!」
「一方の鎧武は大幅にポイントを失ったぁ」
「巻き返しは・・・ムズカシそ~だ!」
チームバロンはたまり場で放送を見ていた。
ベコ「戒人さん!俺ら絶好調ですって!」
チームバロンリーダー・駆紋戒人もたまり場に来ていた。
戒人「騒ぐほどのことじゃない。弱い奴が消え、強い奴だけが生き残る。当然のルールだ」
ベコ「ですよね~!」
一方、チーム鎧武のたまり場では、
ラット「ふさけやがって・・・バロンのやつ」
光実「紘汰さんがいてくれたらな・・・」
舞「ミッチ、あんたまだそんなこと言って!
ミカ「でも、今日だって助けてくれたのは紘汰さんだし」
チャッキー「あーあ、何でチーム抜けっちゃたのかなぁ・・・」
その頃、紘汰と祐也はフルーツバーラー・トルーパーズにいた。
サガラ『さぁビートライダーズホットラインでは町で見かけたバトルの様子や・・・』
祐也「お前がいなくなってから、ストリートの様子もめっきり変わっちまった」
トルーパーズの店主、坂東も二人に話しかけてくる。
坂東「今じゃみんな、インベスゲームに夢中だ」
奥のプライベート席では錠前ディラー・シドからロックシードを買っている客がいた。
シド「これなんかどうだ?」
客「これお願いします」
祐也「近頃はどこ行っても見かけるよな、錠前ディーラー」
「今じゃチームの格付けなんてどれだけロックシードを揃えてるで決まる様なもんだ」
紘汰「俺は好きになれないよ、あれ」
坂東「そうか?ゲームで競い合ってる分にはケンカで怪我人が出ることはない。可愛いもんじゃねぇか」
紘汰「十分危ないよ。だいたい、あのインベスってのは何なんだよ?
あんな錠前作って流行らせたのは誰なんだ?」
TVではユグドラシルのCMが流れている。
アナウンス「ニュージェネレーション、ニューライフ」
計画都市沢芽市の皆様にユグドラシルコーポレーションが提案する新しい暮らし」
紘汰は自宅に帰った、姉の晶が夕食の支度をしている。
晶「どうしたの?バイトで何か失敗でもした?」
紘汰「なぁ姉ちゃん、大人になるってどういうこと・・・」
晶「自分で自分の面倒を見られるってこと。今の紘汰は食費も家賃も全部自分で稼いでるじゃない」
「だからもう立派に大人だよ」
紘汰「でも自分の面倒しかみれてない。仕事ばっかで手一杯だ」
「他にもあるはずの大事なこと、全部ほったらかしにしてんだ。こんなんじゃオレ、昔と全然変わってねーよ・・
晶「紘汰・・・」
紘汰「オレ、変身したいんだ もっと強くて何でも出来る自分に・・・」
晶「ある日いきなり違う人間になろうだなんて・・・人生なめすぎだぞ!あせらないで少しずつ、なりたい大人になればいいの」
「はい、むく」
紘汰(死んだ両親の代わりに姉ちゃんはずっとオレの面倒を見てくれてた。
でももう姉ちゃんには迷惑をかけられない。
俺は早く一人前の大人にならなきゃいけないんだ、でも・・・)
働く紘汰だが、チーム鎧武のメンバーのことも気にかけていた。
トルーパーズのプライベート席に祐也とシドがいた。
アルバイト「休憩入りまーす」
祐也「なんだよ、話ってのは」
シド「あんたのチーム、ピンチなんだってな。とっておきの秘密兵器があるんだが」
祐也「また新手の錠前か」
シド「いや、違う」
シドが見せたのは、ベルトのバックルの様な物だった。
翌日。紘汰の携帯に祐也からのメールが届いた。
紘汰「祐也?」『面白いものを手に入れたから見せてやる』・・・何だこれ?」
舞が来た倉庫街には紘汰がいた。
紘汰「・・・よぉ」
舞「なんで紘汰がここにくるわけ?」
紘汰「いや、祐也に呼ばれたんだ」
舞「・・・あれ」
舞が指さした倉庫の壁には、より大きなクラックが開いていて
辺りの地面には奇妙な植物と果実が生い茂ってる。
舞「何なの、これ・・・」
紘汰「舞、この先・・・どっかに通じてんのかな?」
舞「ちょっと!」
クラックから二人が出た先は、奇妙な植物が生い茂る森だった。
舞「どこよ、ここ・・・」
紘汰「分かんねーよ」
不意に舞が紘汰の手を引き木陰に隠れる。
紘汰「なんだよ」
舞「しっ、あれ」
人間大のインベスが、2体いて果実を貪っている。
紘汰「あれ、インベスじゃないか・・・?」
舞「だよね・・・」
紘汰「ここ、インベスの住処なのか・・・?」
果実を見ていた紘汰だが、奇妙な衝動に駆られ果実を二つもぎ取った。
紘汰「なんか、すげーうまそうだ・・・」
しかしその時、舞の後ろに上級インベス『ビャッコインベス』が立っていた。
紘汰「舞!」
紘汰は舞の手を取り、ビャッコインベスから逃げ出す。
紘汰「こっち!」
紘汰「もういなくなったか・・・」
舞「紘汰、あれ・・・」
二人の足元に祐也がシドから受け取ったあのバックルが落ちていた。
紘汰「これ、祐也が見せたいと言ってたやつだよ」
舞「祐也もやっぱりここに来てるの・・・」
紘汰「なんだろ、これ? ベルトのバックルみたいじゃね」
紘汰がバックルを自分の腰の方に持っていくと、
それは自動的に装着され、ベルト「戦極ドライバー」となる。
そして、紘汰が手に持っていた2つの果実が「オレンジロックシード」と
「イチゴロックシード」になった。
舞「え、なにこれ?ロックシード?」
紘汰「じゃあ、ここになってるのって・・・」
ビャッコインベスが追いついてきた。
舞「来た!」
二人はクラックから元の世界に戻ったが、ビャッコインベスも追いかけてきた。
舞「なんなのよ・・・あいつもインベス?」
紘汰「分かんねーよ・・・」
ビャッコインベスは体の模様から光線を出し、辺りを攻撃しだした。
紘汰「舞、俺があいつをおびき寄せる、その隙に逃げろ」
舞「紘汰はどうするの!?」
紘汰「誰でもいいから助けを呼んで来い、このままじゃ二人ともやられちまう」
舞「紘汰!」
紘汰「こっちだ!バケモノ!」
紘汰はビャッコインベスを誘導するが、
行き止まりに来てしまう。
紘汰「このヤロォー―!」
拾った鉄パイプで殴りつけるも全く効かず、
殴られ、蹴られ、投げ飛ばされる。
倒れた紘汰にビャッコインベスがゆっくりと迫る。
意を決した紘汰は立ち上がり、オレンジロックシードを開錠した。
戦極ドライバー『オレンジ』
紘汰の頭上にクラックが形成される。
紘汰はドライバーのバックルにオレンジロックシードをセットする。
戦極ドライバー『ロックオン』
紘汰「どうすりゃいいんだ・・・こうか?」
戦極ドライバー『ソイヤ!』
オレンジロックシードがカッティングされ、
上空からオレンジアームズが紘汰の頭上に被さり、
首から下にライドウェアが展開される。
紘汰「え?」
戦極ドライバー『オレンジアームズ! 花道オンステージ!』
紘汰「え、オレンジって・・・オレ?」
紘汰の顔にマスクが装着される。
そして、オレンジアームズが展開し、紘汰は鎧武へと変身を遂げた。
紘汰(→鎧武)「え?え?え――!!」
鎧武にビャッコインベスが飛びかかり、殴ってくる。
鎧武「痛ってぇなぁ!」
鎧武はビャッコインベスをはねのけた。
鎧武「あれ?いけちゃったりするのか」
しかしビャッコインベスは再び飛びかかり、殴りつけてくる。
鎧武「やめろ!やめろっつてんだろ!」鎧武が大橙丸で切りつける。
鎧武「オラァ!」
鎧武がもう一度切りつける。
しかしビャッコインベスに殴り返され、大橙丸が弾かれる。
鎧武は戦極ドライバーに装着された剣、無双セイバーに手をかける。
鎧武「これだ・・・」
無双セイバーでの斬撃でビャッコインベスを跳ね除けた。
その隙に鎧武は大橙丸を拾う。
鎧武「行けるぞー!」
二刀流での攻撃を受けたビャッコインベスは一旦下がった。
鎧武「待てー!」
ビャッコインベスは高いところへ飛び上がり、そこから体表からの光線で攻撃してくる。
鎧武は飛び上がるも、柵につかまった所をビャッコインベスに蹴り落とされる。
鎧武「待ってろよ!」
今度は階段を登っていく鎧武。
鎧武「待たせたな!」
しかし登ったところをまたも殴られ、柵に押し込まれる。
鎧武「何だこれ・・・」
鎧武が無双セイバーのグリップを引くと柄から銃弾が放たれ、ビャッコインベスをはねのける。
それを繰り返すも、やがて銃弾は出なくなった。
鎧武「え・・・もう終わりかよ!」
無双セイバーの柄を見返す鎧武は、大橙丸の柄との共通性に気づく。
鎧武「これって・・・」
試しに合わせてみると大橙丸と無双セイバーは柄で合体した。
鎧武「くっつくぅ~」
鎧武はナギナタモードの無双セイバーでビャッコインベスと戦う。
鎧武「逃げんじゃねー!」
ビャッコインベスの反撃で放り投げられ、落下した鎧武の前に
舞と同じ顔をした純白の衣の少女、冒頭に出てきた少女が姿を見せる。
鎧武「・・・舞?」
舞?「気をつけて、あなたは運命を選ぼうとしている」
鎧武「舞なのか?」
舞?「そうすれば後戻りはできない」
「最後まで戦い続けることになる、世界を己の色に染め上げるまで」
話している間に、ビャッコインベスが近づいてきた。
鎧武「でもオレは・・・お前を守るためなら!」
少女は少し間を置き、ドライバーのバックルからオレンジロックシードを外し、
戦極ドライバー『ロックオフ』
鎧武の手に置く。
鎧武「え?」
向かってきたビャッコインベスを鎧武は反撃で吹き飛ばした。
少女は無双セイバーの柄を指差している。
鎧武「こうか?」
鎧武はオレンジロックシードを無双セイバーのジョイントにセットするも
見返した時、少女は消えていた。
戦極ドライバー『ロックオン』
『イチ!ジュウ!ヒャク!セン!』
ビャッコインベスの光線を鎧武は無双セイバーと大橙丸を回転させて、弾く。
鎧武「オラオラオラ!行くぞー!」
鎧武が無双セイバーと大橙丸の刃で放った2つの斬撃はビャッコインベスを捉え、
オレンジ状のエネルギーで動きを封じた。
戦極ドライバー『オレンジチャージ!』
鎧武「せい!はー!」
大橙丸の一撃、「ナギナタ無双スライサー」がビャッコインベスを両断する。
ビャッコインベスは大爆発し、
オレンジの輪切り状のエフェクトが飛び散った。
鎧武がベルトにオレンジロックシードを戻し、ロックを戻すと
変身が解除され、紘汰の姿に戻る。
舞も紘汰の元へ戻ってきた。
舞「紘汰!」
紘汰「舞・・・さっきのは一体・・・」
舞「あの怪物どうしたの!?やっつけたの!?ねぇ、紘汰?」
紘汰「これが俺の変身・・・」
クラックの様に幕が閉められ、最後に鎧武(紘汰)の持つオレンジロックシードとイチゴロックシードが表示された。
~次回予告~ N『次回、仮面ライダー鎧武』 紘汰『姉ちゃん、俺変身できた・・・』 戒人『いつだって最後に頼れるのは、自分の強さだ』 紘汰『みんなを守るために使うならきっと・・・・!』 戦極ドライバー『パインアームズ!粉砕!デストロイ!』 第2話 粉砕!パインキック! |
最終更新:2016年03月09日 20:06