YHVHの宇宙で最後の戦いに赴くナナシたち。
YHVH「遂に我が前まで来てしまったか…悪魔共に唆されし人の子よ…」
YHVHが姿を現す。
YHVH「我はYHVH…在らんとして在る者なり。無限の創り主にして、宇宙の法と秩序そのものである。我が沈黙を破る、義あらざる者たちよ。汝らは我が与えし≪答え≫を踏みにじるか。」
フリン「神よ。僕らは自分が正しいと信じられる≪道≫を進む。弱く、遷ろいやすい人間にとって本当に必要な真の中庸を掴むために。」
YHVH「人の子は善悪を決める権利に属していない。汝らは、かつてと同じ過ちを犯すだろう。弱く遷ろいやすい人の子に、自らの力だけで道を往くことなどできぬ。」
フリン「そうだとしても、僕らは一人じゃない。僕は…人との繋がりを、絆を信じている!」
イザボー「フリンの言う通りよ。私たちは、人の力を信じていますわ。」
アサヒ「一人じゃ大したことはできないけど、みんなと一緒なら、なんだってできる。」
ハレルヤ「誰かに言われた通りにしてるだけじゃ、前には進めねぇ…自分で一歩を踏み出す。」
ガストン「他者の声が、前へ踏み出す力となる。私たちを支えているのは、人の想いだ。」
トキ「人は弱いからこそ強くなろうとする。そのためなら貴様という障害も取り払おう。」
ノゾミ「みんな、自分が信じた中庸の道を進んでいる。あなたにみんなの邪魔はさせないわ。」
ナバール「皆、それぞれの想いでここに立っている。だが…その志は皆、同じだ。」
サタン「神よ。私は貴方をも試そう。貴方がその座に留まるべきか否かを。」
サタンはワルターとヨナタンに分離した。
フリン「ワルター、ヨナタン!」
ワルター「よぉ。フリン。この姿で一緒に戦うのは、久しぶりだよな。」
ヨナタン「フリン。僕も君と共に戦うよ。同輩のサムライとして力を貸そう。」
ワルター「イザボー。お前もこっち来いよ。」
ヨナタン「ああ。君がいないと僕らも何処か、物足りない気持ちになる。」
イザボー「貴方たち…もう、これだから殿方は!」
フリンたちはナナシと別れ、別パーティとなった。
ナバール「君たち…誰か忘れてないかね?」
YHVH「サタン…我から流れ出た分霊の分際でこの我を試そうとは、なんと罪深い…ならば、我はすべての加護を取り払おう。もはや汝らに安息の時は訪れぬ…汝らを滅ぼし、新しき人類と忠実な使いに、すべて置き換えよう。」
そして、YHVHとの最終決戦が始まった!
ヨナタン「貴方はこの世界の全てに浸透している。不変にして普遍の現実…だが、貴方自身はこの世界の外側。閉じた場所にその身を置き傍観している…それは何故だ…?」
YHVH「沈黙していたのではない。我は汝ら人の子と共に苦しんでいたのだ。我は如何なる時も常に汝らの近くにある。勧喜も倫楽も悲観も苦痛も共に感じている。汝らが忠実を保ち、我と共に歩むこと…それこそが導きであり、救いなのだ…それを汝らは、自らを無罪とせんがため、父なる我を有罪へ貶めるつもりか…」
ワルター「ハッ。お為ごかしもいいところだな。オレには分かってるぜ。苦痛を悪魔という存在に押し付け、残りカスを希望とうそぶく。真理を手に届かない場所に隠し、信仰を掴ませる…それがお前のやり方だ。そんなに羨ましかったか。人間が。そんなに恐ろしかったか。人間が…?」
フリン「ああ。貴方は人間を恐れている。」
YHVHの救いが否定された。
ダグザ「…フン。なるほどな。それが、人間が持つ≪観測の力≫か。唯一の神であるYHVHを否定し、有象の神…あるいは悪魔にまで貶めるか…骨の折れる話だが…確かに、それ以外、ヤツを倒す術はあるまい。ナナシ。オレも力を貸す。ヤツを神の座から引きずり降ろせ。」
YHVH「…我を謗り、貶めるか。汝の世界を形作った我を、穢すのか…それは世界自体を穢す行為…己の首を己で絞める自虐に他ならぬ。だが、無知なる汝を我は愛し慈しもう。悔い改めるならば、汝らの罪を赦そう。我は我を信じる者に手を差し伸べる。我を信仰せよ。さすれば幸福を与えん。」
今のままではYHVHにこれ以上のダメージを与えるのは難しい…YHVHの神性を否定できれば活路が見出せるかも知れない。
アサヒ「うん。任せてナナシ!」
アサヒはナナシに領き返して一歩前に出る…。
アサヒ「あなたは、自分を信じて従うかどうか、それだけで相手の価値を測っている。でも、それで測られる価値がすべてなの?あなたにとって価値がないと無価値なの?…確かに、あたしは弱くて他人に頼り切り。でも、自分に価値がないなんて思わない。みんなのおかげで、それに気付けた…自分の価値は自分で認める。」
アサヒは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの唱える免罪が否定された。
ナバール「フッ…いいだろう。ここからは私の出番だッ!」
ナバールはナナシに領き返して一歩前に出る…。
ナバール「貴様は信じれば幸福を与えると言ったな。信じる者に手を差し伸べる、と…それは愛ではない。それは落ちこぼれに対する、ただの同情だ。落ちこぼれた人間を本当に愛するなら、そいつの背中を蹴り落してみせたまえ。」
ナバールは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの唱える博愛が否定された。
ハレルヤ「うっし!了解したぜ。ナナシ!」
ハレルヤはナナシに領き返して一歩前に出る…。
ハレルヤ「アンタは自分を信じろっていうだけで、何も行動しない…それで何が救われる?オレは泣いている子がいたら助ける。困っている人には手を差し伸べる…だが、アンタは見てるだけだ…救いには何の根拠もなく、何の証明もない。言葉で人間を縛るだけのアンタが、正しいとはオレには思えねぇよ。」
ハレルヤは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの公明が否定された。
ノゾミ「分かったわ。ここは私がッ!」
ノゾミはナナシに領き返して一歩前に出る…。
ノゾミ「あなたが他の神を否定することで、この世界は停滞してしまっている…あなたの存在が神の新生を妨げているの…それでは、私たちは自由に進めない。あなたが道を恣意的に歪めている限り、私たちに新たな道を模索する自由はない。」
ノゾミは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの唱える自由が否定された。
YHVH「罪人よ。あくまで愚行を重ねるか…だが、我が憐れみは汝に機会を与えん。我は常に汝と共にいた…故に汝が此処へ至る経緯も知っている…悪魔に唆され、仲間に煽られた汝が我が前に現れるは仕方のないこと…呪われし者共と手を切り、我が僕となるか、此処で我が雷に撃たれ地獄へ堕ちるか…選択は常に、汝と共にある。」
ナナシはYHVHの誘いを断った。
アサヒ「いいよ。よく言ったナナシ!よぉし。やる気出てきたッ!」
YHVH「呪われし人の子よ。汝が選択を認めよう…望み通り、雷に撃たれ地獄へ堕ちよ。原罪を抱えたまま地獄の業火に焼かれ、永劫の苦しみに、その身をやつすが良い。」
ガストン「フン…」
ガストンはナナシに領き返して一歩前に出る…。
ガストン「少し前まで、私は貴様を信仰していたよ。だが、様々なものを見て…変わった。貴様が騙る言葉はすべて人間を、選民に駆り立てるための道具でしかない。選民の思想は人間を堕落させる。憐れみ合いは人間を駄目にする。貴様の存在が、人間を貶めているのだ。貴様が、この世界で1番ケガレている…!」
ガストンは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの清廉が否定された。
トキ「任せてくれ。主様。」
トキはナナシに領き返して一歩前に出る…。
トキ「やたらと物分かり良く何でも許す…貴様は実に心が広いようだな。が、貴様の言葉は臆病者の妥協に聞こえる。それは、弱さを隠すための方便でしかない。弱さは隠すものでなく、変えていくものだ。私はそれを、身をもって知った…貴様の方便に浸ってたら強くなるどころか、堕落する一方だ…そんなもの、誰が望むか。貴様の慈悲は人間を木偶にするだけだ。人間は貴様の人形ではない…」
トキは持論をもってYHVHを勧測した。YHVHの慈悲が否定された。
全てを否定されたYHVHは悍ましい姿となった。
YHVH「我がこのような姿に貶められるとは…人の子如きが…我は汝らを赦さぬ…大人しく我が与えた肉の身体と、その範囲の答えに盲従すれば良いものを…涜聖せしめた汝らの罪は死より重く、その罰は永久の苦痛を強いることだろう。」
そして、正真正銘のラストバトルが始まった!
YHVH「ヌゥゥ…汝ら、自分が何をしているのか解しているのか…?このような大過、どう贖うつもりだ…汝ら如きに背負い切れるものか。今すぐ、並ぶ者無き我が名を讃えよ…!栄光に満ちた我が名を讃えよ…ッ!」
イザボー「とうとう本性が出てきたわね…」
ヨナタン「信仰を失い堕ちる…今まで自分が他の神に強要してきたことが、自分に返ってきたのだ。」
ワルター「お前に縛り付けられんの窮屈なんだよ。そんなもんねぇ方が、人間は強くなれる。」
フリン「行動の伴わない言葉に価値はない…僕らはそれを、行動で示そう…!」
それでも戦い続けるナナシたち。
YHVH「グヌゥゥ…汝らが行いの先に真理はない。今なら…間に合う。こんなことは止めろ。」
ダグザ「貴様の口から真理という言葉が出ると、怒りを通り越して吐き気すら感じる…ナナシ。これで終わらせろ。オマエの手で終止符を打てッ。」
ダグザの言葉がナナシを奮い立たせる…。
ノゾミ「妖精も人間も、自由に生きるために…ナナシ君。決めちゃって!」
ナバール「フッ。私が見込んだナナシなら、朝飯前だろう…我らの絆を見せてやれ。」
ガストン「今回はナナシに見せ場を譲ろう。民のために君が持つ1番の力を見せろ。」
ハレルヤ「ああ。やっぱシメはナナシだな。東京のために正しいと思う選択をしてくれ。」
トキ「…期待してる。だから、がんばってナナシ!」
アサヒ「いっけぇえええ!ナナシぃいッ!」
仲間たちの想いがナナシの背中を押す。
……そして、YHVHにとどめを刺すナナシ。
YHVH「まさか人の子が神を超え、創造主である我を滅ぼすとは…だが、これで終わりではない。汝らは自らを苦境へと追い込んだのだ。人は弱い…我が法と秩序無しに生きられぬ。頼るもの、すがるものが必要だ。汝はそれを--我が答えを貶めた。人の子の認識から、我は消え去るだろう。いずれ人が迷い、救いを求めた時…己がした選択を…後悔するが良い…」
その言葉を残してYHVHは消滅した。
長き戦いが終わり、それぞれの元へ帰っていくナナシたち。
ヨナタンとワルターはサタンがYHVHの分霊であるため消え逝くが、自らの選択を受け入れ別れを告げて来世へと旅立っていった。
人々は悪魔と力を合わせて東京や東のミカド国の復興を目指す。
そして、東のミカド国にはナナシとフリンの像が建てられた。
新生したダグザもノゾミやダヌーと共に妖精の森復興に励みつつナナシに思いを馳せる。
ダグザ「小僧 オマエには感謝せねばなるまい。お前は人間のみならず我ら神の一族にも道を示した。
旧きオレが誤っていたとは言わぬが今のオレが在るのはオマエの功績だ。 オマエを選んで良かったと心から思う。
さらばだ。小僧。」
スタッフロール
最終更新:2021年01月26日 06:08