女スリ・葛木葵を救うため、独断で犯罪者を裁くコマンダー・ドーパントと戦う仮面ライダーアクセル(照井竜)。
アクセルトライアルに変身し、コマンダー・ドーパントが葵に仕掛けた爆弾の起爆装置を破壊することには成功したが──。
コマンダー「もう爆弾などどうでもいい! 私にはこれがある……」
ガイアメモリの能力を3倍に増幅するガイアメモリ強化アダプターを取り出し、そこにコマンダーメモリを装填するコマンダー・ドーパント。
『COMMANDER, UPGRADE』
強化アダプターの力で、コマンダー・ドーパントがパワーアップを遂げる。
アクセル「逃げろ!!」
コマンダー・ドーパントがミサイルを乱射。
アクセル、葵を庇ってミサイルの直撃を受け、吹き飛ばされる。
コマンダー「君は私だ。もう一人の私だ。私と同じ、処刑人になれ……」
一方、コマンダー・ドーパントが出現させた戦闘員と戦う仮面ライダーW(左翔太郎&フィリップ)。
コマンダー・ドーパントのパワーアップの影響で、戦闘員も強化されていた。
フィリップ「兵士たちの戦闘能力が一気に上がった……!?」
翔太郎「いくら倒してもキリがねぇし…… これ行くか!」
『LUNA』『TRIGGER』
Wがルナトリガーにチェンジ。銃・トリガーマグナムで戦闘員を狙い撃つ。
翔太郎「こっからが本番だぜ!」
辛うじて立ち上がるアクセルだが、ダメージは隠せていない。
コマンダー「決断できないようだな。ならば……」
コマンダー・ドーパントが再びミサイルを乱射。照井の変身が解ける。
葵「竜ーっ!!」
葵が駆け寄る。
うめく照井。コマンダー・ドーパントの攻撃で、右足に深刻な傷を負っている。
葵「竜! 大丈夫!? しっかりして!!」
コマンダー「照井竜! お前に思い出させてやろう。家族を奪った悪に対する、あの憎しみを……」
照井「『家族を』……? まさか……!!」
照井の妻・亜樹子が人気のない道をふらふらと歩いている。
葵を下の名で呼ぶ照井に怒り、離婚届を突きつけた挙句ビンタまでして照井の前から逃げ出した亜樹子は、半ば自暴自棄になっていた。
離婚届を見つめ、ため息をついて上着のポケットにしまう亜樹子。
彼女の前に、何者かが歩いてくる──。
葵に支えられながら亜樹子を探す照井。
照井「所長! 所長!!」
照井、地面に何かが落ちているのを見つける。
「竜君LOVE」の文字が印刷された、亜樹子愛用のツッコミ用スリッパ。
照井「所長……」
照井の携帯電話に着信がかかる。
コマンダーの声「風見採石場で待っているよ。君の家族と……」
電話が切れる。
無言で歩き出す照井を引き止める葵。
葵「何があったの!? もしかして……」
照井「葵…… ここからは俺の戦いだ」
『ACCEL』
痛む足を引きずりながら、照井がアクセルに変身。
バイクフォームに変身して採石場に向かう。
風見採石場に辿り着いた照井だが、痛みのあまり変身が解けてしまう。
亜樹子「何しに来たのよ!!」
照井「所長……」
亜樹子の両手は鎖で縛られている。
亜樹子「葵って子は? 『俺が守ってやる』んでしょ? 私なんかほっとけばいいじゃない!! 私なんか……」
亜樹子がいる建物の足場が崩れ、亜樹子が地面に落ちそうになる。
駆け寄る照井だが、足の怪我で思うように歩けない。
さらに背後から、何者かが照井を銃撃。
相模広志──コマンダー・ドーパント。
相模「なぁ、照井くん。なぜ君の奥さんが、こんな危険にさらされているかわかるか? ……君が刑事であり、仮面ライダーだからだ」
照井の顔がこわばる。
相模「悪と戦う者は常に、自分の大切なものを危険にさらすリスクを負ってる。私もそうだった。そして失った…… 愛する妻を!!」
相模が亜樹子のいる建物を撃つ。
亜樹子の悲鳴。
相模「君も失う。私も今は、『悪』だからね」
葵が採石場に現れる。物陰から照井を見る葵。
照井もそれに気づき、一瞬だけ視線をそちらに移す。
相模「君はきっと、私より優れた処刑人になる。その力でこの街の悪を、根こそぎ滅ぼせ!!」
照井「いや…… 俺は処刑人にはならない」
相模「何……?」
照井「俺は、呪われた運命を振り切り生まれ変われた。この街を守るために戦う、仮面ライダーとして!!」
照井が亜樹子に視線を移す。
照井「所長…… 君と出会えたおかげだ」
亜樹子「え……?」
照井「君が思い出させてくれた。人を愛する心を……」
亜樹子「竜くん……」
照井「……必ず助ける!」
頷く亜樹子と葵。
相模が拳銃を捨て、コマンダーメモリと強化アダプターを取り出す。
『COMMANDER』『COMMANDER, UPGRADE』
相模「これでもまだ…… そんなことが言えるのか!?」
変身と同時に亜樹子めがけてミサイルを乱射するコマンダー・ドーパント。
亜樹子「きゃああ────っ!!」
建物が爆発し、亜樹子が落下する。
助けに向かおうとする照井にもミサイルが命中。
吹き飛び、倒れる照井。立ち上がってアクセルに変身するが、走ることすらできない。
葵が盗んでスリ仲間に渡した強化アダプターを買い取っていた、スリの元締めの言葉が葵の脳裏をよぎる。
元締めの男「こいつをメモリと併用すれば、通常の3倍ものパワーが発揮できる!」 |
意を決して駆け出した葵が、コマンダー・ドーパントから強化アダプターを奪い取った。
葵「竜ーっ! 受け取って!!」
強化アダプターを投げる葵。
それを受け取ったアクセルが、アクセルメモリを変身ベルト・アクセルドライバーから外して強化アダプターに装填した。
『ACCEL, UPGRADE』『BOOSTER』
アクセルドライバーに、再度強化アダプター付きのアクセルメモリをセット。
アクセルの体が黄金に輝き、強化形態・アクセルブースターに生まれ変わる。
そのまま背中と両手足のブースターを全開にして、落下する亜樹子をキャッチし着地!
亜樹子「竜くんが飛んだ…… あたし聞いてない!」
アクセル「ここで待っててくれ、所長」
アクセルが亜樹子の頭を撫でる。
頷く亜樹子。
コマンダー「貴様、よくも余計な真似を!」
葵を襲うコマンダー・ドーパントに、復活したアクセルが猛追。
超加速の勢いを乗せたキックを受けて、コマンダー・ドーパントが吹き飛ばされる。
アクセル「あとは任せろ」
頷く葵。
アクセル「さぁ、振り切るぜ!!!」
アクセルが飛び立つ!
足の怪我を気にしながらも、コマンダー・ドーパントが雨あられと放つミサイルを避けながら肉薄するアクセル。
コマンダー「仮面ライダーアクセル! その力でこの私を処刑するか!!」
アクセル「俺に質問をするなぁぁぁ────っ!!!」
手にした剣・エンジンブレードにエンジンメモリを装填する!
『ENGINE』『ENGINE, MAXIMUM DRIVE』
黄金のオーラを刀身に纏わせて敵を斬る必殺技・ブーストスラッシャーがコマンダー・ドーパントに炸裂。
その瞬間、照井の変身が解け──
照井「絶望がお前の…… ゴールだ」
背後で、倒れたコマンダー・ドーパントが大爆発!!
照井「メモリブレイク。それが俺のやり方だ」
相模の持っていたコマンダーメモリが、粉々に砕けている。
照井「お前を裁くのは、法だ」
立ち上がろうとする相模だったが、すぐに力尽きて気絶した。
照井が亜樹子と葵のもとへ歩いてくる。
葵が亜樹子の背中を押す。
葵「今まで、あたしにスリ盗れないものなんてなかったのに…… 竜、あなたの心だけはスリ盗れなかった」
照井を睨む亜樹子。
葵が亜樹子の離婚届を取り出す。
亜樹子「あっ! いつの間に……」
葵「これが本当に、最後のスリ。約束する」
離婚届を破く葵。
葵「あたしも自分の運命を、振り切らなくっちゃ」
採石場にパトカーのサイレンが響く。
葵「誰かしっかり支えてくれる、独身のイケメン探して……」
照井「できるさ。必ず」
微笑む葵。照井も笑顔で返す。
葵をパトカーに乗せてから、相模の部下・大野が照井と亜樹子に視線を向ける。
手をつなぎ、見つめ合う二人──。
後日、喫茶店「SNACK & COFFEE 白銀」。
亜樹子「ねぇ、竜くん」
照井「何だ、所長?」
亜樹子「……なんでもな~~い♡」
ニヤニヤ笑いながら照井に抱き着き、照井の頬を指で何度も突く亜樹子。
看板娘のリリィ白銀が呆れている。
リリィ「ナニコレ? 見てらんないんですケド」
フランク「リリィ、新婚さんなんだから甘いのは当然だよ」
フィリップ「これが本来の新婚さん…… 興味深いねぇ」
翔太郎とフィリップが照井をからかう。
やがて、風都警察署・超常犯罪捜査課の刃野警部補と真倉刑事も店に来店。
刃野はコマンダー・ドーパントとの戦いで負傷し、松葉杖をついている。
刃野「おう、おう、皆、揃ってんな!」
翔太郎「刃さん! もう退院したんスか?」
刃野「ああ。あの、何だ…… 入院生活ってのはもう、退屈で駄目だな、あれは。駄目だ、駄目だ!」
真倉「『美人看護師と別れるのが辛い』って泣いてたくせに!」
刃野「余計なこと言うんじゃないよ、お前は」
刃野が真倉の頭をはたく。
真倉「いてっ!」
刃野「……何だ、その髪型は」
真倉「今、そこツッコミますか!?」
刃野「……大野刑事。あんたも何か言いたいことがあんじゃないの?」
刃野に促されて、大野が照井たちの前に出てくる。
翔太郎「何をしにまたここに……」
大野「今回は、すいませんでした!」
大野が頭を下げる。
照井「大野刑事……」
大野「葛木葵にも悪いことをしました。彼女が変われるよう、刑事として、今度はしっかり支えてやるつもりです」
再度一礼して、店を後にする大野。
真倉「大野さん、何だか随分雰囲気変わりましたね?」
照井「人は変われるのさ。誰でも……」
翔太郎「なるほどな~。ところで質問なんだが、照井…… 何故、君は亜樹子を名前で呼ぶように変わらないのかな?」
照井、亜樹子を見つめて一言──。
照井「所長は、所長だ」
フィリップ「では、照井竜以外は皆、亜樹ちゃんのことを名前で呼ぶようにしたらどうだろうか?」
刃野「ああ、そいつはいいな! グッドアイデアだ! なあ、亜樹子!」
亜樹子「はい!」
真倉「亜・樹・子!」
亜樹子「はいっ!」
フランク「亜樹子!」
亜樹子「はーぁい!」
フィリップ「亜~樹子!」
亜樹子「はーぁい!」
翔太郎「亜樹子……」
亜樹子「は~~い!」
照井「……人の妻を気安く呼ぶなああっ!!」
最終更新:2019年11月10日 01:42