魔動王グランゾート 最後のマジカル大戦のエンディング

高耳族(たかみみぞく)の族長アルガは、超エネルギー・アルテミナパワーをもって、耳長族(みみながぞく)との因縁を晴らそうとしていた。
しかし邪動族(じゃどうぞく)のグルンワルドが全宇宙制服を企み、そのアルテミナパワーを狙っていた。

邪動戦士ゼラガーの邪動神(じゃどうしん)サイクロプス、同じくバラドーの邪動神ギガンティスが月面で暴れ回る。

ゼラガー「バラドーよ! 必ず魔動戦士が出て来る。ぬかるな!」
バラドー「わかっている!」

ラビ「出たな。ガス、今度こそケリをつけようぜ!」
ガス「はい!」
2人「マジカルスピ──ン!」「マジカルアロ──!」

バラド「フン、虫ケラどもめ。……おぉっ!?」

ガスとラビが、魔動王(マドーキング)スーパーウィンザート、スーパーアクアビートで2人に立ち向かう。

ラビ「さぁ来い、双子のキザ野郎!」
ゼラガー「現れたな!」
ラビ「魔動力(まどうりき)、ウォーターウォール!」


闇の塔の神殿ではアルガのもと、高耳族の少女フィエナが、アルテミナパワーを呼び出すための儀式を始めている。

フェアナ「ドーマ・キサ・ラムーン──…… ドーマ・キサ・ラムーン──……」

そこにグルンワルドが現れる。

グルンワルド「来るのだ。選ばれし者よ」
アルガ「いかん、フィエナ!」

グルンワルドの放った邪動力(じゃどうりき)で、アルガは身動きを封じられる。

アルガ「フィエナ、戻れ!」
グルンワルド「さぁ、来るのだ。アルテミナパワーを、我らの手に」
アルガ「フィエナ!?」

そこへ大地が駆けつけ、グルンワルドを阻む。

グルンワルド「虫ケラめ……」
大地「お前の好きにはさせない!」
グルンワルド「何ぃ!?」
大地「シャマンは約束した。二度とラビルーナに攻め入らないって。お前のような奴がいるから、いつまでも戦いが終わらないんだ! お前なんか…… お前なんか消えろぉぉ!!」
グルンワルド「むぅっ……! おのれぇぇ!!」

グルンワルドの邪動力で大地は空中に持ち上げられ、空中から地上へと叩き落とされる。

大地「うわぁぁ──っ!?」
フィエナ「はっ……!?」
グルンワルド「フフフ。さぁ、アルテミナパワーを我らが手に!」

間一髪のところで、フィエナが我に返り、大地を受け止める。

大地「フィエナ……!」
フィエナ「あなたの力を貸して。アルテミナパワーを守るのよ。邪動族に渡してはいけない!」
グルンワルド「そうはさせん──!」

さらにグルンワルドが邪動力を放つ。

大地「危なぁぁ──い!!」

思わず大地がフィエナをかばい、両手をかざす。
2人の力がぶつかり合い、膨大な光があふれる。

アルガ「アルテミナパワーが生まれた!」

あふれ出した光が、高耳族の神像へと注ぎ込まれ、神像はグランゾートそっくりの魔動王と化して立ち上がる。

バラド「なんだ、あれは!?」
ラビ「グランゾートだ!」

「大地よ── 目を覚ますのだ」

大地が目を覚ますと、そこは神像の内部の空間。
グランゾートの声が響く。

大地「……グランゾート? ここはグランゾートの中なの?」
グランゾート「大地。お前が私を想う心、ラビルーナとこの宇宙を愛する心が、私にアルテミナパワーを与えてくれた。私は今『ハイパーグランゾート』として甦った!」」
大地「ハイパーグランゾート……!?」
グランゾート「大地。月が、いや、この宇宙全体が危機に晒されてる。共に力を合せ、宇宙の平和のために戦おうぞ!」
大地「わかった。行こう、グランゾート!」

バラドー「フン、先に片付けてくれるわ! 食らえ!」

大地の乗ったハイパーグランゾートを、ギガンティスが鎖で縛りあげる。

バラドー「ハハハ! 手も足も出ないではないか!」
ゼラガー「行くぞ! でやぁぁ!」

サイクロプスが斬りかかるが、ハイパーグランゾートは片手で吹っ飛ばす。

バラドー「ゼラガー!? おのれぇ!」
大地「ガス、ラビ。後は頼んだぞ!」
ラビ「わかった!」
ガス「任せてください!」
大地「出て来い、グルンワルド!」
グルンワルド「フフフ、アルテミナパワーをすべて我が物にしたと思うな。お前の体に流れたパワーはほんの一部だけだ。その程度のパワーでは、私の足元にも及びはしない!」

巨大化したグルンワルドが出現し、剣を抜く。

大地「グランゾート、剣だ!」
グランゾート「おぅ!」

ハイパーグランゾートも剣を抜いて応戦する。
しかし、グルンワルドのまとう鎧の部品が次々に武器と化し、攻撃を繰り出す。

大地「奴の体は、ただの鎧じゃない!?」
グランゾート「来るぞ、大地!」

グルンワルドの振り下ろした剣を、必死にハイパーグランゾートが受け止める。
ハイパーグランゾートが、次第に追いつめられる。
絶体絶命の中で大地の放った魔動力が、グルンワルドを吹っ飛ばす。

グルンワルド「ぐわぁぁっ!?」
グランゾート「今だ、大地!」
大地「よぉし! 一刀両断! ハイパーエルディカイザ──!!

ハイパーグランゾートの剣が炎と化す。
大上段に振り下ろされた剣身が、グルンワルドの肩口を割る。

グルンワルド「フフフ…… これしきのことで、私を倒せると思ったか?」
大地「何ぃ!?」
グルンワルド「これでお前も最期だ!」

無数の槍が放たれ、ハイパーグランゾートの全身を貫く。

大地「うわぁぁっ!?」
グルンワルド「フフフ、これから私のエネルギーのすべてをお前に注ぎ込む。そうなれば、お前の中のアルテミナパワーは無限に増大する。それをお前は止めることはできない。自分の力で、お前は破滅するのだ! ハハハハハ!!」

ハイパーグランゾートに、次第にエネルギーが注ぎ込まれる。
内部の空間で、エネルギーが凝り固まってグルンワルドの姿となり、大地の首を締め上げる。

大地「うぅっ……!」
グルンワルド「フフフフフ」
大地「グ、グランゾート……」
グランゾート「ダ、ダメだ! エネルギーの増大を止められない!」
グルンワルド「ハハハハハ!」
大地「う…… う……」

(メイ『大地、がんばるんだよ!』)
(ラビ『負けるんじゃねぇぞ、大地!』)

大地「ばあちゃん…… ラビ……」
グルンワルド「……!? ぐぅぅっ!」

さらにグルンワルドが力を込める。

大地「うぁ…… ぁ……」

(ガス『がんばるんです、大地くん!』)
(サユリ『大地!』)
(グリグリ『大地!』)

薄れてゆく大地の脳裏に、仲間たちの姿が浮かび上がり、呼びかける。

(『大地!』『大地くん!』『大地!』)

そして、大地の母の姿が。

(『大地……』)

大地「か…… 母さん……!?」

大地が意識を取り戻し、グルンワルドの腕を握り返す。

グルンワルド「おぉっ!?」
大地「ま…… 負けるもんかぁぁ!!」

そこに、アルガとフィエナが姿を現す。

フィエナ「あなたの負けよ」
グルンワルド「何っ!?」
フィエナ「この宇宙には、邪悪の力が及ばないものがある。それがある限り、あなたたちに勝利はないわ」
グルンワルド「だ、黙れぇ!!」
アルガ「まだわからぬのか? アルテミナパワーを誕生させたのは、我ら高耳族でも、お前たち邪動族でもない。その地球の少年とフィエナだ。復讐の虜となった我々に、その資格はなかった。真に選ばれし者は、この2人であったのかもしれん。グルンワルド! ここからは高耳族と邪動族の、決着をつけさせてもらうぞ!」

アルガとフィエナが、グルンワルドを取り囲む。

グルンワルド「おのれぇ!」
大地「フィエナ!?」

アルガがフィエナを、大地のほうへ突き飛ばす。

フィエナ「あぁっ!?」
アルガ「フィエナ、お前はラビルーナへ行け!」
フィエナ「えぇっ!?」
アルガ「お前が生きる場所を見つけるのだ!」
フィエナ「アルガ様!?」
アルガ「さらばだ、魔動戦士よ!」
グルンワルド「何をする!? わ、わぁ──っ!?」
大地「アルガ……!?」

アルガの魔動力が膨れ上がり、グルンワルドを包み込んでゆく。

アルガ「強く生きよ…… マリウス!」

バラドー「グルンワルド様──!!」
ラビ「大地ぃ──!!」

邪動神サイクロプスとギガンティスが、膨れ上がる魔動力の中に掻き消える。
際限なく膨れ上がった魔動力が、地上全てを飲み込んでゆく──


すべてが終り、地上からはグルンワルドもハイパーグランゾートも、魔動王、邪動神たちも消え去っている。
地上に倒れていた大地とフィエナ、ガスとラビが目を覚ます。

光の塔と闇の塔のそびえる月面。
空が青空に戻り、太陽が昇る。


光の塔から解放されたメイとサユリ、そして高耳族たちが、大地たちを迎える。

メイ「よくやってくれたね、大地。ありがとうよ」
大地「うぅん、俺だけの力じゃないよ」
ガス「これで、ラビルーナはまた平和になりますね」
メイ「あぁ」
大地「アルガとグルンワルドは、どうなったんだろう?」
フィエナ「……」
メイ「わからない。ただ同じ耳長族として、これだけは言える。高耳族と耳長族は、きっとわかり合えるようになるよ」
ラビ「あぁ、必ずな! 一緒に、ラビルーナに行こう」

フィエナが頷き、ラビが恥ずかしそうに頭をかく。
サユリは無言のまま、遠くを見つめている。

ラビ「どうかしたの、母さん?」
サユリ「え? ……うぅん。あなたが無事で良かったと思って」
ラビ「ハ、ハハハ!」
大地「ばあちゃん。ツインピークスはどうなるの?」
メイ「光の塔はラビルーナへ。闇の塔は、耳長族と人間の平和がいつまでも続くように願いを込めて、ここに残すことにするよ。じゃ、私たちはラビルーナへ帰るよ。あんたたちも、また来ておくれね」
大地「うん!」
ガス「おばば様も、お元気で!」
大地「さよなら、フィエナ」
フィエナ「さよなら……」

大地が、戦いの中で破壊されてしまった自分のジェットボードの車輪を差し出す。

大地「あげる!」

それを受け取ったフィエナが、ようやく笑みを見せる。

大地とガスに見送られ、光の塔が月の内側へと帰ってゆく。



お母さん、僕たちの戦いは終わりました。
僕がグルンワルドに倒されそうになったとき、
みんなが僕を助けてくれました。
そのとき僕は、
お母さんの声を聞いたように思います。

僕は今、とっても温かい気持ちでいっぱいです。
だって……
僕にはこんなに素晴らしい仲間がいるんだもの!



(終)

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最終更新:2016年05月16日 02:36