ウルトラマンX きたぞ! われらのウルトラマンのオープニング


宇宙には、一つの伝説がある。
すべての始まり、光の巨人。

彼は、宇宙のバランスを保つため、
様々な世界で戦い続けている。

この地球でも、世界中の神話や伝説が
光の巨人について語っているのだ──



──という話を、Xio基地ラボチームでグルマン博士が講釈しているが、ルイとマモルは耳を貸していない。

グルマン「──って、おい! 人の話を聞け!」
ルイ「だってその話、何度も聞いたも~んだ!」
グルマン「だが、始まりの巨人・ウルトラマンを召喚する『ベータカプセル』を完成させた、というのは初耳だろう?」
マモル「できたんスか!? すごいっスね!」
グルマン「だろう? 私が幼い頃に見た光の巨人は、こうして……」

グルマンが新発明品のベータカプセルを、高々と掲げる。

グルマン「ジュワッ!」

大爆発──
もうもうと爆煙が立ち昇り、グルマン、マモル、ルイがボロボロとなる。

グルマン「ジュワ…… ジュ…… ジュワワ……」
ルイ「ゴホ、ゴホ、ゴホッ!」
マモル「博士ぇ……」
ルイ「もうちょっと、改良が必要かな……?」



劇場版
ウルトラマン

きたぞ! われらのウルトラマン




Xio基地の司令室。
一同が、作戦デスクの上に菓子や飲み物を広げている。

ワタル「それでは」
一同「カンパ──イ!!」「大地、出張お疲れ!」「お疲れ」「お疲れ!」
神木「おい、みんな! ちょっと、これ食べてみてくれ。娘の手作りなんだよ」
一同「へぇ~!」「いただきまぁす!」「うん、おいしい!」「うまい!」
神木「おいしいか? そうか!」
ハヤト「で、オーストラリアの怪獣共生区、どうだった?」
大地「国を挙げての実験だけあって、すごい広さと設備でしたね。でもまだ、反発が根強いみたいです」
神木「道のりは遠いな」
アスナ「もう1個、いただきま~す!」
エックス『あ──、アスナ。その食物に含まれる糖質は48パーセント、脂肪は18グラムだ。君がダイエットしたいなら……』

デスクに置かれたエクスデバイザーから、エックスが語りかける。
すかさずアスナは、エクスデバイザーを裏返しにする。

エックス『おい! 表にしてくれ! 何も見えない! おい、アスナ!』
一同「ハハハハハ!」

そこへ橘副隊長が現れ、一同を睨みつける。

橘「作戦デスクの上でものを食べちゃいけないって…… 何回言えばわかるの!!」
一同「りょ、了解!」

警報が鳴り響く。

チアキ「エリアA-2、芭羅慈(ばらじ)村で異常電磁波発生の通報です!」
大地「あそこには、縄文以前の超古代遺跡がありますね」
アスナ「芭羅慈遺跡? 確か、崖崩れで謎のピラミッドが発見されたって……」
神木「大地とアスナは現場に急行、異常電磁波の発生源を調査してくれ」
大地たち「了解!」


大地とアスナが、秋田県の芭羅慈遺跡を訪れる。

大地「やはり、あのピラミッドが異常の中心だな」
エックス『大地……』
大地「あぁ。ここには何か、特別な力が充満しているね」
声「踏んじゃ駄目!」

大地が思わず、足を止める。
玉城ユウト少年が飛び出し、大地の踏もうとしていた破片を手にする。

ユウト「ほら。これ、古代の石像かも」
大地「フフッ、残念。これは蚊取り線香のブタの破片だね」
ユウト「えぇ~?」
大地「君は、どこから……」
声「ユウト!」

ユウトの母、考古学者の玉城ツカサが駆けつける。

ツカサ「あっ、ユウト! ここは危ないから、来ちゃ駄目って言ってるでしょ!? あっ、Xioの方ですよね」
アスナ「はい。あの、あなたが異常電波の通報をした──」
ツカサ「はい、東都大学の玉城ツカサです」

テレビタレント・カルロス黒崎が、撮影スタッフを引き連れてやって来る。

黒崎「いくぞぉ! いいかぁ? みんな、準備はいいかぁ? よし」
ツカサ「あの人たち、まさか!?」
黒崎「いくぜぇ!」
ツカサ「ちょ、ちょっとすいません」
黒崎「セリフを言ってから、このスイッチが出てきて、そしてドーン!みたいな。──さぁ、視聴者の皆さん! あなたの目はあなたの体を離れて、このカルロス黒崎とともに、偉大な考古学的発見の目撃者となるのです! 開け~ ゴマぁっ!」

黒崎がスイッチを入れると、爆薬が作動し、ピラミッドの壁面が爆破される。

ツカサ「きゃあっ! 黒崎さん、どういうことですか!?」
黒崎「いやいやぁ、教授~! Xioの皆さんも、ようこそ~!」
ツカサ「遺跡で爆薬を使うなんて、乱暴すぎます!」
黒崎「オムレツが食べたきゃ、卵を割らないとね。いざゆかん、ロマンの旅へ! よし、行くぞ!」
ツカサ「黒崎さん!? ちょっと、危険です! ちょっと、黒崎さん!」
黒崎「行くぞ! ほら、回れ回れ!」
ツカサ「黒崎さん!」
黒崎「ほら、みんな早く来ぉい! カメラ回ってるか~?」

黒崎がスタッフを連れてピラミッド内に突入する。
ツカサは黒崎を追い、大地たちも続く。

黒崎「ついに入ったぞ~!」
ツカサ「黒崎さぁん!」
黒崎「よし、みんな! しっかりついて来いよ!」
ツカサ「待って下さい! この土地には、地獄が封印されてるって伝えられてるんです! そんなことしたら、何が起きるか……」

ツカサがつまずいて転倒する。

ツカサ「きゃっ! 痛、痛痛痛……」
アスナ「大丈夫ですか!?
ツカサ「えぇ…… ちょっと、すみません」
ユウト「お母さん、大丈夫?」
ツカサ「ねっ、危険でしょ? だからここ、入って来ちゃ駄目って言ってるの」
黒崎「おぉっ! 何だ、あれは──っ!? うおぉ──っ! 行くぞ!」

遺跡の奥に、巨人の石像が鎮座している。

黒崎「ウルトラマンだぁ──っ!! すごい大発見じゃないかぁ!!」
アスナ「これは……!?」
ツカサ「この姿は…… 古文書で見たことがあります。(いにしえ)の巨人、『ティガの像』です」
ユウト「ティガ……!」

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最終更新:2016年07月31日 08:24