21世紀初頭。憎しみや争いごとは減り、
自然は美しさを取り戻そうとしていた。
この星に生きるすべてのものの願い、
平和がようやく叶えられようとしていた。
しかし、大異変は始まった──
宇宙の彼方から地球を目がけ、隕石が飛来。流星となって轟音とともに山中に墜落する。
モンゴル平原を、巨大な怪獣が闊歩している。
特別捜査チームGUTSの一員、主人公のマドカ・ダイゴとヤナセ・レナが、戦闘機ガッツウイング1号で上空を行く。
レナ「ダイゴ! 何、あれ!?」
ダイゴ「すげぇ!」
レナ「怪獣が村のほうへ向かってるわ」
ダイゴ「信号弾で威嚇してみよう。何とか怪獣の進路を変えさせなくちゃ」
ガッツウイングが信号弾を発射。煙幕にまかれた怪獣が、地面を掘って地中へ逃げ去って行く。
TPC地球平和連合は、原因不明の怪現象や自然災害から、
地球人類を守るインターナショナルな組織だ。
世界各地に支部と研究センターを持ち、
月面基地と宇宙ステーションがある。
それらを束ねる総合本部がここ、日本にある極東本部だ。
GUTSとは、地球平和連合の中でも、
超常現象を専門に調査する
7人のエキスパートから成る特殊編成チームである。
TPC極東本部基地。
女隊長のイルマ・メグミ以下、副隊長のムナカタ・セイイチ、隊員のシンジョウ・テツオ、ホリイ・マサミ、ヤズミ・ジュン。
そしてダイゴとレナ。一同が、冒頭で地球へ墜落した隕石の解析にあたっている。
シンジョウ「これが問題の隕石か」
レナ「何か、埋まってるみたい」
科学局のカシムラ・レイコにより、隕石がレーザーナイフで切断されてゆく。
カシムラ「天然の隕石じゃない。作られた物よ」
中から、銀色のタイムカプセルが現れる。立体映像で女性の姿が投影され、何か話し始める。
イルマ「ホログラム……?」
ホリイ「何か言うとるな。サウンドトランスレーターで訳せるかもしれんで。ヤズミ!」
ホリイとヤズミが、言葉の翻訳にかかる。
『私は、地球星警備団の団長ユザレ── このタイムカプセルが地球に到着したということは、地球に大異変が相次いでおります。その兆しとして、大地を揺るがす怪獣ゴルザと、空を切り裂く怪獣メルバが復活します──』
ダイゴ「ゴルザだ! モンゴルに現れた怪獣は、ゴルザっていうんだ!」
『大異変から地球を守れるのは、ティガの巨人だけです── かつて地球上の守り神だった巨人は、戦いのために用いた体をティガのピラミッドに残すと、本来の姿である光となって、星雲へ帰っていきました── 我が末裔たちよ、巨人を甦らせ、ゴルザとメルバを倒すのです。巨人を甦らせる方法はただ一つ──』
それきり女性の姿はノイズにまみれ、消えてしまう。
イルマ「カシムラ博士、どうです?」
カシムラ「太陽系の彗星を模したタイムカプセルねぇ…… 悪戯にしては、手が込んでるなぁ」
ダイゴ「本物ですよ! ゴルザが現れる事まで、ぴったりと言い当てている!」
ムナカタ「あれがゴルザとは限らん」
ダイゴ「そのうち、メルバも!」
カシムラ「ダイゴ隊員? このタイムカプセルを信じるって事は、過去に私たちより優れた科学力を持つ文明があったことを認めるという事なのよ?」
ホリイとカシムラ博士により、隕石の分析が続けられる。
カシムラ「カプセルを覆っていた隕石の放射性元素を調べたの。紀元前約25万世紀から38万世紀にかけての地層でできてるわ」
ホリイ「およそ3000万年前、新生代第三紀漸新世── つまり、人類が地球上に現れる、はるか昔っちゅうこっちゃな」
レナ「そんな……」
突然の警報音。海外から通信が入る。
『イースター島に怪獣が現れました! レーザーカメラの映像を送ります!』
スクリーンの中、イースター島のモアイ像の立ち並ぶ丘を切り崩し、翼を持つ怪獣が出現する。
ダイゴ「メルバだ! 『空を切り裂く怪獣メルバ』!」
ムナカタ「なぜ今、怪獣が……?」
ダイゴ「地球に異変が起こっているんです! ユザレは正しかった。タイムカプセルは本物です。ゴルザが出て、メルバも! あとはティガの巨人だけなんです!」
イルマ「ティガの巨人? 『ティガ』って、どこなの?」
ダイゴ「……」
ヤズミ「ティガはありますよ! 今、出します」
スクリーンに映されたのは、日本列島、東北地方。
シンジョウ「日本か!?」
古代言語の解析によって、ティガの地は現在の日本、
東北地方にあると推定された。
ただちに、ティガのピラミッドを捜索すべく、
ムナカタ副隊長以下、ダイゴ、レナ、ホリイ、
シンジョウの各隊員が、2機のガッツウイングで出動した。
東北の山中に一同が降り立つ。ガッツウイング機内でムナカタが待機し、他の一同が捜索を開始する。
ホリイ「ほんまにこんなとこに、ピラミッドあるんか?」
ムナカタ「気をつけろ。各々、連絡を取り合って行け」
イルマ『本部より2号機へ、本部より2号機へ』
ムナカタ「ムナカタ」
イルマ『メルバが動き出したわ』
手分けして捜索を続ける一同。単身で捜索にあたるダイゴの耳に、何者かの声が響く。
「ダイゴ── ダイゴ──」
その声に導かれるように歩くダイゴの目の前に、やがて光り輝くピラミッドが姿を現す。
一方、ダイゴ以外の隊員は河原で合流している。
レナ「どうだった?」
シンジョウ「ここがティガなのかなぁ……」
ホリイ「巨人がすっぽり収まるようなピラミッドが、衛星カメラで探知できへんなんて、絶対あり得へんやろが」
捜索を続ける一同の目の前にも、ピラミッドが見えてくる。
レナ「ダイゴ!?」
ダイゴが1人、吊り橋を渡ってピラミッドのほうへ向かっている。
一同「ダイゴ!」「あかん!」「ダイゴ!」「止めな、もう! リーダー、リーダー!」
イースター島から現れた怪獣メルバが空を舞い、海上を行く。
一方で日本には、モンゴルに出現した怪獣・ゴルザが、ビル街を砕いて姿を現す。
テレビのニュースが、怪獣の出現を報せる。
『先ほど秋田県北部に、体長50メートル余りの生物が出現し、ビルや住宅などを破壊しながら北北東へと移動中です。TPC地球平和連合では、この生物が今朝モンゴルに現れた未確認生物と同一ではないかと見て調査をしており、付近住民に対して避難を呼びかけています』
ダイゴを追うホリイたちに、ムナカタが合流する。
ホリイ「あ、リーダー!」
ムナカタ「ダイゴはどうした!?」
シンジョウ「あそこです!」
ダイゴがピラミッドへと向かってゆく。
一同「ダイゴ、無茶だ! 戻れ!」「ダイゴ!」
ピラミッドの前に立つダイゴが、壁面に手を触れようとする。
そこに何もないかのように手は壁をすり抜け、やがてダイゴ自身も壁をすり抜けて中へ入りこむ。
とっさに一同もピラミッドへ駆け寄り、恐る恐る壁面をすり抜け、ピラミッド内へ入りこむ。
レナ「ダイゴ!?」
ダイゴと一同の前にそびえ立つ、全長数十メートルの巨人像3体。
ムナカタ「ダイゴ…… お前は正しかった」
GUTS司令室に、警告音が鳴り響く。
スクリーンの中、ゴルザとメルバの進路が、ダイゴたちの調査中の地を目指していることを示している。
イルマ「大変だわ! 何とかノイズ部分を修正しないと!」
ユザレの予言通り、地球に復活した
ゴルザとメルバの2怪獣は、申し合せたかのように
ティガのピラミッドを目指して突き進んでいた。
ムナカタ「──わかりました。で、どうします?」
イルマ『ダイナマイト輸送機が、そちらに向かっているわ』
ムナカタ「了解。偵察して、方位陣形を配備します。──ここを撤退する。ゴルザとメルバがそこまで来ている」
ダイゴ「巨人は!? 巨人を甦らせる方法は?」
ムナカタ「どうしても、ノイズ部分を修正できないそうだ」
ダイゴ「……」
ため息をついたダイゴが、巨人像を見上げる。次第にダイゴが奇妙な感覚に囚われてゆく。
ダイゴ「……わああぁぁ──っ!?」
絶叫してピラミッドを飛び出すダイゴ。慌てて一同がダイゴを追う。
一同「ダイゴ、待って!」「おい!」
怪獣ゴルザがピラミッドに迫る。ガッツウイングに乗り込んだレナたち4人。
ホリイ「ほんまに恐ろしいなぁ……」
ゴルザの放つ光線で、ピラミッドの外壁が溶かされ、巨人像の姿が露わになってゆく。そこへ、メルバも降り立つ。
その時、森の中から、ダイゴの乗ったガッツウィング1号が飛び立つ。
レナ「ダイゴ!?」
怪獣たちにより、巨人像は腕や足を折られ、頭を砕かれ、次々に破壊されてゆく。
2体の巨人像が破壊され、最後に残った像にゴルザが手をかける。
ダイゴ「やめろぉぉ──っ!!」
ダイゴのガッツウイングがゴルザを銃撃。
ムナカタ「ダイゴ、無駄だ! 引き返せ!」
メルバの撃ち出した光線が、ダイゴのガッツウイングを掠める。機内に警報が鳴り響き、機体が煙を吹き出す。
ムナカタ「脱出するんだ、ダイゴ! 脱出するんだ!」
ダイゴ「故障です!」
ホリイ「何やと!?」
シンジョウ「ダイゴぉ──っ!」
ガッツウイングが煙を吹いて墜落してゆく。機内にも煙が充満してダイゴがむせる。
その時── 機内が光に満ちたかと思うと、ダイゴが光と化して機外へ飛び出し、巨人像に吸い込まれる。
ガッツウイングが墜落して大地に叩きつけられ、もうもうと煙があがる。
ゴルザが唸り声を上げつつ、巨人像を踏み潰そうとすると、突如として巨人像が腕を振り上げ、ゴルザを食い止める。
巨人の体に生気が漲り、銀と赤と青の巨人・ティガとなって立ち上がり、怪獣たちに立ち向かう。
レナ「巨人です! 巨人が甦りました!」
シンジョウ「でも、どうやって!?」
ガッツウイングが墜落しようとする危機一髪の瞬間、
ダイゴ隊員は光となって巨人の体内にあふれた。
ダイゴ隊員の生命を得ることで、
巨人は長き眠りから目覚めたのである。
ティガがゴルザに挑む。巨体と巨体とのぶつかり合い。
そこへメルバも参戦。1対2の戦いとなり、次第にティガが劣勢となる。
ティガの額が輝くや、全身が赤く染まったパワータイプに変身。
怪獣たちの攻撃を真っ向から受け止め、強烈なパワーでゴルザを締め上げ、投げ飛ばす。
敵わないと見えてか、ゴルザが地中を掘って逃亡する。
しかしメルバは翼をはためかせて宙を舞い、ティガを攻撃。胸のカラータイマーが点滅し、危機を報せる。
再びティガの額が輝き、今度は薄紫色のスカイタイプに変身。
俊敏な動作で宙を舞い、ジャンプキックを見舞い、メルバを地上に叩き落とす。
とどめのランバルト光弾が炸裂! 光弾を食らったメルバが木端微塵に砕け散る。
勝利を収めたティガが、大地を蹴って空の彼方へと飛び去る。
レナ「ダイゴ……」
ホリイ「……ダイゴや! ほら!」
地上でダイゴが、一同に手を振っている。
ダイゴ「おぉ──い!」
レナたちが地上に降り立ち、ダイゴは一同に手荒く揉みくちゃにされる。
ホリイ「心配させやがって! お前はほんまに!」
ダイゴ「痛いですよぉ!」
ムナカタ「心配したぞ。一体、何があったんだ?」
ダイゴ「脱出レバーが、故障しまして」
ムナカタ「運のいいヤツだ。さぁ、引き揚げるぞ!」
無人のGUTS指令室。タイムカプセルがひとりでに作動し、あの女性の姿を映し出す。
『巨人を甦らせる方法はただ一つ── ダイゴが光となることです── その巨人の名は──『ウルトラマンティガ』』
ダイゴ「ウルトラマンティガ……」
いつの間にか、ダイゴの懐にはティガの変身アイテム・スパークレンスが現れていた。
ダイゴたちを乗せたガッツウイングが、夕陽の照らす空を帰って行く……。
最終更新:2023年04月25日 17:00