東町小学校の文化祭。
5年3組のテーマは「魔法の国」。
ガンモが芝居の衣装のまま、玄関で呼び込みをしている。
ガンモ「さぁさぁ、いらっしゃい! 5年3組、魔法の国だよ!」
同じく芝居の衣装に身を包んだ魔法組一同。
ピノキオ姿のチクワは恥しがって、物陰に隠れている。
チクワ「恥しいなぁ……」
ショースケ「チクワも何か言いなさいよ」
ミコ「男のくせに、だらしがないわよ」
ショースケ「そうよ、だらしないわよ」
チクワ「だって、こんな鼻つけて、人前に出られないよ」
チクワの姉の理恵が訪れる。
理恵「リンイチ、がんばって!」
チクワ「姉さん!?」
ショースケ「こんにちは」
チクワ「来るなって言っといただろ!?」
理恵「いいじゃない。きれいね」
ミコ「ありがとう。でも、森本先生の方が最高よ」
チクワ「本当本当、な!」
教室では、森本先生が魔女に扮し、客の生徒たち、父兄たちの前でおどけている。
森本「イ~ッヒッヒ! わしは…… じゃなかった、私は魔女よぉ~!」
客たち「アハハハハ!」
森本「わしは5年3組担任の、森本だ。今日は生徒たちに協力して、大サービスだ。似合うかね?」
客たち「似合う、似合う!」「似合うよ!」「アハハ!」
森本「おい、笑いすぎだ! 笑いすぎだよ!」
ガンモの父「先生、ピッタリだよ!」
森本「やっ、岩館のお父さん、お母さん、どうも…… 笑ってください! ワハハハ!」
魔女のベルバラが、学校の様子を彼方から見ている。
ベルバラ「ほぉ、面白そうだねぇ~! ではひとつ、私も見せてもらうかね」
ベルバラが人間女性の姿に変身して、校内に降り立つ。
ベルバラ「フフン、これなら生徒のお母さんに見えるかも。でも私って若いでしょ? だから、ミスに見えちゃうかも。ウフフフ!」
ベルバラが何食わぬ顔で、女教師の乙竹先生とすれ違う。
ベルバラ「あらま、先生。いつもお美しいこと! オホホホ! では……」
乙竹「どこのおばさんだったかしら?」
ベルバラ「ムッ、おばさん? あんな大きな子に、おばさんって呼ばれる覚えはないよ! べーっ!」
5年3組の教室から、ガンモたちに見送られつつ、ガンモの両親が出てくる。
ガンモの父母「お前もなかなかやるなぁ」「しっかりね」
ガンモたち「じゃあね!」「さようなら!」
ガンモの父「でも、おとぎ話ったって、外国物ばっかりだったなぁ」
ガンモの母「そうよ、日本のがあっても良かったわよね。ほら、サルカニ合戦とか、マサカリかついだ金太郎、だとかさ」
ガンモの父「それに、桃太郎とか一寸法師とかなぁ」
呼び込みの生徒「テレビの人気者の漫画展! 5年4組でやってるよぉ~!」「テレビの人気漫画だよ~」
ガンモの父「おっ! 漫画だよ、母ちゃん。面白そうだな! 見に行ってみるか。あっちだ!」
ベルバラ「フフッ、日本の昔話ねぇ。そのアイディア、いただこうか! アハハ!」
5年3組の芝居は、ショースケ扮する白雪姫に、森本先生扮する魔女が毒リンゴを渡す場面。
ショースケの弟のユタカ、父の庄太郎、ハテナの妹のルリ子たちが入って来る。
ユタカたち「お姉ちゃぁん!」「アサコお姉ちゃん!」「アサコぉ!」
ガンモ「静かにしてよ、おじさん」
ショースケ「お父ちゃん……」
森本「いいんだよ、いいんだよ、タダであげるよぉ~。どうせ、売れ残りなんだからぁ」
庄太郎「どうだ、お前らも作品に……」
ショースケ「もう! お父ちゃん、向こうへ行っててよ!」
庄太郎「すんません……」
森本「コ、コホン、やり直すか。えぇ、もう一度やり直しまぁす! イヒヒヒ、リンゴはいかが?」
客の中にベルバラが混ざっている。
ベルバラが魔法をかけると、森本の手にしているリンゴがカキに変わる。
森本「あ、あれ? カキだ!」
客たち「あれぇ?」
森本「は、ははっ、間違えた!」
森本が魔女の袋の中からリンゴを取り出そうとする。
今度はメロンが出てくる。
森本「おおっ!? どうなってんだ!? メロン!?」
袋の中から、次々に違うものが出てくる。
森本「こ、こんなはずは…… 缶詰!? おかしいなぁ。バ、バナナ!? ちょっと待ってよ…… ブドウ!? カボチャぁ!?」
ハテナ「ハテナ? 小さな袋に、あんなに入るなんて」
森本「も、もう一度やり直しだ。では、カキをリンゴのつもりでもう一度! サルカニ合戦じゃないんだから…… イヒヒヒ!」
森本自身が、サルカニ合戦のサルの衣装になる。
客たち「わぁ~っ!?」
森本「娘さん、リンゴはいかが?」
ショースケ「先生! 先生ってば!」
森本「さぁ、リンゴを……」
ショースケ「先生! 何よ、その恰好」
今度は森本の姿が、マサカリを担いだ金太郎になる。
ショースケ「きゃあっ!?」
森本「わぁ、マサカリだ! あっ、金太郎!? なんでわしが金太郎に!?」
ベルバラ「ウフフフ!」
ベルバラがクスクス笑いながら、教室から出てくる。
ちょうど乙竹先生が、教室に入ろうとしている。
ベルバラ「あっ、さっきの子だね。ついでに……」
教室に入った乙竹先生は、ベルバラの魔法で、すでに桃太郎の衣装に変っている。
乙竹「まぁ! 森本先生、なんて格好なさってるんですか!?」
森本「あらあらあら! も、桃太郎!?」
乙竹「桃太郎? ……まぁ、恥しい!」
さらに森本先生が、赤鬼の姿に変わる。
客たち「わぁ~っ!?」
客たちが悲鳴を上げて、教室から飛び出す。
森本「ガ、ガガ、オ、オオ」
乙竹「近寄らないで!」
森本「ガ、ガ、ガ……」
乙竹「よぉし! 行くぞ、赤鬼!」
乙竹先生が桃太郎の衣装の刀を抜き、斬りかかる。
森本先生は声がうまくでないらしく、乙竹先生から逃げ回る。
教室に残されたのは先生2人のほかは、魔法組の5人のみ。
森本「オ、オ、オ!?」
ショースケ「やっぱりカンザブローだわ」
ガンモ「よくできてるぅ~! 角なんて、本物みたい!」
ミコ「魔法で、鬼にされたのよ」
チクワ「そうか、ベルバラの仕業だ」
乙竹「やぁっ!」
乙竹先生が刀で芝居のセットを斬りつつ、森本先生を追い回す。
ガンモ「さすが鬼姫先生!」
乙竹「近寄らないで! やぁっ!」
乙竹先生が刀で、森本先生の頭の角の1本を斬り落とす。
一方の当のベルバラは、パトカーを学校へ案内している。
ベルバラ「さぁ、早く早く! すごい怪物が出たんだから!」
ハテナ「アバクラタラリンクラクラマカシン── 乙竹先生の持ってる刀、飛んで来い!」
乙竹先生が森本先生に斬りかかろうとする。
ハテナが魔法の道具・バンノーダーを操り、刀を消し去る。
乙竹「あ、あら! 刀がない!?」
一同「先生!」「先生!」
ガンモ「もう、やめてください。この赤鬼は、森本先生なんです」
乙竹「ええっ!?」
森本「……そ、そうですよ! 正真正銘の、森本ですよ! わぁ、喋れた!」
そこへ、警官たちが入って来る。
警官たち「貴様ぁ! 貴様、怪物だな!?」「貴様を逮捕する!」
一同「えぇっ!?」「お巡りさん、違うんですよ!」
ベルバラ「フフフ。さぁて、なんて言い訳する気かな? いくらカンザブローでも、魔法で鬼にされたというほか、ないもんねぇ~!」
森本「いいや、魔法なんて代物は信用できん!」
ガンモ「また始まった……」
チクワ「ガンコなんだから」
ベルバラ「むぅ~っ! あきれ返った、わからず屋!」
森本「くたばれ、魔法! 魔女なんてくだらん者がいるんなら、ぜひ一度、お目にかかりたいものだ!」
ベルバラが元の魔女の姿となり、森本先生の目の前に突然現れる。
森本「わぁっ!? ……魔術師の者か?」
ベルバラ「私ゃねぇ、魔術師じゃないよ」
森本「では、詐欺師かね?」
ベルバラ「はぁ…… 何言ってんだよ、このオタンコ! 私ゃねぇ、正真正銘、まじりっけなしの、魔女ベルバラ様だよ! ベェ~!」
森本「ベェ!」
ベルバラ「じゃ、魔法を見せてやる。風よ──っ!」
ベルバラが魔法をかけると、突然、室内に突風が吹き荒れ、一同が吹き飛ばされそうになる。
一同「わぁ~っ!?」
一方で魔界、魔法の国。
長老のジョーカーのもとに、警報が鳴り響く。
ジョーカー「なんじゃあ?」
水晶玉に人間界の様子が映し出される。
ベルバラ「それっ、もっと吹けぇ~っ!」
ジョーカー「ベルバラめ、掟を破りおったな! 魔女は皆に、正体を明かしてはならん!」
ベルバラ「私が魔女である証拠には、ほら!」
魔法組の5人が一瞬で、芝居の衣装の姿から、普段着の姿となる。
一同「わぁっ!」
森本「そうか。あんた、催眠術も使うのか」
ベルバラ「何言ってんのさ。ほら!」
森本先生が鬼の姿から、普段の背広の姿となる。
しかし、頭には角が生えたまま。
森本「お、お!? あっ、やっと幻覚から目が覚めた。……あれ? まだ、角が生えてるぞ!」
ベルバラ「フフン、幻覚っていうならさ、角の1本2本、あったってなくたっていいじゃないさ。フン!」
一同「おばさん!」「先生の頭、元に戻してよ!」「許してやってよ!」
ベルバラ「やなこった! 私を信じ、魔法のありがたさがわかるっていうなら、話は別だけど!」
森本「そうはいかん」
一同「先生!?」「そんなこと言って」
森本「私は、魔法を信じない」
一同「謝った方がいいわ」「これから先、ずっと角を生やしたままですよ!?」
森本「そんなことはない! 夢と同じだ。必ず消える。心配するなって!」
一同「先生!?」
ベルバラ「むぅ~っ! もう我慢できない! 今、魔法の恐ろしさを見せてやる! やぁっ!」
室内が真っ暗になり、魔法組の5人が一瞬にして、十字架に架けられる。
一同「助けてくれぇ! 先生、助けてくれよ!」「助けてぇ、先生!」「乙竹先生、森本先生!」「誰か、助けてくれよぉ!」
森本「ガタガタするな! こんなものは幻だ! ヘみたいなもんだぞ!」
炎が噴き出して、一同を襲う。
警官たち「わぁ!」「早く消すんだ!」
ベルバラ「何をぉ!」
さらに巨大な姿の怪物が何体も出現し、一同は大混乱に陥る。
一同「キャ──っ!?」「わぁっ、助けてぇ!」
ベルバラ「アハハハハハ!」
突如、どこからか稲妻が閃き、ベルバラを直撃する。
ベルバラ「ギャアァ──っっ!!」
ベルバラが悲鳴と共に消える。
教室内もすっかり元に戻る。
一同「ひでぇ目に遭ったな……」「あっ、先生! 角が取れてるよ!」
森本「あっ、本当だ! やっぱり先生の言ったとおりだろ? やっぱり幻だったんだよ! 幻覚だったんだよ!」
ショースケ「ベルバラ、あきらめちゃったのかしら?」
ハテナ「ハテナ……?」
ベルバラは空間を超え、どこかへと吹き飛ばされてゆく。
ベルバラ「わぁ~っ!? 目が回るぅ! 飛べないよ、こんなんじゃあ!」
辿り着いた場所は魔界、魔法の国。
ベルバラ「誰だ! 魔女ベルバラ様をこんな目に遭わせたのは!?」
そこは魔法の国の13階段。
ジョーカーが姿を現す。
ジョーカー「私だよ」
ベルバラ「ひぃ~っ、ジョーカー様!?」
ジョーカー「魔界のルールを破ったお前に、罰が与えられた。ありがたくお受けするが良い」
ベルバラ「何ですってぇ!? 私に罰!? そんな……」
一瞬にして、ベルバラの脚に鉄球の枷が付けられる。
ベルバラ「あら!? こんな重い物を付けられちゃって…… やんなっちゃう」
ベルバラが逃げ出そうとするが、檻が出現して退路を塞ぐ。
ベルバラ「あ~っ!?」
ジョーカー「アッハッハ!」
魔法組の5人は、魔女バッグの精霊・MJくんに、事情を聞いている。
MJくん「魔女ベルバラは、掟を破った見せしめに、それはそれは恐ろしい罰が待っておるのんじゃ」
一同「罰!?」
MJくん「それは『石返しの刑』というのんじゃぞ」
一方で、ベルバラのいる13階段のふもとには、ドクロのような形の巨大な岩石がある。
ジョーカー「その石を持て」
ベルバラ「あの…… この石を、どうすればいいんですか?」
ジョーカー「担いで、ここまで昇ることができたら、お前の罪は許されるのじゃ」
ベルバラ「そんなの簡単ですよ。ヒヒヒ! ま、食事も済んだことだし…… 一丁やるか! よいしょ! ふぅ、もうちょっと力を入れて…… 重くない、重くない!」
ベルバラが石を担ぎ上げ、階段を昇る。
ベルバラ「たかが13階段なんてね、ヒシヒシと上がっちゃうからね! よいしょ、こらしょっと、ほら、もうすぐ!」
最後の段に足をかけると、石はベルバラの手から消え、階段を転がり落ちてゆく。
ベルバラ「あ!? あ、あぁ~っ!? そんなのないよぉ~!」
ジョーカー「なくてもあっても、やり直しじゃ」
ジョーカーが姿を消す。
ベルバラ「ジョーカー様って、冷たいんだよね…… あと1段だったというのにさ。やんなってきちゃう……」
MJくん「ところが、決して階段の頂上には着かんのんじゃ」
ベルバラが階段を下まで降り、再び石を担ぎ上げ、階段を昇る。
ベルバラ「よいしょ…… あ!?」
またもや頂上で石が消え、階段を転げ落ちてゆく。
ベルバラ「やんなっちゃうなぁ~!」
ミコ「かわいそう…… それじゃ、いつまで?」
MJくん「死ぬまで! と言いたいが、不老不死の魔女の悲しさ、永久に石を背負って昇らねばならんのんじゃ」
ショースケ「ひどいわ、いくらなんでも」
チクワ「同情するよ。なぁ?」
ガンモ「ゴールインする方法はないのか?」
MJくん「1人では、どんなにしても無理。ただしじゃ、2人なら…… いやいや、2人でも難しいなぁ」
ハテナ「6人なら!? つまり僕たち5人が手伝いに行くってことだけど」
ショースケ「賛成!」
ミコ「もちろん、行くわ!」
チクワ「僕だって!」
ガンモ「賛成! 意地は悪いけど、可愛いとこあったもんな」
ハテナ「ねぇ、マジッカーに頼めば、行けるんだろう?」
MJくん「行くことはできるのんじゃ。ところが……」
ハテナ「ところが、何だい?」
MJくん「帰るのが、大変じゃ」
ガンモ「大変でも、帰れるんなら!」
MJくん「魔法のエネルギーが、余分に要る」
ハテナ「そんなこと言ったって、僕たち、魔法のエネルギーなんて……」
MJくん「持ってるじゃじゃんか、ここに!」
ハテナ「魔女バッグか!」
ショースケ「つまり、魔法の国から帰るためには……」
ミコ「魔女バッグを捨てて来なきゃならないの!?」
MJくん「そういうことなのんじゃ…… それでもベルバラを、助けに行くかね?」
一同が顔を見合わせ、頷き合う。
一同「うん!」
一同「アバクラタラリンクラクラマカシン── 大きくなれぇ~っ!」
魔法の乗物・マジッカーが出現する。
ハテナ「魔法が使えなくなっても、あのベルバラを、意地悪魔女を助けるんだね!」
ショースケ「だって、それで元々よ」
チクワ「どうせ、魔女バッグはベルバラに貰ったんだし」
ガンモ「魔法がなくたって、俺たち仲良しさ!」
ミコ「うん、早く行きましょ。ベルバラおばさん、へばってるわよ」
一同「よぉし!」「アバクラタラリンクラクラマカシン── 魔法の国へ飛んで行けぇ!」
魔法組の5人を乗せたマジッカーが宙に浮き、空間を飛び越え、魔法の国を目指す。
そして一同は、魔法の国へ辿り着く。
ガンモ「あそこだ!」
ベルバラ「よいしょ…… あぁ、もうフラフラになってきたもんね…… もうすぐだ、今度こそうまくやんなきゃ……」
ベルバラが石を担いで階段を昇るものの、やはり頂上で石が消え、階段を転げ落ちてゆく。
ベルバラ「あぁ~っ、またもや……」
魔法組の5人が駆けつけ、石を受け止める。
一同「おばさん、応援に来たよ!「おばさぁん!」
ベルバラ「お前たち! よく来てくれたねぇ! ありがとう!」
ガンモ「礼なんかいいよ! さぁ!」
一同「わっしょい、わっしょい!」
一同が5人がかりで石を担ぎ上げ、階段を昇る。
ベルバラ「足元に気をつけてよ…… わぁっ!?」
やはり頂上では石が消え、階段を転げ落ちてゆく。
ガンモ「作戦だ、作戦だ!」
ベルバラも加え、6人が円陣を組んで作戦を練る。
ガンモ「──よし!」
一同が階段を駆け降り、石を取り囲む。
石の窪みに手を入れ、互いに腕をがっちりと握り合い、決して石が離れないようにする。
ガンモ「もうこれで逃がさないぞ!」
ベルバラ「団結だ! せ──の!」
一同「よいしょ! わっしょい、わっしょい!」
ベルバラも加わり、6人がかりで石を階段の上へと運んでゆく。
そして、ついに頂上。
ベルバラ「さぁ、ここが大事なんだよ!」
頂上に石をそっと置き、足で踏みつけ、石を固定する。
ついに石を頂上に運ぶことに大成功。
一同「やった!」「やったぁ!」
石が一同に踏みつけられたまま、その姿がジョーカーに変わる。
一同「わぁっ!?」
ジョーカー「痛い! 痛ぁい!」
ショースケ「ごめんなさい……」
ジョーカー「ベルバラ、おめでとう」
ベルバラ「えっ?」
ジョーカー「お前の刑は終わった。元の魔女の身分に戻れたよ」
一同「やったぁ!」
ベルバラ「わぁ! 5人組ちゃん、ありがとう!」
一同「やったぁ! やったぁ!」
魔法のエネルギーを測るカウンターが出現する。
ジョーカー「エネルギーカウンターだよ。帰りの運賃を払ってもらいましょう。さぁ、その魔女バッグをこの上に置いて」
一同「……はい」
カウンターの上に魔女バッグが置かれる。
ジョーカー「う~ん、これで5人分かねぇ~?」
一同「お願いします!」「ジョーカー様!」「帰してください!」
ジョーカー「う~ん…… 大負けに負けてあげようかね!」
一同「やったぁ~っ!」
ガンモ「それでジョーカー様、どうやって帰るの?」
ジョーカー「そこが人間界の入口だよ」
ジョーカーの示した扉に、一同が入る。
ハテナ「ハテナ? エレベーターみたいだ」
ベルバラ「もう、あんたたちに逢えないのかねぇ…… 魔女バッグと縁を切った、あんたたちにさぁ」
ジョーカー「フフ、運さえ良ければ、また逢えるよ」
ジョーカーが姿を消す。
ベルバラ「それまであんたたちのこと、忘れないよ」
ハテナ「うん、僕たちも」
ショースケ「いつまでだって、憶えてるわ」
ミコ「ベルバラお姉ちゃん……」
チクワ「元気でね、いつまでも」
ガンモ「バイバイ!」
ベルバラ「バイバ~イ! 元気でねぇ!」
一同が涙ながらにベルバラと手を取り、別れを惜しむ。
扉が閉じ、ベルバラが泣き崩れる。
一同はエレベーターのように、空間を超え、どこかへと運ばれてゆく。
そして──
ガンモ「着いたらしいぜ」
新宿都内のとあるビルから、一同が外に出てくる。
一同「どこだ?」「どこだ、こりゃ?」「なんだ、新宿じゃないか!」「良かったぁ」
ユタカとルリ子が駆けてくる。
ユタカ「お姉ちゃん!」
ルリ子「お兄ちゃん!」
一同「ユタカ!」「ルリ子!」「ルリちゃん!」
ルリ子「カンザブロー先生が捜してる!」
ユタカ「文化祭の人気投票、もうすぐ発表だって」
ガンモ「行ってみようぜ!」
学校の職員室で、先生たちが文化祭の人気投票の結果を見ている。
魔法組の5人がやって来る。
森本「おっ? どこ行ってたんだ、お前たち」
チクワ「ちょっと……」
森本「5年3組、優勝だぞ!」
一同「えぇっ!?」「わぁっ!」「やったぁ!」
森本「シーッ! 外で待ってろ」
5人が校庭に出て、大喜びで浮かれまくる。
一同「わぁ──っ!「やったぁ~!」「5年3組、優勝だぁ──っ!!」
ショースケがふと、空を見上げる。
ショースケ「ベルバラおばさん、どうしてるかな」
チクワ「また、どっかの町へ行って……」
ミコ「意地悪してんじゃない?」
ガンモ「ほんでもって、ズッこけてんのさ! きっと」
ハテナ「今度逢うときが、楽しみだな……」
ベルバラが、どこかの町の空を飛んでいる。
ベルバラ「ハ、ハックション! さてはあの子たち、また噂してるなぁ~? よぉし!」
ガンモの胸ポケットに、1輪の花が現れる。
ガンモ「あれっ?」
ショースケの口、ハテナの胸、ミコの髪、チクワの眼鏡にも花が現れる。
チクワ「わぁ、やられた!」
一同「ベルバラおばさぁ──ん!」「おばさぁ──ん!」
ベルバラも1輪の花を口に咥え、笑顔で手を振る。
ベルバラ「麗しのベルバラちゃんを忘れないでね。またいつか、逢いましょうねぇ! ベェ~ッ!」
最終更新:2016年09月25日 16:24