重甲ビーファイターの第47話


勝利への復活!!


大作と舞は、姿を消した拓也を探していた。
大作「どうだ?」
舞「ダメ、全然手がかりなし」
2人の横を、凧を持った2人の子供が通り過ぎていった。
子供「公園で凧上げようぜー」
「俺の方が高く上げてやるぜー」
大作「思いたくない・・・信じたくない・・・あの子達にも明日が無いなんて」
舞「そうさせない為に、拓也を探してるんじゃない」
大作「そうだな、拓也さえ蘇ってくれば」
舞「頑張って探そ!」
大作「俺はF地区を探してみる」
舞「うん」


ジャマール要塞
ガオーム「着々とエネルギーは貯まっておる。しかしジャマールホール完成にはまだ足りん!徹底的に町を破壊して、もっともっとかき集めろ!
ギガロ「ガオーム様あってのこのギガロ!我が忠誠心にかけ必ず!」
合成獣軍団団長・ギガロは今回の作戦に当たって、自らの体を改造し、最強の合成獣、ファイナルギガロとなっていた。
ガオーム「ようし。ところでジェラ、ブラックビート討伐の首尾は?」
ジェラ「一度は追い詰めたものの、逃げられ・・・」
ガオームがジェラ達へ光線を撃った。
ガオーム「奴の首を取らぬ限り、このジャマールに貴様の居場所は無い!忘れるな」
ガオームがジャマール要塞から遠ざかっていく。
ギガロ「ガオーム様がきつくおっしゃるのも、お前の腕を信ずればこそだ、ジェラ。落ち込むな」
ジェラ「ギガロ」
シュヴァルツ「きゃーははは!俺は今回のエネルギー集めが終わったら、ジャマールを抜けるよ」
ギガロ・ジェラ「「抜ける!?」」
シュヴァルツ「ん、ジャマールホールに飲まれれば、地球は死の星と化す。生き物が全て失せたその地球をガオーム様に譲っていただき、そこにメカだけの新世界を作るのよ~!そして俺はメカ帝国の帝王となるのだ!夢が叶う!あ、夢がかなう~!」
ギガロ「俺はガオーム様への忠誠心を証明するために!」
ジェラ「私はジャマール一の腕自慢の意地をかけ!」
ギガロ「うむ、行くぞ!」


ブラックビート=シャドーは何処かでたき火をしていた。
シャドー(セントパピリアを・・・永遠の命を一刻も早く手に入れなければ・・・ぐ!)
シャドーが苦しむ。拓也のクローンであるシャドーは寿命が尽きつつあった。
シャドー「影として生まれたこの俺が・・・光に取って代わる・・その為にも!」


そして、拓也は一人、山の中にいた。
拓也(俺はついに町からも逃げ出した・・・誰とも、何者とももう関わりたくない・・・
昆虫たちが、命あるものたちが眠りにつく冬に、俺もここで長い眠りに・・・)
拓也がその場に横たわるが、地面に反射している光に気づき、見上げる。
拓也(何だあれは・・・ジャマール?どうしてあいつらがこんな山の中に?)
そこでは、ファイナルギガロ、シュヴァルツに戦闘員ジャマー達がタンクを設置していた。
ギガロ「このタンクがマンタンになったその時こそ、育ちつつある中心核に一気にエネルギーを撃ち込み」
シュヴァルツ「ジャマールホールの完成だぁ!!」
ギガロ「ビーファイター2匹から吸い取ってやった昆虫パワー、あれが目標達成を早めたな」
シュヴァルツ「フフフ・・・地球を守る為の昆虫パワーが地球を滅ぼすエネルギー源に使われる!こんな素敵な皮肉が他にあるか!?他に!最後のエネルギー集めに行ってくる!」
ギガロ「警護は任せたぞ」


アースアカデミア。
大作「本当なんですか博士!」
舞「奪われたあたし達の昆虫パワーがまだ地球に残ってるって!」
向井「匿名の電話があった。大月山にジャマールのエネルギータンクがあると」
舞「奪い返すチャンスがまだ残ってたのよ!」
大作「・・・罠じゃないんですか、何かの?」
舞「罠?」
大作「だって匿名の情報なんて・・・」
向井「確かに名乗りはしなかった。しかしだ・・・どうして私が仲間の声を忘れるか」
大作・舞「「拓也!」」
グル「間違いない」
向井「うむ」
大作「行こう!」

大作と舞は大月山に向い、エネルギータンクを発見した。
大作「拓也ー」
舞「いるんでしょ、拓也?」
その近くに拓也もいた。
大作「よく見つけてくれたな」
拓也「ただの偶然だ・・・」
大作「偶然をつかめたのも、お前がビーファイターのリーダーだからだと、俺達は信じてる」
拓也「違う!俺はもう・・・」
舞「あたしも大作もとっくに諦めてたんだ、昆虫パワー。でも・・・捨てちゃダメなんだよ!希望って」
大作「絶望の底であがくのも、そこから這い上がるのもそいつ自身の意思の問題なんだ。
握ってくれ!もう一度、これを!」
大作が拓也にビーコマンダーを手渡そうとする。
拓也「言ったはずだ!心も体も言う事を聞いてくれないんだ!」
大作「いつまで逃げ続けるんだ!自分から!」
拓也「お前達に何が分かる!」
拓也がビーコマンダーを地面に投げ捨てた。
舞「・・・・・」
大作「拓也・・・」
大作のビーコマンダーがコール音を鳴らした。
大作「はい、大作です」
向井「ギガロ達がまた町の破壊を始めた!」
大作「分かりました。行くぞ舞!」
舞「うん」
大作「俺と舞は必ず昆虫パワーを奪い返す」
舞「取られちゃったのは、私たちのミスなんだもん」
大作「てめえでまいた種はてめえで刈り取らないとな。行こう」
舞「うん」
拓也「俺は・・・自分から逃げてるだけなのか?」

大作と舞がエネルギータンクに向かい、生身でジャマーと戦う。

拓也「奪われたものを・・・大作達は命懸けで奪い返そうとしている・・・俺はそこまで必死になったか?ただ町から逃げ・・・宿命から逃げ・・・そして自分からも・・・!」
「俺は・・・」
大作と舞はジャマーに追い詰められつつあった。
大作(自分でまいた種は自分で刈り取らないとな)
舞(捨てちゃダメなんだよ!希望って)
拓也「もう逃げはしない!」
拓也がビーコマンダーを手に取った。

ジャマー「地獄へ落ちろ!死ね!」
ジャマーが大作と舞に銃を向ける。
拓也「てやぁー!」
拓也がジャマーに飛びかかり、銃を奪ってジャマーを撃つ。
大作・舞「「拓也!!」」
拓也「ここは俺に任せろ!」
大作「舞!」
舞「うん!」
大作と舞がエネルギータンクに爆弾をセットする。
2人が離れた直後に、エネルギータンクが大爆発し、エネルギーがあふれ出した。
ガオーム「エネルギー回収!」
ジャマール要塞があふれたエネルギーを回収していく。
大作「今だ!」
大作と舞が掲げたビーコマンダーにそれぞれの昆虫パワーが戻っていった。
大作「蘇った!」
舞「昆虫パワーを取り戻した!」
拓也「大作!舞!」
大作「拓也!」
拓也「俺に必要だったのは、逃げずに立ち向かうことだったんだ!」
舞「拓也・・・」
拓也「俺が、俺の遺伝子があのブラックビートを生み出してしまったことは事実だ。
しかし、いや、だからこそ!奴をこの世から葬るのも俺自身でなければいけなかったんだ!自分でまいた種なら自分で刈り取らないとなきゃ。
二人の必死さが教えてくれた。ありがとう大作!ありがとう舞!俺はもう二度とこいつを手放さない」
大作・舞「・・・拓也・・・」
拓也「行くぞ!」
大作「おう!」

ファイナルギガロとシュヴァルツは町を破壊し続けていた。
ギガロ「燃えろ!崩れろ!爆発しろ!」
シュヴァルツ「吸ってやる!
拓也「そうはさせん!」
そこに、拓也達3人が駆けつけた。
ギガロ「わざわざなぶり殺されに来たか」
シュヴァルツ「今のお前たちに何ができる!」
大作「舐めんなよ、俺たちビーファイターを!」
舞「もう街を破壊させはしない!」
拓也「今日こそ決着を付けてやる!」
拓也達がビーコマンダーを取り出す。
拓也・大作・舞「「「重甲!!」」」
拓也がブルービートに、大作がジースタッグに、舞がレッドルに重甲した。
ギガロ「馬鹿な!」
シュヴァルツ「昆虫パワーが戻ってる・・・?」
3人のビーファイターが崖の上に飛び上がる。
シュヴァツル「なんで・・・?」
ブルービート「ブルービート!」
ジースタッグ「ジースタッグ!」
レッドル「レッドル!」
ブルービート・ジースタッグ・レッドル「「「重甲ビーファイター!!」」」

グル「復活したか!」
向井「大作と舞、そして拓也も・・・」

ギガロ「ガオーム様の前に立ちふさがるものはこのギガロが許さん!」
シュヴァルツ「貴様らの昆虫パワー、もう一度吸ってやる!」
ギガロ「行くぞ!」
ジースタッグがシュヴァルツに飛びかかり、スティンガークローで吸収装置の先端を砕いた。
シュヴァルツ「装置が!」
そこからジースタックは、シュヴァルツの顔面をつかみ、地面に叩き付けてから強引に起こした。
ジースタッグ「レッドル!」
レッドル「ビームモード!」
ジースタッグがシュヴァルツを後ろ向きにした所を、レッドルがインプットマグナムで撃った。

ブルービート「パルセイバー!」
ブルービートはパルセイバーでファイナルギガロを切りつけるも、反撃されてしまう。

ガオーム「倒せ!虫ケラどもを!」

ジースタッグ、レッドルとシュヴァルツは互角に戦っていた。
シュヴァルツ「ちぃ!ジャマールホールなどもう当てにせん!
何がセントパピリアだ!メカの俺なんか生まれた時から永遠の命よ!見よ!」
シュヴァルツは頭だけを残して、胴体を収納し、新たに戦車型の体を展開した。
シュヴァルツ「シュヴァルツバトルモード!シュヴァルツタンク!あ、けんざ~ん!」
レッドル「うそ・・・」
シュヴァルツ「新しい世界の誕生だ!俺がメカ帝国の帝王となるのだ。生き物は一匹残らず消してやる」
シュヴァルツタンクがジースタッグとレッドルに向かっていき、2人は飛び退く。
シュヴァルツ「死ね!」
シュヴァルツタンクが2人を狙って、武器を乱射する。

ファイナルギガロはブルービートを圧倒し、踏みつけていた。
ギガロ「ガオーム様に刃向かう者はこのギガロが地獄送りにしてやる!」
ブルービート「どうしてそこまでガオームに忠誠を尽くす!」
ギガロ「それが俺の生き方だからよ。ただひたすら尽くし抜く!」


何処かの海岸でシェラとシャドーが相対する。
シェラ「貴様の首を取るまで私はジャマールに帰れんのだ!」
シャドー「まだ分からないのか!お前達三幹部はガオームに騙されているんだぞ」
ジェラ「黙れ!」
シェラがシャドーを攻撃し、シャドーがブラックビートに邪甲した。
ブラックビート「ジェラ、奴の体が揺らぐのをお前も見ただろう。奴の寿命は尽きようとしている、この俺同様!」
ジェラ「そんな事信じられるか!」
ブラックビート「奴はセントパピリアで永遠の命を得る事しか考えてない。お前達三幹部もその為の道具、ただの捨て駒なんだ!
ジェラ「裏切り者の言葉など誰が信じる!」
ジェラの頭上をビートマシン・レッドジャイロが飛んでいった。
シェラ「ビートマシン!ま、まさかギガロ達に何か!?」

レッドジャイロにレッドルが乗り込み、
ジースタッグもビートマシン・スタッガータンクに乗り込んだ。
シュヴァルツ「倒せると思うか!この永遠の命を持つシュヴァルツ様を!」
シュヴァルツタンクがレッドジャイロを砲撃する。
レッドル「やるわね、今度はこちらからよ。レッドバルサー!」
レッドジャイロのレッドバルサーの連射をシュヴァルタンクは物ともしない。
ジースタッグ「今度は俺の番だ!スタッグバスター!」
スタッガータンクがスタッグバスターを撃つも、やはりシュヴァルツタンクには通じない。
シュヴァルツ「俺は死なない!メカは永遠よ!」
シュヴァルツタンクがビートマシンへ武器を撃ち返す。
ジースタッグ「何という執念・・・レッドル、アタックフォーメーションだ!」
レッドル「OK!」
レッドジャイロとスタッガータンクが合体し、飛び上がる。
シュヴァルツ「な!?」
ジースタッグ・レッドル「「ファイヤークラッシュ!!」
2体のビートマシンから放たれたビームがシュヴァルツタンクに直撃した。
シュヴァルツ「お・・・俺は永遠なのだぁ!!」
シュヴァルツタンクが大爆発した。
ギガロ「シュヴァルツ!」
ジェラ「・・・シュヴァルツ!!」
ジェラとブラックビートも戦場に来た。

ギガロ「おのれ虫ケラどもめ!今こそガオーム様の為に命を懸けても貴様らを倒す!」
ブラックビート「ふ、ふふふふ・・・ガオームの為、命を懸けるとは愚か者が!」
ジェラ「まだ言うか貴様!」

ブルービート「ギガロ、勝負だ!」
ブルービートがビートイングラムを構え、スーパーブルービートへと強化変身する。
スーパーブルービート「メタルフォーゼ!」
更に、パルセイバーをビートイングラムに合体させ、ファイナルモードに変形させる。
スーパーブルービート「パルセイバー合体!ビートイングラムファイナルモード!」
ギガロ「行くぞ!」
ファイナルギガロがスーパーブルービートへ向かっていく。
ガオーム「ギガロ!貴様の忠誠心、今こそ見せてみよ!」
ギガロ「ガオーム様必ずや!」
スーパーブルービート「スーパーファイナルブロー!!」
最強技・スーパーファイナルブローがファイナルギガロに炸裂し、
フィアナルギガロは倒れ、大爆発した。

ジェラ「ギガロ!」
だが、爆発の中からファイナルギガロが立ち上がってきた。
ビーファイター「「「な・・・」」」
ギガロ「まだまだ・・・貴様らを倒すまで俺は死なん!俺は死なん・・・」
そこへ、ジャマール要塞が来た。
ジェラ「見ろ!ガオーム様は我ら部下を見捨てはしない!」
ブラックビート「フン、そうかね?」

ガオーム「ギガロ!貴様の忠誠心とくと見せてもらった、その命大いに役立たせてくれるわ!」
ジャマール要塞がファイナルギガロからエネルギーを吸収していった。
ギガロ「ぬお!?あぁぁ・・・・」
ファイナルギガロが倒れた。
ジースタッグ「何だ今!?」
ファイナルギガロが、元のギガロ、更に前身であるガロ次元の生物の姿に戻り、
そして骨だけになった。
スーパーブルービート「吸い取ったんだ・・・ギガロから生命エネルギーを」
レッドル「自分の部下から命まで!?」
ジースタッグ「ジャマールホールを作る為に使う為か・・・?」
ジェラ「ば、バカな・・・」
ジェラがその場から離れた後、ギガロの骨も風化、消滅した。
スーパーブルービート「むごい・・・何と卑劣な奴だ、ガオーム!」

ジェラとブラックビートは海岸に戻った。
ジェラ「そんな・・・己の体を改造してまで尽くし抜いたあのギカロから・・・」
ブラックビート「仲間の命だろうと利用し尽くす。それがガオームなんだ!」
「ぬ!?ああぁ・・・」
ブラックビートが苦しみ、シャドーに戻って膝を付いた。
ジェラ「貴様の望みは・・・?」
シャドー「セントパピリア・・・永遠の命を得て、光であるブルービートを葬る事・・・!」
ジェラがシャドーに手を差し出した。
シェラ「力を貸そう。ガオームを見限ったこのジェラが今、この時よりお前に」
シャドー「ジェラ・・・」
シャドーはジェラの手を取った。

拓也達三人の元に、向井博士と老師グルが来た。
向井「おーい、大作、舞―」
拓也「博士」
グル「見事蘇ったな、拓也」
拓也「グル、博士、ご心配をおかけしました」
向井「ビーファイターのリーダー、甲斐拓也。これからもよろしく頼むぞ」
拓也「はい!」
そこにガオームの声が響いた。
ガオーム「ふっふふふ、束の間の喜びに酔え!
ギガロの生命エネルギーを得た今、ジャマールホール完成に必要なエネルギーは100%揃ったわ!楽しみに待て!ジャマールホールの出現後、地球が飲み込まれるその時を!ふははは・・・」

大作「俺達は負けない!」
舞「希望は捨てない」
拓也「それがどんな驚異であろうと、命を我が物顔で操る貴様の企て、俺達ビーファイターが必ず叩きつぶす!」

戦士達が蘇ったその日、遂に歯車が回った。
破滅か、勝利か。地球の運命を決める巨大な歯車が!



つづく

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最終更新:2024年07月14日 12:08