周囲から信頼を得るためにショウという一般人同然の男を引き込めたのは幸いだ。戦闘ならば自分一人でどうにでもなるという確固たる自信かあるゆえに。
しかしこんな無能極まりないスキルを運営が与えたことだけがTASの脳裏に引っ掛かっていた。
何かこのスキルに裏があるのではないか?
そうじゃなければ流石のTASでも失笑し、嘲笑えてしまう。
御大層な勇者のアバターで、能力は勇気を出すだけ。こんなアホ臭い話がどこにあるというのか
何かこのスキルに裏があるのではないか?
そうじゃなければ流石のTASでも失笑し、嘲笑えてしまう。
御大層な勇者のアバターで、能力は勇気を出すだけ。こんなアホ臭い話がどこにあるというのか
そして内心で見下していることは、不覚にも態度に出ていた。
相手は所詮、ハズレスキル。何らかな特殊効果がある気もするが、それなら本人は多少なりとも自覚していてもおかしくない
相手は所詮、ハズレスキル。何らかな特殊効果がある気もするが、それなら本人は多少なりとも自覚していてもおかしくない
そしてTASの相手を見下すような態度に対して、ショウは苛立ちを覚えていた。
圧倒的に格上で勝ち目がないのもまた苛つく。
せっかく勇気を得て、勇者になれると思ったのに、明らかに足手まとい扱いされてるのも。
圧倒的に格上で勝ち目がないのもまた苛つく。
せっかく勇気を得て、勇者になれると思ったのに、明らかに足手まとい扱いされてるのも。
思えばTASはショウに出会ってから、上から目線のような態度ばかりだった。
最強たるTASは上司以外にはその態度が当然なのだが、そんなこと知らないショウは今更イラついてきた。
最強たるTASは上司以外にはその態度が当然なのだが、そんなこと知らないショウは今更イラついてきた。
こいつの態度は、なんというか会社の嫌な上司を思い出す
高圧的でなんでもそつなくこなす、絵に描いたような完璧超人。
自分より年下なのに上から目線で、そんな上司にイラついてストレスを溜める日々。
完璧超人であるがゆえに人望も厚く、どんな命令にも嫌だと背けない。最近はそいつのせいで胃がストレスで痛い。
高圧的でなんでもそつなくこなす、絵に描いたような完璧超人。
自分より年下なのに上から目線で、そんな上司にイラついてストレスを溜める日々。
完璧超人であるがゆえに人望も厚く、どんな命令にも嫌だと背けない。最近はそいつのせいで胃がストレスで痛い。
だからそういう嫌なことを断りたいと思ってたのに。
だから勇気の出るスキルを手に入れたのにハズレスキル扱いされた挙げ句、TASの態度は嫌な上司を思い出して妙に苛つく。
だか勇気が出てる今でも、こいつに逆らえる気がしない。ショウは結局、この世界でも勇者になれない。
それどころかブラック企業で酷使されていることを思い出す始末だ。
だから勇気の出るスキルを手に入れたのにハズレスキル扱いされた挙げ句、TASの態度は嫌な上司を思い出して妙に苛つく。
だか勇気が出てる今でも、こいつに逆らえる気がしない。ショウは結局、この世界でも勇者になれない。
それどころかブラック企業で酷使されていることを思い出す始末だ。
TASは間違いなく強者だし、守ってもらえば生き残れるかもしれないが――本当にそれでいいのか?
こんな露骨に見下されて、ハズレスキルだなんて罵られて。
ショウが雑魚だと考えたTASは、きっといつかピンチの時にショウを囮にして逃げることだろう。それくらいしか使い道がないだろうというネガティブな考えが思い浮かび、胃が痛くなる
ショウが雑魚だと考えたTASは、きっといつかピンチの時にショウを囮にして逃げることだろう。それくらいしか使い道がないだろうというネガティブな考えが思い浮かび、胃が痛くなる
「どうした?何かあったのか?」
TASが無機質な声を掛けてくるが、それかまたストレスに拍車を掛ける。
こいつは絶対、自分のことを心配していない。そんな無機質極まりない声だ。
こいつは絶対、自分のことを心配していない。そんな無機質極まりない声だ。
きっといつか囮に使えればとか、そんなこと考えてるのだろう。TASの創造武具はチートだが、更にそれを上回るチートがいるかもしれない。
しかもこいつの態度には、イライラする。はっきり言って不快だ。
TASは完璧超人と言えども、所詮は人間。ショウを見下している雰囲気が自然と漏れ出てしまう。
しかもこいつの態度には、イライラする。はっきり言って不快だ。
TASは完璧超人と言えども、所詮は人間。ショウを見下している雰囲気が自然と漏れ出てしまう。
(くそっ!俺はこの世界でも勇者どころかブラック企業の社畜なのかよ!?)
「ここまで露骨なハズレスキルを与えるのは、何かがおかしい。その勇者服に、何か副次的な効果がありそうだ。俺が確認するから、その勇者服を脱げ」
何だよ、そのふざけた言い方は。
こいつは、俺から勇者の服まで一時的に寄越せっていうのかよ。
こいつは、俺から勇者の服まで一時的に寄越せっていうのかよ。
「……ざ、けんなよ」
あぁ――――もう我慢の限界だ。
イライラする。胃がキリキリする。ストレスで今にもはち切れそうだ。
せっかく勇気が出るスキルをもらったのに苛つく上司を思い出すようなやつの言いなりなんて――もう、うんざりだ。
イライラする。胃がキリキリする。ストレスで今にもはち切れそうだ。
せっかく勇気が出るスキルをもらったのに苛つく上司を思い出すようなやつの言いなりなんて――もう、うんざりだ。
俺にもっと勇気があれば――。
何が勇気が出るスキルだよ。何も出来ないじゃねえか!
何が勇気が出るスキルだよ。何も出来ないじゃねえか!
「ふざけんなよ!俺はお前の奴隷じゃねえ!」
そして怒りが臨界点に突破した時――勇気は蛮勇へと変わる。
怒号を上げたショウがショートソードを構え、真直前に疾走る。
しかしそれはなんとも愚直で、素人染みた動き。TASほどの猛者なれば、対処は容易い。
しかしそれはなんとも愚直で、素人染みた動き。TASほどの猛者なれば、対処は容易い。
「ぐはって……!」
しかし大地に無様に転がり、土手っ腹から血を流しているのはTASだった。
スキルや創造武具とは、想いの力。
合理主義の極みであるTASにとっては相性の悪いものだ。
そして技術がいくら強かろうとも蛮勇という勇気に目覚めたショウには、スペックで劣る。
蛮勇とは理非を考えず、むやみやたらに発揮する勇気。向こう見ずの勇気だ。
そんな勇気を発揮したショウの身体能力は必然的に上がる。
これが合理主義だとか、無感情のようにも近い――まるで完成されたロボットのようなTASじゃなければ対抗できたかもしれない。
スキルや創造武具とは、想いの力。
合理主義の極みであるTASにとっては相性の悪いものだ。
そして技術がいくら強かろうとも蛮勇という勇気に目覚めたショウには、スペックで劣る。
蛮勇とは理非を考えず、むやみやたらに発揮する勇気。向こう見ずの勇気だ。
そんな勇気を発揮したショウの身体能力は必然的に上がる。
これが合理主義だとか、無感情のようにも近い――まるで完成されたロボットのようなTASじゃなければ対抗できたかもしれない。
しかしTASは合理主義であるがゆえに創造武具の真価を発揮出来ず、負けてしまった。
運営はTASがチート染みたプレイヤーだとわかっているのに参加出来たのは、そういうことだ。
どれだけ技術や経験がチートでも、運営から与えれたシステムを万全に発揮されたら負けるようになっているのだ。そうじゃなければゲームバランス崩壊もいいとこだろう。
運営はTASがチート染みたプレイヤーだとわかっているのに参加出来たのは、そういうことだ。
どれだけ技術や経験がチートでも、運営から与えれたシステムを万全に発揮されたら負けるようになっているのだ。そうじゃなければゲームバランス崩壊もいいとこだろう。
そしてショウのスキルも決してハズレスキルではない。勇気にも、種類がある。蛮勇を発揮したがゆえにショウはTASの身体能力を超えたのだ。それにここはVRC。現実でいくら身体能力が高かろうが、アバターのスペックには関係ない。
「が、は!」
TASが口から血を這い出し、だらりと手の力が抜ける。
ショウが殺したのだ。
ショウが殺したのだ。
一瞬だけ蛮勇を発揮したショウだが、目の前にはTASの死体
しかも自分が蛮勇の力でTASを殺した瞬間を。感触を、鮮明に覚えてる
そして手にしたショートソードには血がべっとりとこびりついていた
しかも自分が蛮勇の力でTASを殺した瞬間を。感触を、鮮明に覚えてる
そして手にしたショートソードには血がべっとりとこびりついていた
「う、わあああああ!!」
人を殺してしまった。
そんな罪悪感ニ駆られ、ショウは叫ぶ
だがそんなことをしても、命は戻らない。ショウはTASを殺したのだ
そんな罪悪感ニ駆られ、ショウは叫ぶ
だがそんなことをしても、命は戻らない。ショウはTASを殺したのだ
過度なストレスにより自身のスキルに振り回され、血塗れのショートソードを手にした勇者は果たしてどんな行動を取るのだろうか――
【T.A.S 死亡】
【H-4/一日目/早朝】
※TASの死体が放置サれてます
※TASの死体が放置サれてます
【ショウ】
[状態]:健康、疲労(中)、精神的疲労(極大)、後悔、混乱
[装備]:レグルス@スキル、血塗れのショートソード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに反抗するはずだったが……
1:俺はこれからどうしたらいいんだ……
[備考]
T.A.Sからマキシムとエクスキューショナーの情報を得ました。
※T.A.Sの創造武具を知りました
※蛮勇を発揮するとスペックが上昇しますが、向こう見ずの勇気なので防御力は下がります。現段階では任意では発動出来ません
[状態]:健康、疲労(中)、精神的疲労(極大)、後悔、混乱
[装備]:レグルス@スキル、血塗れのショートソード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに反抗するはずだったが……
1:俺はこれからどうしたらいいんだ……
[備考]
T.A.Sからマキシムとエクスキューショナーの情報を得ました。
※T.A.Sの創造武具を知りました
※蛮勇を発揮するとスペックが上昇しますが、向こう見ずの勇気なので防御力は下がります。現段階では任意では発動出来ません
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040:ティアドロップーだからタチバナは雫を垂れ流し、仔猫は密かに決意するー | 投下順 | 042:その恋は、麻薬 |
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ハズレスキル | T.A.S | GAME OVER |
ハズレスキル | ショウ |