オリスタ @ wiki

第05話『魔女狩り(The Crimson Rains)』その②

最終更新:

orisuta

- view
だれでも歓迎! 編集


 
~尋問室 AM8:53~

ガチャリ

男「やあ、座ってくれ」

調査員に連れられ、尋問室に入る未来。尋問室では肩に『フクロウ』を乗せた男・・・
『内部捜査官』が待ち構える。

未来「・・・・・・」

尋問室には、机とそれを挟むように椅子が2つ。刑事ドラマでよく見るような取調べ室と同じ内装であった。
この部屋は防音になってるらしく、マジックミラーらしきものも見つからない。
内部の会話は外には漏れないようにできていた。

男「『倉井 未来』くん・・・これからいくつか質問をする。これは忠告だが
  『ウソ』だけはつかないほうがいい。君のためだ」

未来「その肩に乗っているのは・・・?」

男「ああ、これはペットみたいなものさ。気にしないでくれ」

未来(『ペット』だって・・・?明らかに『スタンド』じゃあないか・・・)

男「私は『検事』だ。敏腕のな。人の『ウソ』を見抜くのなんか爪を切るより簡単だよ。」

検事「君の前の・・・『福野』?だっけか。彼はすごく正直だった。
   君も正直に答えてくれれば数分で終わる。協力してくれ。・・・では最初の質問」

検事「君は『スタンド使い』か?」
 
 
 




~アジト・地下駐車場 AM8:59~

ブシャアアアアアアアアアア!!!

熱を感知したのか煙かは知らないが、スプリンクラーが噴出していた。丈二が作動させたのだ。
放出される水はスプリンクラーに塗りつけられた塗料と混じりあい、『赤い水』となってひたすら一帯を濡らしていた。
膝までかかる『黒のトレンチコート』が赤く湿るのに注意を向けていた隙、琢磨は丈二の姿を見失った。

琢磨(くそ・・・どこ行きやがった?)

・・・・ヌッ

琢磨の後方の『赤い水溜り』から丈二の腕が現れる。『拳銃』を握っていた。

ビュン!

バスッ!
琢磨「あが・・・ッ!」

正確に敵の肩を撃ち抜いたその腕は、敵が振り返ると同時に水溜りへ消えていった。

琢磨「ぐぅぅ・・・ッ!クソが!隠れてねえで出てきたらどうだ!」

琢磨(『水』の中に出入り・・・いや、『ペンキ』を塗っていたから、おそらく『赤色』に出入りする能力!
   マズいぞ・・・ヤツは拳銃に『サイレンサー』を付けていた)

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

琢磨(ほとんど発砲音が聞こえない・・・この『駐車場』、条件が悪すぎる!)

『アークティック・モンキーズ』は万能ではない。『赤』に潜っていられるのにも時間がある。
『赤』の中では呼吸ができないため、定期的に息継ぎのため外へ出ないといけなかった。
しかしここは駐車場・・・『車』の陰でひっそりと息継ぎを行える、絶好のポイントだった。

・・・・ヌッ
丈二「スー、ハー、スー、ハー」
丈二(心配しなくていい、すぐに楽にしてやるよ・・・)ドプン
 
 
 




スプリンクラーが破壊され、やがて『赤い雨』が降り止むと、いよいよ駐車場は完全な静寂に包まれた。

・・・ピチャン

琢磨(わずかな『水の音』を聞き逃すな・・・弾丸くらい、ガードできないわけじゃない)

・・・ヌッ
ピチャッ

琢磨(きたッ!また後ろッ!)

ビュンッ!

琢磨「『シックス・フィート・アンダー』!」ドバァァァン!
S・F・U『・・・・・・・・・・・』チュイン!

『シックス・フィート・アンダー』が弾丸を弾く。弾かれた弾丸は発砲地点の目の前に向かって跳ねた。

琢磨「よ、よし!」

丈二(くそ、やべえ跳ね返してきやがった!)

琢磨(今のは咄嗟にだった・・・だが注意深く構えれば、腕に当てることも可能・・・!)

琢磨「・・・・・・・!(どこから撃って来る!?)」キョロキョロ

丈二(次は『お前の前方、レクサスのフロント』!そこから頭をぶち抜いてやる)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

2人が攻防を繰り広げている場所から30m後方、一台の乗用車が駐車場へやってきた。
銀行員だ。その銀行員はちょっぴり遅めに出勤し、普段通り駐車場に車を止める予定でいた。
場内の異変には気付かない。

銀行員「~♪」


・・・・ヌッ

琢磨「!!」

丈二「オラァッ!」ビュンッ!

琢磨(前か!)「弾け!『シックス・フィート・アンダー』!」
S・F・U『・・・・・・』バシッ

丈二(クソ!また弾かれたッ!)

『シックス・フィート・アンダー』が再び拳を弾丸に当てる。だが先ほどのように上手く弾き返すことはできず、
軌道をわずかに逸らし、後方へ受け流すことしかできなかった。
 
 
 




・・・ビュウウウウウン

銀行員「~♪」

バスッ!
銀行員「あがッ」

受け流された弾丸は、停車地を求め場内を進んでいた車のフロントガラスを通過して運転手の脳天を貫いた。
フロントガラスが真っ赤に染まり、運転手がグッタリと頭を倒す。

琢磨「!! な、なにィ~ッ」

銀行員「・・・・・・・・」ダラダラ

タタタタタタタ・・・
琢磨「ダメだ即死だ・・・こいつは『組織』の人間じゃない。マズイぞ、一般人を巻き込んじまった」

丈二(・・・?なんだ、アイツ何してる・・・?)

琢磨「仕方ねえな・・・どうせ死んじまったんだ。体借りるよ」
琢磨「『シックス・フィート・アンダー』!突き刺せ!」

ドスドスッ!

『スタンド』が槍を死体に突き刺す。やがて死体はひくひくと動き、ついにはガラスを突き破って走り出した。

ゾンビ「ウガァァァァァァァッ!!」

琢磨「無駄に腐らせるよりいいよな?丈二を探し出せッ!」

丈二(『ゾンビ』・・・!またやりやがったか!)

ゾンビは一直線に丈二へ向かう。かすかな呼吸の音を聞き分けているのか、新鮮な肉のにおいを感じ取ったのか・・・
車の陰に潜む丈二を見つけると、その車を持ち上げ、投げ飛ばした。

ドゴオオオオオオン!

丈二(な、なんて怪力・・・!ありえねえッ!)

ゾンビ「ガァァァッ!」シュバッ!

丈二「うおッ」スパァッ

ドプン!

丈二(あ、あぶねえ・・・ギリギリ潜り込めたが・・・喰らってたらヤバかった)ツー・・・

ゾンビ「? ?! ガァァァァァッ??」キョロキョロ

琢磨「チ・・・また潜りやがったか」
 
 
 




ゾンビ「クンクン・・・ガァァァァッ」タタタタ・・・

琢磨「だが・・・ゾンビは『お前が何処から出てくるか』わかるみたいだぜ?
   お前が移動するのを追っている・・・既に」

丈二(ここだッ!脳みそぶちまけやがれッ!)バッ!

丈二「オラァッ!」

ガシィッ!

琢磨「掴んだ!」

丈二「!? な、コイツ・・・!俺の腕が出る場所を・・・!」ギリギリ・・・

ゾンビ「ガァァァァァァァァ」ギリギリギリギリ

丈二「うおおおおおおおおおおおお」メシメシメシメシッ
丈二「あ、『アークティック・モンキーズ』ッ!吹き飛ばせええええッ!」

A・モンキーズ『ムヒーッ!』バシュバシュバシュ!

ドガドガドガ
ゾンビ「グ・・・」ギリギリギリギリギリ・・・

丈二(ダメだ、放さねえ!ラッシュを叩き込んだのに・・・こいつタフだ!)

ダッ!
琢磨「よーし放すなよ!俺が直接首を掻っ捌いてやるぜ!」

丈二(コイツは吹き飛ばない・・・だが・・・!)

丈二「『車』なら簡単に吹き飛ばせるぞ!『アークティック・モンキーズ』ッ!」

A・モンキーズ『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』
ドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガッ!

『アークティック・モンキーズ』が近場の乗用車に向けラッシュを繰り出す。
ふわりと持ち上がった車は、向かってくる琢磨へバレーのスパイクのように飛び出した。

ゴオオオオオオオッ!

琢磨「悪あがきをッ!『シックス・フィート・アンダー』、車を弾けッ!」
S・F・U『オオオオオオオオオオオオッ!』
ドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガァッ!
 
 
 




『シックス・フィート・アンダー』が迫りくる巨大な鉄塊にラッシュを入れる。
押し潰されず、ギリギリのところで回避に成功した。

琢磨「よしッ!これで終わりだな!喰らえ丈二ッ!」

琢磨が自身の『スタンド』を車の陰からはみ出た人影に向け、繰り出す。
『チーム』のメンバーは全員、任務時に『黒いトレンチコート』を着用する。5人全員同じやつだ。
だから琢磨は『黒いトレンチコート』を着た人影に『スタンド』の攻撃を仕掛けた。

バキィッ!

琢磨「・・・! な、なに・・・これは・・・!」

ゾンビ「ガァァァァァァ・・・・」

琢磨(ゾンビ・・・!俺はゾンビに攻撃を・・・!)

琢磨がゾンビに向け『スタンド』を繰り出したそのとき、後方から丈二の腕が出現した。

・・・・ヌッ
丈二「ゾンビに『コート』を着せておいた。動けないよう『下半身』だけ『赤』の中に入れてな。」カチャリ

琢磨(『赤色』の中・・・自分以外のものも入れることができるのか・・・ッ!)

丈二「こんな至近距離ならよォー流石に弾けないよな?しかも前方に向かって『スタンド』を出しちまってる。
   『スタンド』を戻して防御する時間はねえよ」

琢磨(バカな・・・『城嶋 丈二』・・・!こんなヤツに・・・・・・『裏切り者』に)

ドビュンッ!ドビュン!

琢磨「・・・・・・・・」ブシャァァ・・・

ドサッ

丈二「・・・・・・・」
 
 
 
 スタンド:シックス・フィート・アンダー 
 本体:桐本 琢磨
 頭を2発撃ち抜かれ、死亡。







~アジト・阿部の私室 AM9:10~

バターン!
丈二「阿部さん!いるか!?」

阿部「なんだ、丈二。ノックもせずに。ノックしてもしもぉ~しは常識だぞ」

丈二「琢磨だ」

阿部「なんだって?」

丈二「アイツが外に出てくのを見た。外出は禁止じゃなかったのか?」

阿部「禁止だが・・・それは本当か?」

丈二「間違いない。もしかして『裏切り者』はアイツなんじゃないか?行動が不自然だ」

阿部「しかし、確証がない。それだけで決め付けるのは・・・」

丈二「とにかく俺はそれを伝えたかっただけだ。そろそろ『尋問』の時間だし、戻るよ」

バターン

阿部(・・・・・・琢磨だって・・・?まさか彼が・・・・・・?)
 
 
 




~尋問室 AM9:15~

調査員「失礼。入る前に、持ち物をチェックさせてもらいます。何かあるとアレなので」

丈二「・・・ああ、どうぞ」

パンパン サワサワ
丈二「手つきがやらしいぜ。変態か?」

調査員「・・・これは?」

丈二「『ペンキ』だよ、仕事で使うんで持ち歩くようにしてる。もういいか?」

調査員「ええ、お入りください」

ガチャッ

検事「来たな、どうぞ座ってくれ」

丈二「悪いがそんな時間はない」

そう言うと、丈二は『ペンキ』の缶を開け壁に『ペンキ』を塗り始めた。

検事「なにしてるんだ?」

丈二「部屋の外に調査員がいたろ?持ち物チェックがあることはわかってたよ。
   引っ掛かるとヤバイから置いてきたんだ。『赤』の中に」

ズボッ・・・

検事「!」

丈二「銃をな」

ビュンッ!!

バスッ
検事「ぐあああああああああ!」

壁の『赤』から『サイレンサー付き拳銃』を取りだした丈二は、それを検事の膝に向け発砲した。

丈二「やめてくれ。ここは防音なんだろうが、絶叫なんて聞きたくない。
   頭をぶち抜かれたくないなら、今から言う事を黙って聞いてほしい。いいか?」カチャ・・・

検事「ぐ・・・ッ、この・・・!『ファクト・アンド・フィクション』ッ!」

F&F『ポォォォウ!マジクレイジーダゼ、コイツハッ!』

検事「う、うるさいぞ!黙ってこいつを攻撃しろッ!」

F&F『ワカッタ、ワカッタ。オコンナッテ。ポォォ・・・《ドゴォッ!!》

F&F『アグアッ!』
検事「ぐふ・・・・・・うッ!」ドピッ
 
 
 




A・モンキーズ『ムヒーッ!』
丈二「『アークティック・モンキーズ』・・・!遅すぎるよ、あんたのフクロウ。
   どうせ『嘘を見抜く』だとか、そういう能力の『スタンド』なんだろ?バトルは苦手か」

F&F『イテテ・・・ワリイナ、コイツパンチスゲーハエーンダモン。ムリムリ』
検事「く・・・・・・」

丈二「いいか?この携帯で阿部に電話して欲しいんだ。『裏切り者を見つけた』と言ってくれ。
   名前は『桐本 琢磨』。『外に逃げた可能性もある』とかなんとか言っとけば大丈夫だ」ポイッ

検事「・・・・・・」

丈二「あと2秒以内にその携帯に手を伸ばさなかったら頭を撃ち抜く」

検事「・・・・・・」スッ・・・

ピ、ピッ、ピッ

プルルルルル・・・・

丈二「・・・・・・」

検事「・・・私だ。裏切り者を見つけた。・・・『桐本 琢磨』・・・だ。
   外に逃げたかもしれない。」

検事「・・・ああ、わかった」・・・プッ

丈二「ありがとう。これで館内にいるウザったい調査員どもは外へ消えるハズだ。琢磨を探しにな。
   アイツならトランクの中でギュウギュウ詰めにされてるというのに・・・」

検事「・・・こんなことしてどうなるかわかってるのか?『組織』をナメてるのかッ!」

丈二「悪いがこっちも必死なんでね。助かったよ、もう用はない。殺しはしないけど―――」

ガンッ!

検事「うっ」

丈二「少しの間寝ててくれ」

丈二は壁の『赤』に気絶した検事を押し込むと、何事もなかったように尋問室を後にした。
 
 
 




~アジト・屋上 AM9:23~

丈二「きたな」

丈二の眼下にて、地下駐車場から出て車道に進入するタイミングを伺う一台の車・・・
リーダー・阿部の車だ。車高の高いフォードが彼の愛車である。
先ほどの地下駐車場での戦闘で、丈二は車の屋根にパンチでわずかな凹みを入れていた。
スプリンクラーにて降らせた『赤い雨』・・・その水を屋根に溜めて置かせるためである。

丈二(『外出禁止令』を出すってことは・・・『ナイフ』を狙う人間を『外に出したくない』ってことだ。
   つまり『ナイフ』はこのビルの中にはない。隠し場所は他所にある!)

丈二「そしてそこへ俺を導くのはアンタだ。阿部」

タッ!

丈二は、ビルの屋上から飛び降りた。真下のフォードの、屋根に溜まった『赤い水』に向かって。

ゴォォォォォォォォォッ!!!

丈二「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

ドプンッ!

丈二(・・・・・・・)

阿部「・・・・・・」ブロロロロン・・・

阿部は気付かない。上から『スパイ』が降って来たこと、その『スパイ』が自分の運転する車に侵入したこと。
そして『スパイ』を『ナイフ』の元へ運ぶのは、リーダーである自分自身だということに・・・・・・

丈二(成功だ。このまま運んでもらうぜ・・・・・・!)

ブロロロロロロロン・・・・・・・




第5話 終了


使用させていただいたスタンド


No.113
【スタンド名】 アークティック・モンキーズ
【本体】 城嶋 丈二
【能力】 赤い色のものに出入りできる

No.81
【スタンド名】 シックス・フィート・アンダー
【本体】 桐本 琢磨
【能力】 死体に6つ穴をあけるとその死体をゾンビにすることができる

No.232
【スタンド名】 ファクト・アンド・フィクション
【本体】 敏腕検事
【能力】 対象者に幾つかの「尋問」を行い、嘘を吐いた者の五感を奪う




< 前へ       一覧へ戻る       次へ >





当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー