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第06話『裏切りと駆け引きの応酬(Taking Over)』その①

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orisuta

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40分ほど走った後、車は街を出て都市郊外に佇む大きな屋敷へ到着した。
400坪はあるだろうか。ガラス張りの玄関正面から、内部の様子が垣間見える。
ソファにもたれ掛かり本を読んでいた若い男が、呼び出し音を聞きつけ玄関口へ向かう。
周りを木々に囲まれたモダン建築の前に車を停めた阿部は、木製の玄関ドアから中に入っていった。

・・・・ヌッ
丈二(なんだ、ここ?誰か住んでるのか?)

ガラス越しにそっと中を覗く。阿部と男がなにやら話し込んでいる。
会話の内容は聞き取れないが、おそらく『ナイフ』についてだろう。
年齢は20代後半ぐらいに見える屋敷の男だが、整った容姿や気品ある振る舞いから深い『知性』が感じ取れた。

やがて二人は、屋敷の奥へと姿を消した。

丈二(『ナイフ』はここにある、絶対に。お邪魔するよ)
・・・・ヌッ

もう一つの『赤ペンキ』缶を開けると、それを壁に塗り付け二人を追い中に入っていった。


~屋敷 某時刻~

・・・スタスタ
丈二(なんだか・・・本当に普通の『家』だ。かなりデカイけど)ベタベタ

帰りに備え、丈二は屋敷内のいたるところに『ペンキ』を塗りつけていく。

丈二(あの男・・・『学者』のように見えた。頭良さげな・・・あいつも『組織』の人間なのか・・・?)

二人を追い屋敷内を歩くうち、地下へ続く階段にたどり着いた。
長い階段を降りた先、これまた長い洞窟が続いていた。

丈二(感じる・・・この洞窟の先に、この先にあるぞ。『ナイフ』が)
 
 
 




~屋敷・地下 某時刻~

洞窟を抜け、真っ白な広い部屋に出る。中央に大きな金庫が一つポツンと置かれている以外何もない
ただただ白いだけの部屋だ。

???「ここまで来る者はいないと思うが・・・」

阿部「念のためです。『裏切り者』がどこまで情報を掴んでいたかわかりません。確認してください。」

???「いいだろう。金庫を開ける。」

男がデジタルキーロックに番号を打ち込み、ダイアルを回して扉を開ける。
『ナイフ』だ。間違いなく『3本』、金庫の中にその姿が見えた。

丈二(今だッ!)ブオオオンッ!

部屋の入口付近、二人の後方にて様子を伺っていた丈二が、『赤カラーボール』を金庫に向かって投げつける。
先ほど自分の車のトランクから持ってきたモノだ。

ビチャッ!

???「!」

阿部「!」

『ボール』が着弾して金庫が赤く染まり、二人が振り返る。

ブワサァッ!

丈二(・・・・・・・!)ズズズズ・・・・

丈二が着ていた『コート』を剥ぎ取り、インナーの『赤いTシャツ』を脱ぐと、その中に入り込む。
直後、金庫の『赤』から腕が生え、『ナイフ』3本を掴むとその腕は再び『赤』の中へ潜り、
入口の『赤Tシャツ』から丈二の全身が飛び出した。一瞬の出来事だった。
『ナイフ』を抱え、半裸のまま丈二は外に向かって駆け出す。

阿部「!! な、な・・・ッ!じ、丈二・・・ッ!」

???「・・・・・・ここまで入り込んでいたのか、逃がすわけにはいかない!追えッ!」

ダッ!
 
 
 




途中、自分が壁に印してきた『赤』を伝って逃走する丈二。
『赤』から『赤』へ。その移動スピードに阿部や男がついてこれるわけもなく、丈二はあっさりと屋敷の外へ脱出した。
阿部のフォードに乗り込み、挿しっぱなしのキーを回す。
追ってきた二人が、屋敷の中から発車寸前のフォードを目撃する。

???「まずい、君の車だ。逃げられるぞ!」

阿部「いいえ、絶対に逃がしませんッ!」

阿部「『マーラ・ザ・ビッグボス』ッ!」

ドバァァァーン!

阿部が自身の『スタンド』の名を叫ぶと、阿部の体が紫色の精神エネルギーに包まれた。
装着型の『スタンド』で、さながら男性器のようにも見える。

丈二(なんだ?あれが阿部の『スタンド』かッ!?)

阿部MTB『うおおおおおおおおおおおおお』

ドビュッ!!!

丈二(何か『飛ばして』きた!『白い液』!!)

ビチャァァァァッ!

ブロォン!
丈二「よし、行くぜ!」

ブロロロロロロロロロロロ・・・・・

阿部「ハァ、ハァ・・・」

???「どうするんだ、阿部くん。『裏切り者』は行ってしまった。君の車でな。
    どうやら君が運んできたらしいな?」

阿部「・・・申し訳ございません。」

???「まあ、いいさ。回収できるんだろ?『ナイフ』は。『裏切り者』を始末して、
    『ナイフ』が戻ってくるなら私に不満はない。」

???「車に『汁』は付いている。・・・すぐに追ってくれ。」

阿部「は!」
 
 
 




~都内某所 某時刻~

ドゴッ!

チャラ男「うがっ」

丈二「悪いな、今日は裸で帰ってくれ。」

丈二(服は調達できた・・・あとはこの『ナイフ』を平田に渡すだけ・・・)

プルルルルルルルルル・・・・
平田『私だ。どうなった?』ガチャッ

丈二「成功だ。3本きっかりあるぜ。」

平田『本当か!やったな、丈二!よかった・・・本当に・・・!
   今どこにいる?こっちに向かっているのか?』

丈二「『ホルマジロ・ビル』の前の通りにいる。ちょっと休憩中だ。これから向かうよ」

平田『いや、いい。私がそっちへ行く。』

丈二「あんたが?直接来るのか?」

平田『一刻も早く実物を手に取りたい。10分ほど待っててくれ。』

丈二「わかった。」

平田『朝から大変な一日だったろう、君には。感謝しているよ』

丈二『・・・・・・ああ』

プツッ

丈二「・・・・・・」

・・・・・・ブロロロロロロロ・・・・・・・

丈二(? 向こうから『車』が一台近づいてくるぞ)

・・・・・・・ブロロロロロロロロロロロロロロ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

丈二(な、なに・・・あ、あいつは・・・・・・ッ!)

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
阿部「・・・・・・」

丈二(つ、突っ込んでくる!こっちに!)

ドゴォォーーーーーーーン!!!
 
 
 




ビリビリビリ・・・
ビル管理者「うわわわ・・・・・・なんだ、なんだ!?うちのビルに車が!」

ガラガラガラ・・・
丈二「いきなりなんだよ。危ねえな」

ガチャ
阿部「よく避けたな丈二。さすがだ」タッ

丈二「なんでここがわかった?」

阿部「『汁』だよ。俺の『スタンド』がお前の・・・まあ元は俺のだが、車に付けた『スタンド汁』。
   あの臭いを辿ってきたんだ。『スタンド使い』にしかあの臭いはわからない。」

丈二「道理で。すげえ臭いがすると思ったよ。イカみてえな」

阿部「誰に雇われてるんだ?『ナイフ』を返せ」

丈二「それは無理だ。俺には俺の仕事がある」

阿部「残念だ。君の事は好きだった。優秀な人間だと思っていたのに・・・・・・」

タタタタタタ・・・
ビル管理者「こ、こらー!あんたかこの車突っ込ませたのは!」

阿部「どいてろジイさん。違うモン突っ込まれたいか?」

ビル管理者「な、なにを・・・・ 《ドスッ!》

ビル管理者「うぐっ」ブシャー

ドサッ

管理者の腹に、刃の長い『バタフライナイフ』が刺し込まれる。
『ナイフ』を引き抜かれ、傷口から勢いよく血を噴出したジイさんはその場に倒れこんだ。

丈二「!」

阿部「『裏切り者』は許してはおけないな。目玉くり抜いて耳を剥いでさらし首だ」
 
 
 
 



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