vs黒い剣士~魔法少女と正義の味方(?)

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vs黒い剣士~魔法少女と正義の味方(?)◆UOJEIq.Rys


「やっ……!!」

 轟ッ、と奔る白い刃を、物理保護壁を張って阻む。
 だが、五芒星の魔力結晶は、膨大な魔力を纏った一撃の前に容易く破られた。
 そこに迫るもう一振りの黒い刃。

『いっっ…………!!』

 杖を盾にして辛うじて防ぐ。その衝撃に大きく弾き飛ばされる。
 傷こそついていないが、ルビーが悲鳴を上げる。

「この……ッ! 斬撃(シュナイデン)!!」

 弾かれ開いた距離を利用し、魔力を薄く鋭く刃のように研ぎ澄まし放出する。
 だがその刃は、黒い剣士の周囲に現れた黒い魔力の霧に阻まれる。

「――――――」

 返すように同質の魔力斬撃が放たれる。しかも左右二つずつ、合わせて四連。
 その威力、精度、魔力密度の全てがこちらを上回っている。
 それを転げまわる様に回避する。

「ッ――――――!」

 だが回避しきる事は敵わず、最後の一つを障壁を張って防ぐ。
 肩に鋭い痛み。やはり障壁を超えて斬られた。

「いっ……! やっぱり、強い……!」
『いやー、当然と言えば当然ですけどね。しかもこっちは弱体化してますし』
「わかってたけどね!!」
『あちらさんも参加者扱いなのか、エクスカリバーを持ってませんので一撃必殺はありませんが、それでもすでに詰んでますねー』
「うう………」

 ルビーの諦め感が漂う言葉に反論できず、涙目で小さく唸る。
 そうやってちょっとしたコントをやっている間にも、黒い剣士は無言でこちらへと歩いてくる。
 その両手に握られた白と黒の双剣――干将と莫邪には黒い魔力が渦巻き、いつでも斬撃を放てる状態にある。
 こっちが何かすれば、いつでもその魔力を解き放つだろう。

『ここが鏡面界なら離界(ジャンプ)して逃げるんですけど、どうも違うみたいですし。
 どちらかと言えば、以前別世界の魔法少女と出会った世界に近いでしょうか』
「そんな事は今はどうでもいい! それよりルビーこの状況どうにか出来ないの!?」
『あー……。クラスカードもないですし、せいぜい接近戦にならないよう気を付けてくださいとしか言えませんねー。
 上手く時間を稼げば、正義の味方が助けに来てくれるかもしれませんよ?』
 諦め感が漂うどころじゃない。完全に諦めてた。

 事実。黒い剣士――セイバーとの覆せない圧倒的な能力差を前に、白い少女――イリヤに出来る事は、殺されるその瞬間まで逃げ惑う事だけだった。


「ルビー―――ッッ!!!」
『ほらほら。早く逃げないと追いつかれちゃいますよ?』
「………………ッ!?」

 ルビーの言葉に咄嗟に振り返れば、黒い剣士はもう十メートル程の距離にまで近づいていた。

「く……! 一体どうすれば………!」

 砲撃は無駄。斬撃も効かない。逃げる事も難しい。ハッキリ言って打つ手なしだ。
 ランサーのクラスカードでもあれば、一撃で倒せたかもしれないのに。
 ……ん? ……ランサー……槍……?

「……そうだ、これなら!」
 魔力を圧縮する。
 撃ってもダメ、斬ってもダメなら、槍のように貫く。

「…………!」

 こちらの動きに気付いた黒い剣士が双剣から斬撃を放つ。
 それを飛び退くように回避し―――


“もっと”

 細く、

“もっと――――”

 鋭く、

「………刺し―――」

 槍すらも越えて、

「―――穿つ―――!!」

 針のように……!!


「…………っ!!」
 レーザーのように放たれる魔力の槍。
 針の如く収斂された一撃は黒い魔力の霧を貫き、初めて黒い剣士に防御を取らせた。

「やった! これならいける!」
『おお、流石はイリヤさん! この土壇場で新たな技を思いつくとは!
 仮にも主人公なだけはありますね!』
「この調子で、もう一発――!」

 再び放たれる魔力の槍。
 それは稲妻のような早さで黒い剣士に迫り、

「………………」
「あ………」
『まあ、やっぱりこうなりますよね』

 あっさりと、僅かに屈んだだけで躱された。

 それこそが点による攻撃の欠点。
 面や線の攻撃に比べ、非常に回避が容易いのだ。
 故に槍による攻撃は基本が払いとなり、要所で突きを行う形になるのだ。

 槍を躱した黒い剣士は、そのままこちらへと駆け出す。

「このつ………!」

 後方に飛びながらもなお放たれる魔力の槍。
 砲撃も斬撃も足止めにすらならない状況では、当然の選択だった。
 だがやはりそれは躱される。

 回避を防ぐのなら、ショットガンかマシンガンのように打ちだす必要がある。
 だがそれでは逆に威力が足りなくなってしまうのだ。

 黒い剣士は槍を躱わした体制のまま、莫耶を投擲する。
 咄嗟にそれをルビーで防ぎ、弾き飛ばす。
 だがその衝撃に体勢を崩してしまう。

「――――――」
「ッ――――!」

 その間に黒い剣士はイリヤへと肉薄し、残った干将を叩きつけてくる。
 それを障壁を緩衝材にしてルビーで防ぐ。
 だが。

『しまった、罠です! 受けてはいけません!!』
「え―――!?」

 ルビーの警告に、背後からの奇襲に気付く。
 飛来するのは黒い刃。
 干将は回転し唸りを上げ、磁石のように莫耶の引き寄せられながら迫りくる。
 それを即座に障壁で防ぐが、意識が後方へ逸れた瞬間、黒い剣士にルビーを打ち上げられた。

「……ッ! 物理保護全開!!」

 咄嗟に物理防御を全開にするが、そのまま近くの民家へと叩きこまれる。
 そうして一つの家屋は、一瞬にして廃屋となった。


『大丈夫ですか、イリヤさん』
「……なんとか……大丈夫」

 どうにか瓦礫を退かしながら廃屋から這い出る。
 直後。
 ガシャン、と眼前に黒い鎧の脚部が踏みしめられる。
 恐る恐る見上げれば、月光を反す白刃と、やはり黒い騎士がいる。

「ぁ……う……」
『絶体絶命……ですね』
「……………………」

 堪らずその場で尻餅をつく。
 黒い剣士は無言で鋼の刃を振り上げる。
 次の瞬間には、その白い剣は私の血で赤く染まるのだろう。

「……ミユ……クロ……凛さん……ルヴィアさん」

 大切な人たちの名前が、口から零れていく。
 逃れようのない絶望を前に、恐怖が心を押し潰す。
 そして―――

 黒い剣士はその懇願するような声に慈悲も容赦もなく、短剣を振り下ろそうと――――


「助けて…………おにいちゃぁぁぁあん――――――!!!」

 そして気が付けば、誰よりも大好きな人の名前を呼んでいた。


「イリヤァァァア―――――――――!」

 直後。どこからかその人の声が聞こえた。


「っ………………!」

 奔る剣閃。少女を切り捨てようとしていた刃は、その迎撃に当てられた。

 黒い剣士は続く一撃を後方へ飛んで躱し、イリヤとの距離を大きく開ける。
 それによって出来た間に、イリヤを庇うように一人の少年――衛宮士郎が立ちはだかった。


        ◆


「――――――――」

 白銀の月の下、黒い剣士が立っている。
 背後にイリヤを庇ったまま、再び剣を構える剣士――セイバーを睨む。
 漆黒の鎧に身を包み、ヘルムで顔を覆い隠している彼女からは、いかなる感情も読み取れない。

「…………セイバー、どうして……」
「……それを知ってどうすると言うのです、シロウ。
 既に解っているでしょう。貴方は既に私のマスターではなく、私はもう貴方のサーヴァントではない。貴方の質問に答える必要など、もうどこにもない」
「それ、は…………」
「―――この身は既に、貴方の剣ではないのです」
「ッ――――――――!」

 その言葉に息を飲む。
 後ろで「喋った!?」とか驚いている声も耳に入らない。
 貴方の剣ではないと、そう言われただけで、心臓が鷲塚みにされた様に痛んだ。
 それを堪えるために、ただ強く、唇を噛んだ。

「私は聖杯の器を必要としている。私の邪魔をするのであれば、誰であろうと容赦なく殺す。そこに話し合いの余地などありません。
 死にたくないのであれば、そこをどく事です」

「……………………」

 セイバーが俺へと剣の切っ先を突き付ける。

 セイバーも言ったように、対話の余地などどこにもない。
 彼女はたとえ誰であれ、邪魔する者は躊躇いなく殺すだろう。
 それでも……どうしてもセイバーを止めたければ、セイバーを打ち負かすしかない。


 ――――俺達はもう、どうしようもない程に敵同士だった。


「―――もっとも。この局面で、貴方が引き下がれる筈がない。
 私が何を言おうと、貴方は身命を賭してイリヤスフィールを護ろうとするでしょう」

 セイバーの体が揺れる。
 彼女は、音もなく双剣の柄を握り、

「行きます。イリヤスフィールを護りたいのであれば、剣を執りなさい」

 静かに、未だ躊躇いを見せる俺へと肉薄した。

「……くそ。やるしかないのか」

 剣を構える。
 セイバーを止める。イリヤを助ける。
 そのどちらを成すにしても、まずは彼女を倒さなければならない。


「ハァッ………!」

 剣を振り抜く。手加減も容赦もない。
 突進するセイバーに合わせて、カウンターの要領で渾身の一撃を炸裂させる。

「っ、…………!」

 あっけなく弾かれた。
 セイバーの黒刃は俺の全力を容易く防ぎきり、弾き飛ばす。
 そのまま俺の体を両断しようと、残る白刃で俺の体を断ちに来る――――!

「ぐ…………!」
「っ……!?」
 セイバーから驚きの声が上がる。
 衛宮士郎では防げぬ一撃を俺が防いだからか、別の理由からかはわからない。
 だが明らかに、セイバーは今の攻防に戸惑っていた。

「は――――」

 防戦一方。
 攻撃に意識を割く余裕はない。ひたすらにセイバーの剣を防ぎ続ける。
 俺を確実に殺せる精度の一撃を、十を超えて防ぎきる。

「は――――、ぁ、ぐっ――――!」
 慣れぬ双剣だからもあるだろう。
 だが明らかにそれ以外の理由で、セイバーは動きに精彩を欠いていた。

 だから持ち堪えられてる。
 理由は定かではないが、これなら十分に耐えられる。

「は――――、っは――――」
 だが、それでもなおセイバーは衛宮士郎より圧倒的に強い。
 そもそも身体能力・魔力量の両面で衛宮士郎ではセイバーに敵わない。
 セイバーの一撃毎に体は悲鳴を上げて、今にも剣を手放し膝を屈しそうになる。

 ―――だが勝機はあるかもしれない。
 ギリギリだろうとセイバーの剣に耐えられるなら、まだ可能性はある。
 セイバーが慣れぬ双剣を使い、不調をきたしている限り、いつか必ず隙が見えてくる……!


「く――――!」
「っ…………!」

 後退する体。
 セイバーの一撃に大きく弾かれ倒れは、仕切り直す為に背後に跳んだ。

「は―――…………はあ、ふぅ、ふ――――」

 肩を上下させ呼吸を整える。
 剣を握ったままセイバーを見据える。
 離した間合いは十メートル。
 いかにセイバーと言えど、接近するには二歩必要とする距離だ。

「――――――はっ」

 呼吸はすぐに落ち着いた。
 だが替わりに笑いが込み上げてきた。
 こんな状況だと言うのに俺は、セイバーとマトモに打ち合えている事が嬉しいらしい。


「……その剣、竜殺しの魔剣か―――!」

 不意にセイバーが呟いた。
 俺がセイバーと打ち合えた理由。それに心当たりがあったらしい。
 その言葉から察するに、どうやらこの剣はセイバーにとって天敵であるようだ。

 ―――だが、それは瑣末な事でしかない。
 セイバーと打ち合えるのは有り難いが、一瞬でも気を抜けば殺される事に変わりはない。

「――――――」

 対してセイバーは、俺の持つ剣に対する警戒を強めた。
 たとえ俺自身の技量が大したことなくても、この剣が厄介である事には変わらない。
 僅かでも傷つけられれば、そこから切り崩されるかもしれないのだ。

 ―――それは神話における、メデューサに対するハルペーのように。

 だが。

「確かにその魔剣を相手にすれば、竜の因子を持つ私の能力は抑圧されます。ですが―――」

 それは、セイバーが引き下がる理由にはならないのだ。
 セイバーは双剣を構えなおすと、一歩、地面を強く踏みしめた。

「くっ…………」

 セイバーの突撃に備え、剣を構える。
 どれほどの一撃が来ようと耐えられるように、全力で歯を食いしばる。
 応じるようにセイバーは勢いよく一歩を踏み出し、

 二歩目で、一際高く跳び上がった――――!

「なッ――――!」
「それならば、その剣ごと砕き飛ばすだけだ!」

 セイバーはそのまま全体重を乗せ、双剣を叩き落してくる。
 剣を振り上げて迎撃するも、それだけで両手が麻痺した。

「ぎ………ッ!」
「終わりだ!」

 地面へと着地したセイバーが、双剣を振り上げる。
 セイバーの一撃をどうにか防ぐが、強く弾き飛ばされ、剣を取り落とす。

「しまった―――ッ!」

 即座に回収しようと駆け出す。
 だが、そこに俺に向かって双剣が一投され、それを転がるように回避する。

 しかし、

「くそっ!」

 その僅かな隙に、セイバーが剣を回収した。
 遅かった。
 あの剣と“敵対”しなくなった以上、セイバーの能力に制限はなく、
 武器を失くし、無手となった俺に戦う術はない。


 ――――ただ一つの、切り札を除いて。


「止めだ。微塵も残さん……!」
「っ………………!」

 黒色の太陽から放たれるフレアのように、セイバーの持つ魔剣が極光を放つ。

 あんなものを受ければ、ただの人間などひとたまりもない。
 その一撃から逃れようと全力で回避をするが、

「ふん……逃がさん!」

 それよりも早く、軌道を変えた一撃が、回避しようとした先を斬り抉った。
 その光景にたたらを踏み、思わず足を止める。
 しまった、と思うがもう遅い。

「――――ッ!!」

 黒き太陽のフレアは未だ収まらず、再びその顎門を開く。
 それを地面を転がってでもどうにか回避する。

 されどその抵抗もここで終わった。

「風よ……吼え上がれ!!」

 三度放たれる黒い旭光。
 黒炎が地面を舐めるように焼き尽くす。
 その射程は広く、何をした所で逃れられない。

「く、そぉ―――ッ!」
 確約された敗北に、声を上げる。
 諦めはしない。諦めはしないが、どうする事も出来ない。
 せめてもの抵抗として、左肩に手を当て最終手段の解放しようとするが、

「ッ――――――――!!」
 そんな余裕すら与えられず、黒竜の顎門は俺の体を飲みこんだ。


        ◆


 その光景を前に、セイバーは自らの勝利を理解した。
 地面は大きく抉られ、焦がされて白煙を上げている。
 ただの人間である衛宮士郎に、その膨大な魔力の炎を耐えられる道理はない。


 今度こそイリヤスフィールを捕らえようと背を向ける。
 抵抗しないのであればそれでいいが、そうでないなら四肢を切り落とす事も、あるいは殺す事も厭わない。
 セイバーにとって、イリヤスフィールの生死などどうでもいい。必要なのはその心臓――聖杯の器、その核なのだ。

 周囲に目を巡らせ、標的を探す。
 衛宮白との戦闘中は完全に野放しになっていたが、少女を逃がさぬ程度には気を張っていた。
 イリヤスフィールがこの近辺にいるのは間違いない。

 そうして、イリヤスフィールの気配を捉え、その方向へと向きなおろうとした、その時――――

「なッ――――!」

 イリヤスフィールの気配を感じた場所。
 いまだ白煙の立ちこめる地面から、死んだはずの衛宮士郎が、飛びだしてきた。
 その奥にはへたり込んだイリヤスフィールの姿が見えた。


「限界まで魔力を籠めた五重の障壁。最後の一枚まで破られると思わなかったけど、それでも防ぎきった!」
『実剣の方で斬られてたらアウトでしたけどね。魔力による斬撃の部分だけで助かりました』

 衛宮士郎が黒炎に飲まれたあの瞬間。イリヤは全魔力を防御にまわし、衛宮士郎の盾となって彼を護ったのだ。


「オオオォォォオオ――――!!!!」

 衛宮士郎が黄金の剣を両手で握り、セイバーへと突撃する。

「――――来るか、シロウ――――!」

 刃は横に。
 収束し、回転し、臨界に達する旭光の剣。
 黒色の太陽は、そのフレアを両手に携え。

「――――!」

 セイバーの動きが止まる。
 剣を振るう事が出来ない。
 その両腕には、五芒星の魔力障壁が形成されている。
 イリヤの支援だ。
 彼女は物理保護壁をセイバーの両腕に展開することで拘束し、その動きを封じたのだ。

「この程度の足留めで……!」

 セイバーの全身に魔力が奔る。
 稲妻を帯びたセイバーは容易く障壁を粉砕する。

 だがその間に、セイバーへと一撃するに十分な距離を詰めている。
 構わずセイバーは剣を振り抜き。

「消えされ――――!!」

 ――――荒れ狂う黒い光。

 風を巻いて、セイバーの剣が灼熱する。
 衛宮士郎の担う黄金の光を断ち切らんと、最強の一撃を叩き込む。

「セイバァァァアア…………!!!!!」

 黄金の剣を渾身の力で振り下ろす。
 暴走する主を止める為か、剣の放つ光はより強く輝きを増す。


「あ…………」

 ――――瞬間。
 何か信じられない様な物を見た声と共に、黒い太陽はその輝きを鈍らせた。


 一振りの剣が打ち上げられ、その手から弾き飛ばされる。
 その隙を返す一刀で斬り上げる。
 それを紙一重で避け、後方へと飛び退きながら空中で剣を受け止める。

「私の……剣…………」

 ヘルムが砕ける
 カリバーンの一撃が掠めていたのだろう。
 剣戟に打ち負けたセイバーは、茫然と衛宮士郎の手に握られた剣――“勝利すべき黄金の剣(カリバーン)”を見つめていた。

「……………………」

 セイバーは剣を構えない。
 一瞬だけ見えた感情はもう見えず、既に表情は無に戻っている。
 だが、いつ斬りかかられても応戦できるように正眼に剣を構え、

「……いいでしょう。今回は貴方に免じて引きましょう」

 セイバーのその言葉に堰き止められた。
 その言葉に、思わず一歩、セイバーへと踏み出す。

「セイバー」
「ですが―――」

 だが、それもやはりすぐに止められる。
 セイバーは剣を納め、背を向ける。
 そこには未練など微塵も感じられない。

「次に会った時は必ず、聖杯の器を貰い受けます。
 それまで、決してイリヤスフィールを死なせぬよう心しなさい」

 そう言ってセイバーは静かに去っていった。
 後には何も残らなかった。



 周囲にはもう、セイバーの気配は感じない。
 張り詰めていた糸を緩め、意識を戦闘状態から通常へと戻す。
 疲労に膝を屈しそうになるが、それをどうにか堪える

「イリヤ……だよな。大丈夫か?」
「……うん、大丈夫だけど。
 お兄ちゃんこそ…………」

 振り返り、座り込んでいるイリヤに向かって手を伸ばす。
 イリヤはその手を握るが、どこかぎこちなさがある。

 俺達は二人とも、お互いに違和感を覚えていた。

「……まあ、詳しい話は後だ。今は早くここを離れよう」
 戦闘音を聞き付けて誰かがやってくるかもしれない。
 それが非好戦的な人物なら良いが、そうでないなら今の自分達には厳しい状況になる。

 イリヤもそれに頷き。俺達は死闘の場を後にした。


        ◇


 【H-4】から【H-5】へと掛る、冬木大橋と酷似した橋の前に立つ。

 当面の目的はマスターである間桐桜を探すことだ。
 魔術師として不安定な彼女は、いつ自滅するかもわからない。
 そうなる前に見つけ出して安全を確保し、一刻も早く彼女を優勝させなければならない。
 聖杯の器さえあれば、上手くすればある程度は安定するかもしれない。
 先ほどイリヤスフィールを襲ったのもそのためだ。

 次に、“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”を探しだす。
 グラムは剣としての性能は高く、魔剣としての格も自分の宝具に匹敵する。
 だが、その使い心地にはどこか違和感が残る。やはり自分の宝具はエクスカリバーなのだ。

 後はただ、桜のサーヴァントとして桜を優勝させる為に、出会った参加者全てを殺していくだけだ。
 その過程で、遠坂凛や藤村大河など、衛宮士郎にとって親しい人物を殺すことになるだろう。

「……それまでに、貴方は私を止められますか。シロウ」

 そう呟くと、黒き暴君は戦場に挑む様に橋を渡り始めた。


【H-4/冬樹大橋前/一日目 深夜】

【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:間桐桜を探して、安全を確保する
2:エクスカリバーを探す
3:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
4:次に士郎たちに合った時は、聖杯の器(イリヤ)を貰い受ける(積極的には探さない)
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています


【支給品紹介】
【グラム@Fate/stay night】
衛宮士郎に支給。
「最強の聖剣」に匹敵する「最強の魔剣」、太陽剣グラム。正確にはその原典の“原罪(メロダック)”。
北欧神話における選定の剣であり、北欧最大の英雄シグルドが所有していた。
ドイツの叙事詩『ニーベルングの指輪』ではバルムンクの名で呼ばれる。
竜殺しの特性を備えており、竜の化身たる騎士王の天敵といえる武器。


        ◇


「「平行世界?」」

 和式の居間に、俺とイリヤの声が重なって響く。
 ここは【G-3】に在る和風建築の家。ぶっちゃけ衛宮邸だった。

 最初にここを見つけた時は驚いた。
 見ず知らずの町の中に、自分の家がどんと立っていたのだから。
 もっとも、生活感がなかったのですぐによく出来た偽物だと気付いたが。
 本物同様侵入者避けの結界まで張られていたので、休息を取るにはうってつけだった。


『はい。お二人の話から察するに、イリヤさん士郎さんはそれぞれ違う可能性世界から集められたみたいですね』
「それって、私とお兄ちゃんは完全な赤の他人って事?」
『いえ、違います。
 士郎さんの世界では聖杯戦争が起きたと言う事ですので、恐らくは十年前、衛宮切嗣さんとアイリスフィールさんの行動によって分岐した世界からそれぞれ集められたのでしょう』


 ――――十年前の分岐点。
 衛宮切嗣が聖杯戦争に参加して聖杯を破壊し、その十年後に再び聖杯戦争が起きた世界。
 アイリスフィールがアインツベルンを捨てた、二度と聖杯戦争の起こらない世界。

 ルビーの話では、俺とイリヤはその二つの世界から集められたらしい。
 それから察するに、地図の【F-7】にある衛宮邸は、恐らくイリヤの住んでいる方の衛宮邸だろう。

「つまり、私とお兄ちゃんはやっぱり兄妹だって言う事だよね!」
『厳密には違いますが、その認識で間違ありません』
「俺とイリヤが兄妹、か…………」

 思い出すのは、俺の世界のイリヤの事。
 切嗣を殺しに来た、俺を兄と呼んだ少女。
 可能性としては、あの少女と一緒に暮らしているかの知れなかったのだ。

「………………」

 それを想って、少し悔しくなった。

 思い出してしまったのだ。
 イリヤが俺の家に初めてきた時に見せた表情。
 おいてかれた子供の様な、あの今にも泣きそうな顔を。

 切嗣を悪く言うつもりはない。
 けれど、もし切嗣が聖杯戦争なんかに参加せず、アインツベルンからイリヤを連れて逃げていれば、イリヤがあんな顔をする事はなかったのにと、もうどうしようもない事を思った。


「お兄ちゃん、どうしたの? 具合でも悪いの?」
「え? いや、何でもない。大丈夫だ」
「……そう。それならいいけど。お兄ちゃん、つらそうな顔してたよ?」
「あ…………」
 失敗した。
 目の前にいるイリヤとは関係ない事で、彼女に心配をさせてしまった。

「本当に大丈夫だから、心配する必要はない」
『そうですよイリヤさん。おおかた、自分の世界で妹萌えが出来なかった事に悔しく思ってるんですって。
 いやー。朴念仁かと思ってましたが、士郎さんも以外にエロいですねえ! このロリコン!!』
「って、ちょ……おま……何を!?」
「~~~ッ! ルビー! お兄ちゃんがそんな訳ないでしょ―――ッ!!」
『いだっ……ちょ、イタイ! 半端なくイタイですイリヤさん!! そんなに引っ張ったり捻じったり折り曲げたりしないでくださいって! あっ、そこはッ、止めて、アッ―――……!!!』
「………………」

 そのイリヤとルビーのテンションにおいてけぼりにされる。

 まあルビーのセリフはどうかと思うが、それによって助かった事には変わりない。
 もしかしたら、彼女なりに助けてくれたのかもしれない。

 もっとも、ロリコン呼ばわりされたので助ける事はしないが。


        ◇


「とりあえず、イリヤはこれからどうしたい?」

 二人のテンションが落ち着いてきたところで、気を取り直してイリヤにそう訊いてみる。

「私は…………ミユたちに会いたい。
 殺し合いなんてしたくない」
「ああ……そうだな」

 こんな殺し合いは止める。
 それはこれから行動する上での大前提だ。
 たとえこの殺し合いで本当にどんな願いでも叶うのだとしても、誰かが犠牲とならなければならない時点で論外だ。

「なら、当面の目標はみんなを探しだして、バトルロワイアルを止める事だな」
『それに、『術式』もどうにかしないといけませんね。これがある限り、主催者には反抗できませんから』
「確かに……」

 それは急務だ。
 このバトルロワイアルを止める上で、『術式』の解呪は絶対条件だ。
 だがまあ。

「一応、『術式』の解除の充てはあるんだけどな」
「え、本当!?」
「ああ、ホントだ。
 これって要は、呪い――魔術とかによる一方的な契約だろ? それなら、ルールブレイカーって短剣があれば、解呪出来るかもしれないんだ」

 最初にセイバーと柳洞寺に行った時に、キャスターが持っていた短剣。
 サーヴァントとの契約すら破壊できそうなアレなら、この『術式』もどうにか出来るかもしれないと思ったのだ。

「なるほど! 確かにあれならなんとか出来るかも!」
『さすが士郎さん。鈍いと思ってましたけど、意外に鋭いんですね!』
「お前な…………」

 前言撤回。
 コイツ絶対助けてくれようとなんてしてない。

 そんなルビーに溜息を吐きつつ、話を続ける。

「もっとも、ルールブレイカーが支給されてるどうかもわからないんだけどな」
「あ、そうか。私に支給されたのはルビーと今お兄ちゃんが持っている剣で最後だし」
「俺の方は、セイバーに取られた剣と変なカード一枚だけだしな。
 一応、干将と莫邪も回収したけど、あの双剣にはそんな効果はないし」
「……え? お兄ちゃん、今何て言ったの?」
「え? だから、干将と莫邪には魔術を打ち消すような効果はないって」
「その前! 変なカードを支給されたって言ったよね!」
「あ、ああ。ほら、このカードだ」

 異様に迫ってくるイリヤに驚きつつ、デイバックからカードを取り出す。


「おお! キャスターのクラスカード!」
『ドンピシャです。ラッキーですね、イリヤさん!』

 何が嬉しかったのか、イリヤ達はカードを受け取ると盛大に喜んだ。
 そして俺には、何がなんだかさっぱり解らない。

「イリヤ。そろそろ俺にも説明してくれると助かるんだか」
「あ、ごめんなさいお兄ちゃん」
『説明するよりは見せた方が早いですし、さっさとやっちゃいましょう!』
「わかった! いくよ、ルビー!
 コンパクト、フルオープン! 鏡界回廊、最大展開!
 魔法少女プリズマイリヤ、推参!!」

 イリヤはルビーを片手に呪文を唱えると、セイバーと戦っていた時の姿に変身した。
 そうしてカードをルビーへと当て。

「クラスカード『キャスター』、限定展開(インクルード)!」

 ルビーが歪な短剣――“破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)”へと変わった。

『このようにクラスカードを使う事で、わたしは一時的に英霊の宝具となる事が出来るんです』
「なるほどな」

 確かにそれなら、イリヤ達のテンションがやたら上がっていたのも頷ける。

「ルビー。さっそく試してみようよ!」
『はい。それは構いませんが……イリヤさんと士郎さん。一体どっちが試すんですか?』
「あ…………」
「確かにな。こんな簡単な事を、主催者が気付いてないはずかないよな」

 となれば誰で試すかが問題になるが、まさかイリヤで試すわけにもいかない。
 だからと言って試しても良い相手など、そうそう見つかる訳もない。いたとしても、当然抵抗されるだろう。
 それなら――――

「……よし。イリヤ、俺で試してくれ」
「へ? お兄ちゃん?」
『勇気ありますねー。どちらかといえば蛮勇ですけど』

 ルビーの言葉は黙殺する。それは俺だってわかっている事だ。
 だが。

「ここで躊躇って後回しにしている余裕もないだろ。
 なら、出来る内にやれるだけの事はやっとくべきだ」
『そうですよイリヤさん。時間制限もあるんですから、早めに決断してくださいね』

 そう言ってイリヤを見据える。
 イリヤはしばらく視線を彷徨わせた後。

「…………わかった」
「そうか。なら一息にやってくれ」
「……うん」

 『術式』のある首元を晒す。
 イリヤはルビーが変じた短剣を構え、

「えい!」

 “自分の”首元に突き刺した。

「ってイリヤ!?」
『あららー』

 止める間もなくイリヤはその真名を解放する。
 すると一瞬の怪しい輝きと共に、イリヤの首元にあった『術式』が薄くなり消えてなくなる。

 ………だが、すぐに消えたはずの『術式』がまた刻まれていく。
 イリヤの決死の行動は、無意味に終わったのだ。

 しかし、イリヤ自身には何かが起こっている様子はない。
 その事に、大きく安堵する。

「………どう?」
「いや。残念ながら、だ。一瞬だけ消えたけど、すぐにまた戻った」
「そうなんだ……」
「……けどな」
「あだッ!?」

 鉄拳制裁。
 イリヤの頭に、怒り心頭の拳骨を見舞う。

「いきなりあんなことするなんて危ないだろ! 今回は何も起きなかったからいいけど、もし何かあったらどうするんだ!」
「うう……。そんな事、真っ先に自分にやれって言ったお兄ちゃんに言われたくないもん!」
「ぐ……けど、それは―――!」
『まあまあ。お二人とも、落ち着いてください』
「………………」
「………………」

 ルビーの言葉に、どうにか怒りを抑える。
 イリヤも拗ねた顔をしているが、取り合えずは落ち着いたようだ。

『確かにイリヤさんの行動は無謀でしたけど、幾つかわかった事があります』
「わかった事?」
『はい。おそらく、この『術式』は端末みたいなものなんでしょう。
 どこかに『呪術式の核』があって、それが参加者に『術式』を刻んだり、術式を通じて制限とかを掛けているのだと思われます』
「術式の、核?」
『はい。おそらくこの会場のどこかにあると思いますよ?
 再び『術式』が刻まれる時間から推測して、人間業ではあり得ませんから』
「じゃあ、その『呪術式の核』を壊せば!」
「ああ。バトルロワイアルは止められる筈だ」

 その希望的観測に、イリヤは顔を明るくする。
 俺自身もこのバトルロワイアルを止められる可能性に気が逸る。
 早くも光明が見えてきたのだ。当然と言えば当然だろう。


 それからいくつか話し合い、これからの予定を決める。

「それじゃあ改めて確認するけど、今後の行動方針は、
 一、お互いの知り合いを探す。
 二、『呪術式の核』を探しだして破壊する。
 この二つでいいな?」
 その言葉にイリヤが頷く。

「よし。それじゃあ休憩も兼ねて出発は三十分後だ。
 一応部屋に布団を敷いておいたから、仮眠を取ってもいいぞ」
「はい、わかりました。シロウ隊長!」
「うむ。では解散だ」
「ルビー、行こう」
『はいはい』

 そう言うとイリヤは布団のある部屋へと走っていった。
 まあ、あのセイバーに襲われてどうにか逃げ延びたのだ。疲れもしているだろう。
 俺は台所で冷蔵庫をあさり、出発前の軽食用にサンドウィッチなど作ることにした。


        ◇


 シロウの言った部屋へと入り、敷かれた布団へとダイブする。
 ベッドではないため少し痛かったが、それでも疲れた体には心地よかった。
 そのまま訪れた睡魔に身を任せようとして、

『イリヤさん。お話があります』

 程良くウトウトしたところでルビーに邪魔された。
 その事を不満に思いながらも、どこか真剣なルビーの声に顔を上げる。

「話ってなに?」
『士郎さんの左腕の事です』
「ああ、アレ?」

 赤い布で肩までグルグル巻きにされた、シロウの左腕。
 ちょっと奇抜なファッションぐらいに思っていたのだが、ルビーの様子からすると違うのだろうか。

「お兄ちゃんの左腕が、どうかしたの?」
『あの赤い布を、決して解かせないでください』
「へ……?」
『アレを一度でも解いてしまえば、士郎さんは死にます』

 ……………………。
 一体何を言っているのだろう、このボケ杖は。

「ルビー、そういう―――」
『先に言っておきますが、これは冗談でも何でもありません』
「………………それって、そういう事?」
『あの“魔力殺しの聖骸布”で気付くのが遅れましたが、あの布で拘束されているモノは、間違いなく英霊の腕です』
「英霊の……腕?」

 それって、あのセイバーとかバーサーカーとか、そう言った人の腕の事だろうか。

『はい。どういう理由かはわかりませんが、士郎さんはどこかの英霊の左腕を自分の左腕にしているのです』
「それと……お兄ちゃんが死ぬ事と、何の関係があるの?」
『英霊とはつまり、精霊の領域まで昇格した英雄の事。英霊と人間とでは、魂の格が違います。
 そんな規格外の存在の腕なんて移植すれば、移植された人間の魂なんて簡単に消し跳んでしまいます』
「ッ……! お兄ちゃ――――!」

 その言葉に、眠気なんて頭の中と一緒に消し飛んだ。
 ただ真っ白になった思考で、シロウの元へと駆け出そうとする。

『落ち着いてください、イリヤさん!』
「でも!」
『今はまだ大丈夫です。あの赤い布が巻かれている限り、士郎さんが死ぬ事はありません』
「あ……よかった…………」

 その言葉に一応は平常心を取り戻し、布団にへたり込む。
 けどルビーの話は、まだ終わってなかった。

『ですが、一度でもあの布を解いてしまえば、士郎さんは間違いなく死にます。
 一分後か、一日後か、あるいは一週間後かはわかりませんが、その死は、不可避なモノとなってしまいます』
「そんな………」
『ですので、イリヤさん。士郎さんの左腕を、解放させないでください』
「………………」
『……さ、とにかく今は休みましょう。バトルロワイアルを止めるにしろ凛さん達を探すにしろ、いざという時に倒れてしまっては元も子もありません』

 ルビーに言われるがままに布団を被る。
 けれど、あれほどあった眠気は、二度と来てくれそうになかった。

「……お兄ちゃん」

 小さく呼んだ名前に返事はなく、虚しく響いただけだった。


        ◇


 廊下の縁側を超えて庭を抜け、土蔵の扉を開ける。
 そこには幾つものガラクタと、床に刻まれた魔法陣だけがある。


 ――――その光景は、今でも目に焼き付いている。

 月の光に濡れた金砂の髪と、聖緑の瞳。

   “―――問おう。貴方が、私のマスターか”

 あの時、セイバーが俺の剣になると誓ったように、
 同時に、俺も彼女の助けになると誓ったのだ。

 だから―――

「――――セイバー。
 俺は必ず、お前を止めてみせる」

 彼女のマスターだった者として、そう固く決意した。


 ……だがその先にあるモノに、決意したばかりの心を揺らつかせる。

「…………桜……俺は……」

 間桐桜。
 俺にとって一番大切な、失う事さえ思いつかなかった女の子。
 そして、毎夜冬木の街を徘徊し、人々を丸飲みにしてきた影の正体。
 人々を助けたいと思うなら、彼女は殺すべきだ。
 だがそれは――――

「っ、くそ………」

 その先の考えを、頭を振って追い出す。
 それにここにいる桜がは、“平行世界の間桐桜”かもしれないのだ。
 こんな物騒な考えは、まず桜を見つけ出してからの話だ。

 だが、そう思っていても嫌な考えが頭から離れない。

「……イリヤ。俺は、どうしたら……」

 ここにいる少女と同じ、ここにいない少女に問いかける。
 当然答えなどない。
 その様はまるで、迷子になった子供のようだった。


【G-3/衛宮邸(和)/一日目 深夜】

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:カリバーン@Fate/stay night、アーチャーの腕
[道具]:基本支給品、お手製の軽食、干将莫邪@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:イリヤを守る
2:桜、遠坂、藤ねえ、イリヤの知り合いを探す(桜優先)
3:“呪術式の核”を探しだして、解呪または破壊する
4:桜……セイバー……
[備考]
※十三日目『春になったら』から『決断の時』までの間より参戦
※アーチャーの腕は未開放です。投影回数、残り五回
※イリヤが、平行世界の人物であると認識しました


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(二時間使用不可能)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:おにいちゃん(衛宮士郎)についていく
2:ミユたちを探す
3:おにいちゃん……
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※衛宮士郎が、平行世界の人物であると認識しました
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません


[共通の備考(士郎、イリヤ)]
※『呪術式』はルールブレイカーで解呪可能。ただし、会場のどこかにあるだろう『呪術式の核』を解呪または破壊しない限り、完全な解呪は不可能(その場で再び呪われる)。


【支給品紹介】
【クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
衛宮士郎に支給。
キャスターのサーヴァントの姿が描かれたカード。
限定展開する事で、キャスターの宝具“破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)”を一定時間使用できる。
ルールブレイカーの効果は、あらゆる契約を破戒し、魔術効果の一切を初期化すること。
最強の対魔術宝具であるが、物理的な殺傷力は普通のナイフと同じ程度。
一度使用すると、二時間使用不可能。

【カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに支給。
愉快型魔術礼装。マジカルルビーという名の人工天然精霊が宿っている。
機能は魔力を無制限に供給し、マスターの空想をもとに現実に奇跡を具現化させること。多元転身や障壁、治癒促進などのほか、魔力砲攻撃やクラスカードの限定展開なども可能。展開できる魔術障壁はランクA、規模は最大で半径2メートル程度。
制限により、カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられない。

【勝利すべき黄金の剣(カリバーン)@Fate/stay night】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに支給。
王を選定する岩の剣。セイバーにとっては「約束された勝利の剣」よりもなじみが深いものだが、生前のある行動によって永遠に失われた。
「約束された勝利の剣」と比べ、より権力の象徴的で装飾もより華美。その分、武器としての精度は劣る。

【干将莫邪@Fate/stay night】
セイバー・オルタに支給。
中国のとある刀匠が、その妻を犠牲に作り上げた陰陽二振りの夫婦剣。
お互いが磁石のように弾き合う性質を持つ。
二つ揃いで装備すると対物理・対魔力が上昇する。


017:Blue Rose 投下順に読む 019:「復活祭」
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初登場 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 044:Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ
初登場 セイバーオルタ
初登場 衛宮士郎


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