アットウィキロゴ

kaleid night ハンバーガーころしあむ

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ ◆LuuKRM2PEg



「気味の悪いほど似てるな……」

 G-3エリアに存在する、月明かりに照らされた衛宮邸。その光が差し込む庭から夜空を眺めながら、衛宮士郎は呟いた。
 ここは自分が元々生きていた世界に存在する、自宅と構造が全くと言っていいほど似ていた。草木や家具の配置や、壁と柱の手触りまで何もかも。
 まるで、似ているではなくそのまま持ってきたかのよう。あるいは、自分にとって慣れ親しんだ行動である投影(トレース)を、自宅に向けて行ったか。
 だが、ここは本物(オリジナル)とは違い、立っていてもどうにも心が安まる事がない。こんな無意味な殺し合いを仕組んだ連中が用意したからか、もしくは思い出を汚されたような気分になっているからなのか。
 しかしそれは、今はそこまで重要視する事ではない。

「お兄ちゃん……か」

 つい先程の出来事を、士郎は思い返す。
 ランサーによって命の危機に陥り、聖杯戦争を知った忘れもしないあの日から、自分と契約を交わした英霊(サーヴァント)であるセイバーと戦った。
 聖杯の毒で身体が黒く染まってしまった彼女から、自分の事を『お兄ちゃん』と少女を守るために。

「結構、雰囲気が違ってたな……」

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 自分の知る彼女は聖杯戦争に参加するマスターの一人として、凄まじい力を誇るバーサーカーと呼ばれる英霊を使役していた。一見すると普通の少女かもしれないが、妙に悟った一面が感じられて内面が見えない。
 しかしその反面、ここで出会ったイリヤは純粋に年相応の少女みたいな雰囲気を放っていた。『お兄ちゃん』と言う一言からしても、一切の影が感じられない。
 彼女が持っていたカレイドステッキ・ルビーとかいう魔法の杖が言うには、自分達二人は平行世界から連れてこられた存在らしいから当然かもしれないが。
 だとすると彼女と自分の間に、認識の齟齬がかなり生じている可能性が高い。もしもルビーがいないままイリヤと出会っていたら、互いが互いの事を誤解したまま一悶着起こる事もあり得た。

「お兄ちゃん、お待たせ~!」

 夜空を眺めながら考える中、少女の声が聞こえる。士郎はそちらに振り向くと、見慣れた銀色の長髪を揺らしながらイリヤが現れた。
 彼女の傍らには、ルビーが羽根のような物をぴょこぴょこ動かしながら、宙を漂っている。

「もういいのか、イリヤ?」
「うん、あたしはばっちり疲れが取れたから、大丈夫だよ!」
『いつもならこういう場合、いびきをかいた挙げ句に寝坊してるはずですがね! 何とも珍しい!』
「デタラメを言うなっ!」

 笑顔から一変、激怒したような表情でイリヤはルビーを引っぱたき、地面に叩き付けた。自分の知る彼女からはまるで想像出来ない様子に、士郎の頬は思わず緩んでしまう。
 しかし、あまり気を抜くわけにはいかなかった。このような場所ではあのセイバーみたいな危険人物が、他にもいる可能性が充分にある。
 例えばあのバーサーカーと同等、あるいは奴すらも上回るような強豪が。せめて今は、出来る事は少しでもやる必要がある。
 だから少しでも体制を整えるために、認識の違いを知る必要があるかもしれない。

「そういやイリヤ、お前の事もっと詳しく知りたいんだけど、いいか?」
「えっ、あたしの事を知りたいって……?」
『なるほど、やはり士郎さんはそういう趣味があるのですね! 世界を越えた兄と妹の恋愛……凄くドラマティ――』
「ルビーは黙ってなさい!」

 またしてもイリヤはルビーを叩き、その饒舌な口を強制的に止めた。
 士郎はそのペースに付いていけなくなり、思わず溜息を漏らしてしまう。しかしすぐに気を取り直した。

「……えっと、そういう事じゃないんだ。イリヤ」
「も、もちろん分かってるから! お兄ちゃん!」
「美遊ちゃん達だっけ? 俺が聞きたいのは、イリヤの友達についての事なんだ。俺も出来る限り、俺の知っているみんなの事を教えるから」

 名簿に書かれていた、イリヤの知る人達。
 美遊・エーデルフェルト、クロエ・フォン・アインツベルン、遠坂凛、藤村大河、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。
 この中で、よく知る人物といえば遠坂凛だった。彼女はアーチャーのマスターでもあり、聖杯戦争で生き残るために色々な事をしてくれた恩人。
 先程出会ったとき、ルビーは遠坂の事を『人でなしで、ルヴィアと一緒に散々騒動を起こすトラブルメーカー』と、散々な評価を下した。ちなみに、イリヤは『お世話になっている』と言ったがルビーの発言はあまり否定していない。
 恐らく基本的には自分が知る遠坂と変わらないかもしれないが、やはり違う事には違うようだ。ちなみに、藤ねえに関しては自分が知る藤ねえとあまり変わらない。話を聞く限りでは小学校の先生らしいが、あまり気にしなくてもいいだろう。
 しかし、他の四人についてはもっと知る必要があった。同じようにセイバーやバーサーカーについても、出来る限りイリヤに教える。
 それが最優先だった。




「……」

 彼女は漆黒で染まっていた。その身体に纏う鎧もドレスも、全てが闇のように黒かった。唯一金色に輝く髪だけが、風に流されている。
 歴史上ではアーサー・ペンドラゴン王の名で残り、選定の剣(カリバーン)を引き抜いたアルトリアの真名を持つ少女。この世界では『セイバーオルタ』の名前で通っている黒き暴君。
 元々は衛宮士郎のサーヴァントだったが、聖杯の毒に触れてしまった末に今は間桐桜のサーヴァントとなっている。
 セイバーオルタは先程の戦いの後、自身の支給品を改めて確認していた。そして、この中にはとっても気になる物がある。

「……」

 やはり、と内心で思った。
 セイバーオルタの無機質な雰囲気を放つ瞳が、大きく見開く。そこにあるのは紙袋だった。セイバーオルタが開くと、中からいくつかのハンバーガーが姿を現す。
 二つのブレッドの間には、牛肉とレタスが挟まっている。しかも、大量のマスタードがかかっていて、強い刺激臭を放っていた。

「……」

 ハンバーガーは湯気を放ち、肉の香りとマスタードの香りが合わさって、極上の物へと進化させている。
 それを嗅いだセイバーオルタは思わずハンバーガーを手に取って、ゴクリと息を呑んだ。ハンバーガーは聖杯の毒に侵された彼女ですらも、関心を引くほどの威力を持っている。
 加えてセイバーは元々大食感。そんな彼女がハンバーガーを口に入れるのに、それほどの時間は必要なかった。

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタはハンバーガーを噛み砕く。
 少し柔らかめのブレッドを噛み砕いた途端、中の生地がカリッとしてて歯ごたえの良さを感じさせた。続けざまにレタスの新鮮さ、牛肉の汁、マスタードの辛さが舌の中で広がっていく。
 セイバーオルタは素直に美味しい、と思った。程良く冷えた野菜と、程良い熱を持つ肉と、それに添えられた調味料は見事な調和を生み出している。
 ハンバーガーの味に魅了され、セイバーオルタは勢いよく咀嚼し続けた。しかし手の平より少し大きい程度のサイズしか無いそれは、彼女によって一瞬で飲み込まれてしまう。
 当然、足りるわけがない。セイバーオルタはすぐさま紙袋に手を突っ込んだ。

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタは二個目のハンバーガーを口にする。
 その表情は相変わらず無表情だが、内心はとても満足していた。三つの要素によって生み出される、ハーモニーパワーが彼女の心を満たしていく。
 しかしだからといって、かの英雄王ギルガメッシュのように慢心など一切していない。セイバーオルタは決して警戒を緩めず、仮に襲撃者が現れてたとしても一瞬で対応出来るように、片方の手で太陽剣グラムを握っている。

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタは三個目のハンバーガーを口に含んだ。
 もしも今ここで、彼女の食事を邪魔しようとする者がいたらどうなるか? 答えなど簡単、有無を言わさずに塵一つたりとも残らない。
 マスターであるサクラや聖杯の器ならまだ長きに渡る嫌味だけで、済ませられるかもしれない。だがそれ以外の者なら、問答無用で消滅させる。例えそれがシロウだろうとも。
 それほどまで、セイバーオルタにとって至福の一時となっていた。無論、サクラを探す事も決して忘れていない。
 自らの快楽に溺れ、本業を疎かにするなど論外。

「……」

 しかしそれでも、セイバーオルタは四個目のハンバーガーを食べ出した。
 もきゅもきゅと音を立てながら。
 聖杯の毒に溺れて、この世の全てに対して憎悪を向けるセイバーオルタの行く末は、未だに闇で覆われていた。
 まるで、その身に纏う鎧のように。


【H-5/冬樹大橋前/一日目 黎明】


【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)、ちょっぴり幸せ 、もきゅもきゅ
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1(確認済み)、ハンバーガーの入った紙袋@現実
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:間桐桜を探して、安全を確保する
2:エクスカリバーを探す
3:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
4:次に士郎たちに合った時は、聖杯の器(イリヤ)を貰い受ける(積極的には探さない)
5:食事を邪魔する者がいたら問答無用で殺す。サクラや聖杯の器ならば嫌味で済ませられるかもしれない……多分。
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています


【支給品紹介】
【ハンバーガーの入った紙袋@現実】
セイバーオルタに支給。
ハンバーガーがたくさん入った何の変哲もない紙袋。
ブレッド、レタス、牛肉、大量のマスタードが程良いバランスを奏でていて、とても美味しい。
ちなみに『フェイト/タイガーころしあむ』において、セイバーオルタの好きな物の一つでもある。
どれだけ入っているのかは、後続の書き手さんにお任せします。




「あたしがバーサーカーのマスターって……本当なの?」
「ああ、俺の知っているイリヤはバーサーカーのマスターとして、聖杯戦争に参加していたんだ」

 平行世界に生きるもう一人の兄から伝えられた事実が、イリヤの想像を遙かに超えていた。
 名簿に書かれていた、バーサーカーという存在。自分の知っているバーサーカーは、冬木市に眠るクラスカードの中でもトップクラスの実力を誇り、美遊達の力を借りてようやく封印する事が出来た。
 しかしこの士郎が言うには、あっちの自分はバーサーカーと共に聖杯戦争で戦っていたらしい。到底信じられる事ではなかったが、兄が嘘を言う人間ではないのはよく知っている。

「そうなんだ……」
「こんな事を言ってごめん……でも、これは俺の世界の話だから、お前は気にしなくて良いんだ」
「……ううん、あたしは全然気にしていないよ!」

 士郎はどこか責任を感じているような顔を浮かべるが、イリヤは何とか紛らわそうとする。
 お兄ちゃんの事だから、それを知ったらきっと傷ついてしまうと考えたのかもしれない。実際、少しだけ驚いた。
 でも、それを表に出して重荷になんてさせたくない。だから、ルビーの言っていた左腕の布についても、あんまり言及しては
 いくら平行世界のお兄ちゃんでも、自分を守ってくれた大好きなお兄ちゃんな事には変わりないから。

『なんと……! つまりイリヤさんが、あのバーサーカーのマスターだったという事は、もう一人のイリヤさんはバーサーカーを操って
 無差別に人々を虐殺する、血も涙もない悪逆非道の暴君であったと……!』
「いや、それは無いから安心してくれ」
『チッ』

 速攻で士郎に否定されて、ルビーは舌打ちする。直後、イリヤはそんな彼女の両端を掴み、勢いよく引き延ばした。

「ちょっとルビー! 何なのよ、今の舌打ちは!?」
『痛だだだだ! イリヤさん落ち着いて! ギブギブギブ!』
「おい、イリヤ! 落ち着け!」

 輪ゴムのようにルビーを引っ張るイリヤを、士郎は慌てて制止する。それからすぐにルビーは開放された。
 イリヤの息は荒くなっているが、すぐに整う。さっきとは違って、落ち着くのにそこまで時間は必要なかった。

「とにかく、バーサーカーに関しては気を付けた方が良いな。俺の世界から来たにせよ、イリヤの世界から来たにせよ、危険な奴だって事には変わらないからな」
「わかったよ、お兄ちゃん」
「それじゃあ、そろそろ行くか。いつまでものんびりしていられないし」
「うん!」

 そして、イリヤは士郎の言葉に頷く。もう身体は充分休んだので、そろそろ動かなければならない。
 何よりも、みんなが心配だった。基本的に四人とも強いが、あの黒いセイバーやバーサーカーだっている。
 そんな奴らに、一人で戦える可能性は限りなく低い。みんなの為に出来る事は、一刻も早く合流するために行動する事と、無事を祈る事だけだった。

(……それにしても、もう一人のあたしか)

 ここにいる士郎の生きる世界にいる、もう一人のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 恐らくクロみたいに分離した存在ではなく、正真正銘の自分。ややこしい言い方だが、そういう事なのだろう。
 一体彼女はどんな気持ちでお兄ちゃんと向き合ったのか、一体どんな気持ちであのバーサーカーと一緒に聖杯戦争で戦っていたのか。
 お兄ちゃんの話からすれば、あの世界には美遊もクロもいない。凛さんや先生はいるだろうが、恐らくそこまで深い関係ではないかもしれない。
 だとしたら、あの世界の自分は独り。パパもママもいない。お兄ちゃんと出会うまで、一体どんな気持ちだったのか。
 気にしても意味がないのは分かっているが、やはりどうしても気がかりだった。


【G-3/衛宮邸(和)/一日目 黎明】


【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:カリバーン@Fate/stay night、アーチャーの腕
[道具]:基本支給品、お手製の軽食、干将莫邪@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:イリヤを守る
2:桜、遠坂、藤ねえ、イリヤの知り合いを探す(桜優先)
3:“呪術式の核”を探しだして、解呪または破壊する
4:桜……セイバー……
[備考]
※十三日目『春になったら』から『決断の時』までの間より参戦
※アーチャーの腕は未開放です。投影回数、残り五回
※イリヤが、平行世界の人物であると認識しました



【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid linerプリズマ☆イリヤ(一時間三十分使用不可能)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:おにいちゃん(衛宮士郎)についていく
2:ミユたちを探す
3:おにいちゃん……
4:あまりおにいちゃんの重荷にはなりたくない
5:もう一人の自分の事が、少しだけ気がかり
6:バーサーカーやセイバーには気を付ける
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※衛宮士郎が、平行世界の人物であると認識しました
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません



[共通の備考(士郎、イリヤ)]
※『呪術式』はルールブレイカーで解呪可能。ただし、会場のどこかにあるだろう『呪術式の核』を解呪または破壊しない限り、完全な解呪は不可能(その場で再び呪われる)。
※互いの世界、互いの世界に関する人物の関係について情報交換しました(具体的な内容については、後続の書き手さんにお任せします)。
※二人がこれから何処に向かうのかは、後続の書き手さんにお任せします。


043:ティーブレイク 投下順に読む 045:「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」
042:三者三様の準備期間 時系列順に読む 046:超絶バイクと探偵とドラゴン]
018:vs黒い剣士~魔法少女と正義の味方(?) 衛宮士郎 055:だが…信用できないのはルルーシュ・ランペルージだ…!(前編)
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
セイバーオルタ 058:「愛は無限に有限だからね」



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー