あなたの存在は認めない/許さない

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あなたの存在は認めない/許さない ◆Z9iNYeY9a2


炎が草原を真っ赤に染め上げる中、銃声と粉砕音が響き渡る。

その中心にいるのは巨大な二脚の戦車のような乗り物、そこに乗っているのは長い黒髪の少女。暁美ほむら。
そしてその周辺を走るのは白いドレスのような衣装を纏った少女・美国織莉子、そして紫色の怪獣・ニドキング。

二脚の戦車・サイドバッシャーの右腕がバルカン砲を放つもそれは対象にはなかなか当たることはない。
織莉子は銃の射線から逸れるかのように動き、牽制するように宙に浮く水晶をほむらに向けて放つ。
操縦席に座るほむらへと放ったそれは一直線に彼女の元に向かい飛翔。
しかしいくら速くとも直線故に軌道を読むのは容易い。
サイドバッシャーを動かし回避、水晶はほむらのいる場所の遥か横を通り過ぎる。

そのまま左腕部のミサイルを構え射出態勢に入り。
が、その時避けられた水晶はほむらの背後で軌道を変えてその後ろから強襲するかのようにと飛びかかる。

勢いよく飛びかかるそれの存在に気付くことができるはずもない。
それが織莉子の思惑。

しかしその瞬間、サイドバッシャーに騎乗したほむらが機関銃を構えて背後へと振り返った。
サイドバッシャーがミサイルを噴くと同時、立ち上がった状態のほむらが背後の水晶を撃ち落とす。

地から吹き上がる炎と水晶の爆発が轟くのはほぼ同時。

避けられたことに動揺することもなく再度水晶を向ける織莉子。
しかしサイドバッシャーは既に宙へと飛び上がり、その頭上から両腕部を振り下ろすかのように地面に叩きつけた。
水晶射出を断念した織莉子はその場を飛び退り回避。空振った一撃は地面を抉りクレーターを作る。

反撃に転じようと再度水晶の動きを念じ。
その時織莉子の脳裏に一つの未来が見えた。

サイドバッシャーから目を外し、視界の外、自分の2メートルほど横に逸れた場所を水晶で狙い撃つ。
その攻撃自体は空振りに終わり、代わりに目の前に拳銃を構えたほむらが現れる。

織莉子は頭に突き付けられた拳銃に対抗するかのようにほむらの頭上数十センチの辺りに水晶を構える。
互いに武器を構えたまま睨み合うほむらと織莉子。

3秒ほど動きのない時間が続いた後、その静寂は横から飛びかかった紫の影によって破られた。
ニドキングの影を纏った爪がほむらへと襲いかかる。
咄嗟に腕を構えてその一撃を受け止めるほむら。
殺しきれなかった衝撃で後ろに下がりつつも、拳銃を放って牽制、追撃を防ぐ。

地に手を付きつつも態勢を立て直したほむらは、忌々しそうにニドキングへと目を向ける。

「…なるほど、私と既に戦っているというのは嘘ではないようね」

一方で織莉子も自身のソウルジェムを見ながら呟く。
そうでなければ未来視や水晶の動きを意識しているかのように動くことはできないだろう。

「ええ、さっきからそう言ってるわ」
「不思議ね。あなたには一度会ってみたいとは思っていたけど。
 私はあなたのことをほとんど知らないのに、あなたは私のことと知っている」
「………」
「ググググググ…」

殺意をむき出しにするニドキングを制しながら、織莉子はほむらに問いかける。

「鹿目まどかの守護者、暁美ほむら。
 あなたはそうやってたくさんの世界を巡って、多くの鹿目まどかの屍を見てきたのでしょうね」

その織莉子の目には、ほむらを憐れむかのような色が混じっている。

「あなたは何度繰り返したの?
 あと何度繰り返すの?
 あなたが歩いた昏い道に、望んだものに似た景色はあった?」

問いかけられたほむらの脳裏に過ぎる光景。
多くのまどかを救えなかった風景。

先にマオに見せられたあの幻覚。
それこそがきっと最も望んでいたものなのかもしれない。

ギリ、と歯を食いしばるほむら。
その様子に気付いた織莉子は隙をつくかのようにほむらの背後に落ちていた水晶を動かし。

「違う道に逃げ続けるあなたに、自ら陽を灯す私が負けるわけにはいかない――――」

それをその背に打ち付けんと放つ。

が、それがほむらに命中することはなかった。
ほむらの姿が掻き消えたと思った途端、横から大口径のバルカン砲が織莉子に向けて放たれていた。
ニドキングを押し出しながら避けようと走るが、避けきれなかった数発が織莉子の体を掠める。

「―――――っう!!」
「そうね。私の望む景色はどこにもなかった。いいえ、きっとあの景色にはもう永遠にたどり着くことはできないのでしょうね。
 だとしても私は、ただまどかのためだけに戦っている。そこに私の望む景色がなかったとしても。
 それに何より――――――」

と、サイドバッシャーの両腕のミサイルを、そしてバルカン砲を、さらに操縦席で機関銃をも構えるほむら。

「あなたが陽を灯す?私をそんな言葉で憐れむ?
 まどかの命を奪ったあなたに、そんな資格なんてない!!!」

言うと同時、時間を停止させ一斉に砲門を解放。
ミサイルが、バルカン砲が、そして機関銃が爆音と共に弾薬をぶち撒ける。
しかし時間停止空間において放たれた弾丸は目標に着弾する前に静止。

だがほむらはすかさず立ち上がり、放ったミサイルに向けて飛び跳ねて移動。
ミサイルに触れたのは一瞬。しかしその一瞬ずつでほんの僅かにだがミサイルは前進。
5発のミサイルに触れた後、さらに別の一つのミサイルを掴み上げる。
ほむらに握りしめられたミサイルはそのまま織莉子の眼前まで前進し。

着弾一秒前とでもいう辺りで時間停止が解除される。
突如目の前に現れたミサイルに反応することも叶わぬまま。
しかしほむらは既に爆風の届かない辺りまで離脱。
そしてそれは爆発し、さらに追うようにミサイルや大口径の弾丸が、エネルギー弾が着弾し。
トドメを刺すかのように、多数のミサイルが一斉に爆発した。


吹きすさぶ爆風。
熱や土埃が宙を舞う。

「………」

その光景をサイドバッシャーの上でじっと見つめていたほむら。
しかしミサイルの爆発する様子を見て。

「……ちっ」

思わず舌打ちする。

爆風の晴れた先には地面に散らばる大量の砕けた石。
それは今、同時に着弾するはずだったミサイルを空中にて迎撃した何かであることはすぐに分かった。

「グルルルルルル」

ドレスは黒焦げになり、避けきれなかった銃弾が当たったのだろう、血の流れる肩や頭を抑える織莉子。
その横に直立したニドキングが周囲に少数の岩を浮遊させながら唸っている。

今の一撃、最初のミサイルはおそらく魔力を防御に回すことで対処したのだろう。
そこから追撃をかけるように降り注いだ5発は直撃を避ける程度には回避したのだろう。
機関銃やバルカン砲は魔力や水晶で威力を逸らしたのだろう。

そして、トドメのはずのミサイル群は、ニドキングのステルスロックにより迎撃された。

「…はぁ……はぁ……」

しかし織莉子のダメージもまた少なくはない。
防ぎきれなかった爆風、そして避けきれなかった銃弾は確実に彼女の体を焼き、貫き、その身の魔力も削り取っていた。

「運がよかったわね、便利なペットを連れていて」
「…はぁ、…彼は、あなたが殺した人の相棒よ」
「そう」

責めるような口調で告げる織莉子に、ほむらは静かにそう返答する。
そこに特に感情を込めるようなこともなく。

「ええ、確かに私が光を照らすことはできないのかもしれない。世界のために少数とはいえ人の命を奪い、奪うつもりの私には。
 だけど、あなたはどうなの?鹿目まどかを守ることでただ悪戯に多くの世界を滅ぼしてきただけじゃないの?そうやって切り捨ててきただけじゃないの?
 このニドキングの主、サカキさんのように」
「私はあなたとは違うわ。世界を救うために戦うつもりも、そのための犠牲の責任を他のものに擦り付けるつもりもない。
 全ての罪は私が背負ってる。その上で、まどか一人救うことができない世界なんて滅んでしまえばいい」

そして鋭く織莉子を睨みつけてそう断言するほむら。
その言葉を聞き、織莉子は一つの意志をはっきりと決める。


「そう。なら―――――」
「だから―――――」
「私は」
「あなたの存在を」
「認めない」
「許さない」

その瞬間、美国織莉子の暁美ほむらに対する敵意が、はっきりと明確に殺意へと変異した。
その存在に対するものに。彼女の在り方を否定するために。
こいつとは分かり合えないと。何があったも殺さねばならない相手であると。

サイドバッシャーが前進しニドキングの体へとぶつかりあう。
振り下ろされた両腕をガシッと受け止めるニドキング。
しかしそのサイドバッシャーの上にはほむらはいない。

サイドバッシャーの操作を魔法に任せてニドキングを取り押さえたのだ。
織莉子にトドメを刺す際に邪魔とならないよう、足止めのために。

咄嗟にほむらの姿が掻き消え、目の前で爆発音と共に何かが弾ける。
そんな未来が見えた瞬間、織莉子は全面に水晶を防壁のように並べる。

そして予知通りに彼女の姿は消え、眼前に何かが現れ。

――――――パァン

爆発。
熱、あるいは鉛の破片といった殺傷力を持つ何かを警戒していた織莉子。
しかし自身に降りかかったのは水しぶきのみ。

「―――!」

ほむらが織莉子の目の前に投げたのはドライアイスが入っただけのただのペットボトル。

それがブラフだった、と気付いた時には横から殴りかかるような衝撃が襲いかかってきた。

よろける織莉子の体に、追撃の銃口が向けられる様子が映る。
霞む視界の中で水晶を再度繰り直してほむらの手にぶつけ銃口をそらす。

「…っ」

距離をとるように地を蹴りながら、ほむらの頭上から高速で水晶を振り下ろし。
しかしほむらはそれを前に進むことで回避。

そんなほむらに向けて残った数発の水晶を放ち。
しかしもう一方の手に持たれた機関銃の掃射で全てが爆散する。

爆風で生じた魔力の煙を切るように、織莉子の眼前に突き付けられる拳銃。
反射的に顔を逸らしたものの、頬をかすめた衝撃で血が垂れ流れる。

「ぐ、ぁっ…」

だがそこまでが限界だった。
蓄積された疲労とダメージ、そして元々の織莉子の身体的能力の対処可能域を既に超えていた。

地面に倒れこんだ織莉子に向けられた、黒い銃身。

「終わりよ」

意識を水晶に向けるが銃弾の方が早いだろう。

が、ほむらの銃口が火を噴くことはなかった。
引いた引き金はカチリ、という音をたてるのみ。

(…弾切れ……。間が悪いわ)

弾切れになったグロッグを捨て、ニューナンブを取り出し織莉子に再度向けるほむら。

しかし次の瞬間、ほむらの意識外から殴り飛ばされるような衝撃が走る。
体に打ち付けられる、紫の影を纏った腕。
ニドキングのシャドークローだ。

引き金の引かれた銃はあらぬ方向に飛んでいく。
さらにそこで織莉子が僅かにできた隙の間に繰っていた水晶が迫る。

思わぬ反撃に咄嗟に手をかざしてその一撃を防ぐほむら。
倒れそうになる体をどうにか支え、ニドキングにけしかけていたサイドバッシャーに目をやる。
そこにあったのは関節のあちこちに岩の破片を挟ませ、ギチギチと音を立てながら動きあぐねている2脚の戦車の姿。

さらに手元の拳銃に目をやると、今宝石を防いだ衝撃で銃身が歪んでしまっている。

「くっ」

織莉子に向けて機関銃を発射するもその行動は予測済みかのように回避。
3秒ほど続いた発砲音の後で、カチ、カチという音を立てて弾の撃ち出しが止まる。

「こっちも…!こんな時に…!」

忌々しそうに織莉子と、その傍にいるニドキングに目をやる。

そもそも今のニドキングの攻撃がなければ武器の一つを損失することも織莉子を仕留め損ねることもなかった。
ここにきてほむらはニドキングを織莉子を抹殺する上での排除すべき障害として認めた。

「なら」

と、ほむらはサイドバッシャーへと飛び乗った。
一瞬魔力が機体の全身を包んだと同時、全身の関節に挟まったステルスロックが砕け散る。

元の万全の状態を取り戻したバッシャー。
その上でほむらは一つのボールを取り出す。

「こいつを使わせてもらおうかしら」

開かれたボールから出てきた、ニドキングよりも一回り大きい灰色の巨体。
ほむらが持っていたポケモン、サイドンだった。

「目には目を、と言ったところかしらね」

ポケモンの相手はポケモンに任せればいい。
織莉子を殺すまでの時間稼ぎはしてくれるだろう。

そう考えていたほむらの目に入ってきたのは、小さく嘲笑を浮かべた織莉子の姿。

「……?何がおかしい――――」

その笑みの意味を問いかけようとしたその時だった。

彼女の頭上を謎の黒い影が覆ったのは。









ほむらの戦い方、戦略そのものには理屈の上では何の問題もなかっただろう。
ニドキングを放置すればまたステルスロックで攻撃を妨害される可能性は大きいのだから、それを別の存在で足止めする考えは悪くない。
別に彼女自身に慢心があったというわけでもない。

問題があったとすれば、いや、不運があったとすれば。

彼女の連れていたポケモン、サイドンの本来のトレーナーがサカキであったこと。
そう、ほむらがサイドンの目の前で殺したあのトレーナーであったということ。
その事実を知らずに、ポケモンに指示を出さずに織莉子に気を取られ指示を送ることを一瞬でも遅らせてしまったこと。

サイドンははっきりと見ていた。
その目の前で己のトレーナーの姿が消し飛んでいく光景を。
そして、それを成したほむらに対する怒りも決して忘れてはいなかった。

それらの事実は知らなかったことではある。
しかし織莉子は未来視ではっきり見ていた。サイドンに反逆されるほむらの姿を。
それ故の笑み。

そんな織莉子の目の前で、無防備なほむらの頭上から突如顕現した岩雪崩が降り注いだ。



「なっ――――――!」

機動性と火力を備えたサイドバッシャーの弱点。
それは搭乗者本人の姿は無防備になるということ。

2メートルを超える巨体を上から攻める相手、すなわち機動性を備え飛行可能な者にはサイドバッシャーによる対処は難しいのだ。
そんなサイドバッシャー、そしてほむらの頭上から降り注ぐ岩雪崩。

咄嗟に時間を止めてサイドバッシャーから飛び降りる。

動揺から時間停止期間はそう取ることができぬまま着地し。

そんな彼女に織莉子の放った水晶が飛来するのと、サイドバッシャーに向けて雪崩のように岩が降り注ぐのはほぼ同時であった。。
左腕部から操縦席にかけてを押しつぶし、衝撃で爆発を発生させるサイドバッシャーの車体。

「かはっ……!」

そしてほむらもまた胸部を、腹部を打ち据える衝撃で喉の奥からせり上がる血を吐く。
しかしそれでも意識ははっきりと保たせ遠隔操作でサイドバッシャーを動かしバルカン砲を構えさせる。
かろうじて残った右腕部のフォトンバルカンを放とうとした、その瞬間。

織莉子の傍に立っていたニドキングが、咆哮と同時に飛び上がった。
その腕を濃厚な闇色に染めた状態で。

「グルァァァァァァァァ!!!!!!!!」


主を殺された武器に対する怒りをぶつけるかのように、それを力いっぱい、バルカン砲を発射せんと構えた右腕部へと叩きつけ。

「…ニドキング!!」

織莉子がニドキングの名を呼ぶと同時、発射直前段階であった腕部は爆発。
漏れだした爆風は、熱はサイドバッシャーを包み込み、そして一撃を加えたニドキングをも巻き込んだ。

「……っ!」

織莉子は爆風の中で消え去るニドキングに息を呑みつつも。
サイドバッシャーをも破壊され大きく動揺するほむらへと向く。

「…これがあなたの戦い方の結果よ。
 呪いを、悪を背負ったあなたは、その罪自身に敗れ去るのよ」
「っ!美国織莉子…っ!!あなたは―――ッ!!」

ギリッ、と歯ぎしりをしながら、背後から角を突き出し突撃をかけてきたサイドンの一撃を時間を止めて避けたほむらは。
そのまま織莉子の真横に姿を現し、怒りと憎しみに包まれたままもはや弾を放たぬ鉄塊と化した機関銃を振り上げ。

「そして、その闇すらも私の光で照らしてあげるわ。暁美ほむら」




もう一つ。
もしサイドンのことを除いてほむらに戦略上の落ち度があったとするならば。
かつてのループにおいて一度戦ったことで、美国織莉子の戦い方はほぼ把握していたつもりになっていたことだろう。
彼女の戦法は未来予知と水晶を飛ばしての攻撃。もし他に攻撃があったとしてもその応用。
だがそう考えるのも無理からぬこと。かつてほむらと戦った時の織莉子は、友を犠牲にした上での後がない状態、背水の陣での死闘だったのだ。
その状況で隠し球を持っていることなどまず考えない。

それでも現状においてもその思考に凝り固まった状態であったことはある意味では慢心といえるのかもしれない。
装備がある程度充実していた現状において、織莉子側に何か自分の知らないイレギュラーが起こっている可能性を考慮しきれていなかった。
怒りに支配され冷静さを失っていた彼女にそこまでのことを考える余裕はなかっただろうが。

そう、それは魔法少女としての能力とは別に、この殺し合いの中で偶然織莉子が得た力。


「――――?!」

機関銃の銃身を振り下ろそうとしたほむらの目の前で、織莉子の体が閃光する。
魔力と共に放たれるその光は、周囲に輝きをもたらしほむらの体を焼きつくさんと照射された。

それは妖精のごとき神秘性を感じさせる明るく、しかし鋭く激しい光。
魔法の輝き。

「――――――マジカルシャイン!!」

魔力の閃光は、周囲に暖かさをも感じさせる輝きを、そしてなおかつ敵対者に身を焼くほどの衝撃を与える。

その光は一瞬。
しかし至近距離でそれを受けたほむらは対処する術もなく。

全身を焼かれたように、その衣装を焦げさせ地に伏せていた。

「ぐ…、はぁ…はぁ……」

どうにか命を繋ぐことはできているが、そのソウルジェムの濁りはもはや限界に近いようにも見える。

最も、織莉子も人のことを言える状態ではなかったが。
その消耗を忘れるほどに戦いに費やした魔力は、既に限界に近付いていた。

後で考えてしまえば後悔してしまいそうだが、それほどに暁美ほむらには負けたくなかったのだ。

と、ほむらが倒れたまま手探りで自分のバッグを探すように手を動かす。
しかしそれが落ちている場所は織莉子の足元。

静かにそれを拾い上げた織莉子は、その中身を弄る。

「ニャア」

黒猫がピョコリと飛び出すも気にせずに漁り。
見つかった。

グリーフシード。
既に使用してあるせいかかなりの濁りを吸収しているが、それでも無いよりは遥かにマシだ。

さらにもう少し探ってみるも、今グリーフシード以上に有用そうなものは入ってはいない。

ポン、と。
おそらくそれを命綱にするために探しているだろうほむらに、グリーフシードだけを抜き取ったバッグを投げ渡す。

「……お前は…!」
「返すわ、欲しいんでしょ?」

睨みつけるほむらの目の前で、グリーフシードを使用。
自身のソウルジェムの濁りはかなり残っているものの、命の繋ぎにはなった。

さらに倒れたほむらに詰め寄り、腕を掴みあげその盾に手を差し込む。
そこから出てきたのは空になったモンスターボール。サイドンの入っていたものだ。

「…ありがとう。そしてサカキさんのことはごめんなさい。後は私が終わらせるから、あなたは休んでいなさい」

織莉子の後ろに控えていたサイドンはその言葉にコクリと頷いてボールに戻っていく。

あと残っているのは、この生命を繋ぐこともままならぬ状態の暁美ほむらだけ。
せめてもの慈悲だ。すぐに楽にしてやろう。

「何か言い残すことがあれば聞いてあげるわ」
「……………」
「無いのね。それじゃあ、さようなら」

と、織莉子は小さな、しかしソウルジェムを砕くには足る威力を出せるだろう水晶をその手の甲のソウルジェムへと放ち。

―――――――――バシン

しかしその意識を止め、咄嗟に背後へ振り向き庇うように手をかざす。
その瞬間、周囲に気配のなかったはずの場所から何者かの足が織莉子へと迫っていた。

不意の一撃はどうにか防いだものの、そこからさらに回し蹴りが織莉子へと降りかかり、ほむらからの距離を離される。

「ほむら、大丈夫?!」

目の前に現れた存在を見やる織莉子。
金髪をツインテールにまとめた、どこかの学校の制服を纏った少女。年齢は自分たちとそう変わらないだろう。

「…ア、リス……」
「あんたが美国織莉子ね」

ほむらを庇いながらも織莉子から視線を離さない少女、アリス。
邪魔が入ったことに内心舌打ちしつつも、未来視を僅かに発動させる。
が。

「え?」

数秒後のアリスは走りだすでもなくほむらに注意をやるでもなく。
自分の背後で銃を構えていた。

そして、その過程が見えない。

まさかほむらのような時間操作を行える者か、という可能性に至った時には既に遅く。

「無駄よ」

たった今見た未来通りに背後で銃を構えていた。
掻き消えるように見えなくなったアリスに反応するどころか目で追うことすらできぬままに。

「あなたが未来視を使えることは聞いているわ。だけど今の私ならその未来も越えてあなたを捉えられるわ」
「…なるほど、加速能力か何かということね」

キリカという、他者の速度減衰能力を持っていた存在と共に行動をしていた織莉子はすぐに察することができた。
しかもほむらと違って肉弾戦もある程度立つ様子。
今の魔力で対処できる相手ではないだろう。

一方で彼女はこちらの命を一瞬で奪える力を持っているにも関わらず生かしているところから、殺し合いに乗っているわけではないと判断する。
大方暁美ほむらに騙されでもしていたのだろう、と。

ならば、今はそれを利用させてもらおう。

「言っておくけど私はあなたと戦う意志はないわ。あなたが殺し合いに乗っていない、というなら殺し合いに乗っていない者同士戦う理由はないでしょ?」
「なら何故ほむらを殺そうとしたのよ」
「先に仕掛けてきたのは彼女よ。おかげで私の同行者が命を落としたわ」
「……本当なのほむら?」

織莉子の返答に問いかけるアリス、しかしほむらは答えない。

確かに物事をあまり語りたがらない子だが、そういうところに口を噤むことはないはずだと、そうアリスは評していた。
織莉子の言ったことが事実でもない限りは。

「………」
「警戒しなくても背中から攻撃したりはしないわよ。引き取るっていうのならば暁美ほむらを連れて行ってくれればこちらも手を出さないわ。
 ただあなたがこっちに手を出すなら、私も相応の抵抗をさせてもらうことになるけど」

織莉子の言うことを一先ず信じることにしたアリスは、彼女に向けた銃口を下ろす。
そのまま、動けぬほむらの体に肩を貸して抱え上げ、織莉子に背を向ける。

殺気はない。
もし攻撃があったとしても殺気さえ気を配れば対応は可能、とはいえ安心できるわけではない。
しかしほむらの状態があまりにも危険そうに見える以上、織莉子に時間を取られるわけにはいかない。


「そういえば言い忘れていたわ」

と、そんな時思い出したかのように織莉子がそんなアリスの背中に声をかける。

「暁美ほむら、助けたいというのなら早いうちにそのソウルジェムを砕いてあげることね」
「何を言ってるの?」
「私たち魔法少女はそのソウルジェムに魂を、命を収められている。だからそれを砕かれれば死に至る。
 だけどもう一つ。ソウルジェムの輝きは魔力を使えば使うほど濁っていく。私たちの命を繋ぎ止めておくだけでも魔力は消費されていくの。
 もしそれが完全に濁りきった時、そこからは極大の絶望の化身、魔女が生まれる」
「……!」
「今暁美ほむらのソウルジェムを浄化する手段はない。そして今彼女はそこにいるだけで魔力を消耗し続けている。その傷を修復するためにね。
 もし彼女を化け物ではなくヒトとして死なせてあげたいなら、ソウルジェムが濁り切る前にそれを砕いてあげなさい」

それだけを伝え、織莉子は静かに立ち去って行った。

「ほむら、今あいつが言ったことは本当?」
「………」

未だところどころに煙の燻る空間から、織莉子とは反対の方向に離れながら問いかけるアリス。

できることならば否定して欲しかった。
今言われたことは嘘だと。まだ助かる手段はある、と。

しかし。

「ええ、本当よ」

その願いは敵わなかった。


織莉子は知っている。
この場ではソウルジェムが濁りきった場合も魔女が生まれることはなく、ただソウルジェムが砕けるだけだということを。
そうして死んでいったキリカを目の前で見ていたのだ。暁美ほむらが、あるいはキリカだけが特別だった、ということはないだろう。

ならば何故あんなことを言ったのか。

深い理由があったわけではない。
ただのちょっとした意趣返しのようなものだ。

暁美ほむら。
決して相容れない、考え方において対局に位置する天敵のような存在。
その因縁を終わらせようとした時に横槍を入れてきたことにはほんの僅かではあるが苛立つものがあったから。

だが、どちらにしても暁美ほむらの死は揺るがないだろう。

あのアリスという少女がグリーフシードを持っている可能性は低い。
見たところ彼女は魔法少女とは別の存在の様子。グリーフシードを必要とはしないはずだ。ならば彼女がグリーフシードを持っていることはまずないだろう。
使えぬ石を持っているくらいならば、むしろ有意義に使えるほむらに渡しているはずだ。

無論、暁美ほむらに勝ったとは言っても、今の自分の状態も芳しいものではない。
しばらくは戦いを避け、グリーフシードの探索に専念せねばならないだろう。

放送で鹿目まどかの生存が確認されてしまえば、また話は変わってしまうが。

「………」

もし鹿目まどかの名が呼ばれたならばそれでいい。
だがもしも呼ばれなかった場合は。

その時はまた彼女を探し出し、今度こそトドメを刺す。
グリーフシードの探索と鹿目まどかの抹殺、どちらを優先すべきかも考えねばならない。
グリーフシードの探索を優先した場合は彼女がキュゥべえとの接触をする可能性が高まってしまうし。
鹿目まどかの抹殺を優先した場合はおそらくいるであろう、美遊のような彼女の守護者を魔力を温存した上で突破する術を編み出さねばならない。

「体は一つしかないのに、忙しいものね本当……」

そう思った瞬間、今の自分が一人ぼっちであることに気付いてしまった。
キリカはもういない。
連れて来られて以来ずっと共に行動していたサカキもついさっき命を落とした。

それを意識した瞬間、急に寂しさを感じ始めている自分がいた。

「少し前の、一人孤独の時の私に戻っただけだというのに、ね……」

取り出した、かつて友だったものの破片を握りしめながら。

「キリカ……」

その名を呟いていた。
あの時は持っていなかった、しかし今は得られてしまった温もりの喪失、そして孤独感に身を任せたまま。


【D-6/草原部/一日目 夕方】

【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:ソウルジェムの穢れ(6割)、魔法少女姿、疲労(大)、ダメージ(中)、前進に火傷、肩や脇腹に傷
[装備]:グリーフシード×2(濁り:満タン)、砕けたソウルジェム(キリカ、まどかの血に染まっている)、モンスターボール(サカキのサイドンwith進化の輝石・ダメージ(大))@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式、ひでんマシン3(なみのり)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:何としても生き残り、自分の使命を果たす。
1:グリーフシードを探す。それまでは可能な限り戦闘は避ける。
2:鹿目まどかの抹殺を優先するのはその生存が確定されるまで保留。最遅でも次の放送。
3:優先するのは自分の使命。そのために必要な手は選ばない。しかし使命を果たした後のことも考えておく
4:キリカを殺した者(セイバー)を必ず討つ。そのために必要となる力を集める。
5:ポケモン、オルフェノクに詳しい人物から詳しく情報を聞き出す。
6:積極的に殺し合いに乗るつもりはない。ただし、邪魔をする者は排除する
7:美遊・エーデルフェルトの在り方に憤り。もし次にあったら―――――?
[備考]
※参加時期は第4話終了直後。キリカの傷を治す前
※ポケモン、オルフェノクについて少し知りました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
※キュゥべえが協力していることはないと考えていましたが、少し懐疑的になっています。
※鹿目まどかに小さくない傷を負わせたことは確信していますがその生死までは確信できていません。
未来視を以ってしても確認できない様子です。
※マジカルシャインを習得しました。技の使用には魔力を消費します。



「………」
「もう、無理なのね?」
「ええ」

燃え盛る草原部から少し離れ森へと入ったところで、アリスはほむらの体を地面に横たえてそう問うた。

「ポッチャマ…」

アリスの脇に立つポッチャマは、そんなほむらを悲しそうな瞳で見ている。

腹部の打傷は甚大、そして全身の火傷や目では判断できない場所にもダメージがある様子。
それらは人間であれば放置すると死に至るほどのものであり。
しかし今のほむらにはそれを回復させる術がないという。
命を繋ぎ止めておくだけでも多くの魔力を消費してしまうらしい。

そして、ソウルジェムが濁りきれば、ただの化け物――魔女へと成り果てるという。

「だから、その前にこれを砕いて」

それがほむらの願いだった。

そんなほむらを静かに見つめながら、しかし諦めきれないような顔でアリスはほむらに話しかける。

「その前にいくつか聞かせて。
 まず最初に一つ。あの美国織莉子が言っていた、あんたが先に仕掛けて人を死なせたってのは本当?」
「…ええ」
「何でそんな真似したのよ…?!」

例え相手がほむらにとって許せない相手であったとしても、倒さねばならない相手だったとしても。
そこに関係のない人間を巻き込んでしまってはただの人殺しだ。
自分が気にかけた相手がそんなものになってしまうことはアリスにも許容できなかった。

「……、言い訳はしないわ。あいつを見てたら、どうしても我慢できなかったのよ」
「…分かったわよ。じゃあ次に一つ。
 あんた、まどかって子はどうするつもりなのよ。大事な友達なんでしょ?」
「まどか……」

その名を出した途端、ほむらの目に諦めとは別の色が見えたような気がした。
それが生への渇望なのか、それとも悔いなのか、あるいは別の何かなのかの判断はつかなかったが。

「そうね、私にとってのただ一人の、私の大切な友達……だったわ」
「…だった?」
「私の魔法はね、時間を越えられるの。
 私がかつて守れなかったまどかの力になれる私になりたい、そう願って魔法少女になって。
 あの時は魔法少女がどんなものかなんて知らなかった」
「………」

人でなくなり、いずれ魔女になる運命を背負い。
それでも鹿目まどかを救うために戦い、繰り返し続け、その度に鹿目まどかの死を見せられ。
己がかけた願いそのものは呪いのような希望へと形を変えて、それだけがほむらにとって生きる道標になっていたのだという。

「だからもしこの殺し合いの中で手段が得られるなら、それまで救えなかったまどか達も助けたい、なんて。そんなもの過ぎた願いだったのかもしれないわね…」
「あんた、そんなことまで……」

幾度も大切な友達の死を見ることを繰り返し続ける心境など、アリスには想像もつかなかった。
もし自分が同じことになったらどうなっただろうか。
そう仮定しても、きっとどこかで心が壊れる自分の姿しか思い浮かばなかった。

そしてその言葉で思い至る。
巴マミ、美樹さやかといったほむらと同じらしい魔法少女。
殺し合いに乗ることはないだろうと言いながらも、しかしあるいはと煮え切らないような答えを返していたあの時。

きっと、繰り返す中で仲間であるはずの彼女達のそんな一面を見せられ。
信用できる相手もいない状況で一人全てを背負って戦ってきたのだろう、と。


「だけど、それももう終わりね。私は自分の願いもまどかとの約束も果たせずに死んでいくだけの存在でしかなかった」
「なら、何でそれを私に話したのよ?」
「……さあね。聞くことはそれで最後かしら?」
「そのつもりだったけど、じゃあ最後に聞かせて」

と、ほむらと向き合い、地面におかれたソウルジェムに真っ直ぐに銃口を向ける。
真っ黒に染まったその宝石からはもう光は見えない。飽和するのも時間の問題だろう。

だから、その前に最後に聞いておきたかった。
きっと誰にも話したことのないようなことを最期に話したこの自分は。

「私は、あんたにとっての何だった?」

出会ってから一日も経っていない相手。
しかし殺し合いが始まって以来ずっと共に行動して、時には助け、時には助けられてきた相手。

気に食わないと思いつつも、自分とどことなく似た者なんじゃないかと思うこともあった。
そんな私は、ほむらから見れば何だったのだろうか、と。

「……そうね、いい、友達だったんじゃないかって思ってるわ」
「まどかって子と比べた場合は?」
「比べられると思う?」
「でしょうね」

まだ軽口を軽口で返せるくらいはできたようだった。

別に特別な付き合い方をしたわけでもない。
ただ殺し合いから抜け出すという共通の目的のためだけに手を組んだだけの関係。

だけど色んな死線を見て、その度に手を貸したり貸されたりして。
友情、というよりは信頼関係のようなものは芽生えていたのかもしれない。

だから、最期とはいえこんなことを口走ってしまったのだろうとほむらは思った。

アリスは、そんなほむらの命――ソウルジェムに向けた銃の引き金に指をかける。

「そういえば、顔を合わせたばっかりの時、あなたに向けて発砲したりもしたわね。
 あの時は、悪かったわ」
「ポチャ……」
「――――」

覚悟は決めたはずだったのに、いざこの手で命を奪うとなると躊躇いは拭い切れない。
震える手を抑えて、しっかりと狙いを定めて。

「もし違う場所で、違う形で会えてたなら、案外―――――」

指に引き金を引く。

パキン

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】


民家の中に眠るように横たえられた少女の姿。
ベッドの上で手を組んで横たえられたその死体の頭にはまるで死化粧のように赤いリボンが結ばれている。

ボロボロの体で放置することに強い抵抗を覚えたアリスがほむらのバッグから取り出したせめてもの気遣いだった。


「墓は作ってあげられないわ、ごめん」

穴を一人で掘ることができるほどの力はない。
時間をかければ可能ではあるだろうが、しかしこの殺し合いの場でそれだけのために体力と時間を取られるのは自殺行為だろう。

ナナリーの時には手伝ってもらったというのに、ほむら自身には何もできない、そんな選択を選ばざるを得ない自分が嫌だった。

「…何でみんな私の目の前でなんだろうなぁ」
「ポチャ…」

物言わぬ躯となったほむらの死体の前で静かに鳴き声を漏らすポッチャマ。
出会いこそ最悪だったものの、そこからの色んな出来事をほむらと共に過ごしたポッチャマにも思うところは多いのだろう。

アリスはバッグから一本のあなぬけのヒモを取り出し、ほむらの傍に備える。
花代わり、とするにはあまりに粗末ではあるが、それは出会ったばかりの頃にほむらに渡しそのまま使う機会に恵まれなかったものの一つだ。
2本あるうちの片方をほむらに残していく。

そしてアリスは握りしめた手の内にあるものに目をやる。
割れた宝石の破片。
ほむらの命の形を示していた宝石の成れの果てだ。



あの瞬間、結局自分はほむらのソウルジェムを撃てなかった。
なのにソウルジェムは自然に自壊し砕け散ったのだ。

ほむらが死にかけのあの瞬間にまで嘘を言うとは思えない。第一嘘とするにはあまりにも不自然な類のものだ。
少なくともほむらが言っていたことは事実ではあるのだろう。
だが、それは少なくともこの殺し合いの場で適応されるものではなかった。ただそれだけのことなのだろう。
かつて自分がギアス使用に強い制限を感じた時のようなことがほむらにも適応されていた。そう考えるのが自然だ。

問題は美国織莉子だ。
彼女はこの事実を果たして知っていたのだろうか。
知らなかったのならばいい。しかし知っていたのならば、ほむらの命をこの手で終わらせるように仕向けたということになる。

確かめるために追う必要はあるだろう。

そしてもう一つ。

ほむらがその身を賭して守ろうとした少女、鹿目まどかのこと。
放送で名前は呼ばれていない。まだ生きていると信じたい。

「いいわ、守ってやるわよ、あんたの守りたかったものも」

ほむらの想いがどれほどのものだったのか想像もつかない。
しかしそれほどまでの強い想いを持った友達の守りたかったもの。
それくらいは自分にも守れるはずだ。

「だから、あんたは安心して休みなさい」

それだけを言い残して、部屋の出口へと体を向け。

「ニャア」

その時、それまでどこにいたのかほむらの連れていた黒猫が姿を現した。
猫はほむらの傍に擦り寄り、ゴロゴロと喉を鳴らしている。
ほむらが死んでいることに気付いていないかのような仕草を見せて。

「…ほむらはもう動かないのよ、だから行くわよ」

胸を締め付けられるような感覚に囚われながらもそう黒猫に言い放つアリス。
しかし猫は動こうとはしない。
ただただいつか動くことを待っているかのように身動ぎし続けるだけだ。

「………先に行くわ。後で追い付いて来なさい」

時間が経てばやがて気付くだろう。それから迎えにくるなりすればいい。
無理にほむらから引き離すことにも抵抗がある。

「行くわよポッチャマ」
「ポ、ポチャ」

当面の目的は織莉子を探すこと。
新たに生まれたもう一つの目的は鹿目まどかを守ること。

この場において二度目の友の喪失。
しかしアリスは決して折れない。
大切な友との約束―――彼女の騎士であり続けるために。
もう一人の友の想い―――彼女の守りたかった友。
その二つを背負っているのだから。

そうしてアリスは瞳に流れた一筋の雫に気づかぬふりをして、ほむらの元を立ち去った。


【D-6/一日目 夕方】

【アリス@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、ネモと一体化、喪失感
[服装]:アッシュフォード学園中等部の女子制服、銃は内ポケット
[装備]:グロック19(9+1発)@現実、ポッチャマ@ポケットモンスター(アニメ)、双眼鏡、 あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式、
[思考・状況]
基本:脱出手段と仲間を捜す。
1:ナナリーの騎士としてあり続ける
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:鹿目まどかは守る。
4:ほむら……
5:美国織莉子を追う。
最終目的:『儀式』からの脱出、その後可能であるならアカギから願いを叶えるという力を奪ってナナリーを生き返らせる
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※アリスのギアスにかかった制限はネモと同化したことである程度緩和されています。
魔導器『コードギアス』が呼び出せるかどうかは現状不明です。



※サイドバッシャーは完全に破壊されました
※ニドキングは死亡しました


※ほむらの死体の傍にはあなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)、まどかのリボン@魔法少女まどか☆マギカが供えられています。


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