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『絆永久に』

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
―あいつ・・・一人で大丈夫かな
―みずきちゃん、この小旅行、何日間の予定なの?
―で、そのとき聖がさぁ
―心配なんだ、普段はしっかりしているのに妙なところが抜けてるから
―俺とあいつは似たもの同士だからな

「あ~あ、やっぱりかなわないなぁ・・・15年以上にわたる絆の深さはつけ入る隙なし・・・か」

のどかな春の昼下がり、グラウンドに立つ一人の少女がつぶやいた。
結わえられた髪が春風でゆれる。

「滑稽な話だよね、偽りの気持ちがいつの間にか真実とすりかわっていたなんて」

少女は笑う。諦めたような、自嘲するかのような笑顔で。
その様子を見たもう一人の少女がホームからかけてくる。

「どうしたんだみずき? 体調でも悪いのか?」
キャッチャーマスクを外すと、流麗な髪がこぼれ同じく春風にゆれる。
マウンドの少女を気遣って首をかしげるとさらさらと、きらめく。
「ううんちょっと疲れただけ。ちょっと休憩するわ」
「そうか、分かった、でもあまり無理はするなよ?」
「もちろん、大丈夫よ」

このやりとりを最後にマウンド上の少女は木陰へとゆっくり歩いていき、
もう一人の少女はグラウンドの隅で黙々と一人でボールの握りとフォームをチェックしている男のもとへと歩いていった。

「優! そろそろ投げないか? 球を受けるぞ?」
「お、ナイスタイミング。よしやろうか」

少しして聖タチバナのグラウンドに拳銃を撃ったような捕球音が響き渡った。

『絆永久に』






「よし、今日はここまでにしようか」
今日は実際にマウンドに立ってスタミナと集中力の強化に励んだ。
投げた球数が110球を越えたあたりで俺の相棒から終了の知らせが届いた。
「っはぁ~やれやれ、疲れたよ」
「何言ってるんだ。疲れなければトレーニングとは言わないぞ」
そういいつつも俺にスポーツドリンクを差し出してくれるあたりはさすが。
「ふぅ~っ! やっぱ水分は大事だな、ほら聖も飲めよ」
まだ半分くらい中身の入ったペットボトルを聖に渡す。
「え? あ、あぁ・・・・・・」
だが聖は手にペットボトルを持ったままペットボトルと俺の顔を交互に見るばかりだ。
「? どうした?」
「い、いやなんでもない! じゃあ飲むぞ?」
「おう、飲めよ」
そういうとようやくこくこくと飲み始める。全くどうしたんだ。

最近聖の様子が変だ。いつからかというと俺がみずきちゃんとの小旅行から帰ってきた日。
俺と聖がみんなには内緒の恋人同士になった日。知っているのは聖のお父さんとみずきちゃんだけ。
まぁ恋人といっても今までその辺の恋人以上の時間をともに過ごしてきたわけだから
何か大きな変化があるわけではないと思っていたのだが・・・

今までは当たり前にしてきた行為(先ほどの回し飲みなど)にいちいち許可を求めてきたり、
何かを言い出そうとして結局言うのをやめたり。しかもいくら追求しても話そうとしないのでお手上げである。
俺個人の意見は今まで変わらず毎日を過ごせればそれでいいと思っていたが聖は何か思うところがあるらしい。
が、例えば恋人らしく映画に行きたいだの遊園地に行きたいだのと聖が考えているのだったら
俺は15年以上かけて培った六道聖の情報を0から再構築しなければならないだろう。
自分で言うのも恥ずかしい話だが普段の行動や言動を見ていれば聖の俺への好意は間違いない。
分からない・・・一体なんだと言うんだ?
仕方ない、今日部活が終わったらまた聞いてみるか。

「・・・・・・・・・」
      • 今度はペットボトルをジッと見つめたまま固まっている。
「どうした? 中にゴミでもあったのか?」
「え? あっ! いやなんでもないんだっ」
なんでもあるだろ。





「ってわけでさぁ、なんか最近聖の様子が変なんだよね。これは俺からすれば由々しき事態だよ」
部活帰り、某喫茶店で俺はみずきちゃんに最近の聖のことをひとまず相談することにした。
「え~? 優君に聖のことで相談されてもなぁ」
まぁ確かにそうなんだが・・・頼むよ。

内容が内容だけに周囲に聞こえない程度の声量を保ちつつ俺は話した。
客の中には聖タチバナの生徒も混ざっている。俺とみずきちゃんのセット自体はなんの問題もないが
この会話の中身は他人に聞かれたらかなりやばいだろう。
「実はねぇついさっき聖からその件について相談は受けたわ、でもね」
ここでみずきちゃんは言葉を区切り、一回俺を見つめ、続けた。
「聖の相談には乗ったけど、この件については私から優君に話すことは何もないわ。
これ、優君が自分だけでやるべきことだから、言えるのはそれくらいかな」
そう言ってみずきちゃんは手元のドリンク(もちろん俺のおごりになるだろう)を一気にのどへ流し込んだ。

「なんだよそれ、分かんないから相談してんのに」
この言葉にため息と返事をみずきちゃんがよこす。
「まぁいずれ分かることだけど、優君は重度の鈍感だから優君から気づくことは無いかもね~」
指先で俺の額を軽く小突くと今度は同時に注文したデザートに手をつけはじめた。
「鈍感とは随分だね」

「鈍感だよ。いくらおじいちゃんのことがあるからって好きでもない男のことを小旅行に誘うとでも思うの?!」
みずきちゃんの声量が上がる。俺は彼女に注意しなければならなかったのにそれどころではなかった。
「っ!! でもこれは本当の関係ではないと言ったのはみずきちゃんだろ?」
なるべく、冷静に、声を落として俺は声を発する。
俺の様子を見て気がついたのかはっとした様子でみずきちゃんは目を見開き、声量を下げて言った。
「でも、しょうがないじゃんっ本当に優君のこと好きになっちゃったんだからっ・・・!」
この言葉のあと、彼女はしまったと言わんばかりの表情を見せ、恐る恐る俺を見て続けた。
「ごめん。本当は言うつもりなんてなかったのよ。私のことは気にしないで、優君は可能な限り聖といてあげて。
あの子には君が必要だからね」
両手でそっと俺の手を握り、懇願するかのようにみずきちゃんは言った。

「ありがとう、みずきちゃん。俺、行くよ」
「ん。ここはあんたのおごりで許してあげる」
ニッとまぶしい笑顔を見せた彼女に「最初からそのつもりだったくせに」と悪態をつきつつも俺は聖の家へと向かった。




いつもどおり、自宅から1分弱の場所に位置する六道家に足を運ぶ。
なんだかんだで時計は午後7時を回っていた。
「む、優か。遅かったな?」
制服にエプロンという姿で聖が迎えてくれた。
「ちょっとみずきちゃんに喫茶店で勉強教わってた」
小さな嘘。聖のことを相談してましたなんて言えるはずがない。
「そうか。晩御飯が出来ているぞ」
顔に微笑をたたえて聖が言う。
「おぉ、なんかすごいいい匂いする~早速食べようか?」
「うむ」
短い返事を残して聖は居間へ消えた。


「・・・なんか今日はいいことでもあったの?」

いつもよりボリュームが当社比30%アップ!といった感じの豪華な夕食がテーブルに並べられていた。
普段も十分すぎるくらい栄養価、味ともに非の打ち所がないのだが今日はよりいっそうすごい。
俺の好物(といっても聖のレパートリーの9割以上はそうだが)はもちろん。
主にスタミナがつきそうな料理が中心だった。それでも肉が少なめなのが聖らしい。

「いや、そういうわけじゃないが。・・・ある決心をしたからな、その記念みたいなものだ」
言葉の中ごろから声がやや小さくなって聞き取りにくかったがまぁいいだろう。お腹もすいたしな。
「そっか。じゃあいただこうか。こんだけ気合入ってるんだから冷めないうちに食べよう」
俺の提案に聖は素直に頷き、食卓についた。はしをあわせ、いただきますを宣言する。
「いただきます」
「いただきます」
この時は純粋に料理を楽しんでいた俺だったがしばらく後にこの料理の意味を知ることになる。


「おぉ、最近さらに美味くなったよなぁ・・・こりゃあ越えられたかも」
この反応に聖は満足した様子で少し得意げに笑った。
「いつまでも遅れをとってはいられないからな、それと優?」
聖がはしの動きを止め、真摯に俺を見る。
「その、だな。もしよければなんだが・・・」
珍しくいいよどむ聖。
「なんだよ聖、俺とお前の仲なんだからはっきり言えよ」
「う、うむ。実はな最近こういう料理もそうなんだがお弁当のおかずを研究しててだな、ほらお弁当はこういう
晩御飯とかと違って冷めてしまうものだろう? だから味付けとかを変えなきゃいけないわけだ」
ほほう、なんとなく展開が見えてきたが頬が緩みそうになるのを抑えつつ、俺は話の続きを促した。
「で、私ひとりの独りよがりな感想だけでは嫌だから、その・・・優にも食べてもらいたい」

頬を赤く染め、うつむく俺の相棒。いかんかわいい。
自分の弁当なら独りよがりで問題ないだろうに。思わずにやけてしまいそうになる。
今まであまりにナチュラルに過ごしてきたので聖のこういう表情をまじまじと見るのは案外初めてかもしれない。
というかあまり今まで”異性”であることをさほど意識していなかったのだが最近はそれが変化してきているかもしれないな。





「つまり、俺に手作り弁当を作ってくれるってことでいいのか?」
「あ、あぁ」

料理はどちらかといえば得意な俺だが朝は単に面倒という理由で昼食はもっぱら学食や購買で済ませていた。
そういう意味でもありがたい申し出だったがこのことを話すに至るまで聖の動作にちょっと萌えてしまったというのも
否定はできないのである。

「ありがたいね、楽しみにしてる」
「う、うむ。一生懸命作るからな」

それだけ言うと聖は小さく息をつき、ちまちまとおかずを再びつつきはじめた。
だが俺は聖の顔に微笑が浮かんでいるのを見逃さなかった。
「ふふ・・・」
この笑いは俺のものだ。
「? どうしたんだ一人でにやけて?」

「ん、なんていうかさ。今まで俺らそれこそ家族同然に性別とかあんま意識しないで過ごしてきたじゃん?
だからこういう一般的には当たり前の異性との付き合いも悪くないなって。
だからってよそよそしくなるのだけはごめんだけどな。まぁ改めてよろしくな」
ぽんと聖の頭に手を置く。特に意味はない、なんとなくだ。
「・・・うん」
普段の聖とは少し違う返事にまたも俺は動悸をはやくしてしまったのである。

まぁこんなやり取りをはさみつつも二人だけの食卓は終始和やかな空気で進んだ。
「ごちそうさまでした。美味しかった」
「お粗末様だ。優に言われると自信が持てるな」
そういって聖は食器を手際よく片付けていく。が、今日は皿の数も多いので手伝うことにする。
「・・・・・・・・・」
そんな俺をじっと見つめる視線。
「いや、なんだ・・・いつもより多いからな、大変かなと思っただけだから」
「そ、そうか。ありがとう」
聖はうれしそうに微笑んだ。






みずきちゃんの言っていたことが気にはなっていたが時間も時間。そろそろ家に戻ろうかと思っていたときだった。
「優、ちょっといいか?」
「どした?」
席を立とうとした俺を聖が呼び止めた。
「明日は部活が休みだったな」
「そうだね、それがどうかした?」
この問いに聖は言うべきか言うまいか悩んでいる様子を見せたがしばらくして口を開いた。
「じ、実はちょっと勉強を教えて欲しいんだ、英語と現代文でどうしても難しい部分があってな」
「別にいいけど一回家に帰るな。風呂入ったらすぐにまた来るから」
「ん・・・分かった」
少し照れたような、恥ずかしそうな表情で聖は返事をよこした。
このときの俺は聖が照れたような表情をしていたわけを勘違いしていたんだ。


「ふぅ・・・」
自宅の風呂にて、のぼせない程度に今までのことやこれからのことを考える。
俺と聖は色々と状況は違えど親が基本的に家にいないことが多いという点では同じと言える。
だから俺も聖も、もし互いに出会えていなかったら寂しい思いをすることになったのではないのだろうか。
聖とこういう関係になる前はいろんな建前を駆使して自分から逃げていたわけだがこうして冷静に考えてみると、
なるほどもはや俺と聖は切っても切れないところにまで来てしまっているわけだ。

恋仲らしいかどうかは別として下手な恋人たちよりもよほど長くて濃い時間をすごしてきたわけだから、
改めて恋仲となるなら何か線を引かなければならないと、とは思う。
が、恋愛経験に乏しい俺から優良な答えがはじきだせるわけもなく、結局風呂場で一人悶々とするだけである。

しょうがないので思考の視点を切り替える。
今日の件、聖は学力的には成績優良者の類に入っているはずなのだが意外だな。
まぁ英語は母親に叩き込まれたし現代文は父親に色々と文学を教えられたから得意ではあるのだが。
そういえば晩御飯を食べたあとに聖の家に行くのはかなり久しぶりかもしれない。
中学生になったあたりからそことなく遠慮するようになったんだったな。

まぁ理由はと聞かれたら正直困るのだが夜遅くに若い男女が二人きりでは間違いがあっては困るし
それにそういうことはそういう関係の人がすることであって・・・!?
そこまで考えが至ってはっとする。
俺と、聖の、今の関係はなんだ?

「・・・くっ・・・!」

結局のぼせそうな頭を抑えながら俺は風呂を出て、教材を持って六道家へ再び向かうのだった。





166 :名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 23:55:20 ID:fzxP1V/E
「・・・そうだね、でここは最上級が使われてるけど訳はそうじゃないんだ」
「なるほど」
英語を教えている俺だったが心中はちっとも穏やかではなかった。
怪我に気づく前と気づいたあとでは感じる痛みの強さが違うように一度”異性”を強く意識してしまうと
なかなかそれを払うのは難しいのである。
野球人らしいすらっとしたスレンダーな体型だが女性特有のやわらかい線も失われてはおらず、
今更ながら整った端正な顔立ちに見とれてしまうのだった。
      • これじゃあただの変態だ。とにかく今は聖に勉強を教えないと、で家に帰って落ち着こう。
      • どうやって落ち着くかなんて野暮なことは聞かないでくれ、俺も男だ。
「そうか、うむ。これで大体分かったぞ。ありがとう優」
勉強机の椅子に座っていた聖が顔だけこちらを向き、微笑む。
「あ、あぁ。他には何か分からないところはある?」
う、顔が熱っぽいのが自覚できる。やばいな・・・
「そうだな他はだな・・・その、えーと・・・・・・優? なんか顔が赤いけど大丈夫か?」
言いよどむ聖だったが俺の異常に気づいてごまかすように俺に問いかける。

「え? あ、あぁ・・・大丈夫だと、思う」
しどろもどろな曖昧な返事を返すことしか出来ない俺、やばい冗談抜きに一回この場を離れなきゃ・・・
「本当か? 熱はないだろうな?」
聖は席を立ち、俺の額にほどよい体温の手が触れられる。
そして心配そうに俺を見上げる彼女の表情を見た次の瞬間である。

「あっ・・・・・・んっ!」
俺はほとんど無意識的に彼女の唇を奪ってしまった。
どれくらい時間が経ったか分からないが息苦しくなってきたあたりで唇を離し、その瞬間はっとする。

血の気が引いていくのが分かる。俺は、何をしたんだ・・・衝動に任せて聖の唇を奪って、
それで我にかえったからよかったものの、もしこのまま衝動にかられるままに進んでいたら?
恐ろしい・・・さっきまであんなに熱かったはずなのに寒気さえしてくる。

「す、すまん・・・! 俺、とんでもないことをお前に・・・」
つぶやくような言葉に聖はすばやく反応をよこした。
「なんでとんでもないんだ?」
聖の言動に驚きながらも返事を返す。
「なんでって、あんな突然、あんなこと、して・・・」

「そうだな、びっくりしたぞ」
俺はうつむいているから彼女の表情はうかがい知れない。
「・・・じゃあ責任をとってもらうぞ」
最高裁判所で検察側に完膚なきまでに叩きのめされて死刑宣告をされた被告人のような気持ちで
俺は聖の言葉を待った。大袈裟かもしれないが本当に自分自身に失望したのだ。

聖の手が顎に添えられ、そっと前を向かされる。
直後、唇に柔らかい感触、目の前には聖の顔。
「なっ?!」

数秒の後に口は開放され、反射的に酸素を取り込む。
「・・・私たちは、仮にも恋仲なんだぞ? 相手にその・・・せ、接吻されてうれしくないわけないだろうっ」
聖は顔をうつむかせ、ぎゅっと俺の手を握る。そして続ける。
「きっと私たちは近すぎたんだ、だからなんというか・・・こういうことを切り出すのが逆に気恥ずかしいというか・・・な。
だから、さっき優に・・・されたとき、嬉しかったんだ。私を、女として見てくれてるんだとな」
手を握り締める強さが強くなる。
「・・・今なら言える、私は優が大好きだぞ、優のためになることならなんでもするし優になら何をされてもいい」
俺の手を握りしめていた手は俺の背中へまわり、俺にぎゅっと抱きつく形になる。
俺はなんて愚かだったのだろう。省みなければならない部分は山ほどだがとりあえず今はおいておく。
今は目の前の人がただただ愛しい。



「俺も大好きだ聖、こんな馬鹿野郎でよければこれからもずっと一緒にいてくれ」
一緒にいたいという言葉は以前にも彼から聞くことが出来た、だがこの大好きという言葉に含まれる響きの
心地よさには到底およばない。なんだろう、胸のあたりがきゅーっとなる。
でも全然苦しくなくて、むしろ心地よくて、永遠にこうであってもいいくらい甘い感覚。

今まで、多くの時間を一緒に過ごし、一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に生きてきた私たち。
だからこそ改めてこういう関係を結ぼうとしたとき、今までのことがかえって壁となってしまったのかもしれない。
家族という名の幼馴染なのか、それとも恋人なのか、
曖昧なままだった彼、結局動けなかった私。二人は臆病だったんだ。

みずきに助言をもらっていよいよ今夜と意気込んでいたのだが正直もういい。
勢いや衝動にかられたからとはいえ、彼から行動をおこしてくれたのだ、もはや何も言うことはない。
幼馴染だろうが家族だろうが恋仲だろうが私たちの絆は揺るがない。
明日は休み、普段はみずきに彼を貸さなきゃいけないからな。だから・・・
「今夜は、離さないから・・・ね」
そう言って再び彼の唇に自分の唇を重ねた。
それだけでも幸せだったが事態は私をさらなる甘美な渦へといざなっていく。

「ふっ?!」
突然唇に熱いぬめぬめしたものが触れた。
驚いて口を開いたのとそれが彼の舌だと気づいたのはほぼ同時だった。



彼の舌が私の舌をとらえ、からめてくる。背筋にぞくりと形容しがたい甘い痺れが走る。
未知の感覚、息苦しいはずなのに心地よく、全身の力が抜けていく。
思考力が圧倒的な幸福感と快感で奪われていく。
互いが再び酸素を求めて唇を離した時、私はもはや支えなしでは立てない状態になっていた。

「ははっ、聖ふらふらだな」
やや意地の悪い表情で彼が笑う。もちろんその笑みに悪意はないのだが。
「し、しょうがないだろうっ、せ・・・接吻がこんな・・・こんなに・・・」
頭が回らない、言葉が上手くつむぎだせず、結局うつむくばかりである。
「大丈夫だ、俺も離すつもりはないからな。・・・かわいいぞ聖」
私をつつむ力が少し強くなり、目の前の彼はニッと笑った。
「!!」
またも胸のあたりがきゅーっとなる。前のよりも強い。
なんだろう、この表現のしようがない湧き上がるうれしさは。
そういえば彼に可愛いなどと言われるのは生まれて初めてかもしれない。
今までかわいいなどという表現を私に対して用いた人間は性別を問わず何人かいた。

だがそれらのいずれもおそらくは私の容姿のことを指すものだったと思う。
実際大して仲の良い人間はその中にはいなかった。例外をあげるならばみずきくらいのものだ。
ほとんどが上っ面だけの、私の中身を見ていないと分かる言葉でうんざりしていた。
私という人間の中身を知っている彼の言葉とは重みが、いや次元が違う。
      • 私も女ということだな。好意を寄せている親しい人間に可愛いと言われてうれしくないわけがない。
ちょっと・・・いやかなり恥ずかしくもあるけどな。




私はこんなに彼のことが好きだったのか・・・
彼とみずきが小旅行に行った際に私の彼への依存っぷりがわかったわけだが自分でも正直驚いた。
「あっ」
突如、体が宙に浮く感覚。彼が私を持ち上げたのだった。俗に言うお姫様抱っこというやつで。
「な、なーっ?! 何をするんだっ恥ずかしいからおろせっ!」
じたばたもがいてみるがろくに力も入らず、無駄な抵抗に終わる。
「誰も見てないからいいじゃん~でもまぁいいか、よっと」
おどけた笑顔を見えた後、私をゆっくりベッドにおろした。
「・・・いくら私がふらふらとはいえ椅子からベッドまで2メートルもないんだが」
不満げな私の視線をさらりとかわし、彼は言葉を返す。
「いやー・・・一度やりたかったんだよね、聖すっごい軽かったから全然辛くなかったし」
「・・・ばか」
しれっと言う彼に私はこう返すことしかできなかった。


いよいよ時が来たんだな・・・う、この期に及んで緊張してきた。
「じゃあ聖、その・・・始める・・・よ?」
私の手を握り、彼が真剣なまなざしで言った。彼からも強い緊張が伝わってくる。
「うん・・・でもその前に・・・」
本格的に行為を始める前に私は彼にしてほしいことがあった。
「どした?」
「その・・・もう一回、せ・・・してくれないか?」
肝心の部分はほとんど発音出来ていない。でも彼なら察してくれると信じてる。・・・鈍感だがな。

言葉の代わりに唇への熱い感覚と全身を走る甘い痺れ。ほぼ0距離の彼の微笑。
二度目の今度は私も積極的に彼の舌を絡め、唾液を貪る。
「くせに・・・なってしまいそうだ」
思わずつぶやいてしまった言葉。私はこのいわゆる大人のきすというものを気に入ってしまったらしい。
「そんなに良かった?」
「・・・・・・・・・ん」
素直に答えを言えず、曖昧な応答をする私。
「こういう場面での曖昧な応答は肯定って判断しちゃうけど?」
「・・・好きにしろ」
ぷいとそっぽを向くことが最後の抵抗でもあった。このときの私は確かに羞恥心を帯びていたのである。

「んじゃもう一回だな。俺も気に入っちゃったしこれ」
彼はそう言って私のいる布団へと入り込んできた、2人ではいささか狭いのだが
今の私にそんなこと気にする余裕があるわけもなく、たくましい彼の体を全身で感じながら接吻をするのだった。
互いの首に腕を回し、ひたすら貪りあう。彼が入浴を済ませた後というのもあるだろうが(もちろん私も入浴は済ませた)
心地よい香りが私の嗅覚を刺激する、さらになんと表現すべきか彼のぬくもりと言えばいいのだろうか、
それもとても心地よく、このまま眠ってしまえば私はいつもよりも安らかで深い眠りにつける気さえする。
だが眠りにはつかない、つけない。ここで中途半端に終わらすことだけは避けたいのだ。
私の心はもう決まっている、私の心も体も君に捧げよう。

――大好きだぞ、優。




随分と長いキスを終え、俺と聖はいったん口を離す。それと同時に聖は言った。
「人の肌というのは暖かいな」
かみ締めるように、目を閉じゆっくりと聖は話す。俺はそれを黙って聞いていた。
「私は人付き合いとか最近の流行とかそういうのに疎いからな、
お母さんがいないこの境遇を嘆くわけではない、毎日頑張って働いてくれているお父さんには本当に感謝している。
だけどもしも優がいてくれなかったらきっと、私の日常は寂しいものだったに違いない。
      • だからな、私は優に心から感謝するぞ。・・・普段はこんなこと言えないからな、もう二度と言わんぞ?」
そういって彼女は確かな笑顔を見せたのだった。

「!・・・・・・・・」
「・・・? どうしたんだそんなに意外だったのか?」
頬を赤く染め、少しむっとした表情に変化する。
言葉は出なかった。なんてきれいな笑顔だろうと、素直に思えてしまった。
「いや・・・すまん、見とれてた」
「は?」
今度はぽかんとした様子でこちらを見つめる。
「ん、なんでもない」
あぁもうダメだこいつこんなに可愛かったっけ? そんなことを思いつつもう一度だけ軽くキスをするのだった。

「じゃあ・・・服脱がすよ?」
この問いかけに困ったような表情を見せる聖。
「あ・・・でも・・・その、なんだ」
おい、今更引き返せんぞ。
「どしたの?」
「や、やっぱり・・・えと、む・・・胸とかも見たりする・・・のか?」
ぼそぼそと話す聖の言葉を俺は確かに聞いた。
やばい、ニヤニヤが止まらないぞ。なんとなく聖の言いたいことは察しがついたが少し意地悪をしてみる。
「まぁそういうことを今からするわけだしな。・・・なんでそんなこと聞いたの?」
この問いにカァーッと音が聞こえそうなくらいに顔を紅潮させてさらに小さな声で聖は続ける。

「だ、だからだな・・・その・・・私は・・・み、みずきみたいにす、すたいるも良くないし・・・」
自分の胸の大きさを気にするクールなスポーツ少女、可愛いじゃないか。
ものすごく彼女をぎゅーっとしたい衝動に駆られたが今度は打ち勝って、ある時聞いた恐ろしいネタを聖に話すことにした。
「あぁ実はね・・・みずきちゃん胸大きいように見えるけど実はパットで水増ししてるらしいよ・・・」
俺が握ってるみずきちゃんの唯一の弱みなはずなのだが・・・
これを本人に話した日には聖のお父さんの仕事が増えかねない。
「なっ?!」
心底驚いた様子を見せる聖。そんなに衝撃的だったのか。
「結構確かな筋の情報なんだけどばれたら間違いなく例の注入棒で半殺しだから内緒な」
若干震えてる俺の体を察してくれたのか聖は黙ってこくりと頷いた。




「ま、とにかく俺は小さくても気になんかしないさ、俺は聖だからいいんだ」
むしろ聖くらいが俺の好みだったりするのだがこれは公言を控えることにする。
とにかくそういって聖の頭をなでる。
「そ、そうか。・・・ぁ」
そしたら彼女は目を細めて心地よさ気にされるがままだったのでつい気をよくして
しばらくそれを続けていた。そしてすっと不意をつくように彼女の衣服をめくった。
「あっ!? ま、待て! まだ心の準備というものが――」
「待てませーん」
いわゆるスポーツブラというやつだろうか。―多分お風呂上りという理由もあるだろうが―
それを外したまではよかったのだが、ここで再び俺硬直。・・・我ながら情けない。

「う・・・わ、私の体はどこか変なところでもあるのか?」
不安げな表情で聞く聖を見て俺ははっとしたように硬直を解いた。
「んなことないよ、ただ・・・きれいだなって思ってさ」
聖の顔が瞬く間に紅潮していく。
さっきの笑顔もそうだがまさか幼馴染相手に面と向かってきれいだなんていう日が来るとは夢にも思わなかった。
人間テンション次第じゃ何をしでかすかわかったものではないが・・・
とにかくこんなことをしれっと言えるこのときの俺は確かに昂っていたんだ。
「あ、あまり見ないでくれ・・・一応、私も女なんだ」
顔をそらしてすっとつつましながらも形の整った胸を両腕でおおう彼女の動作は・・・とりあえずやばいね。
なんというか、10年以上の付き合いなのに今日だけで彼女の見たことのない表情をいくつも見た気がする。
「その・・・さわってもいい、ぞ? 小さいから・・・面白くないかもしれないが・・・」
いつもの自信に溢れた表情とは程遠い自信なさ気な表情はなんとも庇護欲が湧いてくる。
守ってあげずにはいられない、か弱い儚げな雰囲気を今の聖は持っていた。
「そんなわけないだろ?」
流麗な聖の髪を優しく梳かしながら言う。
そしてそのまま聖の両腕をどかし、双丘の中心に指先が触れる。
「んっ」
聖がぴくりと体を震わせる。
「だ、大丈夫か?」
俺は声が震えている。初めてとはいえ情けない限りだ・・・俺がしっかりしなければ。
「ん、大丈夫だ、続けて・・・くれ」

俺は女ではないから実際のところは分からないが女性の胸というのは強く揉まれたりすると痛みを伴うという。
優しく、決して乱雑にならぬよう俺は指先の動きを再開した。
中心の周りをゆっくりなぞってみたり頂点を指で軽くこねまわしたりひっかいてみたりする。
「っ! ふっ・・・んんぅ・・・はぁ・・・」
その都度聖は吐息をもらした。肌も全体的に紅潮してきている。
のだが彼女は声をあげようとせず必死に声を殺すのだった。
「? 声出してもいいんだぞ?」
という俺の問いに対し
「で、でも恥ずかしいから・・・」
と聖。
確かにクールな聖の嬌声などあまりイメージが出来ない。
うーむちょっと聞いてみたいかもしれない。
俺の中に先ほどとは真逆の気持ちが芽生え始めた。

声をあげさせるためには驚かせるか彼女の限界を超えればいいわけだがしばらくは前者のほうが難易度は低そうだ。
ためしに彼女の乳首を両方同時にきゅっと摘んでみる。
「ふぁっ!?」
勝利。



「声出てるよ? いつもじゃありえない声だな」
と意地悪く言ってみる。もちろんわざとだ、彼女がどれだけ負けず嫌いかなんて説明するまでもない。
顔を真っ赤にしてくやしそうな表情を見せたあと、目を閉じ両の手はぎゅっと布団をつかんだ。
よし、受けてたとう。

ゆっくりと寝間着の下の部分を脱がす。一瞬体がびくりと震えるがふたたびぎゅっと布団をつかんだ。
ごくりと自分が唾を飲む音が自覚できた。口には出さないがらしいといえばらしい白の簡素な下着。
それにうっすらと透明の染みが出来ている。女体の神秘に感動しつつもゆっくりとそこに触れる。
「ふぅっ・・・!」
ぶるっと聖の体が震える。
薄い布越しに縦のラインを指で何度も往復する。
「んっ・・・んくっ・・・ふぅっ・・・はぁ・・・」
目をぎゅっと瞑り、声を押し殺してはいるのだがそこをなぞるたびに聖の体がぴくぴく反応する。
その反応がかわいくて何度も何度も往復する。
「っ!! ・・・ふっ! ・・・んぅっ・・!!」
少しずつ反応が大きくなってくる。時々優しくひっかいてみたり変化球を交える。
「ひゃっ・・・っぁ! んっ・・・!」
だめだ本当にかわいい。我慢しているのに体は正直なところとか、正直たまんないね。
そして聖がわずかながら嬌声を抑えられなくなってきたころ、彼女の下着は下着として機能しなくなっていた。
もう水をかけたみたいにぐしょぐしょな状態なのである。

「脱がすよ」
一言だけ断りを入れて彼女の秘所を守る薄い布をするりと下ろした。
「!! ~~~~~~~~っ!!!」
布団を強く握り締めていた両手は聖の顔へと移動し、彼女は顔を覆いながら悶えている。
その動作も非常に愛らしいものではあったのが経験の無い俺はどうしても視線が下の部分に集中してしまうのだった。
なんというか・・・語彙力には多少の自信を持っていたはずの俺だったがこれを表現する術が見当たらない。

とにかく、優しく丁寧に扱わなければ。それだけを頭に叩き込んで俺は動作を再開した。
「はぁ・・・はっ・・・はぁっ・・・」
すでに聖の体はかなり絶頂に近いところにまで来ているのだろう。こちらが触れていなくても時々体がびくついている。
まず目に付いたのは女性器の中でもひときわ敏感だといわれている部分である。
悪いが口で言う気にはなれないので具体的な名称は察して欲しい。

聖の膣から流れるぬるぬるの液体を指につけ、その指先でその部分を優しくさすってみる。
「っぁ!! んぐぅっ!!!」
今まで一番強い反応を見せた聖。たまらず両手で口を抑えた。
「口塞ぐのは反則だろ」
聖の両手首の部分をつかみ、聖をばんざいさせるような体勢にし、体重がかからないように片手で抑えた。
先ほどはかなり優しく触れたつもりだったがあれだけの反応、とにかく力加減に気を使い、続ける。




「っ!!! ~~~っ!! んくっ!!」
妙なところで強情な奴だ。歯を食いしばり、必死に耐えている。
呼吸はすでに相当に荒く、全身は赤を帯びている。全身はがくがくと震え、
先ほどまでわずかながら抵抗のあった両手ももはやほとんど力を感じない。
いい加減に絶頂を迎えてもおかしくないくらいにはなっているはずなんだが・・・
「おい、無理しなくてもいいんだぞ?」
ついこちらが心配になってこんなことを聞いてしまったほどである。
「べ、つにっ・・・無理を、している・・・・っ! わけで、は・・・・っなっ・・・ひゃっ!」
あぁもうなんだこいつ、こんなに可愛いなんてお兄ちゃん知らなかったぞ。
そんな涙目で言われても説得力の欠片もございません。

「・・・・・・・・・!」
再びキスをしかける。いや・・・あまりにかわいくてつい。
「!!!」
聖が目を見開く。突然で驚いたのだろうか。あまった左手でまたもそこをさすってやる。
「んふっ?! うっ・・んく・・! んぅーーーーーーっ!!!」
突如聖の体がはげしく痙攣した。キスの際に開放した両手は俺の腰に回され、かなり強い力で抱きしめられる。
これは・・・聖は達してしまったらしい。それにしてもキスを加えるだけでこうもあっさりとは・・・
よほど気に入ってしまったようだ。

「はぁ・・・はぁ・・・こ・・・れ、頭が・・・痺れる・・・っ」
ようやく体のびくつきがおさまってきたようで一気に脱力してくてりと布団に転がった。
「あんなに頑なに我慢してたのに、そんなにキスが気に入ったの?」
聖の頭を撫でながら俺は言った。俺のぎこちないキスで気をやるくらいなのだからキスそのものが気に入ったのだろう。
「は、反則だ。背中と頭が痺れて何も・・・考えられなくなるんだ」
頭を撫でている俺の手にそっと触れながら聖は言った。
「んじゃあもうしないほうがいい?」

「・・・しても、いい」
一瞬の間の後に彼女はこう答えた。でも俺はこの答えに満足しない。
「どっちでもいいの?」
「・・・・・・・・・してほしい」
さっきよりも長い間をおいて彼女は小さくつぶやくように、だが確かに答えた。

再び俺たちは唇を重ね、舌を絡める。そして空いている手は今度は聖の中へと進入していく。
入るかどうか不安だったが潤ったそこに指は思いのほかすんなり入っていった。
「んっ・・・っ・・・ふぁ・・・・」
聖はぶるりと体を震わせ、また俺の背中へ手を回してくる。
すんなり入ったといってもそれは指一本の話で二本以上だと話は別。はっきり言って聖の中は相当きつい。
ゆっくりと二本目の侵入を試みる。
「~~~っ!! っあ!」
ここで唇を離し、互いに酸素を取り込む。
なんとか2本同時に入った。そのままゆっくりと2本指で出し入れを繰り返す。
が、これだけせまいとただの出し入れでも相当すごいことになったいるはず。
「・・・っ!!! はぁ・・・! うぁっ!」
中の上側をこすってみる。
「あっ?! そ、それだめ・・・っんあぁっ!!」
また気をやってしまったようだ、女性は一度達すると連続でイッてしまうなんてこともあるらしいから、
聖もおそらくはそれなんだろう。

今度の聖は俺から手を離さず、俺に抱きついたままだった。




「・・・じゃあ、その・・・いれるよ?」
大きく深呼吸をし、俺は聖に告げた。
「はぁ・・・はっ・・・うん・・・でも――して」
呼吸を乱しながらも聖は小さく、それでも確かに頷き、俺の耳元で言葉を囁いた。

「くっ・・・これは・・・」
予想はしていたがこれはかなりきつい。だが聖はもっと苦しいはず、キスをして少しでも気を紛らわせる。
そして中途半端なまねをすれば結局聖が苦しむことになる。
「いくよ・・・!」
意を決し、一気に貫く。途中何かを突き破る感覚。もう一度聖の唇に自分の唇を重ねる。
「っ!!! んぐうっ!!」
背中に爪が立てられるがそんなことは二の次だ。ぎゅっと目をつぶり、俺にしがみついている聖を強く抱きしめ返す。
どれほど時間が経ったかは分からないがしばらくして聖の俺にしがみつく力が徐々に減衰していくのが分かった。

「ん・・・すまない、もう大丈夫だと思う」
「じゃあ、ゆっくり動くよ」
こうは言ったものの何度も言っているが俺も初めて、ゆっくりやらないとこちらが参ってしまいそう、
というのが本音である。本当情けないが。

「んくっ・・・はぁっ・・・」
声にはまだ苦痛の色が混ざっている、がだんだんと痛みは引いてきているようだ。
「大丈夫・・・なわけないか、無理はするなよ・・・辛かったらすぐに―――」
言葉の続きは聖に指を唇に当てられて制止させられた。
「確かに、痛かったけど・・・んっ辛くなど、ない・・・ぞ?
だって、この痛みは、優と一緒に・・・っくぅなれたあ、証だから・・・辛いはずが、ないだろう?」
そう言って聖はにこりと微笑んだ。少し苦しそうだが確かに微笑んだのだ。

「ありがとう、俺を好きでいてくれて。これからもずっと一緒だ」
「うん・・・うん・・・!」
再び聖を抱きしめて今日何回したか分からないキスをしながら俺は動くのを再開した。

「ふぅっ! あぁっ! んっ・・・!」
もうほとんど痛みはないようだ。少しずつスピードを上げていく。
さすがにもう俺も限界に近い。気を抜いたら・・・もうやばい。
指でしたときは確か上の部分をこすったら反応が大きかったな。
そんなことを思い出して自分のそれでそこをこするようにして出し入れを繰り返す。
「んっく・・・・っ!! もう、だめだっ・・・!」
急激に聖の膣が締まりだす。こ、これはもう俺も限界だ。
「俺も、もうっ・・・・・くっ!!」
「うあぁっ! あぁーーーーーーーーーっ!!」





―――――――

―――――

―――


「はは、家族のあとに恋人かぁ・・・なんか変な感じだな」
情事の後始末をした後、同じ布団の中で俺と聖はのんびりと会話をしていた。
時計はすでに健全な青少年は眠るべき時間を指していたが今日くらいは勘弁して欲しいところだ。
「そうだな、でも」
でもと言って仰向けに寝ていた聖が横の俺の方を向いた。ふわりといい匂いが漂う。
「でも?」
俺が先を問うとそのままくるりと身を翻して聖が後頭部を俺の胸に預けてきた。
「あと数年もすれば正真正銘の家族になれるぞ?」

一瞬意味が理解できず硬直、そして一瞬後に理解。
はは、ときどきとんでもないことをさらりと言うなぁこいつは。
「ふふ、みずき以外の女の子と仲良くしてたら晩御飯はないぞ」
「あはは、その点は心配いらないよ。そのみずきちゃんのおかげで学校で言い寄ってくる女子はいないし」
「そうか、そうだな」
そう言いつつ聖は手探りで俺の手を探し当てるとそれをぎゅっと握った。

これを最後にしばらく無言の状態が続き、いよいよ我慢していた睡魔が猛威を振るい始めたころだ。
「そうだ、大事なことを言うのを忘れていたぞ」
聖がはっとした様子で器用にもその場からほとんど位置をずらさずに俺のほうへくるりと向いた。
「ん~? どした~」

「ふつつかものだがよろしくお願いするぞ」

俺の睡魔は一瞬にして撃墜された。

おしまい。

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