プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU19

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『何よ、ヒャクエンって。』
『あっと、通貨単位が違うのか。 そうだなぁ・・・えっと。ボクの月収の1960分の一』
ヨモギの表情がとまる。
『貴方の月収って幾らよ。』
『そうきたか。』
ボクは通貨単位の違う数値を如何答えるか答えあぐねる。
『えっと・・・ヴィシーの平均月収って幾らくらいなの? それに換算すると判りやすいと思うけれど。』
逆に質問で返されて面食らいつつも、ヨモギが数値を出してくる。
『大体2KByte位よ。』
『んじゃあ、2Byte未満の値段だ。』
ヨモギがまた表情を変える。
今度は、なんと言うか・・・怖い。
『冗談はやめて。 そんな値段でこんなものが出るはず無いでしょう。』
『いや、冗談じゃ・・・。』
『5年前、一冊のライブラリが売りに出されたわ。 ライブラリが競売に出されるのは50年ぶり。』
『ライブラリは、系列の魔術を離れるとクリアにされるから貴方のと同じ真っ白ね。 そのとき、ついた価格を教えてあげるわ。』
『25GByteの値がついた。 買い取ったのは、ヴィシー国とヴィシー魔術組合。』
『ヴィシーは国家予算を使ってこのライブラリを競り落としたの。』
咄嗟に金額が良くわからない。
しゃがみ込み、地面に数字を書きながら確認する。
『えっと、200000と2000Byteが同じ価値なんだから、ゼロを二つ後ろに付ければいいのだから・・・。』
『25000000000に00で、二兆五千億円!?』
出てきた数字に思わず素っ頓狂な声が出る。
『どうした?』
その声を聞いてマコト達も近づいてきた。
そのマコト達にヨモギが説明する。
『カエル、真っ白なライブラリを所持してるのよ。 しかも1Byte未満の価値で買ったって。』

『なにぃ!? お前、ライブラリ持ってんのか!?』
マコトが詰め寄ってくる。
『うん。 コレのことでしょ?』
そう言って、マコトに差し出す。
『うわぁ。 本物だ。 初めて見た!』
マコトは相当興奮している。
『でも登録されているのは二件しかないんだな。』
ヒイラギが突っ込んできた。
『しょうがないでしょう。 まだこっちの事、良く判っていないようだし。』
マサキも僕の直ぐ後ろに居る。
『そんなことよりも、直ぐに発つんでしょう? マコト。』
そうマコトに促す。
『おっと。 そう言えばそうだったな。 カエル、コレは返しておく。 良いか。 コレは絶対に大切にしろよ。 お前の大切な財産なんだからな。』
『うん。』
マコトから手帳を受け取ると、ソレをバックに仕舞う。
『おしっ! それじゃ、行こう!』
マコトが仕切り、通りを進み町の外に向かって歩み始めた。
ふと、噴水が視線に入る。
未だに白い塊になっている。
魔法が失敗すると、ああなるのだ。
対象がモノだから良いが、人間だったら大変なコトになるだろう事は容易に予想がついた。
そうして僕らは、町を後にした。

それから数刻後の夜明け頃、この町は魔物の襲撃を受ける。
もっとも、誰も居ないことが判っていたのか、ゆっくりとした襲撃だった。
その中で、町のほぼ中心で奇妙なオブジェを見つける。
それは、噴水と思わしき白い塊だった。
襲撃隊の隊長がソレを調べる。
『ほほう、コレは面白い。 物体を絶対零度近くまで冷却する魔力の持ち主が存在するとは。』
『残留魔力は・・・むむぅ。 コレはマズイな。 直ぐに報告せねば。』
『ガーゴイル緊急伝令だ!』
ガーゴイルと呼ばれた羽根を生やしたその魔物は、隊長から言付けを聴くと一直線で飛んで消えていった。

『ねぇ、重いんだけれど・・・・。』
ボクは、右肩にずっと乗りつづけているハヤブサのソラに話し掛ける。
もっとも鳥に語りかけても、判ってくれないハズなのだが。
でもボクから見て、ソラは明らかに聞こえないフリをしている気がした。
『ねぇってば・・・ずっと右肩で、そろそろ右肩が痛いかなーって思うんだけれど。』
メゲずに話しつづける。
ソラに少し反応があった気がする。
でも、未だ動かない。
『もう・・・。』
そう言って、右手で右肩に乗るソラの体を撫でる。
すると、突然大きく羽ばたきだした。
『おっ。』
思わず声が漏れる。
そのまま大空に飛び立つのかと思ったら、小さく飛んで、左肩に乗った。
『・・・いや、そういう意味じゃないんだけれどな。』
ソラは、今度は明らかに聞こえないフリをした・・・気がした。
『こんにゃろう。』
そうボクは語りかけ、今度は左手でソラを撫でる。
このソラは、なんとも親友のような感覚で話せる。
『おーい、そろそろこっちの世界に戻って来い。』
そう、ヒイラギから声を掛けられた。
『え!?』
呼びかけられた方に振り返る。
マコト達四人が此方を見ている。
なんだか、口の端に笑みが漏れている。
『おまえ、相当変わってるな。』
マコトに言われる。
『どういう風に?』
ボクはそう言ってきたマコトに聴き返す。
言いたいことはなんとなく判る気がする。

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