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少女Q?

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………
……
…

「それじゃ、あなたは異世界の勇者ってのをやっつけてきてね」
「……イエス・ユア・ハイネス」
虚ろな瞳のゴスロリ少女は、ミレイアの命令に従いその場を音もなく去っていく。
その後姿は、少女とは思えないほど頼もしく見えた。
「さーて、刺客も差し向けたし、これで安心ね。さ、遊ぼ遊ぼ~♪」

【BGM変更:ミレイア用】

少女を見送ったミレイアは、一転して明るい声と笑顔になった。
「で、でもあんな女の子に任せて本当に大丈夫なんですかお?」
すでに魔王ムードはどこへやら、精神年齢も幼女モードに戻りかけていたミレイアにブンが声をかける。
「大丈夫でしょ? 異世界の戦士なんだし。あんたたちも見たでしょ、あの力」
「……確かに、不思議な力を持っているようですが」
ジョルジュは先ほどの光景を思い出し、沈思する。
ミレイアの命令強制魔法により操り人形となった少女は、ミレイアが力を見せてみなさいと命令すると、その能力を示して見せた。
その力自体は、物体召喚魔法に似ていた。同じような魔法ならばジョルジュにだって使える。
だが、呼び出されてきた物体には、ジョルジュやミレイアの魔力をもってしてもその威力を計り知ることが出来ないような代物だったのだ。
「ワシも魔法はよくわからん。だが、確かにあの品々には言い知れぬ力を感じたのもまた事実だ」
むっつりと押し黙っていたベアが、口を開く。
「そういうこと。とりあえず様子見よ、様子見」
ミレイアは軽く言い捨てて、さっさと水着に着替えなおしてしまう。
また海へと繰り出すつもりなのだろう。
「待ってくださいお、ミレイア様!」
「なによ、ブン。まだなんかいいたいの?」
浮き輪を装着したミレイアを呼び止めるブン。
「重大な問題が残ってますお!」
「……な、なによ?」
思わず息を呑むミレイア。
「……あの女の子、なんて呼べばいいんだお?」
『…………』
重苦しい沈黙。
「そういえば、名前を聞く暇もなく操ってしまいましたからねぇ……なかなかいいおっぱいの持ち主でしたのに、私としたことが迂闊でした」
ジョルジュが苦笑を浮かべながら腕を振って悔しがる。
「……確かに、名前がないと呼びづらいな」
「おまえにしちゃ、まともな疑問を抱いたもんだな」
ベアが渋面を作り、アーヴェが感心したような声を上げる。
「う~~~~ん。報告してもらうにも、「あの娘」とか「異世界の戦士」とかじゃめんどくさいわねぇー……」
ミレイアが腕を組んで黙考すること5秒。
「よし、じゃあ謎の少女ってことで、少女Qって呼ぼ。それでいいや」
「Qっていうのは……クエスチョンですか」
「しかもどっかで聞いたことある気がするお……」
「いいのいいの、わかりやすいから。じゃ、そういうことで少女Qの戦果の確認は任すから、しっかりやんなさいよー」
そういい捨てて、ミレイアはさっさとビーチへ向かって駆け出した。
「……」
「……」
取り残された四天王は、互いの顔を見合った。
「……まぁなんですね。少女Qの同行視察はベアさんが適任かと」
「賛成だお。ベアは人間領にいても一番違和感ないお」
「右に同じだ」
「………」
ベアは正確には魔族ではなく、獣人である。
だが、四天王として名が広まっている以上、今更違和感もへったくれもないのだが……
「……わかった。では、少女Qの働き振りをしかとこの目に焼き付けてこよう」
ベアは瞑目してつぶやくと、のしのしと部屋を後にした。
ばたんと扉が閉まって数秒後、
「やれやれ……こういうめんどくさいのはベアに任すのが一番だお」
「まったくです。いえ、めんどくさいとかではなく、ベアさんが一番しっかりとした報告書を作成してくれますしね」
ブンとジョルジュが、晴れ晴れとした顔で言う。
この二人は、ベアが獣人である身で四天王の座についていることが気に入らないのだ。
なので、事あるごとにベアへと厄介ごとを押し付ける傾向があった。
「ベアの旦那も災難なこった」
アーヴェは肩をすくめると、おもむろに魔法を詠唱した。

ガチャーン!! 【SE:扉が閉まる音、もしくはかぎのかかる音】

次の瞬間、アーヴェの魔法が完成し部屋の扉が硬くロックされた。
「なっ!?」
「……アーヴェさん、なんのつもりですか?」
突然の出来事に狼狽するベアとジョルジュ。
「なーに。実はさっきの召喚で魔力を使いすぎてな」
にやりと笑うアーヴェ。
いつの間にか、彼の背後にあったソファーがベンチへと変じていた。
「ま、まさか……」
「そのまさかさ」
どっかりとベンチに深く腰掛けたアーヴェは、ツナギのホックに手をかけた。
そして、力ある言葉を発した。
アーヴェの「力ある言葉」には、周囲に彼専用の魔法結界"ハッテンバ"を張り巡らせる力がある。
ハッテンバの魔力に捕らわれてしまったが最後、アーヴェには逆らえなくなってしまう脅威の結界なのだ。
「 や ら な い か ? 」
「ウホッ!!」

リゾートの高級ホテルの一室に、男たちの声が響き渡るのであった。


【アイキャッチ:しのしの】

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