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あねくろ@臨時まとめ
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あねくろ@臨時まとめ

勇者VS少女Q

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【背景:図書館】
【BGM:ルネーニ王城】

「う~~~~ん」
舞人は王立図書館で、大量の書物を前にうなり声を上げた。
その顔には、なぜかメガネがかけられている。
冴えない舞人もこれで立派なメガネ男子である。
「しんどい」
だが、次の瞬間にはメガネを放り出し、ぐてっと机に突っ伏す。
「王立図書館だからって、そうそう簡単に帰る方法がわかるわけねーよな~」
帰る方法を調べに王立図書館に訪れた舞人。
道中、魔法道具屋でフォスタリアで使われている基本的な文字なら読めるようになる魔法のメガネを購入してきたはいいが、根気のほうが続かなかった。
「大体、ルネの秘術っぽい召喚魔法で呼ばれたのに、帰る方法が図書館の本に載ってるわきゃねーよなー」
舞人はさっさと本を書架へと戻し、魔法のメガネをケースにしまって図書館を出る。
もはや司書のおねーさんにきゃーきゃー言われているのにも気づかないほど疲労していた。

【背景変更:ルネーニ街】
【BGM変更:街】

「あーあ。飯でも食って城に戻るか……」
しかし、ファンタジー色あふれる食事も最初はものめずらしかったが、そろそろ元の世界の食べ物が恋しくなってくる。
「ハンバーガー……はさすがにアレだよな。ラーメンとか焼き鳥とかタコヤキ食いてぇー」
舞人は望郷の思いに囚われながら、ふらふらと街中をさまよう。
だが当然、行けども行けどもラーメン屋も焼き鳥屋の赤提灯も見えてこない。
あるのは店のロゴマークを掲げる木製の看板や、INNという文字ばかり。
気づいたときには、ずいぶん街の外れまで来てしまっていた。
「やべ………ちょっと遠くに来すぎたか」
振り返れば、城はかなり小さくなっていた。
周囲に人気もまばらで、まともな建物も少ない。いわゆるスラムという地区なのだろう。

【背景変更:町外れ(スラム的な)】

「魔術大国といえど、貧富の差はあるんだな……」
などと珍しくまじめなことを考えていると、不意に舞人の視界の端に人影が映った。
「ん……?」
何気なく視線を向ける舞人。
「んんっ!?」
そして、わずかに驚愕を含んだ声を上げる。
視界に飛び込んできた人物――正確にはその衣服が、この世界に似つかわしくなかったからだ。
無論、今までそんな衣装を目にしていないだけで、もしかしたら実在するだけかもしれないのだが。
「ゴス……ロリ……?」
裏路地から無言で歩いてくる少女は、元の世界でいうところのゴスロリ衣装に身を包んでいた。

コツコツコツ…… 【SE:靴音】

近づいてくるにつれ、その全貌が明らかになってくる。
黒を貴重にして、全体的にフリルがあしらわれている。頭にはヘッドトレス。
膨らんだ袖にやはりフリルで装飾されたカフス。
段スカートから伸びる足はニーソックスに覆われている。
「うはwwww絶対じゃん領域じゃんwwwww」
思わず反応する舞人だったが、いよいよ少女が暗がりから出てきたところで、本当の意味で初めて驚愕した。
「んなっ!?」
「ミツ……ケタ……」
少女の口から、無感情な声がこぼれる。
「しの……しの……!?」
「ミツケタ……異世界ノ勇者……」


(回想)


「まいとー、まいとー!」
遠くで誰かが呼ぶ声を聞き、舞人はのっそりと体を起こした。
「もう、舞人っ、おきてよ! もう放課後だよ!!」
「あ、ぅー……なんだ、しのしのか」
「しのしのっていわないでよぅー!」
寝ぼけ眼の舞人が顔をあげると、そこでは舞人の通う学校の制服に身を包んだ少女が頬を膨らませて仁王立ちしていた。
名を、有栖川志乃という。
「だってみんな呼んでるし……」
「わたしはイヤなのー!」
志乃は頬を膨らませたまま、今度は腕を腰に当てて怒りを表現する。
「わかったよ、志乃……ふぁ……」
「まったくもう……寝てばっかりじゃ、単位落とすよ?」
志乃はちゃんと名前で呼ばれたことに笑顔を浮かべたが、すぐに困った顔をして舞人に説教をはじめる。
「とりあえずテストで赤点とらなきゃなんとかなるって」
「そのテストだって、授業聞いてないと赤点だよ……」
はぁぁぁ、とため息をつく志乃。
「そんなの一夜漬けすればなんとかなるって。それよか帰ろうぜ~」
舞人はぺらっぺらのかばんを引っつかみ立ち上がる。
「どっこいしょういち」
「もう舞人、おじさんみたい」
あきれていいやら笑っていいやら、複雑な顔をしてそれに続く志乃。

まじめで、しっかりもの。良く言えば面倒見がよく、悪く言えばおせっかい焼き。
それなのに、なぜか舞人と馬が合うようでよく行動を共にする仲のよい女子生徒。
有栖川志乃という人物を説明するなら、そういう感じの少女だった。
進級して席が隣同士になった舞人が、地の利を生かして声をかけ、仲良くなった数少ない女子生徒の友人だった。
だらだらしていて説教され、居眠りをしていれば授業中には起こされないものの、授業が終わったとたんに叩き起こされ。
お弁当を一緒に食べることもあれば、肩を並べて他愛もない談笑をしながら下校することもある。
そして、もっと踏み込めばお互いの部屋に遊びにいったこともあるのだが、不思議と友人以上の仲には進展してない。
クラスメイトというよりはもっと親密で、だからといって恋人同士ではない。
親友という関係とも、ちょっと違うような気がする。
舞人と志乃は、思えば思うほど不思議な関係だった。


(回想終了)


「なのに……」
舞人は回想を打ち切って、思わず叫ぶ。
「なのに、なんでこういう状況になってるんだぁぁぁぁぁ!?」

しゅたたたっ!! 【SE:刃物が突き立つ音】

叫びながら横っ飛びに回避行動に移った舞人の足元に、数本の刃物が突き刺さる。
よくよく見ると、それは果物ナイフだった。
「ウフフフ……死ネ、勇者……氏ネジャナクテ、死ネ」

【BGM変更:戦闘】

ゴスロリ衣装に身を包んだ志乃は、人形のような顔で作り物のような笑顔を浮かべ、虚空から果物ナイフを出現させる。
「何なんだそのヘンテコパワーはぁぁぁぁ!?」
だが、志乃は無言でそれを舞人に向かって投げつける。
「どわああああああ!!」
今度は地面に這い蹲る勢いでしゃがみこみ、それらを回避する舞人。
「ど、どうしたんだしのしの!! お前、しのしのだろ、何で俺を襲う!?」
「異世界ノ勇者、殺ス……」
「ていうか、どうしてこの世界にいるんだよ!?」
舞人の必死の叫びも耳に届かない様子で、志乃は新たな得物を虚空から出現させる。
今度の得物はおたまだった。
志乃は無造作に柄をつかみ、サイドスローでそれを投げつける。
「さっきより安全そうだけど油断できねぇぇぇぇ!!」
などと叫びつつ、身をよじってそれを回避する舞人。
だが、安心したのもつかの間、弧を描いたおたまが戻ってきたのだ。
「だしゃああああああ!!」
舞人は2ゲットを取る勢いで、乱雑に積んであった木箱の影に飛び込む。

ばかぁぁぁぁん!! 【SE:破壊音】【EF:画面シェイ】

「どしぇえええええ」
一番上に積んであった木箱に直撃したおたまは、それらを意図も簡単に粉砕して志乃の手元に戻っていく。
恐るべきパワーである。
「しのしの! 聞こえないのか!? 俺だ、舞人だ!!」
舞人はその場に身を隠しながら声を張り上げる。
「マ……イト?」
そのとき初めて、志乃の動きが鈍った。
ぴくんと何かに反応するように小刻みに震え、おたまを握る手から力が抜ける。
(こ、これはイケる!!)
舞人は隠れていた木箱から顔を出し、訴える。
「そうだ、舞人だ! お前のクラスメイトで、隣の席の! わかるだろ!?」
「……マイト……クラスメイト……トナリノセキ」
ぶつぶつとつぶやくように舞人の言葉を反芻する志乃。
「俺たち仲良かっただろ! こんなこと、間違ってるぞ!」
「マイト……異世界ノ勇者、マイト……」
「い!?」
いけると思ったのもつかの間、またしても不吉な「異世界の勇者」という単語に舞人の顔が引きつる。
「勇者マイト……倒ス!」
志乃はまたしても虚空から次なる得物、謎の箒を取り出したかと思うと、舞人の隠れる木箱めがけてさっと一掃きした。

ぶおおおおおおおっっ!! 【SE:風の音】【EF:シェイク】

「だばらああああ!?」
次の瞬間、すべてを吹き飛ばすかと思うほどの暴風が吹き荒れた。
隠れていた木箱ごと吹き飛ばされた舞人は、ごろごろと地面を転がり壁に激突する。
「うぐぅ!!」
後頭部に鈍い痛み。
「マイト……勇者……殺ス」
そして歩み寄ってくる、殺戮マシーンに成り果てた志乃。
「や、やめろ……よせ!」
「……ソレ無理」
「\(^o^)/」
にべもない志乃の言葉。
(うぅ……俺の人生もここまでか……わけのわからん異世界に召喚されて、勇者扱いされて、その上最後は魔王どころかクラスメイトに殺されるのかよ)
だが、舞人が絶望に押しつぶされそうになりかけたとき、
「ゆ、勇者……そうだ」
舞人は残された最後の手段を思い出した。
(しのしの相手に使うのは……でも、そうしないと俺は……)
舞人の中でせめぎ合う二つの思い。
クラスメイトを、女の子を犠牲にしてでも助かるべきか、それとも……


選択肢
1:ツンデイン!!
2:………

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