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あねくろ@臨時まとめ
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あねくろ@臨時まとめ

舞人の力

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匿名ユーザー

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2:………

「……やっぱ使えるわけないだろ……!」
たとえ自分の命に危機が迫ろうと、仲良しだった女の子に力を向けることは舞人には出来なかった。
一度は構えた両手が、力なく下ろされる。
「勇者、カクゴ……」
コツコツという靴音が嫌に大きく聞こえる。
その両手には、いつの間にか大振りの包丁が二本も握られている。
「万事休す……か」
いくら勇者と崇められても、ツンデイン以外能はないと言って過言ではない舞人。
志乃に手を上げたくない以上、もう成す術はなかった。
「……死ネ」
包丁が振り上げられる。
「……変なモンスターに殺されるよりは、マシかな……」
それをぼんやりとした瞳で見上げ、妙に冷静な自分がいることに違和感を覚える舞人。
(なんで俺はこんな冷静なんだよ……今まで帰るために必死だったのに、こんなとこに骨を埋めて本当にいいのか?)
振り上げられる包丁が、やけにゆっくりに思える。
(しのしのがここにいるんだ……もしかしたら、これは帰還フラグと考えるのが普通じゃないのか?)
一番高いところでいったん停止する包丁。
(こんなところで死ぬのか、舞人!? 帰って、アニメ見て漫画よんでエロゲして……学校通って……)
ゆっくりと、本当にゆっくりと振り下ろされる包丁。
その軌跡までもがはっきりと目に焼きつく。
(しのしのとの……他愛のない話だって、もっとしたい……!)
次の瞬間、舞人は腹の底から声を張り上げていた。
「死にたくねぇぇぇぇぇ!! 志乃っ、やめてくれぇぇぇぇ!!」

―――カッ!!【EF:フラッシュ】

「……っ!!」
形振りかまわない、舞人の必死の叫び。
ほんの一瞬、舞人の体から発せられた魔力の輝きが、志乃の体を包み込んだ。

ひょん……っ!!【SE:刃物を振るう音】
【BGM→停止】

「………」
「………」
振り下ろされた包丁が、舞人の眼前で止まっていた。
前髪が数本、はらりと舞い落ちる。
「……し、志乃……?」
「………ま、いと……」
舞人の声に、志乃が反応する。
その言葉は、今までのように機械的なものではなかった。
「志乃……わかるのか?」
「……舞人……?」
志乃の瞳を覗き込む舞人。
先ほどまでのハイライトの入っていない電波少女のような瞳は、そこにはなかった。
驚愕と狼狽に彩られたその瞳は、紛れもなく正気の人間のそれだった。
「本当に……志乃、だよな?」
「うん……志乃だよ。……でも、なんで舞人が? それにわたし……」

【BGM変更:しのしの】

混乱する頭で、志乃は舞人と周りの風景を交互に何度も見やる。
まるで中世にタイムスリップしたような、時代錯誤な情景。
そしてかすかに記憶に残る、謎の少女と4人の男たち。
「うう……頭が……」
あまりの急展開の連続に、ついに志乃の記憶処理が追いつかなくなった。
そして、肉体的にも精神的にも疲労のピークにあった志乃は、そのまま舞人にもたれかかるようにしてぐったりと気を失ってしまった。
志乃が気絶したことで、両手に握られていた包丁がいずこかへと消え去る。
「お、おい志乃……!」
「……すぅ」
「な、なんだ……寝てるだけか」
とりあえず息をしていることを確認し、舞人はほっと一安心する。
「それにしても……なんか知らないけど、助かったみたいだな」
志乃の無事を確かめたところで、ようやく自分の無事に安堵した。
「……とりあえず、城に帰ってルネに話してみるか」
正直いって、今起こったことを自力で説明をつけるのは無理に等しかった。
なぜ志乃がフォスタリアにいるのか、なぜ志乃に襲われたのか。
そしてなぜ正気に戻ったのか。
それらを知るため、舞人はぐったりとする志乃の体をを抱き上げた。
「………」
そこで、遥かかなたのルネーニ王城を見やり、舞人は途方にくれた。
「遠いなー……」
平均以下の体力を誇る舞人にとって、女の子とはいえ人一人を抱えて帰路に着くことは、ホノルルマラソンに挑むようなものだった。


(暗転)


一方そのころ。
「むぅ……まいったな」
ルネーニの国境付近で、ベアは腕を組んで頭を抱えていた。
「少女Qの動向を観察しようにも、ルネーニに入られてはどうしようもできん……」
国を守る強力な結界の前に、足止めをされている少々間抜けな四天王ベアであった。


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