(暗転)
「“穴”……ですか」
翌日。
朝早くからルネの元へ押しかけ、件の書物をつきつける舞人と志乃。
「そうそう、産業くらいでkwsk頼む」
「意味がわかりません……けど、私が知っている限りでお教えします」
そういって、ルネは話し始めた。
「ホールこそ、私が勇者様を召喚した秘術……異世界へと繋がるゲートです」
「mjd!?」
「大マジです」
「でも確か、一方通行なんだよな……結局、無駄足ってことか……」
がくりとうなだれる舞人。
「ですが、いささか非現実的と思ったのであえて黙っていたことがあるのですが……」
「なんだ!? いいから教えろ!」
困ったように頬に手を当てるルネ。
だが、舞人の意気込みと期待するような志乃の目に根負けしたようにルネは続けた。
「勇者様を召喚したときよりももっと膨大な魔力を使うことで、不安定なゲートを完全に行き来できるほどに固定する、という手段があります」
「……不安定? 固定?」
「どういうことですか?」
基本的に魔法に関しては無知な舞人と志乃は、小首をかしげる。
「召喚に用いたゲートは消費魔力量の関係上、非常に脆いものなんです」
ルネは淡々と話を進める。
「私がやったように、片腕を突っ込むだけとか、召喚される側の意思を無視した強制的な召喚ならば、本来それで十分なので問題はありません。ですが……」
「ですが、何だ?」
「……ですが、自分の意思でそこを通過しようと思えば、「帰りたい」という意思がゲートの魔力に激しく影響してしまいます」
「影響するとどうなんです?」
「ゲート本来の「呼び出す」性質の魔力と「帰る」という意思が反発しあい、正反対の性質を持つそれらは互いに干渉して――」
「ゴ、ゴクリ……」
「崩壊します」
「!!」
思わず息を呑む志乃。
「……だ、だから?」
「わわっ」
まったく理解していない舞人に、思わずつんのめる志乃。
「もう、舞人ったらぁ!」
「いや、だって呼び出す魔力だの帰りたい意思だの、それが反発するとか干渉すると訳わかんねーよ」
「うーーーん、じゃあ難しいことは抜きにして。トンネルを歩いてて、出入り口が崩れたらどうなる?」
「そりゃあ、生き埋めになるだろ」
「つまりそういうことだよ。ゲートがトンネル、それが崩壊したら元の世界でもフォスタリアでもないところに生き埋めになっちゃうの」
「おお!!」
「生き埋めになるだけならまだいいよ。それが天井だったら? 押しつぶされて死んじゃうでしょ?」
「……た、確かにそれはリスキーだなぁ」
「そこで、そうならないためにゲートの魔力と意志の力が反発を起こさないよう、強固に固定するのです」
ようやく本題に戻るルネ。
「つまり、舞人が召喚されたときは今にも崩れそうな洞窟を通ってきて、それじゃ危ないから帰りはしっかりと工事したトンネルを使おうってことだと思うよ」
すかさず舞人のために自分なりの解説を割り込ませる志乃。
「そういうことですよね?」
「ええ、とてもいい解釈の仕方だと思います」
「な、なるほど。分かりやすいぞ」
さすがの舞人も、ようやく理解できたようだ。
「ですが、それをするには先も述べたように、莫大な魔力が必要となります」
「ど、どれくらい?」
「少なくとも、今現在の私の魔力を――それこそこの国を覆う結界魔法に使っている分すべてを使っても、完全な状態で固定するのは不可能でしょう」
「な、なんだってー!?」
「それも、今現在の魔力をすべて使って、一人が安全に帰れる保障もありません。二人帰すことを考えると、いったいどれだけの魔力が必要になるやら……」
ルネの絶望的な一言に、暗いムードが漂う。
「ルネ様、勇者様方。お茶が入りました」
その折、控えめな声が聞こえてきた。
「あら、ありがとう、メイ……」
声の主は、銀製のトレイに高級そうなティーセットを乗せて現れたメイだった。
そこで舞人は昨夜のことを思い出す。
「そうだルネ! なんか、こう、その、なんだ。魔力を増幅するような素敵な手法はないのか!?」
舞人は直接的に問いただすことは出来ずに、遠まわしに濁して聞いてみた。
「魔力を増幅、ですか……」
その言葉に瞑目するルネの頬に、微かな赤みが差すのを舞人は見逃さなかった。
(やっぱり昨日のあれは……!!)
想像が確信に変わる。
デバガメ行為の言い訳に、魔力だの何だのという言葉を気に留めていてよかったと始めてそう思った。
「……? あっ……!?」
志乃もそのことに気づいたようで、瞬時に耳まで真っ赤になった。
「ないこともありません……ですが」
「ですが、ですが?」
先を促す舞人。
「どちらにせよ、私はこの国の王です。あなた方を帰してあげたい気持ちもありますが、国を魔王たちの脅威に晒すことは出来ません」
ルネは苦悩に満ちた表情で、だがはっきりとそう告げた。
魔力のすべてをゲートに回せば、当然結界魔法を維持できなくなる。
以前、結界の力を弱めたときも魔王たちがバカンスをしているという絶好の隙をついてのことである。
そう何度もことがうまく運ぶと考えるのは、得策ではない。
強制的な召喚をしたことを詫びる魔術師としての誠意と、一国の主であるという責任のジレンマ。
「……ルネ」
そんな顔をされては強く言い出せない舞人。
大体、国を危険に晒してまで自分たちを帰してくれとも言い出すほど舞人は冷徹な人間ではなかった。
「他に手は……ないんですか?」
志乃の言葉に、ルネは顔を上げた。
「ないこともありません……」
「それはどんな……?」
わずかな期待にもすがりたい思いだった。
「もともと異世界の住人であるお二人の魔力をお借りできれば、あるいは……」
「俺たちの……」
「魔力を?」
「はい。自分たちの世界へ帰るためのゲートの魔力供給源としては、あなた方が最適かと思われます」
「でもわたしたちに魔力なんて……」
うつむきながら呟く志乃。
「少なくとも、勇者様には魔力が備わっています」
「……ツンデインのことか?」
「ええ」
舞人は顔をしかめた。
確かに舞人は、勇者しか使えないという電撃魔法ツンデインを使うことが出来た。
だが、たったの一回きり。
魔法一発分の魔力で、何が出来るというのだ。
「ルネ、俺は――」
「わかっています。勇者様の魔力のことは」
「う……知ってたのか」
「ええ。ですが、魔力は日々成長します。個人差や環境下で成長率は変わりますが、魔王退治へ向けて旅を続けていれば自ずと実戦レベルまで鍛えられる……召喚した当初はそう思っていました」
わかってて魔王にけしかけるつもりだったのか。
そう思うと、なにやら複雑な気持ちになる舞人。
「魔力の上限は、個人の素質によって決まっていますが……例え勇者様の魔力が最大限まで鍛えられても、ゲートを固定するには雀の涙でしょう」
「……あっさり言うな」
「すみません。でも、無意味に期待させることもないかと思いまして」
「確かにな」
そういって苦笑する舞人。
「でも、わたしたちの力を借りればあるいは、って……」
志乃が控えめに口を挟む。
「そのことですが……お二人が、互いの魔力を増幅しあえばもしかすると必要な魔力が補えるかもしれません……ですが、その方法がちょっと特殊なので……」
言いよどむルネを差し置いて、舞人と志乃がほぼ同時に声をあげていた。
「なっ、俺と志乃がか!?」
「魔力増幅って……ええっ!? そ、そんな、わたしと舞人が……ルネさんとメイさんみたいに……せっ、せっく…もがが!!」
「わっ、バカ、なに口走って――!!」
舞人が咄嗟に志乃の口を押さえにかかったが、時すでに遅し。
ルネの表情が引きつり、メイも営業スマイルの中に微かな動揺の色を見せていた。
「……な、なぜそれを知って……」
「い、いやその……」
「あ、あははは……」
ルネのただならぬ表情に、冷や汗を浮かべ乾いた声で笑う二人。
ガチャンと音がして、気づけばメイが笑顔のまま扉に鍵をかけていた。
「あ、あのルネさん……メイさん……?」
つい数瞬前まで口ごもっていたとは思えないほど爽やかに微笑んだルネは、二人にずいっと一歩歩みよった。
「勇者様……」
「は、はい……!?」
翌日。
朝早くからルネの元へ押しかけ、件の書物をつきつける舞人と志乃。
「そうそう、産業くらいでkwsk頼む」
「意味がわかりません……けど、私が知っている限りでお教えします」
そういって、ルネは話し始めた。
「ホールこそ、私が勇者様を召喚した秘術……異世界へと繋がるゲートです」
「mjd!?」
「大マジです」
「でも確か、一方通行なんだよな……結局、無駄足ってことか……」
がくりとうなだれる舞人。
「ですが、いささか非現実的と思ったのであえて黙っていたことがあるのですが……」
「なんだ!? いいから教えろ!」
困ったように頬に手を当てるルネ。
だが、舞人の意気込みと期待するような志乃の目に根負けしたようにルネは続けた。
「勇者様を召喚したときよりももっと膨大な魔力を使うことで、不安定なゲートを完全に行き来できるほどに固定する、という手段があります」
「……不安定? 固定?」
「どういうことですか?」
基本的に魔法に関しては無知な舞人と志乃は、小首をかしげる。
「召喚に用いたゲートは消費魔力量の関係上、非常に脆いものなんです」
ルネは淡々と話を進める。
「私がやったように、片腕を突っ込むだけとか、召喚される側の意思を無視した強制的な召喚ならば、本来それで十分なので問題はありません。ですが……」
「ですが、何だ?」
「……ですが、自分の意思でそこを通過しようと思えば、「帰りたい」という意思がゲートの魔力に激しく影響してしまいます」
「影響するとどうなんです?」
「ゲート本来の「呼び出す」性質の魔力と「帰る」という意思が反発しあい、正反対の性質を持つそれらは互いに干渉して――」
「ゴ、ゴクリ……」
「崩壊します」
「!!」
思わず息を呑む志乃。
「……だ、だから?」
「わわっ」
まったく理解していない舞人に、思わずつんのめる志乃。
「もう、舞人ったらぁ!」
「いや、だって呼び出す魔力だの帰りたい意思だの、それが反発するとか干渉すると訳わかんねーよ」
「うーーーん、じゃあ難しいことは抜きにして。トンネルを歩いてて、出入り口が崩れたらどうなる?」
「そりゃあ、生き埋めになるだろ」
「つまりそういうことだよ。ゲートがトンネル、それが崩壊したら元の世界でもフォスタリアでもないところに生き埋めになっちゃうの」
「おお!!」
「生き埋めになるだけならまだいいよ。それが天井だったら? 押しつぶされて死んじゃうでしょ?」
「……た、確かにそれはリスキーだなぁ」
「そこで、そうならないためにゲートの魔力と意志の力が反発を起こさないよう、強固に固定するのです」
ようやく本題に戻るルネ。
「つまり、舞人が召喚されたときは今にも崩れそうな洞窟を通ってきて、それじゃ危ないから帰りはしっかりと工事したトンネルを使おうってことだと思うよ」
すかさず舞人のために自分なりの解説を割り込ませる志乃。
「そういうことですよね?」
「ええ、とてもいい解釈の仕方だと思います」
「な、なるほど。分かりやすいぞ」
さすがの舞人も、ようやく理解できたようだ。
「ですが、それをするには先も述べたように、莫大な魔力が必要となります」
「ど、どれくらい?」
「少なくとも、今現在の私の魔力を――それこそこの国を覆う結界魔法に使っている分すべてを使っても、完全な状態で固定するのは不可能でしょう」
「な、なんだってー!?」
「それも、今現在の魔力をすべて使って、一人が安全に帰れる保障もありません。二人帰すことを考えると、いったいどれだけの魔力が必要になるやら……」
ルネの絶望的な一言に、暗いムードが漂う。
「ルネ様、勇者様方。お茶が入りました」
その折、控えめな声が聞こえてきた。
「あら、ありがとう、メイ……」
声の主は、銀製のトレイに高級そうなティーセットを乗せて現れたメイだった。
そこで舞人は昨夜のことを思い出す。
「そうだルネ! なんか、こう、その、なんだ。魔力を増幅するような素敵な手法はないのか!?」
舞人は直接的に問いただすことは出来ずに、遠まわしに濁して聞いてみた。
「魔力を増幅、ですか……」
その言葉に瞑目するルネの頬に、微かな赤みが差すのを舞人は見逃さなかった。
(やっぱり昨日のあれは……!!)
想像が確信に変わる。
デバガメ行為の言い訳に、魔力だの何だのという言葉を気に留めていてよかったと始めてそう思った。
「……? あっ……!?」
志乃もそのことに気づいたようで、瞬時に耳まで真っ赤になった。
「ないこともありません……ですが」
「ですが、ですが?」
先を促す舞人。
「どちらにせよ、私はこの国の王です。あなた方を帰してあげたい気持ちもありますが、国を魔王たちの脅威に晒すことは出来ません」
ルネは苦悩に満ちた表情で、だがはっきりとそう告げた。
魔力のすべてをゲートに回せば、当然結界魔法を維持できなくなる。
以前、結界の力を弱めたときも魔王たちがバカンスをしているという絶好の隙をついてのことである。
そう何度もことがうまく運ぶと考えるのは、得策ではない。
強制的な召喚をしたことを詫びる魔術師としての誠意と、一国の主であるという責任のジレンマ。
「……ルネ」
そんな顔をされては強く言い出せない舞人。
大体、国を危険に晒してまで自分たちを帰してくれとも言い出すほど舞人は冷徹な人間ではなかった。
「他に手は……ないんですか?」
志乃の言葉に、ルネは顔を上げた。
「ないこともありません……」
「それはどんな……?」
わずかな期待にもすがりたい思いだった。
「もともと異世界の住人であるお二人の魔力をお借りできれば、あるいは……」
「俺たちの……」
「魔力を?」
「はい。自分たちの世界へ帰るためのゲートの魔力供給源としては、あなた方が最適かと思われます」
「でもわたしたちに魔力なんて……」
うつむきながら呟く志乃。
「少なくとも、勇者様には魔力が備わっています」
「……ツンデインのことか?」
「ええ」
舞人は顔をしかめた。
確かに舞人は、勇者しか使えないという電撃魔法ツンデインを使うことが出来た。
だが、たったの一回きり。
魔法一発分の魔力で、何が出来るというのだ。
「ルネ、俺は――」
「わかっています。勇者様の魔力のことは」
「う……知ってたのか」
「ええ。ですが、魔力は日々成長します。個人差や環境下で成長率は変わりますが、魔王退治へ向けて旅を続けていれば自ずと実戦レベルまで鍛えられる……召喚した当初はそう思っていました」
わかってて魔王にけしかけるつもりだったのか。
そう思うと、なにやら複雑な気持ちになる舞人。
「魔力の上限は、個人の素質によって決まっていますが……例え勇者様の魔力が最大限まで鍛えられても、ゲートを固定するには雀の涙でしょう」
「……あっさり言うな」
「すみません。でも、無意味に期待させることもないかと思いまして」
「確かにな」
そういって苦笑する舞人。
「でも、わたしたちの力を借りればあるいは、って……」
志乃が控えめに口を挟む。
「そのことですが……お二人が、互いの魔力を増幅しあえばもしかすると必要な魔力が補えるかもしれません……ですが、その方法がちょっと特殊なので……」
言いよどむルネを差し置いて、舞人と志乃がほぼ同時に声をあげていた。
「なっ、俺と志乃がか!?」
「魔力増幅って……ええっ!? そ、そんな、わたしと舞人が……ルネさんとメイさんみたいに……せっ、せっく…もがが!!」
「わっ、バカ、なに口走って――!!」
舞人が咄嗟に志乃の口を押さえにかかったが、時すでに遅し。
ルネの表情が引きつり、メイも営業スマイルの中に微かな動揺の色を見せていた。
「……な、なぜそれを知って……」
「い、いやその……」
「あ、あははは……」
ルネのただならぬ表情に、冷や汗を浮かべ乾いた声で笑う二人。
ガチャンと音がして、気づけばメイが笑顔のまま扉に鍵をかけていた。
「あ、あのルネさん……メイさん……?」
つい数瞬前まで口ごもっていたとは思えないほど爽やかに微笑んだルネは、二人にずいっと一歩歩みよった。
「勇者様……」
「は、はい……!?」
「知りましたね!!!!」
「ひぃぃぃっ!!」
「ひぃぃぃっ!!」
………
……
…
……
…
「ふぅ……やはり、覗き対策をアイテムの魔力に頼ったのがいけませんでしたか」
「……ご、ごめんなさい」
げっそりとやつれた舞人たちを横目に、やれやれとばかりにため息をついたルネは、魔法のオーブを手の中でもてあそぶ。
そのオーブこそ、二人の夜の愛の儀式――もとい、魔力増幅の儀式の際、侵入者を遠ざけるための魔法のオーブであった。
もっとも、舞人のマジックキャンセル能力の前には、まったく意味を成さなかったようだ。
「そ、それで……やっぱり、その。ああするのが、魔力増幅に繋がるんですよね……」
赤い顔でぼそぼそと志乃がささやく。
「知られてしまった以上、隠すこともありませんね。結論からいえば、そのとおりです」
「ふぇぇぇー」
志乃はますます真っ赤になり、もじもじと指を絡ませた。
「ご察しのとおり、魔力の波長が合うもの同士が交わると、お互いの魔力を洗練・増幅しあうことが出来ます」
ルネはそんな志乃を見て軽く苦笑を浮かべる。
「私は常にこの国を守る結界を張り続けていますが……さすがに、一人で維持し続けるには魔力量に限界があります」
「だから、毎晩メイさんと……?」
「そういうことです」
国を守る結界は、王とメイドの夜の秘め事の賜物である。
国民がこの事実を知ったら、どれほど驚愕するだろうか。
「そうだったのか……でもなんでメイさんにナニが……」
「女同士では効率が悪いからですよ」
やはり交り――要するに性交は男女間で行うのが自然である。
魔力の増幅にしても、自然に則ったほうが効率は遥かに良い。
なので、ルネの変化魔法を応用し、メイの股間の一部――クリトリスを一時的にジュニアへと変化させて、交わっているそうな。
「じゃあ別の男を捜したほうが早くないか?」
「先ほども言いましたが、魔力を増幅させるためには、その波長が合っていなければ意味はありません」
「つまり、ルネさんにとってメイさんが最適の相手……」
志乃がぽーっと頬を染めてメイを見やる。
すでに覗かれた件に関してはメイの中では解決しているらしく、いつもと変わらぬ笑顔で新しいお茶を淹れている。
「そして恐らく、異世界の住人同士のあなたたちは、これ以上なく同調した波長を持ち合わせているだろうと推測できます」
「うっ……!!」
「っっ!」
その言葉の持つ意味をしっかりと理解した上で二人は顔を見合わせ、そして同時に赤面して顔を反らす。
「……いくら波長が合うとはいえ、誰とでも出来ることはではありませんからね……」
そういってルネは、顔を反らしたきり背中合わせで恥ずかしがる二人を見て苦笑する。
確かに一歩間違えば、険悪なムードにすらなりかけない手段である。
「一先ず、この方法を使うならば、勇者様の魔力を純粋に鍛え上げたほうが現実的かもしれませんね。勇者様は今はへっぽこぴーですが、魔力の上限は未知数ですから」
「……はっきりいうなぁ」
照れあっていたはずの舞人も、ズバリ言われて思わず突っ込む。
「とりあえず、ゲートと魔力増幅に関する話はこんな感じです……」
その言葉を最後に、話は終了した。
「……ご、ごめんなさい」
げっそりとやつれた舞人たちを横目に、やれやれとばかりにため息をついたルネは、魔法のオーブを手の中でもてあそぶ。
そのオーブこそ、二人の夜の愛の儀式――もとい、魔力増幅の儀式の際、侵入者を遠ざけるための魔法のオーブであった。
もっとも、舞人のマジックキャンセル能力の前には、まったく意味を成さなかったようだ。
「そ、それで……やっぱり、その。ああするのが、魔力増幅に繋がるんですよね……」
赤い顔でぼそぼそと志乃がささやく。
「知られてしまった以上、隠すこともありませんね。結論からいえば、そのとおりです」
「ふぇぇぇー」
志乃はますます真っ赤になり、もじもじと指を絡ませた。
「ご察しのとおり、魔力の波長が合うもの同士が交わると、お互いの魔力を洗練・増幅しあうことが出来ます」
ルネはそんな志乃を見て軽く苦笑を浮かべる。
「私は常にこの国を守る結界を張り続けていますが……さすがに、一人で維持し続けるには魔力量に限界があります」
「だから、毎晩メイさんと……?」
「そういうことです」
国を守る結界は、王とメイドの夜の秘め事の賜物である。
国民がこの事実を知ったら、どれほど驚愕するだろうか。
「そうだったのか……でもなんでメイさんにナニが……」
「女同士では効率が悪いからですよ」
やはり交り――要するに性交は男女間で行うのが自然である。
魔力の増幅にしても、自然に則ったほうが効率は遥かに良い。
なので、ルネの変化魔法を応用し、メイの股間の一部――クリトリスを一時的にジュニアへと変化させて、交わっているそうな。
「じゃあ別の男を捜したほうが早くないか?」
「先ほども言いましたが、魔力を増幅させるためには、その波長が合っていなければ意味はありません」
「つまり、ルネさんにとってメイさんが最適の相手……」
志乃がぽーっと頬を染めてメイを見やる。
すでに覗かれた件に関してはメイの中では解決しているらしく、いつもと変わらぬ笑顔で新しいお茶を淹れている。
「そして恐らく、異世界の住人同士のあなたたちは、これ以上なく同調した波長を持ち合わせているだろうと推測できます」
「うっ……!!」
「っっ!」
その言葉の持つ意味をしっかりと理解した上で二人は顔を見合わせ、そして同時に赤面して顔を反らす。
「……いくら波長が合うとはいえ、誰とでも出来ることはではありませんからね……」
そういってルネは、顔を反らしたきり背中合わせで恥ずかしがる二人を見て苦笑する。
確かに一歩間違えば、険悪なムードにすらなりかけない手段である。
「一先ず、この方法を使うならば、勇者様の魔力を純粋に鍛え上げたほうが現実的かもしれませんね。勇者様は今はへっぽこぴーですが、魔力の上限は未知数ですから」
「……はっきりいうなぁ」
照れあっていたはずの舞人も、ズバリ言われて思わず突っ込む。
「とりあえず、ゲートと魔力増幅に関する話はこんな感じです……」
その言葉を最後に、話は終了した。
「どうしたもんかなぁ……」
ルネの部屋からの帰り道、舞人は珍しく神妙な顔つきでうなっていた。
ルネ自身は、大陸中の魔力増幅器に関する情報を集めさせます、と前向きな打開策を提示してくれた。
「だけどそんな便利なアイテムがこの世界にいくつあるっていうんだ」
ひとつやふたつでルネの莫大な魔力をさらに上回る魔力量を得られるとも思えない。
「はぁぁぁ。先が思いやられるな……」
舞人はでっかいため息をつき、天井を見上げた。
「……まいとと、まいとと……ひゃあああ」
ちなみに志乃は、一人で延々と恥ずかしがっていた。
ルネの部屋からの帰り道、舞人は珍しく神妙な顔つきでうなっていた。
ルネ自身は、大陸中の魔力増幅器に関する情報を集めさせます、と前向きな打開策を提示してくれた。
「だけどそんな便利なアイテムがこの世界にいくつあるっていうんだ」
ひとつやふたつでルネの莫大な魔力をさらに上回る魔力量を得られるとも思えない。
「はぁぁぁ。先が思いやられるな……」
舞人はでっかいため息をつき、天井を見上げた。
「……まいとと、まいとと……ひゃあああ」
ちなみに志乃は、一人で延々と恥ずかしがっていた。