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縁壱よ立ち上がれ!勇者の道は永遠に!
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涼しい風が心地よい、静かな夜だ。
飾り気ない感想を胸に闇の中を恐れなく歩む男が一人。
彼の名は継国縁壱。
先程息絶えた鬼舞辻無惨を斃すために剣を取り、鬼殺隊なる組織に属していた男。
殺し合いの場に放り込まれたにも関わらず、彼はあまりに平静に見える。
だがその内心は、生涯例のないほどにざわついていた。
飾り気ない感想を胸に闇の中を恐れなく歩む男が一人。
彼の名は継国縁壱。
先程息絶えた鬼舞辻無惨を斃すために剣を取り、鬼殺隊なる組織に属していた男。
殺し合いの場に放り込まれたにも関わらず、彼はあまりに平静に見える。
だがその内心は、生涯例のないほどにざわついていた。
(やはり私は、何の価値もない男だったな)
縁壱の剣の技量は、客観的に見ても鬼殺隊で最も優れたものだった。
鬼舞辻無惨と対峙してなお、その強度は鬼の首魁さえ超越した、異境の域にあった。
自分にしか無惨は倒せない。その直感と共に振るった赫刀は、しかし空振りに終わったのだ。
仕留めそこねたあの鬼が、この先どれだけの被害を市井に齎したか想像さえできない。
鬼舞辻無惨を捕らえ、座興のごとくに殺したサカキに対し縁壱は感服の極みの感情を覚えている。
鬼舞辻無惨と対峙してなお、その強度は鬼の首魁さえ超越した、異境の域にあった。
自分にしか無惨は倒せない。その直感と共に振るった赫刀は、しかし空振りに終わったのだ。
仕留めそこねたあの鬼が、この先どれだけの被害を市井に齎したか想像さえできない。
鬼舞辻無惨を捕らえ、座興のごとくに殺したサカキに対し縁壱は感服の極みの感情を覚えている。
(鬼の首魁である無惨を討ったのはどれだけ称賛しても足りない。だが、この催しはどうかと思う)
主催者・サカキと名乗る男の声を思い出しながら、縁壱は首を傾げた。
無惨を葬った彼にならば、生涯仕えてもいいとすら彼は考えていた。
しかし、そのサカキが行うこの選抜試験にはいくつかの問題がある。
レインボーロケット団?なる組織の幹部を求め、優秀な人材を決める為の殺し合い。
人数に対して会場が広すぎたり、武器を無作為に支給しているのは不確定要素を与え、それに対応できるかを見るためなのかもしれない。
袂を分かち、鬼となったはずの兄が参戦しているのは……あくまで自分の問題だ。
それよりなにより、縁壱が問題視するのは参加を承諾した記憶が無いことである。
無惨を葬った彼にならば、生涯仕えてもいいとすら彼は考えていた。
しかし、そのサカキが行うこの選抜試験にはいくつかの問題がある。
レインボーロケット団?なる組織の幹部を求め、優秀な人材を決める為の殺し合い。
人数に対して会場が広すぎたり、武器を無作為に支給しているのは不確定要素を与え、それに対応できるかを見るためなのかもしれない。
袂を分かち、鬼となったはずの兄が参戦しているのは……あくまで自分の問題だ。
それよりなにより、縁壱が問題視するのは参加を承諾した記憶が無いことである。
(他の参加者にも同様に参加を強いているのはあの口ぶりから明白。ならば、人品の質は無惨と変わらないのだろう)
結論に至り、縁壱はサカキへの敵対を決めた。
首輪を付けられている現状を打開する為に、好戦的な参加者からの防衛と人探しの手段、交流・交渉の準備も整える必要がある。
縁壱は歩みを止め、腰を下ろす場所を探す。
彼の呼吸はゲーム開始から今に至るまで一度の乱れも起こしていない。
数秒の沈黙の後。縁壱は進む方向を変え、再び迷いなく歩み始めた。
いかなる原理か、その進行方向に一つの建物があることを……否、このエリアの空間を全て識覚したかのように。
首輪を付けられている現状を打開する為に、好戦的な参加者からの防衛と人探しの手段、交流・交渉の準備も整える必要がある。
縁壱は歩みを止め、腰を下ろす場所を探す。
彼の呼吸はゲーム開始から今に至るまで一度の乱れも起こしていない。
数秒の沈黙の後。縁壱は進む方向を変え、再び迷いなく歩み始めた。
いかなる原理か、その進行方向に一つの建物があることを……否、このエリアの空間を全て識覚したかのように。
◆
縁壱が拠点と定めたのは、実に奇妙な建物であった。
人間の顔と言うにはあまりに滑稽なデザインの掘っ立て小屋。
室内は非常に狭く、汗と牛肉と知性が混ざりあったかのような独特な臭いではあったが縁壱は気にせず座っている。
支給品の確認をしていたにしては、少し長めの時間が過ぎていた。
それもそのはず、縁壱は己の支給品である一冊の本を読み耽っていたのだ。
人間の顔と言うにはあまりに滑稽なデザインの掘っ立て小屋。
室内は非常に狭く、汗と牛肉と知性が混ざりあったかのような独特な臭いではあったが縁壱は気にせず座っている。
支給品の確認をしていたにしては、少し長めの時間が過ぎていた。
それもそのはず、縁壱は己の支給品である一冊の本を読み耽っていたのだ。
(他人から見れば何を悠長な、と思うだろうな)
と彼自身思ってはいても完読してしまう魅力がその本にはあった。
『アバンの書』。それが彼の支給品の一つであり、勇者アバンが手書きの逸品である。
『アバンの書』。それが彼の支給品の一つであり、勇者アバンが手書きの逸品である。
「名著だ」
ポソリ、と呟く縁壱。
アバン流殺法と名付けられた、刀剣だけではなく槍から拳まで様々な武器を扱う武芸が術理・状況による使い分けまで細かく記された地の章。
人間の身体に眠る闘気や魔力なる超自然的エネルギーを扱う戦技やまじないが記載された海の章。
極めつけは、それらを扱う人間としての心の有り様を諭した空の章。
前者二つも素晴らしい内容だったが、最後の章が縁壱の心を最も強く揺らした。
アバン流殺法と名付けられた、刀剣だけではなく槍から拳まで様々な武器を扱う武芸が術理・状況による使い分けまで細かく記された地の章。
人間の身体に眠る闘気や魔力なる超自然的エネルギーを扱う戦技やまじないが記載された海の章。
極めつけは、それらを扱う人間としての心の有り様を諭した空の章。
前者二つも素晴らしい内容だったが、最後の章が縁壱の心を最も強く揺らした。
(柱の剣士たちに呼吸を教え、鬼狩りを進歩させたと自負していた事が恥ずかしい。私はアバン殿ほどに、真摯に指導者として在れたといえるのか)
縁壱にとっての剣術とは鬼を狩る為の緊急の手段に過ぎない。
実家から出て剣士の道を諦めた自分が刀を振るうのを、内心で早く止めたいとさえ思っていた。
兄への遠慮もあったが、何より戦いの中で命を奪い合う剣術の理を知り、幼少の憧れは現実に塗りつぶされていたのだ。
自ら定めたとはいえ、義務の為に刀を握る自分とアバンは明白に違う。
彼は未来を見据えていたが、自分は現在しか見ていなかったのではないだろうか? なればこそ、兄の心を悟ることさえ……――――。
実家から出て剣士の道を諦めた自分が刀を振るうのを、内心で早く止めたいとさえ思っていた。
兄への遠慮もあったが、何より戦いの中で命を奪い合う剣術の理を知り、幼少の憧れは現実に塗りつぶされていたのだ。
自ら定めたとはいえ、義務の為に刀を握る自分とアバンは明白に違う。
彼は未来を見据えていたが、自分は現在しか見ていなかったのではないだろうか? なればこそ、兄の心を悟ることさえ……――――。
「……空裂斬」
心に浮かんだ兄の顔を振り払うように、アバン流刀殺法の空の技を放つ。
もう一つの支給品、妖刀・アヌビス神の刀身を光の闘気が走り抜け、キン肉ハウスの壁に極小の穴を開ける。
もう一つの支給品、妖刀・アヌビス神の刀身を光の闘気が走り抜け、キン肉ハウスの壁に極小の穴を開ける。
『わんわんおっ!? 旦那ァ! いきなり俺を使うのはやめてくだせえよ……なんかぞわっとしましたよりいちィ~~~~~?』
「すまない」
意思を持つ刀に謝罪しながら、縁壱は気落ちした声を隠しきれない。
空の技とは邪念なき心で心眼を開き、悪の本体を討つ裂帛の闘気を放つ技。
心を静かに保つ呼吸の技術と通じる面もあったので縁壱も修得できたが、この技に相応しい使い手とならねば意味がない。
アバンは遺した書物にさえ、その温かい人間性を後世に伝える稀代の勇者だ。
自分は無惨との戦いでさえ、綴った手紙で上手く伝えられた自信がない。(何せ、手紙を送った炎柱から返信がなかった)
彼の万分の一の素養でも自分にあれば。
母に、兄に、妻に。自分を愛してくれた者たちに何かをあげる事が。
同胞に、お館様たちに、守るべき人たちに何かを遺す事が、できたのではあるまいか。
空の技とは邪念なき心で心眼を開き、悪の本体を討つ裂帛の闘気を放つ技。
心を静かに保つ呼吸の技術と通じる面もあったので縁壱も修得できたが、この技に相応しい使い手とならねば意味がない。
アバンは遺した書物にさえ、その温かい人間性を後世に伝える稀代の勇者だ。
自分は無惨との戦いでさえ、綴った手紙で上手く伝えられた自信がない。(何せ、手紙を送った炎柱から返信がなかった)
彼の万分の一の素養でも自分にあれば。
母に、兄に、妻に。自分を愛してくれた者たちに何かをあげる事が。
同胞に、お館様たちに、守るべき人たちに何かを遺す事が、できたのではあるまいか。
「…………」
深く呼吸して、アバンの書を再度開く。
今は自分の至らなさに落ち込んでいる場合ではないと理解するがゆえに、最も心を打たれた一文を読み返す。
今は自分の至らなさに落ち込んでいる場合ではないと理解するがゆえに、最も心を打たれた一文を読み返す。
『傷つき迷える者たちへ』
『敗北とは傷つき倒れることではありません。そうした時に自分を見失った時のことを言うのです』
『強く心を持ちなさい。あせらずにもう一度じっくりと自分の使命と力量を考えなおしてみなさい。自分にできることはいくつもない』
『一人一人がもてる最善の力を尽くす時!たとえ状況が絶望の淵でも……必ずや勝利への光明が見えるでしょう!』
『敗北とは傷つき倒れることではありません。そうした時に自分を見失った時のことを言うのです』
『強く心を持ちなさい。あせらずにもう一度じっくりと自分の使命と力量を考えなおしてみなさい。自分にできることはいくつもない』
『一人一人がもてる最善の力を尽くす時!たとえ状況が絶望の淵でも……必ずや勝利への光明が見えるでしょう!』
縁壱の表情に、暖かさが広がっていく。
心に熱が生まれる感覚がある。人はそれを勇気と呼ぶ。
今また一人の男が、一人の勇者に救われた。
心に熱が生まれる感覚がある。人はそれを勇気と呼ぶ。
今また一人の男が、一人の勇者に救われた。
「アバン殿、教えを賜わります」
『旦那はオレが認めた超スゴイ剣士なんだ! そんな謙虚な事言ってちゃあいけませんぜーーーッ……コホッ』
自分を気に入り、過大評価する妖刀を腰に差し、縁壱は立ち上がる。
その心に、もはや迷いはない。
かつて自らを価値なき者と卑下した至高の剣士が、今バトル・ロワイアルの戦場に躍り出した。
その心に、もはや迷いはない。
かつて自らを価値なき者と卑下した至高の剣士が、今バトル・ロワイアルの戦場に躍り出した。
【K-5 キン肉ハウス/未明/一日目】
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:健康 闘気修得
[装備]:アヌビス神@うろ覚えで振り返る 承太郎の奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、アバンの書@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[思考・状況]基本行動方針:サカキの打倒
1:アバン師父に恥じぬ行いを。
2:仲間を探す。
3:兄は見つけ次第斬る。
[備考]
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:健康 闘気修得
[装備]:アヌビス神@うろ覚えで振り返る 承太郎の奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、アバンの書@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[思考・状況]基本行動方針:サカキの打倒
1:アバン師父に恥じぬ行いを。
2:仲間を探す。
3:兄は見つけ次第斬る。
[備考]
- 参戦時期は無惨を取り逃がし、兄が鬼化して鬼殺隊を追われた後。
- アヌビス神を装備していますが、剣士としての実力に心酔されている為操られてございません。
- アバンの書を読破し、アバン流刀殺法及び闘気技などを修得しています。魔力が無いため呪文は使用不可。
- 日輪刀はありませんが、闘気の応用で赫刀化や日の呼吸の技は問題なく使用できるようです。
【支給品解説】
- アヌビス神@うろ覚えで振り返る 承太郎の奇妙な冒険
一億二千年前に生まれた荒巻スカルチノフなる刀匠が打った刀。
そこに宿ったアヌビス神のスタンドは持った者を志々雄にするなどして操る。
物質を透過する斬撃、一度見た技やスペックを見切る能力などを持つ。
しかしバトル・ロワイアルで出会った縁壱の輝く才能に魅了され、能力を使わず
ただの刀として力を貸すことを決意したのであった。DIOへの忠誠は消えている。
そこに宿ったアヌビス神のスタンドは持った者を志々雄にするなどして操る。
物質を透過する斬撃、一度見た技やスペックを見切る能力などを持つ。
しかしバトル・ロワイアルで出会った縁壱の輝く才能に魅了され、能力を使わず
ただの刀として力を貸すことを決意したのであった。DIOへの忠誠は消えている。
- アバンの書@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
勇者アバンが書き残した世界にただひとつの本。
後世の為に書かれた内容は、読むものに勇気を与える。
普通は読んですぐに技とか覚えられません。
後世の為に書かれた内容は、読むものに勇気を与える。
普通は読んですぐに技とか覚えられません。
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