【詳細】
下半身等
レイダーにも似た意匠を持ち、全身に走ったパイプラインとドクロのマスクをつけフードを被ったようなメットデザイン等、暗く不気味な外見が特徴。
変身者によって変身アイテムが異なり、
ベルと
ブガはスラッシュタイプ、
ムーアと
ルーゴはショットタイプのアバドライザーを使用するが姿に大きな差異は無く、変身後の識別目的か幹部ら4人はパイプの色や型の装甲が独自のカラーリングになっている。
シンクネットの構成員は全員が白い服装を着用しているが、これらは全てナノマシンによって構成されたアバターであり、生身の人間ではない。
そのため仮面ライダーに変身していると言うよりはナノマシンを戦闘用に置き換えているといったほうが正しいのかもしれない。
一定のダメージを受けることで「LOG OUT」の表示が浮かび上がると共に行動不能に陥るもこれはナノマシンが機能を停止したに過ぎないため、すぐさまログインし直すことで再起動が可能。
操っている本体は全く別の地点にいて、動いているのは電子端末を通したナノマシンの集合体に過ぎないという部分が仮面ライダーアバドンという存在の厄介な点。
擬似的な不死身を実現しかつ1億人という莫大な数の信者達による人海戦術は驚異的である。
なおログアウトした場合、ナノマシンが霧散するのかスーツが消滅している場面があるが、そのまま残り続けていたり、インナースーツのみが消失して装甲が消え去ったり等いくつか差異がある。
ナノマシン自体のAIである程度アバターだけでも活動が可能なのかもしれない。G4のように。
ちなみに自主的なログアウトが出来ない仕様なのか、ログアウトするためにお互いを攻撃し合うシーンがある。
後述するエスの目的を考えると、自由にログアウト出来ない仕様なのは変身者達を逃さないようにするためなのかもしれない。
劇場版REAL×TIMEにて教祖である
エス/仮面ライダーエデンの指示の通り、全世界で同時多発的テロを実行。
何らかのガスらしき気体を封入したカプセルを放り投げては通行人に吸わせて意識を失わせていった。
出動した
A.I.M.S.や、
滅/仮面ライダー滅らと戦うも、仲間同士で武器を奪いあい、同士討ちするなど兵士として統一されたものではなく、行動の異常さで言えば
マギアや
レイダーらゼロワンに登場した敵達とは一線を画する。
それも上記の通り、アバドンに変身しているのはナノマシンが象ったアバターであり、本人ではないというのが強く影響しているのだと思われる。
ベルやルーゴのように本体とそっくりにアバターを作っている者もいれば、ムーアやブガのように現実とはかけ離れた姿のアバターを作成している者もいる。
そのため外見情報から変身者の情報を引き出そうとしても殆どの構成員はたどり着くことが出来ないだろう。
しかも中にはベルの本体のようにメンタルクリニックで働く等社会的には成功者として見られるようなメンバーもおり、テロには参加していないものの
ZAIAエンタープライズジャパンの常務取締役もシンクネットの信者だった等、社会的地位の高い人間も複数含まれている可能性がある。
一応クラウディングホッパープログライズキーにログインするためのIDデータとパスワードが記録されているらしく、それを突破できればアバターを操作している本体がどこにいるのかをネットワークを通して特定することが可能。
またシンクネットのサーバーには登録者のデータがあり、そのサーバーを破壊することでアバドンのシステムは稼働しなくなる。
彼らは選ばれた人間であると自負し、エスの世界を滅ぼし楽園に向かうという目的に賛同している者達ではあったが、エスの真意に沿う人間たちではなかった。
本体は泣き喚く幼児をほったらかしにアバターの操作に夢中になり味方を撃ち殺して武器を奪うムーアや、撤退するためにお互いを銃撃してログアウトするブガにルーゴ等、彼らはアバターを操作して行うネットゲームのような感覚でテロを引き起こしている性格破綻者の集まりである。
そもそもシンクネット自体が破滅願望を抱く人間が集う闇サイトであるため、躊躇なく一般市民を銃撃し、ガスを吸わせて昏倒させる等その行いに罪の意識は一切ない。
エスを教祖として崇めているものの、そこまでの忠誠心はないため、後述する展開になった場合にはためらいなく全員がエスを見限った。
一応の動揺を見せる信者はいたが、幹部格が率先して反旗を翻しそれに準じていた辺り、破滅願望を抱く人間達であるがゆえの危険な思想の持ち主なのだろう。
今回の同時多発テロの首謀者はエスであるが、実行しているのはアバドンに変身するシンクネットの信者達である。
だからといってエスの行いが正当化されるわけではないが、
デイブレイクの事件で愛する婚約者を失い、彼女のための楽園を作り上げようとしていた彼にとって見れば、シンクネットの構成員達はもれなく全員が悪意に満ちた者であり、楽園にたどり着くに値しない失格者達でしかない。
つまり、彼らが選ばれた人間というのはある意味で正しく、そしてある意味で正しくない。
彼らを選んだのはエスであり、彼らが攻撃した=選んだ無辜の一般市民達こそがガーディアへ向かうべき者達であった。
エスがこのような方法を取ったのは、
アークの受け皿になりうる悪意を持った人間たちをまとめて始末するためである。
それを知ったことで生き残った構成員はエスを見限り、さらには彼がなぜこのような計画を立てたのかを知ったことで、彼の婚約者のデータが保存されたシンクネットサーバーが入った建物を襲撃することで、エスに騙された腹いせにデータ化された遠野朱音を殺害しようと企てる。
その姿勢は刃唯阿から「お前達に同情の余地はない」と断じられるほどで、多くの信者達が仮面ライダーエデンの攻撃に巻き込まれて命を落としたとはいえ、残る構成員の数は依然として多く、その物量と倒されても即座に復活できるアバターゆえの利点を活かし仮面ライダー達と渡り合った。
しかしエスが遠野朱音とガーディアで再会し、心を通わせた後、自分たちもろともサーバーを破壊したことでシンクネットへの接続自体が不可能になりアバドン達は沈黙。
意識不明になっていた人間たちの生体データももとに戻り、事件は収束する。
その後シンクネットの実働部隊の隊長クラスとして活動していたメンバー達はその身元を突き止められ逮捕されたことがエンディングで明かされた。
【余談】
ライダーの名前の由来はヘブライ語で「破壊の場」、「滅ぼす者」を意味する名を持つ黙示録に登場する同名の天使から。
「馬に似て金の冠を被り翼と蠍の尾を持つ」とされ、イナゴの群れを率いるとされている。
蝗害を神格化した存在とも言われており、クラウディングホッパープログライズキーがイナゴのデータを記録しているのはそのため。
1億という莫大な数が存在し、それらが数の暴力で一般市民に牙をむく姿は正しく蝗害そのもの。
またアバドンは「奈落の底」も意味し、奈落に落とされたサタンを封じ込めていた天使でもある。
サタンはルシファーが堕天したものであると言われ、キリスト教等ではアバドンとルシファーを同一視することもあるようで、アバドンの一人が変身したのが「
仮面ライダールシファー」という名前なのはそれを踏まえたものだろう。
なおアバドンがいるのは奈落であり、エデンという楽園ではない。
奈落に堕ちてきた者達を監視する役割であり、そこに至ることは決してない。
ルシファーもまた楽園から追放された身であることから、彼らはどうあがいても望む楽園の住人にはなり得なかったわけである。
一般人が手に入れることが難しい銃火器を所持し、あまつさえ破壊活動を行いテロの実行犯として世界各地で暴れたわけなので、
未だに実態がどういうものか定かではない人工知能特別法が適用されるのかも不明だが、どちらにしろ現実の刑法でも実刑は免れず、ムーアのようにさらなる罪が課される可能性が高い人物が多いと思われる。
悪意の芽はインターネットという姿の見えないところからでも生じうることを現実的に示したのがシンクネット、及び仮面ライダーアバドンの存在だろう。
ただシンクネットの管理サーバーがエスによって破壊された際にシステムが機能を停止したようなので、今後同様の装備を使うのはまず不可能と見ていいだろう。
なおアバドンというネーミングは天使の名以外にも、彼らがアバターだったこと、さらには英語で放棄するを意味することもあり、
それらにもかかっているようだ。
スーツはゼロワン本編に登場したレイダー系の怪人用スーツを利用したものと思われる。
複数体登場しているため、
インベイディングホースシュークラブレイダーを始めとする複数のレイダーのスーツが改造されたものと思われるが、詳細は不明。
同じタイプのレイダーがバトルレイダー以外登場してないため、同じ素体を使いまわしにしているのかある程度数があるのか定かではないということもある。
映画公開後のインタビューによるとスーツはかなりの数が制作されたとのことで、当初から「イナゴのライダー」としてデザインが発注されていたとか。
しかし発注を受けたデザイナーがそれを「イナゴのレイダー」と誤認していたと言い、レイダー系の素体にイナゴを模したアーマーをかぶせ、モチーフとしてショッカーライダーをデザインに組み込んでいくことで完成したという。
別作品だし全く関係のない余談だが、
仮面ライダー電王の劇場版主題歌を提供したのは「175R(イナゴライダー)」。
最終更新:2023年06月19日 02:09