「咲夜ー。あちゅいー、うーうー」
「今冷ましますからね。ふー、ふー。はいどうぞ」
「うー、うー」
「今冷ましますからね。ふー、ふー。はいどうぞ」
「うー、うー」
紅魔館では何処からか聞こえてくる除夜の鐘の音を聞きながら咲夜と美鈴の合作年越し蕎麦(美鈴が蕎麦を打ち、咲夜が汁を作った。夜雀の良い出汁が取れています)を啜っていた。ただ蕎麦が中華ソバに見えるのはきっと気のせいだろう。
熱い熱いと子供っぽく騒ぎ立てるレミリアに微笑みながら息を吹きかけそれを冷ます咲夜。一見すると何と言うことはない紅魔館の日常風景の一コマであるが、レミリアはその内心では表情とは裏腹に不適に笑っていた。
彼女はクリスマスの時に咲夜から言われたあの言葉で全てを理解したのだ。今までお年玉と言う素敵なイベントにありつけなっかたの、余りにも自身がカリスマに溢れており、到底子供のように思えなかったのがその理由だったと気が付いたのだ。
故に無邪気に子供っぽく振舞うことによりそのカリスマを隠し、お年玉を貰おうという魂胆だったのだ。
咲夜も咲夜で、見た目、いつもと変わりない様に見えるが、心なしかその鼻息が妙に荒い。心が読めなくとも彼女の内心は読み取ることが出来る。きっと、『お嬢様ハァハァ』だろう。
そうこうしている内に柱時計からボーンボーンという音が聞こえてくる。そう、年を越したのだ。
熱い熱いと子供っぽく騒ぎ立てるレミリアに微笑みながら息を吹きかけそれを冷ます咲夜。一見すると何と言うことはない紅魔館の日常風景の一コマであるが、レミリアはその内心では表情とは裏腹に不適に笑っていた。
彼女はクリスマスの時に咲夜から言われたあの言葉で全てを理解したのだ。今までお年玉と言う素敵なイベントにありつけなっかたの、余りにも自身がカリスマに溢れており、到底子供のように思えなかったのがその理由だったと気が付いたのだ。
故に無邪気に子供っぽく振舞うことによりそのカリスマを隠し、お年玉を貰おうという魂胆だったのだ。
咲夜も咲夜で、見た目、いつもと変わりない様に見えるが、心なしかその鼻息が妙に荒い。心が読めなくとも彼女の内心は読み取ることが出来る。きっと、『お嬢様ハァハァ』だろう。
そうこうしている内に柱時計からボーンボーンという音が聞こえてくる。そう、年を越したのだ。
「お嬢様、明けましておめでとうございます」
「うー、おめでとー、うー」
「うー、おめでとー、うー」
来た。この時をどれほど心待ちにしてきたことか。レミリアはそんな考えを一切面に出さず、子供っぽく、そして可愛らしく言葉を発した。
「お嬢様、お年玉ですが……」
「うーうー♪」
「うーうー♪」
策士レミリアの策に嵌った咲夜。レミリアは待ってましたと言わんばかりにその手を差し出した。
「お手を出されてどうなさったのですか?」
「うぅ? お年玉~」
「はい、ですからお年玉下さい」
「うぅ? お年玉~」
「はい、ですからお年玉下さい」
瞬間、レミリアの時が止まった。そんな彼女にお構い無しに咲夜は語る。
「聞くところによると外の世界では、年末年始に働いた従業員にはお年玉と称した、臨時給が支払われるそうです」
「理解不能ッ! 理解不能ッ!」
「理解不能ッ! 理解不能ッ!」
思わず素の状態に戻ってしまうレミリア。咲夜は手を出したままだ。
「ちょっと1ドル25セントの出費がありまして」
「うーうー」
「うーうー」
結局レミリアはこんな筈ではなかったと、泣く泣く咲夜にお年玉をあげる事になったのだ。
そのころ地下室では、美鈴がレミリアにあるものを渡していた。
「ねぇ美鈴、これ何?」
「爆竹ですよ、フランドールお嬢様。お正月名物って聞きましたから買ってきました。火を付けたらパァンって破裂するんですよ」
「ふぅーん」
「爆竹ですよ、フランドールお嬢様。お正月名物って聞きましたから買ってきました。火を付けたらパァンって破裂するんですよ」
「ふぅーん」
百聞は一見にしかず、美鈴は爆竹に火を付けると地面に放った。パンパンパンという小気味良い音が地下室に響き渡る。
「思い出した! チルノが爆竹を蛙のおしりに突っ込んで遊ぶんだって言っていたわ」
そう言うや否や、何か面白いことを思いついたのか、楽しそうに笑いながら地下室から駆けて出て行った。美鈴が止めるのも間に合わず、慌てて追いかけた彼女が見たのは、哀れ、フランドールにタックルを喰らい地に伏せた小悪魔だった。
「い、妹様!? って何私の下着を脱がすんですか!」
フランドールは小悪魔の穿いているドロワーズを有無を言わずに脱がしたのだ。
唖然とする美鈴を尻目にフランドールはその手に持った爆竹を……。
唖然とする美鈴を尻目にフランドールはその手に持った爆竹を……。
「妹様ぁ、らめぇ! そこは物を入れる場所じゃないのぉ! 壊れちゃう、そんなの入れたらこぁ壊れちゃうぅ!」
もはや美鈴に為す術はなかった。
「私は何も見ていない。何も見ていません」
小悪魔の未来に幸あれ。
一方の永遠亭、こちらは紅魔館のような惨劇(小悪魔にとっての惨劇)とは打って変わり平穏なものであった。
日の出の後起きてきた幼女な輝夜と鈴仙にこの日の為にと買ってきた晴れ着を着せた永琳。
日の出の後起きてきた幼女な輝夜と鈴仙にこの日の為にと買ってきた晴れ着を着せた永琳。
「えーりん、あけましておめでとー」
「おめでとー」
「はい、明けましておめでとう。お年玉よ」
「おめでとー」
「はい、明けましておめでとう。お年玉よ」
晴れ着にお年玉、クリスマスに引き続いて例年より多くの出費を強いられるのだが永琳にとってそれはもはやどうでも良いことだった。彼女達の笑顔の比べれば安いものだ。
「輝夜、うどんげ、そこに並びなさい。写真取るわよ」
その笑顔を逃すまいとシャッターを何度も切る永琳。そこへふとてゐが現れ、疑問を口にする。
「お師匠様、その写真機どうしたの?」
「ああ、鴉天狗から借りたのよ。今頃胡蝶夢丸mkⅡで……うふふ」
「あんまり深く聞かないけどさ、ちょっとそれ貸してよ」
「悪戯にでも使う気?」
「正月くらいは自重するよ。ほら、鈴仙たちと一緒に撮ってあげるよ」
「……素直にお礼を言っておくわ。ありがと」
「ああ、鴉天狗から借りたのよ。今頃胡蝶夢丸mkⅡで……うふふ」
「あんまり深く聞かないけどさ、ちょっとそれ貸してよ」
「悪戯にでも使う気?」
「正月くらいは自重するよ。ほら、鈴仙たちと一緒に撮ってあげるよ」
「……素直にお礼を言っておくわ。ありがと」
小走りに駆けて行った永琳は輝夜と鈴仙と共に写真機を構えるてゐの前に立った。それは幸せな正月風景だった。しかし、それもあっけなく壊れてしまうとはこの時誰も思いはしなかった。
「うぉおい! 輝夜! 遊ぼうぜ(意訳:殺し合おう)ぜ!」
突如とやって来た災厄、その名は妹紅。彼女は今の輝夜の状況など知らない。つい先ほどまで人里の慧音の所にいた彼女であったが、正月気分が蔓延する人里の空気に馴染めず、いつものように輝夜に喧嘩を売りに来たのだ。
「てゐ、塩まきなさい」
「変なおねーさんがきた」
「変なおねーさんがきた」
露骨に嫌そうな顔をする永琳、幼女な輝夜と鈴仙は無邪気にやって来た妹紅に近づいていく。
「おねーさん、あけましておめでとー」
「おめでとー」
「あん? 何よ、永遠亭にこんな子供なんていたっけ? おいそこの、名前は何て言うんだい?」
「おめでとー」
「あん? 何よ、永遠亭にこんな子供なんていたっけ? おいそこの、名前は何て言うんだい?」
礼儀作法を永琳に仕込まれているこの二人は妹紅にきちんと名を名乗る。
「かぐやー」
「れいせんー」
「そうかい、私は妹紅。カグヤにレイセンね、うん分かったって輝夜ッ!?」
「れいせんー」
「そうかい、私は妹紅。カグヤにレイセンね、うん分かったって輝夜ッ!?」
「か、関係ないね!」
妹紅は改めてかぐやと名乗った子供を見る。確かに輝夜にそっくりな出で立ちだ。妹紅は反射的に永琳の顔を見る。
妹紅は改めてかぐやと名乗った子供を見る。確かに輝夜にそっくりな出で立ちだ。妹紅は反射的に永琳の顔を見る。
「貴方の思っている通り、その子が家の姫よ。あら? もしかしていつも通り殺し合おうとか考えていないでしょうね。まさかね……今の姫は戦う力なんて持っていないもの。そんなのを相手にはしないわよねぇ?」
輝夜と聞いて思わず身構えてしまった妹紅を言葉で諌める永琳弱いものイジメはダメだと。だが彼女がそれで治まりそうにないことも永琳は知っていた。
「気が短いわね。今日は正月よ。お正月らしく戦いなさいな」
「今日ばっかりはお前の言うことを聞いてやるよ」
「今日ばっかりはお前の言うことを聞いてやるよ」
やはり輝夜が子供の姿もあるのだろうか。振り上げた拳の落とし所を探っていた妹紅は迂闊にも永琳の提案に乗ってしまった。
「素直でよろしい。てゐ、アレ持ってきて」
「何をやらすつもり?」
「正月といえば……そう、羽根突き!」
「羽根突き……面白い! 受けて立とうじゃないか。で、相手はお前かい?」
「何言っているのよ。姫とうどんげのペアとよ。輝夜、うどんげ、羽根突きで勝ったら妹紅がお年玉あげるわよ」
「ちょっと待てよ」
「わーい、やったー!」
「あら? 負けるのが怖いの?」
「だ、誰が!」
「だったらいいわよね」
「ぐっ」
「何をやらすつもり?」
「正月といえば……そう、羽根突き!」
「羽根突き……面白い! 受けて立とうじゃないか。で、相手はお前かい?」
「何言っているのよ。姫とうどんげのペアとよ。輝夜、うどんげ、羽根突きで勝ったら妹紅がお年玉あげるわよ」
「ちょっと待てよ」
「わーい、やったー!」
「あら? 負けるのが怖いの?」
「だ、誰が!」
「だったらいいわよね」
「ぐっ」
計算通り。ニヤリと笑う永琳。話がまとまった所でてゐが羽子板とアレを持ってきた。
「お師匠様。羽根突きと言ったらこれでしょう?」
「あら、気が利くわね」
「あら、気が利くわね」
こうして始まった妹紅VS幼女輝夜・鈴仙ペア。一見すると妹紅が絶対有利なように見受けられるがここは永遠亭。妹紅にとってはアゥエーだ。
「手加減しないと慧音に子供をいじめたって言うわよ」
「な!? 慧音は関係ないだろ慧音は!」
「な!? 慧音は関係ないだろ慧音は!」
それは言葉による撹乱だったり
「おっと手が滑ったうさ」
「糞兎! 砂を投げつけるな!」
「あら? 手が滑ってしまったわ」
「手が滑っても注射器は飛んでこないだろ!」
「糞兎! 砂を投げつけるな!」
「あら? 手が滑ってしまったわ」
「手が滑っても注射器は飛んでこないだろ!」
物理的妨害だったりした。
当然結果は無残なものに。圧倒的大差で輝夜・鈴仙ペアに敗れた妹紅。
当然結果は無残なものに。圧倒的大差で輝夜・鈴仙ペアに敗れた妹紅。
「クソッ! ……仕方がないな。ほら、やるよ!」
妨害があろうと負けは負け。潔く負けを認めた妹紅は懐から幾らかの小銭を出し、鈴仙に差し出した。
「わーい、ありがとう」
続いて輝夜、のはずだが妙に妹紅の表情が険しい。それもそうだ。ニコニコ笑う幼女姿の輝夜が彼女の目には、あからさまに見下した目つきでニヤニヤ哂う輝夜に脳内変換されるのだ。
「……」
黙したまま輝夜にそれを差し出した妹紅は、用は済んだとでも言うようにその場から立ち去ろうとした。しかしそれは許されない。
「待てゐ」
がっしりと永琳に肩を掴まれる。
「何だよ」
振り返った妹紅が目にしたのは、墨のついた筆を手にニヤニヤ笑うてゐ、純粋無垢な笑顔の輝夜に鈴仙。
「羽根突きの罰と言ったらこれでしょう」
「ちょ、ちょっと、お年玉をもうやっただろ!」
「ちょ、ちょっと、お年玉をもうやっただろ!」
だが永琳はそんなの関係ねぇと言う代わりに妹紅の腕を固める。そして近づいてくる三人。
「ちょ、止めろ!」
妹紅の懇願など聞き入れるはずもない。まずは鈴仙が妹紅の眉を繋げる。次いで輝夜が妹紅の口に髭を作ろうとしたのだが……。
「ハクチュン!」
「て、てめぇ! クソッ! 筆を鼻に突っ込むなー!」
「て、てめぇ! クソッ! 筆を鼻に突っ込むなー!」
くしゃみをした弾みに筆が妹紅の鼻の中に。その後もてゐが面白おかしく装飾していくのだった。
「お前ら覚えてろよ!」
律儀に顔をそのままにしたまま、捨て台詞と共にその場を去ろうとする妹紅。バイバイと手を振る輝夜が妹紅の視界に移った。しかし鈴仙の姿が見当たらない。彼女はそれを気に留めなかった。それが悲劇、いや喜劇だったのかもしれない。
妹紅の背後に立った幼女な鈴仙は、両の手を合わせた。そして両人差し指を立てたまま指を組んでいく。しゃがみ込む鈴仙、突き上げられたその手……。
妹紅の背後に立った幼女な鈴仙は、両の手を合わせた。そして両人差し指を立てたまま指を組んでいく。しゃがみ込む鈴仙、突き上げられたその手……。
「アッー!」
患部で止まってよく治る。アレが必要になるかもしれない妹紅の正月であった。
マヨヒガでも恒例の正月行事が行われていた。
「ああ、橙は可愛いなぁ」
「えへへへ」
「えへへへ」
そう、八雲藍が橙に晴れ着を着せて楽しんでいたのだ。だが今回はそれだけでは終わらない。
「見て、私も久しぶりに晴れ着を着てみたの」
そこには桜色の色艶やかな振袖を着た八雲紫の姿があった。その姿は神々しく美しいものであったのだか、藍はその姿を見て何かいいたそうだった。
「何よ藍、文句でもあるのかしら? ほら、似合っているでしょう?」
クルっとその場で一回転。周囲に紫の色香が舞い散った。だがそんな事には関係なく藍は口を開くのだ。
「いえ、紫様にはもっと落ち着いた色のお召し物がお似合いだと思いまして……ここにそのお召し物を用意しております」
「え!? 藍からプレゼントなんて嬉しいわ♪ 早速着替えてくるわね……って何この紫色の留袖の着物は!?」
「……お似合いですよ」
「私はピチピチの振袖の似合う乙女なの!」
「あぁ、橙は可愛いなぁ」
「藍! 人の話を聞きなさい!」
そして白玉楼でも……
「え!? 藍からプレゼントなんて嬉しいわ♪ 早速着替えてくるわね……って何この紫色の留袖の着物は!?」
「……お似合いですよ」
「私はピチピチの振袖の似合う乙女なの!」
「あぁ、橙は可愛いなぁ」
「藍! 人の話を聞きなさい!」
そして白玉楼でも……
「幽々子様知っておられますか?」
「妖夢どうしたの?」
「お節料理は台所で働くものが正月三が日を休めるように作られているものと言われています」
「それがどうしたのかしら」
「その調子でお食事を召されれば今日一日で料理がなくなってしまいます。料理を任せている幽霊に正月休みを与えたのをお忘れですか?」
「うん!」
「自信満々に仰られても困ります」
「それでね妖夢」
「妖夢どうしたの?」
「お節料理は台所で働くものが正月三が日を休めるように作られているものと言われています」
「それがどうしたのかしら」
「その調子でお食事を召されれば今日一日で料理がなくなってしまいます。料理を任せている幽霊に正月休みを与えたのをお忘れですか?」
「うん!」
「自信満々に仰られても困ります」
「それでね妖夢」
幽々子は懐をごそごそと漁るとパンパンに膨らんだポチ袋を取り出した。
「はいお年玉!」
「みょん!? すごい札束!」
「みょん!? すごい札束!」
妖夢が受け取ったポチ袋にはお札が数十枚入っていたのだ。
「それと晴れ着ね! 妖夢に似合うと思って貰ったのよ」
「これを着ろと仰られるのですか?」
「そうよ」
「し、仕方がありませんね」
「これを着ろと仰られるのですか?」
「そうよ」
「し、仕方がありませんね」
そういう妖夢は満更でもなさそうだった。その顔を少し笑みを浮かばせて着替えるのであった。
「半霊ちゃんも着飾らせてあげる♪」
幽々子は逃げ惑う妖夢の半霊を捕まえるとこの日の為に用意した幽霊用の晴れ着を着せるのであった。
「結局幽々子様に遊ばれただけのような気がします」
淡い桜色の晴れ着を着た妖夢に幽々子はニッコリ笑うとこう告げるのだ。
「いってらっしゃい」
「はい?」
「はい?」
頭に疑問符を浮かべる妖夢に幽々子は優しく答える。
「人里にごはん買いに行ってね♪」
「このお年玉はその為のお金ですか……」
「このお年玉はその為のお金ですか……」
がっくりとうな垂れながら人里へ向かう妖夢は幽々子の考えを知らなかった。長い振袖の晴れ着を着たら無闇に刀を抜かなくなるのではないかと考えての行動だったのだ。
正月といえば初詣。初詣といったら神社。ここ守矢神社は盛況に包まれていた。
神社の本殿ではここに祀られている八坂神奈子と洩矢諏訪子が甘酒をチビチビと嗜みながらその盛況を窺っていた。
神社の本殿ではここに祀られている八坂神奈子と洩矢諏訪子が甘酒をチビチビと嗜みながらその盛況を窺っていた。
「早苗が甘酒を振舞っているおかげかな? あっちとは比べ物にならない程の盛況ぶりだ」
「何十年ぶりかね? 私達が参拝客の願いを直接聞いてやると触れ回ったからかね? そんなことより早苗が楽しそうにしているのが何より嬉しいよ」
「何十年ぶりかね? 私達が参拝客の願いを直接聞いてやると触れ回ったからかね? そんなことより早苗が楽しそうにしているのが何より嬉しいよ」
二柱の神は思慮深げに頷き、参拝客の願いを聞いていた。
「あくまで聞いてやるだけだ。その辺を分かっているのかね?」
「早苗も適うかどうかは信仰心しだいだといっているし杞憂じゃないの? それよりもちゃっちゃと聞いちゃおう」
「ああ、そうだね。……えーと、魔理沙は私の嫁。アリス死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「何それ?」
「こんなのは無視だ。次だ次……魔理沙は私の嫁。パチュリー死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「また?」
「黙殺だ。反応するのも馬鹿らしい。……お年玉!うーうー。紅魔館の使用人にはよく言っておこうか」
「早苗にもお年玉上げないとね」
「それで次は……私を名前で呼んでください。お願いします。昼寝の時間も少し削りますから。切実だな、私達は名前をちゃんと名前を呼んでやろうか」
「えーと、中国だっけ? おーい中国。ちゃんと呼んでやるから安心しろよー」
「PADじゃありません」
「ハイハイ、寄せてあげるブラね」
「早苗も大きいほうがいいのだろうか?」
「う~ん……とりあえずあの1ドル25セントのやつ買っておこうか。次にいこうよ次に」
「今年も永遠亭の皆が健やかに過ごせますように……か。賽銭詐欺する兎とは思えないな」
「普通すぎて面白くないー。白黒も今年も元気に過ごせますようにだって」
「次にいこうか。……⑨が馬鹿じゃなくなる、いえ、そこまで高望みしません。馬鹿でいいですがもう少し人の話を聞く様になって欲しいです。もう一つ、あたいってさいきょーね」
「あの⑨は何だろうね。今度ガマちゃんと一緒に懲らしめててやるよ」
「人里の皆が平穏に暮らせますように……うん、見守っておくか」
「次はー?」
「信仰心を分けてくださいとは言いません。お賽銭も寄越せとは言いません。ですからほんの少しでいいのです。ご飯を、食糧を分けて下さい……ってあの博霊の巫女!?」
「早苗ー! 昨日の残り物をわけてあげてー!」
「早苗も適うかどうかは信仰心しだいだといっているし杞憂じゃないの? それよりもちゃっちゃと聞いちゃおう」
「ああ、そうだね。……えーと、魔理沙は私の嫁。アリス死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「何それ?」
「こんなのは無視だ。次だ次……魔理沙は私の嫁。パチュリー死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「また?」
「黙殺だ。反応するのも馬鹿らしい。……お年玉!うーうー。紅魔館の使用人にはよく言っておこうか」
「早苗にもお年玉上げないとね」
「それで次は……私を名前で呼んでください。お願いします。昼寝の時間も少し削りますから。切実だな、私達は名前をちゃんと名前を呼んでやろうか」
「えーと、中国だっけ? おーい中国。ちゃんと呼んでやるから安心しろよー」
「PADじゃありません」
「ハイハイ、寄せてあげるブラね」
「早苗も大きいほうがいいのだろうか?」
「う~ん……とりあえずあの1ドル25セントのやつ買っておこうか。次にいこうよ次に」
「今年も永遠亭の皆が健やかに過ごせますように……か。賽銭詐欺する兎とは思えないな」
「普通すぎて面白くないー。白黒も今年も元気に過ごせますようにだって」
「次にいこうか。……⑨が馬鹿じゃなくなる、いえ、そこまで高望みしません。馬鹿でいいですがもう少し人の話を聞く様になって欲しいです。もう一つ、あたいってさいきょーね」
「あの⑨は何だろうね。今度ガマちゃんと一緒に懲らしめててやるよ」
「人里の皆が平穏に暮らせますように……うん、見守っておくか」
「次はー?」
「信仰心を分けてくださいとは言いません。お賽銭も寄越せとは言いません。ですからほんの少しでいいのです。ご飯を、食糧を分けて下さい……ってあの博霊の巫女!?」
「早苗ー! 昨日の残り物をわけてあげてー!」
こうして幻想郷の正月は奇妙な事件もなく平穏に過ぎて行くのだった。
番外編
幻想郷の平穏な正月