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幻想郷を1ミリも知らない吉良が白玉楼で働いてみた

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shinatuki

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幻想郷を1ミリも知らない吉良が白玉楼で働いてみた

朝日が登り、白玉楼の一室が照らされ一人の男が目を覚ます。
男の名は吉良吉影、彼は目を擦りながら体を起こし周りを見渡す。
ここは……そうだ私は白玉楼と呼ぶこの屋敷で働く事にしたのだったな。
布団の側に着物が置かれているのに気付くと服を脱ぎ着替え始めた。
本当はスーツの方が私の好みだが和室には似合わねぇし使用人の立場だから贅沢は言えんな。
着替え終わった吉良は部屋を出ると調理場へと向かう。朝食の手伝いをするためだ。
調理場には既に妖夢が料理を作り始めていた。
軽く「おはよう妖夢」と挨拶を済ませ私も調理場へと立つ。
ご飯、焼き魚、煮物、味噌汁をテーブルに並べられ朝食の用意が終わる。
「おはよう~」と妖夢に起こされ眠そうな顔をした幽々子が来て妖夢と二人の朝食が始まった。
幽々子が私に一緒に朝食を食べるよう誘われたが断っておいた。
幽霊である私が飯を食わないからだ。
それにしても西行寺 幽々子と呼ぶこの女は不思議な奴だ。
私は今まで食事を取る幽霊など見た事が無い。
それに時折、何か企んでるいるような妖しい笑顔を浮かべながら私を見つめてくるときた。
食事が終わると私は食器を洗っていた。
結局あの女は朝からご飯を3杯もお代わりしてやがった。どういう胃袋してるんだ?
そんな疑問を持ちながら洗い物を終わらせ息抜きに庭へと向かい縁側に座る。
「美しい庭だ……風流があって良い眺めだ………」
吉良は白玉楼の広大な庭を一目見て気に入っていた。
それに人が少なく通行人を警戒する必要が無い分リラックスが出来るしな。
人間に触れられ肉体の一部を消失した霊をいくつも見てきた吉良にとって白玉楼はかなり都合の良い住まいなのである。
「ねえ吉良、ちょっといいかしら?」
「はい、なんでしょう幽々子様」
幽々子が私を呼んでいたので休憩は終了し幽々子の元へと向かう。
「吉良、あなたは何か超能力とか武芸とか持ってるかしら?」
「……いえ、特に持ってませんね」
超能力?私にそんな厨二設定など持っていない。
武芸も殺しにナイフは使っていたが無防備の相手に一突きするだけ。
技術面で特に優れている訳でも無かったからな。
「それじゃあ妖夢、彼に剣術を教えてあげてね」
「え、本気ですか?幽々子様?」
妖夢は驚きの声をあげる。
「吉良は白玉楼で働いてる身だもの。屋敷に近づく不審者と戦う事もあるでしょうし。
武芸の一つでも身に付けておいた方が今後の為になるわ」
妖夢は幽々子の言葉を聞きなるほどと言った顔をし頷く。
「そうですね。じゃあ吉良、道場に行きましょう」
おいおいマジかよ……面倒だな。だが断る理由も無いし仕方がないか。
剣の鍛錬で利用する道場へ辿り付くと妖夢が吉良に木刀を手渡した。
「とりあえず吉良の実力が見たいので全力で来て下さい。
ついでに言いますがこの木刀は妖怪が鍛え上げた特殊な物で霊体でも傷付くので真剣にやるように」
妖夢の顔は真剣そのもの、だが吉良の顔にはどうにもやる気が感じられなかった。
吉良は妖夢を甘く見ていたからだ。
いくら剣の技術が優れていようとも所詮相手は子供、全力で戦ったら妖夢をケガさせてしまう。
だからある程度加減して相手をしてあげよう。
そんな意気込みで吉良は妖夢に向かい木刀を振るった。
バシィーンッ!
強烈な一撃が吉良の右手に命中し木刀を落とす。
「あらあら」
「痛ぅ……」
「真剣にやるように言ったはずですが」
妖夢は吉良の態度を見て半ギレ状態である。
「手を抜いたのは謝るよ。だけど君のような小さな『子供』相手に全力を出せる訳「ブチッ!」」
何かが切れる音がした。
「そうですか…私には本気をだせないと……ならば本気にさせてあげましょう!!」
「――――ッ!?」
妖夢の目にも止まらぬ斬撃が吉良の脇腹に直撃し吹き飛ばされる。
糞ッなんだこのガキはちっこい癖にやたらと強烈な攻撃をしやがる。
重い、速い、そして休まない。
その三拍子揃った攻撃を次々と繰り出し吉良の身体はみるみる傷付いていく。
「なあ妖夢もう少しこう何というか手心を……」
「痛くなければ覚えません」
遠慮する気のない妖夢を見て吉良は一計を思いついた。
相手は子供だ。おだてれば機嫌も良くなり怒りも収まるだろう。
「参ったよ妖夢。君は強い 是非 私に剣を教えて」ヒュン
吉良の耳に痛みが走る。今の妖夢の一撃で左耳の半分が切断されたのだ。
「道場は芝居をする所ではありませんよ」
妖夢の怒りはまだ収まらない。
ヤバい……このままでは私は妖夢に伊達にされてしまう……。
吉良は道場から逃げ出すべく出口へと走るが、既に妖夢に先回りされ逃げ場を失う。
ちっ 出口が……そうだ!
壁際に追い込まれた吉良は壁に手を付ける。
妖夢の斬撃が背後に迫る。だが吉良に当る事なく空振りに終わった。
吉良が壁をすり抜け難を逃れたのだ。
「吉良って天稟があるわね」
「否、吉良はすくたれ者です」
一旦外に避難した吉良は白玉楼の近くの墓地で待機していた。
やれやれ、あのガキには困った物だ。ほとぼりが覚めたら一応謝っておくか。
果たして吉良は白玉楼で幸福を手に入れる事が出来るのか。

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