ジョジョの奇妙な東方Project@Wiki

東方魔蓮記 第七話

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「あなたの言う通りね・・・さっきの私は少し冷静さを欠いていた」
そう言って幽香は立ち上がる。
ディアボロはそれに驚きつつも、次の策を練る。
「(あの傘を利用できれば・・・)」
あの風見幽香が武器にしていることから、普通の傘じゃないのは簡単に想像がつく。
ディアボロはそれをどう利用するかを考えていた。
重くしたら一撃が重くなって逆効果になりかねない。
爆破したら恐らく怒る。そうなると勝てる確率はさらに減る。
「(・・・どうすればいい)」

幽香が傘を振って攻撃してくるのをギリギリで避ける。
戦い始めてからだいぶ時間が経過している。そろそろスタミナ切れを起こすだろう。
恐らく先にスタミナ切れになるのは・・・ディアボロ。
事実戦い始めたときと比べ、ディアボロの行動に隙が生じてきている。
「そろそろ疲れてきたんじゃない?」
「・・・(口に出したくないが、確かに疲れてきた。だがここで隙を見せれば・・・)」
そう思いながら幽香の攻撃を避けるディアボロ。しかし、そこに一瞬の隙が見えた。
それを見逃さなかった幽香は、傘を上からディアボロめがけて振り落とす。
「(!しまっ・・・)」
とっさにスタンドで防御するも、その衝撃で地面に叩きつけられるディアボロ。
そこにもう一撃、傘での追い討ちを掛けられる。
ディアボロはスタープラチナで傘を押さえ、幽香の踏み付けをキングクリムゾンで防御する。
何とか起き上がったディアボロは、呼吸をある程度整えてスタープラチナを戻す。
「(危なかった・・・もしあの踏み付けをくらっていたら・・・)」
それを考え、思わずゾッとするディアボロ。

ディアボロは一枚のDISCをケースから取り出し、エコーズのDISCと入れ替える。
「(目には目を・・・だな。スタンドの位置がある程度特定されるのは承知だ)」
再び幽香が傘で攻撃してくるのをスタープラチナで受け止め、傘にそのスタンドの能力を使う。
傘が二つに増え、それに幽香が驚いている一瞬の隙にキングクリムゾンがその傘を取る。

キッスというスタンドは、物体に『シールをはる』ことでその物体を二つにする能力を持つ。
その能力を幽香が持っている傘に使い、自分の武器として使おうとディアボロは考えたのだ。
だが、普通にディアボロが振っても幽香ほどの威力はでない。だからキングクリムゾンに持たせた。
これなら、幽香が使ったときに比べてだいたい同じ威力は出るだろう。
それを見た幽香は不敵な笑みを浮かべると、勢いよく傘を振って攻撃してくる。
ディアボロはキングクリムゾンに傘で受け止めさせ、そのまま押し合う。

「(今度は『物体を二つにする程度の能力』・・・あのCDみたいな物が、彼の力の多さに関係していそうね)」
そう紫は思い、ますます興味が湧いてくる。
『どうやって力を封じ込めているのか』。それに関心があるのかないのか・・・
彼女の心理はよくわからないものである。

「(早めに終わらせないとスタミナ切れでこっちが不利になる。だが、殺すわけには・・・)」
ディアボロはどうやって『殺さずに勝つ』かを考えていた。 殺すなら簡単だ。
キラークイーンで爆破する、スティッキーフィンガーズでバラバラにする、他にも方法はある。
だが、この幻想郷では誰かを殺すとすぐにその情報が伝わりかねない。
そうなると間違いなく自分や白蓮たちに悪いことが起こるだろう。
それはしてはいけない。なら、どうやって相手に勝つか。

「(・・・やるしかないな)」
まだ幽香とキングクリムゾンの押し合いは続いている。それを見て、うまくいくことを確信する。
ディアボロはこの幻想の地で、初めて『時間を消し飛ばす』ことになる。
「(キングクリムゾン!)」

―我以外の時間は消し飛ぶ

「(これを見るのも久しぶりだな・・・)」
時間の消し飛んだ空間を見てそう思うディアボロだったが、すぐに行動を実行する。
幽香はキングクリムゾンとの傘の押し合いを受け流し、ディアボロの方に踏み込んで傘を振り下ろそうとしていた。
だが、今のディアボロにはこの攻撃は命中することはない。
すぐにキングクリムゾンに、『ある行動』を取らせる。

―時は再び刻み始める

その瞬間に起きた出来事に、幽香も紫も驚きを隠せなかった。
幽香の腹部をキングクリムゾンが持っていた傘が貫通していたのだから。
「(な・・・何が・・・!?いつの間に腹部に傘が刺さっていたの!?)」
幽香は自分の身に起きた出来事が理解できず、動揺していた。
そこに、キングクリムゾンが傘を抜き取る。
傘にはかなりの血液が付着し、栓を失った腹部に開いた穴からは血がどんどん流れ出している。

紫は、幽香に起きた出来事を冷静に分析していた。
「(傘で押し合っていたその直後に、幽香は傘を振り下ろす構えをしていてその腹部を傘が貫通していた・・・)」
「(今度は時間停止じゃ説明ができないわ・・・一体どうやって・・・?)」
こればかりは、すぐにはわからない。
誰が考えるだろうか?『時間を消し飛ばした』なんてことを。

「さあどうする?」
腹部に開いた穴からの血の流出は止まらない。このまま戦い続ければ、今度は幽香のほうが危ないのだ。
「くっ・・・」
ディアボロを睨み、傘を構え、再び攻撃を仕掛ける幽香。
腹部から血が流出するのもお構いなしに、ただひたすら傘で攻撃する。
スタープラチナで傘を掴み、キングクリムゾンが持つ傘で幽香の腹部を叩こうとするも、幽香はその傘を左手で何とか受け止める。
だがその息は荒く、少しずつ力も弱々しくなっていた。

幽香は押し切ろうとするも、先ほどとは違ってうまく力が入らない。
「・・・死ぬぞ?」
ディアボロのその言葉も無視して、腕に力を込めようとする幽香。
それを見て、かつて見た記憶を思い出していた。それは、自分の死をも覚悟して戦ってきた者達の記憶。
・・・だが、今ここで幽香を殺させるわけにはいかない。彼女の誇りを消すわけにはいかないのだ。
幽香が人間に戦って負けることは、すなわち彼女の誇りを汚すこと。
それに気がついていたディアボロは、幽香を気絶させることにする。
それを実行するために、一枚のDISCをケースから取り出して入れる。
「もういいだろう・・・いくら自分の誇りを汚したくないからとはいえ、死んだら意味がない」
「・・・!」
ディアボロはキングクリムゾンとスタープラチナを戻す。
押し合っていた力が無くなって体勢を崩した直後に、スタープラチナとキングクリムゾンの一撃を同時に幽香の腹部に叩き込む。
その衝撃で吹き飛ぶ幽香だが、何かがクッション代わりになって幽香を受け止める。

ストレイキャット―空気を操る力。
死んだ猫が埋められていた場所から生えてきた、動物とも植物ともいえる奇妙な生物、猫草の持つ能力だ。
自身の周辺に真空を作ったり、先ほどのように空気をクッションにしたりすることもできる。

地面にうつ伏せで倒れた幽香の様子を近くで確かめるディアボロ。
「・・・気絶しているわね」
スキマから幽香を見た紫がそういうのを聞いたディアボロは、ストレイキャットとキッスのDISCをケースに入れる。
「(自分の誇りを失いたくない気持ちは十分わかるが・・・)」
代わりに、二枚のDISCをケースから取り出して入れる。
「(死んでしまったら、その気持ちさえも失ってしまいかねないんだぞ・・・)」
ディアボロが入れたDISCは、『ゴールドエクスペリエンス』と『ホワイトスネイク』。
ホワイトスネイクの能力で聴覚と痛覚をDISCにして取り出す。
「どうする気なのかしら?」
「彼女を・・・治療する」
そういってディアボロは、ゴールドエクスペリエンスの能力を幽香に対して使う。
普通は痛みを伴うものなのだが、ホワイトスネイクで痛覚は抜き出されているので何も感じない。
麻酔と考えればわかりやすいだろう。
本来ならクレイジーダイヤモンドで治したほうが早くて痛みもない。
だが、ディアボロのあの攻撃で腹部の傘が貫通した部分は完全になくなっている。
そこも治療するためにゴールドエクスペリエンスを使ったのだ。

「さっきまで戦っていた相手なのに、なんで傷を治すのかしら?」
「あいつは、人間に敗北するということを自らの誇りが許さなかった」
「それが嫌でな・・・死んでしまったら、誇りも意味を失うというのに」
ゴールドエクスペリエンスの治療を続けながら、ディアボロと紫は会話をする。
「治療を終えた。だが、目が覚めるまで時間がかかるかもな・・・」
そう言って、痛覚と聴覚のDISCを幽香に入れるディアボロ。
そういってゴールドエクスペリエンスとホワイトスネイクのDISCをケースに入れるディアボロ。
次にクレイジーダイヤモンドのDISCを入れ、幽香の傘を取ると、はられていたシールを剥がす。
二つの傘が一つに戻ったあと、クレイジーダイヤモンドの能力で傘を直す。

「俺はそろそろ戻るとするか」
そう言って太陽の畑から去ろうと歩き出したディアボロ。
その後姿を見て、紫が思ったことは・・・
「(私のときはもっと容赦がなかったけれど・・・誰かに影響されたのかしら?)」
「う・・・うぅん・・・」
そう思うのとちょうど同じタイミングで幽香が目を覚ます。
「あれ・・・?」
自分の身体を確かめる幽香。
外傷はなくなり、攻撃によって受けたダメージも全て治っている。
「彼が治療していったわよ」
それに気がついた紫は、再びディアボロの後姿を見てそう言う。
「見逃されたのかしら?」
『相手に救われた』という事実が、幽香をなんともいえない気分にさせる。
「どうかしらね。本人に聞いてみたら?」
「それはまた今度でいいわ・・・」
幽香は紫の言葉に呆れながら、紫と一緒にディアボロの後姿を見ていた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー