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東方魔蓮記 第三十三話

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自分の背後から迫りくる鎖に気づいた妖怪だが、時すでに遅し。
とっさに鎖に弾幕を撃ちこむも、それは一時的に鎖を近づかせない程度にしかならない。
しかも『自分の体も鎖に近寄っている』ため、鎖を近づけさせまいとしても意味がない。
更に沢山の鎖が地中から出てきて妖怪を襲い、鎖の数に比例して鉄の壁がだんだん薄くなっていく。
どうやら鉄の壁を作る為に使っていた鉄を、今度は鎖を作る為に使っているようだ。


そして、とうとう妖怪と二本の鎖が『くっついた』。
それを確認したディアボロは磁力をうまくコントロールして、まきつかせるように妖怪を縛っていく。
そのせいで、妖怪は手足を動かすことはできても身動きが取れなくなってしまう。
さらにその隙をついて次々と鎖が妖怪に襲い掛かり、手首、肘、膝、足首と、次々と関節を縛る。
妖怪は必至でもがくが、どうすることもできない。
「そのまま大人しくしたほうがいいと思うぞ」
その様子を確認したディアボロはジッパーから出てきて妖怪に警告する。
今の状態は、その気になれば鎖で首を絞めたり磁力を強くして血管や体の圧迫などができる。
ディアボロが妖怪を殺す気はないので血液中の鉄分を刃物に変えて攻撃したりはしないが、それでもこうなってしまっては妖怪に勝ち目はないだろう。
「放しなさい!」
妖怪はそう言いながら必死でもがくが、関節にまきついた鎖はどうすることもできない。
「まずは落ち着け」
ディアボロはこれ以上鎖を増やす必要はないと判断し、余分な鎖と鉄の壁を地中に戻す。
そして妖怪を落ち着かせようとするのだが、その強い嫉妬心ゆえか、なかなか落ち着きを取り戻さずに暴れようとする。
「(……この様子じゃ、自然と冷静になったりはしないだろうな)」
そう判断したディアボロはホワイトスネイクにDISCを作らせ、背後から妖怪のおでこに差し込む。
自分のおでこに、闘っている人間が使ったものと同じ円盤状の物体が入っていくことに驚くが、すぐにDISCの効果で冷静になる。
「………」
急に冷静になった自分に驚いているのだろうか。動きを止め、沈黙する。
「ようやく落ち着いたか。全く、嫉妬で狂うにも限度があるぞ」
ディアボロは呆れながら妖怪に近寄る。
だが未だに警戒しているのか、正面には行かずに背後を取ったまま、ある程度の距離を開けて止まる。
「………」
妖怪は先ほどとは一転、さながら『冬のナマズ』のごとく大人しくなってしまっている。
自身を駆り立てていた『嫉妬』が、一時的とはいえ無くなってしまっためだろうか。
「(さて、これからどうしようか…)」
ディアボロは『次に何をするか』考える。
相手が冷静さを取り戻した以上、説得して通してもらえれば楽だ。
もちろんそのまま放置して地上に向かうこともできるが、さすがにそれは酷なことである。
「『取引』をする気はあるか?」
「……取引?」
ディアボロの提案に妖怪は疑問を抱く。あれだけ攻撃したうえに鎖で縛っておいて、突然何を言い出すのかと。
「お前は俺と…気づいていないかもしれないが、こいしを見逃す。俺はこの鎖からお前を解放する。…どうだ?」
ディアボロから提示された取引内容を聞いて、応じるか否か考える。
こいしを見逃すことも忘れずに取引内容に含んでいるが、はたしてこの妖怪は気付いていたのだろうか?
「……分かったわ。取引に応じる」
「good。……こいし、こっちに来い」
ディアボロはこいしに自分のもとに来るように呼びかけ、それを聞いたこいしはディアボロのもとへ飛んでくる。
そしてこいしのがこちらに向かってくることを確認し、妖怪にまきついた鎖を全て地中に戻す。
「取引は成立だ。……じゃあな」
鎖から解き放たれて自由に動けるようになっても、妖怪は未だに呆然としていた。
嫉妬心を一時的に消されたからか、どうすることもできずに敗北を認めざるをえなかったからなのか、それとも他が原因なのかは不明である。
「行くぞ、こいし」
ディアボロはこいしを連れて縦穴を昇っていき、妖怪はそれを見送ることなくその場で浮いていた。
「……妬ましい……!」
少しだけ時間が経過した後、ホワイトスネイクのDISCの効果が切れて妖怪に嫉妬心が戻る。
妖怪は歯ぎしりをし、恐らく地底に来て以来最も強い嫉妬をディアボロに抱いた。


「ディアボロが交渉するなんて思わなかったよ」
「お前は俺が闘うしか能がないとでも思っていたのか?」
ディアボロはこいしの発言に呆れながら質問をする。
能がなくては絶対にギャングのボスは務まらない。もっとも、こいしはギャングを知らない可能性が高いが…。
「(俺はどんなイメージを持たれていたんだ…)」
心の中で困惑しつつ、縦穴を抜けるために昇っていく。
行く先行く先で闘い続けていたからか、実際にあったことがない奴には変なイメージを持たれている可能性が高いのかもしれない。
そして、こいしはディアボロの質問に答えることはなかった。
「ねえ、なんで今までのように倒さなかったの?」
唐突にこいしがディアボロに質問をしてくる。
「あの妖怪にはお前ら姉妹にペット、あの鬼とは違う点がある。あいつが最初は『自分の身を守るため』に攻撃してきたからだ」
あの妖怪―水橋パルスィは、嫉妬に駆られていたとはいえ、『宣戦布告してから、またはいきなり攻撃してきた』のではなく『ディアボロが接近してきてから』攻撃を始めた。
それはつまり、『自分の身を守るため』にとった行動ということになる。更に、パルスィが嫉妬に駆られたのもディアボロが煽ったようなものだ。
止むを得ず応戦したとはいえ、パルスィを退治する理由はない。
「へー」
こいしはディアボロの答えに納得…したのかはわからないが、言葉を返す。
「(ここを突破したなら、この縦穴でもう戦闘はないはずだ)」
ヘブンズ・ドアーで見た紫の記憶の内容を思い出しながら進み続ける。
「あとどのくらいで縦穴を抜けられる?」
「もう少しかかるかな」
こいしの答えを聞き、そのまま縦穴を昇り続ける。
地底で異変が起きたときに巫女を邪魔した岩も、異変のない今は見当たらない。このまま簡単に縦穴を昇り切れるだろう。



「よし……とりあえず縦穴を突破できたな」
縦穴を昇り切り、地底への入口…暗闇の風穴と言われる場所に戻ってきた。
ここまで来ると地面があるので普通に歩くことができるため、ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュの能力を解除して着地する。
「あとちょっとだね」
こいしはそのまま浮遊し続けている。やはり浮いているほうが楽に動けるからだろうか。
「そうだな、あと少しだ。気を付けていくぞ(……ここで油断をすると死ぬことになるな)」
ディアボロはこいしと会話しながら警戒を続ける。
ジャンピン・ジャック・フラッシュのDISCをおでこから取り出し、マジシャンズ・レッドのDISCを装備する。
そして炎で生命探知器を作り出し、風穴の出口に向かって歩き出す。

マジシャンズ・レッドは炎を操るが、それの応用で生命探知器を作り出すことができる。
生物が動いても、呼吸をしても、スタンドを出しても、この探知器はそれを感知する。
感知器としては高性能だが、ネズミ一匹が通ってもそれを検知するため、正体は目視で確認しないといけない。

エサになるものがあまりないからか、生き物があまり見当たらない。
……しかし、ある程度進んだところで、生命探知器が反応した。
それを見たディアボロがすぐに上を見ると、天井あたりに何かいた。
「おお?なんで私がいることがわかったの?」
どうやら自身の存在に気づかれていないと思っていたらしく、突然上を見上げてきたディアボロに興味を持ったようだ。
「……探知器が反応した」
言っていることは事実なのだが、この幻想郷ではディアボロ(と紫が境界を操作して見えるようにした者)以外はスタンドが見えない。
そのため、相手からすれば何を言っているのかわからない。相手によっては、『頭がおかしいんじゃないか?』と思われても仕方がない。
「へえ、私にはその『探知器』が見えないんだけどねぇ」
だが、今ディアボロと会話している者は、ディアボロが言っていることが嘘だとは思えなかった。
彼がいきなり上を向いて自分を見つけることができた理由がわからないからだ。
「まあ、気にするな」
ディアボロは炎の生命探知器を消さずに視界の片隅に入る位置に移動させ、見つけた相手を見つめる。
「……あんた、地底の妖怪?」
「違うな、ただの人間だ」
ディアボロは相手の問いかけに答えながら炎の探知器をチラ見する。
今のところ反応しているのは会話の相手だけだ。他の反応はない。
「じゃあ、なんでただの人間が地底から出てくるの?」
「地底観光の帰りだ。ガイド付きのな」
こいしの存在を暗示する発言をしつつ、再び炎の探知器をチラ見する。
…やはり変化はない。当分の間は会話している相手に集中してよさそうだ。
「ガイド?」
ディアボロの発言を聞いた相手は周囲を見回し始める。
こいしはその能力故に、『強く意識して』探さないと見つからない
が、相手は『ディアボロの言っていることが嘘か本当か』を探る程度の意識で探しているため、見つかることはない。
「……どこにもいないよ」
こいしを見つけることができなかった相手は、ディアボロとの会話を再び始める。
「なら気にする必要はない。本人は戦闘に参加する気はないようだからな」
ディアボロはそう言いながらマジシャンズ・レッドを出し、警戒態勢には入る。
が、敵意は見せないように気を付ける。感づかれたら攻撃される可能性があるからだ。
「ふーん…」
まるで変な人を見るような目でディアボロを見ながら、相手もディアボロの様子をうかがい始める。
そりゃあ、感知器がどうこう言ったり、(相手から見れば)いないはずのガイドをいると言っていたり、傍から見れば変人である。
「駄目だこりゃ、痛めつけなきゃ直らなさそう」
何を考えてそんな結論を導き出したのか問い詰めたいが、もうそれどころではない。
「酷い結論だな」
呆れて文句を言いながら相手の挙動を観察し続ける。
一瞬でも目を逸らしたら、不意打ちを受ける可能性がある。

その時であった。
ディアボロは急に熱っぽさを感じ始めてきたのだ。
「(なんだ……?)」
じわりじわりと体の熱が上がっていくのがなんとなくわかる。
とっさにスティッキィ・フィンガーズとホルス神を入れ替え、首筋を氷で覆う。
「お前……何をした?」
ディアボロは先ほどの表情から一転、敵を見るような目つきで相手を睨む。
一方の相手は、ディアボロのおでこに円盤状の物体が入っていったことと、突然彼の首筋を氷が覆ったことに驚く。
『変な人間だと思っていた』相手が『実はそうではなく、むしろ強そうだ』ということに気づき、ディアボロに更に興味を抱く。
「変な人間だと思っていたらただ者じゃなかったとはね」
「この症状はお前の仕業か?」
相手は嬉しそうに話し、ディアボロは冷静に問いかける。
「そうだよ、あんたをここで逃がしたくなくなったからね」
ディアボロの質問に、相手はまたもや嬉しそうに答える。
「本来は行くか帰るかはっきりさせるんだけど、あんたは気に入ったからここで餌食になってもらうよ」
相手の『宣戦布告』とも取れる発言を聞き、ディアボロはマジシャンズ・レッドを出す。
「(……この高熱、何の意味がある?俺を逃がさないためか、それとも確実に戦闘に持ち込むためか?)」
マジシャンズ・レッドを出しながらも、少し考え事をする。
今の彼はは首筋を冷やしているため、高熱の作用はある程度薄れている。だが、相手がこの高熱を起こさせた理由がわからないのだ。
今は高熱だけで済んでいるが、他に何が起こるかわからない。しかもこの場から逃げたら、時間の経過によってさらに症状が悪化する可能性がある。
「仕方ない。戦いを仕掛けるというなら、応戦するだけだ」
今のディアボロの装備しているDISCはホワイトスネイク、マジシャンズ・レッド、ホルス神、メタリカ。
マジシャンズ・レッドとホルス神は能力の性質が正反対なので、組み合わせて使うのは難しい。
メタリカは縦穴での闘いのように上下ともに土があるのでその中の鉄分を使うことができる。
ホワイトスネイクは縦穴のときと同様、その射程距離を生かしてディアボロが距離を取りつつ相手に近接攻撃やDISC挿入を行える。
「……行くぞ」
その言葉とともにディアボロは氷柱(つらら)を相手めがけて飛ばし、相手も弾幕を撃ち始めた。
氷柱は弾幕に当たってヒビが入りながら弾かれ、弾幕は氷柱にぶつかって消滅した。

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