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東方暗殺団 その三

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shinatuki

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だれでも歓迎! 編集
少女の胸元に開かれた本が宙に浮く。
触られてもいないのに、ページがパラパラパラと次々に捲れる。

赤の光が揺らめく。

青の光が蠢く。

紫の光が砥がれる。

緑の光が回る。

黄の光が弾ける。

魔力によって編まれた五色の光は形となって、イルーゾォを殲滅せんと地上へ降り注いだ。
そしてすぅっと消えた光が森の中に消えて行ったかと思うと、着弾点がドォンッと爆発する。
着弾点からは、煙が上がっており所々クレーターになっている。
「・・・・・これだと仕留めたかわからないわね。」
そう言って少女は下の森に目をむけた。
木々からは火が上がっておりこのままだと山火事になるだろう。
「あ・・っ!!お母様に怒られる!!」
少女はそう言って水の魔法を起こし、広範囲に雨を降らせる。
さぁぁぁぁぁぁぁと雨が降り注ぎ、五分程たった後、森の火は鎮火された。
そして雲はあっと言う間に退き、空は真っ青になる。
「やっぱり晴れが一番ね!」
そんな事をいいながら、少女は森の中に降り立つ。
少女はブカブカの服でよたよた歩きはじめた。
「もう・・、水溜りが出来ちゃった!もう少し細かく魔法を使う練習をしないと・・きゃ・・っ!!わっ!!」
辺りには水溜りが出来ており、少女はそれを避けながら歩く。
しばらく歩いていると突然、ガサリッ・・・・と草むらが動いた。
「誰っ?!」
「お・・・俺です・・・・。」
そう言って気弱に出てきたのは、イルーゾォだった。
「あなたの魔法にはかないません・・・、降参します。」
イルーゾォはそう言って両手を上に上げる。
鞄は地面に置いてあり、反撃をする様子はなさそうだ。
「ふんっ・・・!!分かったならいいわ!!!」
「大人しく今日は帰ります・・・・ただ・・・・。」
「ただ?」
そう言うと、イルーゾォはチラリ、と少女を見る。
どことなく、耽美度三割り増し、背景はキラキラ、何処かのアンジェか遥かかマイネリーベと言ったノリである。
元はそう悪くないのでそれなりに様にはなっているが、何処となくシュールな感じもする。
しかし、少女は男性に慣れていないのか頬を赤くして顔を背ける。
「な・・・何かしらっ!!」
「せめて・・・あなたの名前だけでも教えてくれませんか?」
謎のキラキラオーラを纏ったままイルーゾォは少女に名前を尋ねた。
すると、少女はまんざらでもなさそうに言った。
「ふ・・ふんっ!!良いわ・・・教えてあげる!!私の名前はアリス・マーガトロイド!!魔界の創造主神綺の娘よ!!」
ふんぞり返って名乗る少女。

「そうかい・・・・ありがとよっ!!マン・イン・ザ・ミラー!!」

次の瞬間、少女の足元にある小さな水たまりが輝いた。

「アリス・マーガトロイドを『許可』するっっっっっ!!」

少女の足元の水たまりが輝いたかと思うと、次の瞬間、少女の姿が消えた。
そして、イルーゾォはペタンとその場にへたり込んだ。
「こ・・・怖かった・・・っ!!!相手が見かけそのまんまのガキで助かった・・・!!」
イルーゾォは小さな水溜り周辺の土を掘る。
すると、それは水溜りではなく、鏡面を上にして埋められた鏡であることがわかった。
「他の場所に埋めた奴も掘りにいかなきゃなぁ。」
彼はそう言いながら掘り出した手鏡を覗く。
すると、そこにはぐったり気を失った少女が、マン・イン・ザ・ミラーに抱えられていた。
イルーゾォは始めは手のひらサイズの小さな鏡に閉じこもり、どうにかして攻撃をやり過ごそうとしていたのだが、雨が降り出したときこの作戦思いついた。
そしてマン・イン・ザ・ミラーと一緒にせっせと雨の中、手持ちの鏡を出来る限り埋めまくったのだ。
ちなみに謎のキラキラオーラはメローネがプレイしていた日本のゲームを見ていたおかげである。
彼には男を落とすゲームで何が楽しいのかまったく理解できなかったが。
「それにしても・・・、こいつ・・魔界の創造主の娘とか言ってたな・・・・書類届けるついでにこの子も届けるか。」
彼は鏡に少女を閉じ込めたまま、再び移動し始めた。

イルーゾォは、つくづくここがファンタジーの世界だと思い知った。
黒と白の二人の魔法使いに攻撃されたり、メイドにナイフで襲い掛かられたりしたのはまだいい。
だが、書類と少女を魔界の創造主である神綺に届けた時、さらに目を疑った。
小学生低学年くらいだった少女が、なんと高校生くらいに体が変化したのだ。
「アリスちゃんったら、どうしてこんな変身魔法使ったのかしら・・・・?変な風に術式がこんがらがって記憶まで後退してるわね。」
そんなことを言いながら神綺は魔法を解いた。
その瞬間、急に体が変化したのだ。
別にエロいとかそんな事はなく、むしろ気持ち悪かったのが悲しいところだ。
娘の変身を解き終わった神綺は改めてイルーゾォに例を言う。
「ご苦労様でした、うちの子が迷惑かけたわね。閻魔様によろしく言っておいて頂戴。」
美人にそう微笑まれたのはうれしいが、その程度で彼の受けた精神ダメージは覆らない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」
げんなりとした表情で、イルーゾォは帰途についた。

「映姫様。」
「どうしたのですか?リゾット。」
PCで入力した書類を運んできながら、リゾットは映姫に問うた。
冥界も最近ではすっかり電子化が進み、保存用の記録は紙に記して保存しておくが地現在獄の罪人などの基本的な情報はPCで処理していた。
死者も増えたため、従来のやり方では到底間に合わないのだ。
まぁ、ここでソルべとジェラートが仲良く一緒に仕事をしていたのを見つけたときは思わず全員スタンドで攻撃しかけたのだが。
おかげで、PCの使い方をすっかり熟知している彼らは重宝されていた。
現在、映姫の執務室で補佐をしているのはリゾットである。彼女の手書きの書類をPCで打ち直しているのだ。
プロシュートは彼女の助手だが、どちらかと言うと動けない彼女の変わりに動く、と言った形が多い。
他のメンバーはおそらく飛行練習か弾幕に対する訓練をしているのだろう。
今も、小町がサボってないか彼に見に行ってもらっている。
先ほど動きやすい格好で廊下を歩いているメローネとギアッチョにリゾットは会っていた。
「コーヒーを入れたのですが、いかがですか?」
「あぁ、ありがとう。他の皆はどうしていますか?」
砂糖とミルクがちょうどいい具合に入ったコーヒーを、映姫はリゾットから受け取る。
リゾットはあっと言う間に映姫の好みの具合のコーヒーを覚えてしまった。
何でも仲間たちに淹れる時は非常に注文が多いらしい。
彼らにやらせればいいのに、と映姫は思ったのだが暗殺チームではコーヒーを淹れたら淹れた人が全て整えると言う形になっているらしい。
「実際、コーヒーを淹れるのはソルベが一番上手いのですが。」
滅多に変わらない表情を少し柔らかくして、リゾットは映姫に書類を渡す。
もう二度と会えないと思っていた仲間と会えたのは、やはり嬉しいらしい。
それを見て映姫も思わず微笑んだ。
「そう言えばまだイルーゾォは戻らないのですか?」
「はい。」
予定よりかなり遅い時間に時計の針は進んでいた。
映姫は心配そうに言うが、リゾットの表情はいつもと変わらなかった。
「・・・・心配ではないのですか?」
映姫はそう、リゾットに問う。
「俺達のチームに、失敗はありえません。ましてや、こんな簡単な任務にイルーゾォが失敗するはずがありません。」
淡々と、だがしっかりリゾットは映姫に告げる。
次の瞬間、トントンと扉がノックされる。
「どうぞ。」
「た・・・・ただいま戻りました。」
そう言って出てきたのは、頭から血を出し、ヨロヨロと地に立つイルーゾォだった。
「イルーゾォ?!どうした?!」
「そんなに手ごわい敵が・・・?まさか太陽の畑に迷い込んだのでは?!」
リゾットと映姫はイルーゾォの姿を見て大いに慌てるが、イルーゾォは首を振った。
「いや、この傷は廊下でメローネとギアッチョが飛行の訓練を兼ねてチキンレースしてたのに思いっきり衝突して・・・・・。」
次の瞬間、リゾットは黙って部屋の外に出る。
「いっつー・・・、イルーゾォの奴、急に窓から飛び出してきやがって・・・・・。」

「うわぁ、ディ・モールト痛そう・・。でもこれで今日の晩飯のエビフライは俺が一本もらいねー♪」

「うるせぇ!!アレはノーカウントだろう・・・ってリーダー?どうしたんだよ?映姫の所にいたんじゃ・・・。」


めたりかー

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

数分後、再びリゾットが戻ってきた。
「すみません、映姫様。まだ奴らは血気盛んなものでして。あとイルーゾォ、空を飛べるからといって窓からの出入りはするな。」
服の所々に血液とカミソリが張り付いているのはつっこんではいけないのだろう。
コホン、とせきをして映姫はイルーゾォに話しかける。
「ご苦労様でしたイルーゾォ、報告書や詳しい話はあとでいいので・・・とりあえず医務室に行ってゆっくり休みなさい。」
頭からダクダクと血を出しているイルーゾォに、映姫は告げた。
「リゾット、イルーゾォに付き添ってやりなさい。今日は仕事は終わりで構いません。」
「分かりました。イルーゾォ、立てるか?」
リゾットはイルーゾォに手をかし、彼を立たせる。
「失礼します。」
そう言って、リゾットとイルーゾォは医務室へ向かった。




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