「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
惨めさと無様さと哀れさのミックスされた声。こんな声を出すのは強き者に襲われた弱き者のみ、誰しもがそう思い、誰しもがそう考える。そんな声。
しかし、声の主を見れば誰もが瞠目するだろう。
声の主を一言で言えば、巨人。
2mを遥かに超える巨躯、それに相応しい文字通り鉄でできているとしてもおかしくは無い太く強靭な骨。その骨格に支えられるのは、銃弾すら通さぬといっても信じられる程に分厚く硬く、その秘めたる力を解放すれば、地上のいかなる生物も屠れそうな筋肉
悠久の時を雨風に晒され続け、余分な所が全て削れ落ちた巌。それが人の形を得て動き出したと言っても、誰もが信じるだろう。凡そ、その肉体の何処にも、『弱い』というものが見出せない。そんな巨人。
それが、逃げている。一心不乱に、後ろを省みる事もせず。
獣じみた────というよりも、獣と人の合いの子といった風貌の異相を恐怖一色に染め上げて。
しかし、声の主を見れば誰もが瞠目するだろう。
声の主を一言で言えば、巨人。
2mを遥かに超える巨躯、それに相応しい文字通り鉄でできているとしてもおかしくは無い太く強靭な骨。その骨格に支えられるのは、銃弾すら通さぬといっても信じられる程に分厚く硬く、その秘めたる力を解放すれば、地上のいかなる生物も屠れそうな筋肉
悠久の時を雨風に晒され続け、余分な所が全て削れ落ちた巌。それが人の形を得て動き出したと言っても、誰もが信じるだろう。凡そ、その肉体の何処にも、『弱い』というものが見出せない。そんな巨人。
それが、逃げている。一心不乱に、後ろを省みる事もせず。
獣じみた────というよりも、獣と人の合いの子といった風貌の異相を恐怖一色に染め上げて。
「何で、どうして!俺が!負けるわけが!!」
地響きを立てて走るその背中に、朧げに霞む影が吸い込まれた!!
ドンッッ!!!
「ぐぎゃあああああああああああ!!!!!!」
優に200kfを超える巨体がゴム毬のように弾みながら地を転がる様は、明らかに現実味を欠いた光景で、特撮か幻夢を思わせる光景だった。
「それ程の肉体を得ても、中身は喰うに値せぬ塵(ゴミ)かッッ!」
無様に転がり、尻を突き上げて突っ伏した巨人に歩み寄る人影。十代と覚しい少女の姿。
長身かつ鍛えられた身体付きだが、巨人と比べれば大人と子供────どころか、大型猛獣と幼児程も差が有りそうだが、この少女こそが、巨人を敗走に追い込んだ張本人だった。
長身かつ鍛えられた身体付きだが、巨人と比べれば大人と子供────どころか、大型猛獣と幼児程も差が有りそうだが、この少女こそが、巨人を敗走に追い込んだ張本人だった。
「くだらぬ…。これ程の肉体の主であれば、心技もまた、共に冠絶した強者だろうに……」
凄まじい────という言葉ですら遠く及ばぬ気迫を全身から立ち上らせて少女が言う。気やオーラといったものに敏感なものならば、少女の姿をした存在から立ち昇る、天すら衝く気炎を見ることが出来ただろう。
「その強者の身体にこの様なクズを入れるとは……。上等な食材を無能な料理人に委ねるが如き所業ッ!」
少女は────否、少女の姿をした何者かが怒号する。
獲物を見つけた飢えた巨虎も、血に狂ったピラニアの群れも、狂乱した万を超える暴徒も────。
この少女の姿をした『何か』の声に含まれたものに触れれば、即座に正気に返り、恐怖にかられて逃げ出すか、畏怖に打たれて跪く。
それ程の気迫が、意志が籠った声。
巨人────では無く、巨人の肉体に容れられた精神は、少女の声に己が敗北を───否、死を意識した。
獲物を見つけた飢えた巨虎も、血に狂ったピラニアの群れも、狂乱した万を超える暴徒も────。
この少女の姿をした『何か』の声に含まれたものに触れれば、即座に正気に返り、恐怖にかられて逃げ出すか、畏怖に打たれて跪く。
それ程の気迫が、意志が籠った声。
巨人────では無く、巨人の肉体に容れられた精神は、少女の声に己が敗北を───否、死を意識した。
「が、がああああああああああッッッ!!!!!」
巨人が吠え、電柱を一撃で砕き折れそうな拳打を放つ。
技も経験も感じさせぬ、身体能力に任せたテレフォンパンチ。速さも力も凄まじいが、武に秀でた者ならば容易に躱せる。そんな拳だ。
当たれば少女の身体など、吹き飛ぶどころか二つにちぎれる。技も何も無い只の暴力であっても、人外の域に至ったそれは人を殺すには充分を通り越して過剰に過ぎる。
そんな殺傷力過剰な一撃を受けて、少女の体は宙に舞った。
技も経験も感じさせぬ、身体能力に任せたテレフォンパンチ。速さも力も凄まじいが、武に秀でた者ならば容易に躱せる。そんな拳だ。
当たれば少女の身体など、吹き飛ぶどころか二つにちぎれる。技も何も無い只の暴力であっても、人外の域に至ったそれは人を殺すには充分を通り越して過剰に過ぎる。
そんな殺傷力過剰な一撃を受けて、少女の体は宙に舞った。
站ッ!と、羽毛の如く宙を舞った少女は、足から着地。嘲笑を浮かべて巨人を見やった。
「只の力任せ…中身がクズではこの程度か、しかも…花山薫やオリバに較べれば、遠く及ばぬッ!」
少女の身体から力が抜ける。全身が弛緩を通り越して液体へ、更に気体へと変じたかのような脱力。
極限の、その更に先の境地へと至った脱力が生む超加速。少女の身体は、刹那よりも短い時間の内に、新幹線に匹敵する速度となるまでに加速。残像が残るほどの速度で巨人へと迫る。
脱力を用いた移動術。それにより生じた速度を余さず残さず貪り尽くし、既存の格闘技では考えられない拳速としてl撃ち込む。
インパクトの刹那。存在するかどうかも判別しない、極小の時間。その有るか無きかの刻の内に、全身をの関節を硬直させ、全体重を拳に乗せる!!
反応はおろか感知すら出来ないまま、腹部に受けた巨人の身体が『く』の字に曲がり、口から噴水のように胃液と血液を噴き出しながら後方へとすっ飛んだ。
極限の、その更に先の境地へと至った脱力が生む超加速。少女の身体は、刹那よりも短い時間の内に、新幹線に匹敵する速度となるまでに加速。残像が残るほどの速度で巨人へと迫る。
脱力を用いた移動術。それにより生じた速度を余さず残さず貪り尽くし、既存の格闘技では考えられない拳速としてl撃ち込む。
インパクトの刹那。存在するかどうかも判別しない、極小の時間。その有るか無きかの刻の内に、全身をの関節を硬直させ、全体重を拳に乗せる!!
反応はおろか感知すら出来ないまま、腹部に受けた巨人の身体が『く』の字に曲がり、口から噴水のように胃液と血液を噴き出しながら後方へとすっ飛んだ。
「この俺が、技を駆使(つか)って闘う事になろうとはな。それは良い、ちょいと違うが…梃子摺れるんだからな。だが、この様なクズでは梃子摺る事など」
打たれた腹部をクレーターの様に陥没させて、よろめきながら立ち上がろうとする巨人に、少女は悠々と歩み寄った。巨人の反撃など一切意に介しない。絶対的な強者の振る舞いだ。
「到底出来ぬわッ!」
蹴撃。少女が放ったのは、何の変哲も無い前蹴りだが、その速度が尋常ではなかった。
轟く響きは、骨と骨、肉と肉とがぶつかる音などでは無い。音を超えた速度の少女の蹴り脚に蹴り砕かれた空気の壁が上げる断末魔だ。
明らかに現代格闘技の最高峰が遥か遠く及ばぬ速度で、少女は立ち上がろうとしていた巨人の顔面を蹴り砕いた。
綺麗に顔面を蹴り抜かれ、火山の噴火口から飛散する噴石の如くに砕けた歯を飛び散らせ、顔面にめり込んだ鼻からポンプの様に鮮血を噴き出しながら、巨人は辛うじて倒れる事を持ち堪え、少女目掛けて反撃の豪腕を横殴りに振るう。
常人ならば最上の運に何重にも恵まれて戦闘不能。普通ならば絶命している筈の痛手(ダメージ)。此処まで暴威に晒されて、なお心折れぬのは賞賛に値した。
轟く響きは、骨と骨、肉と肉とがぶつかる音などでは無い。音を超えた速度の少女の蹴り脚に蹴り砕かれた空気の壁が上げる断末魔だ。
明らかに現代格闘技の最高峰が遥か遠く及ばぬ速度で、少女は立ち上がろうとしていた巨人の顔面を蹴り砕いた。
綺麗に顔面を蹴り抜かれ、火山の噴火口から飛散する噴石の如くに砕けた歯を飛び散らせ、顔面にめり込んだ鼻からポンプの様に鮮血を噴き出しながら、巨人は辛うじて倒れる事を持ち堪え、少女目掛けて反撃の豪腕を横殴りに振るう。
常人ならば最上の運に何重にも恵まれて戦闘不能。普通ならば絶命している筈の痛手(ダメージ)。此処まで暴威に晒されて、なお心折れぬのは賞賛に値した。
「へっ」
全身を弛緩させて、少女があからさまな嘲笑を浴びせる。
「芸の無い野郎だ」
少女の手が、巨人の豪腕にそっとあてがわれた。
瞬間。巨人の豪腕があらぬ方向にベクトルを変えて、少女を捉える事なく空振りする。
少女がやった事は簡単だ。巨人の腕に手を当てて、自分の方へと引きこんだのだ。
必然。巨人の腕は更に勢いを増すが、引き込まれた際に少女の手により与えられた、ほんの僅かな方向のズレにより、その腕は空を切ったのだった。
理解不能の現象に、愕然と動きを止めた巨人目掛け、少女の右正拳突きが放たれる
瞬間。巨人の豪腕があらぬ方向にベクトルを変えて、少女を捉える事なく空振りする。
少女がやった事は簡単だ。巨人の腕に手を当てて、自分の方へと引きこんだのだ。
必然。巨人の腕は更に勢いを増すが、引き込まれた際に少女の手により与えられた、ほんの僅かな方向のズレにより、その腕は空を切ったのだった。
理解不能の現象に、愕然と動きを止めた巨人目掛け、少女の右正拳突きが放たれる
「邪ッッ!!!チェエリャアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」
肉と骨とがぶつかったとは到底信じられない轟音。巨人の胸部が陥没し、撃ち込まれた巨大な運動エネルギーが背骨を砕き折って、背の肉を突き破り露出させた。
完全に脱力した状態から放たれる正拳突き。その拳がインパクトした瞬間に込める力みの振れ幅が生み出す破壊力。
更には全身の関節を拳が触れた瞬間に硬直させて、拳に全体重を乗せ、その重さを極限まで増す。
人の理合が産み出す最高クラスの威力の拳打。
人の身で生み出せる極限域。
完全に脱力した状態から放たれる正拳突き。その拳がインパクトした瞬間に込める力みの振れ幅が生み出す破壊力。
更には全身の関節を拳が触れた瞬間に硬直させて、拳に全体重を乗せ、その重さを極限まで増す。
人の理合が産み出す最高クラスの威力の拳打。
人の身で生み出せる極限域。
少女が放った正拳突きは、強暴そのものの巨人に致命の傷を与えたのだった。
【長沢勇治@シークレットゲーム ~Killer Queen~ (身体:不死のゾッド@ベルセルク) 死亡】
◆
「詰まらん……」
少女は骸と化した巨人を意識の端にも留めずに呟く。
「この俺を闘争の場に招いておいて、こんな雑魚ばかりって訳でもあるまい」
この雌の体であっても敗北するなどあり得ないが、少しは愉しめる者が、本来の身体であっても梃子摺る事ができる強者が、此処には居ると信じたい。
「この俺を────範馬勇次郎を、断りも無くこんな所に放り込み、断りも無く闘争を行わせるなんて、舐めた真似をしてくれたんだ。それなりの御馳走(強者)を用意しとかねえと」
続く言葉は無い。だが、その瞳に宿る意志は、その全身から立ち昇る闘気(オーラ)が告げていた。
────俺を満足させれば、この事は許してやる。そうで無ければ、必ず殺す。
【範馬勇次郎@刃牙シリーズ】
[身体]:村井真央@凛々しい真央ちゃんは、中イキし過ぎなエロい身体を隠してる。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本方針:強者を求め、闘う
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本方針:強者を求め、闘う
207:海勇王 | 投下順に読む | 209:仮面ライダーアウトサイダーズep.3 2023年7月23日配信開始 |