北朝鮮軍装備大全@ ウィキ
ナルチ級
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ナルチ級を視察する金正恩。手前はMANPADS用発射架台と見られ、後ろには24連装ロケット砲が備わる(画像出典:KCNA)
左下に魚雷発射管、その上の見切れた部分に107mmロケット砲が見える(画像出典:KCNA)
- 概要
北朝鮮が2010年代から建造を開始した新型の高速戦闘艇である。高速航行に適した波浪貫通型船体を採用した意欲的なデザインを持ち、極細艇(Very Slender Vessel:VSV)とも呼称されるが、現在は米国防総省により朝鮮語でトビウオを意味する「ナルチ」のコードネームが付与されている。
2012年に初めて確認されたナルチ級は、平壌市内を流れる大洞江(テドンガン)沿いの大洞江船舶工場(民間物資工場としての別称は12月7日工場、軍需工場としての別称は第1501部隊)で建造が開始されており、軍事アナリストのH.I.サットン氏が初期から追跡調査を行っている。サイズ差があり、小さなものでは10m、最大では34mのナルチ級が確認されている。
- 24m級-2012年春 平壌にて確認
- 29m級-2013年秋 平壌にて確認
- 10m級-2013年秋 平壌にて確認
- 32m級-2014年初頭 南浦にて確認
- 32m級-2015年春 清津にて確認
- 32m級-2015年秋 長擶にて確認
- 21m級-2016年春 元山にて確認
平壌と南浦、及び東海岸の元山や清津の工場にて建造が開始されていることから東西でそれぞれナルチ級の建造と配備が進められていることがわかる。ナルチ級が北朝鮮のメディアに登場したのは2013年で、金正恩が大洞江船舶工場を訪れて実際に乗艦する様子が報道された。更に2018年7月にも、清津造船所にて金正恩がナルチ級を視察した。
南浦港の32mナルチ級(画像出典:グーグルアース)
- 武装
ナルチ級はサイズによって武装に差異が見られるが、船体左右に格納式の魚雷発射管を備える点は共通していると思われる。金正恩の視察を受けた29mのナルチ級の場合、加えて艦首にAK-230から発展した30mmガトリング砲、艦橋上部と船体後方の107mm24連装ロケット砲、MANPADS(携行式防空ミサイルシステム)発射機を搭載しているようだ。電子装備は定番のフルノ製対水上レーダーを備える他、マスト上部にはEOセンサらしき物が確認できる。これより小型、または大型のナルチ級の子細については不明だが、小型の場合サイズやペイロードの観点から魚雷発射管にせいぜいMANPADS発射機が追加される程度の貧弱な武装しか無い可能性がある。逆により大型のナルチ級では前述の29m級と同様の武装か、または格納式キャニスターに収められたミサイル類を搭載している可能性が考えられる。
清津のナルチ級。30mmガトリング砲とマストのレーダー/センサ類がはっきりわかる(画像出典:KCNA)
- 要目
全長:10~34m
全幅:~約5m
吃水:不明
満載排水量:不明
エンジン:不明
最大出力:不明
最大速力:推定50ノット
航続距離:不明
武装:30mmガトリング砲×1、107mm24連装ロケット砲×3、MANPADS発射機×2、533mm魚雷発射管×2(29m級)
レーダー:フルノ製対水上レーダー
乗員:数十名
建造年:2012年~
建造数:約10隻
配備期間:2012年~
運用状況:現役
全幅:~約5m
吃水:不明
満載排水量:不明
エンジン:不明
最大出力:不明
最大速力:推定50ノット
航続距離:不明
武装:30mmガトリング砲×1、107mm24連装ロケット砲×3、MANPADS発射機×2、533mm魚雷発射管×2(29m級)
レーダー:フルノ製対水上レーダー
乗員:数十名
建造年:2012年~
建造数:約10隻
配備期間:2012年~
運用状況:現役
朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍(著 ステイン・ミッツァー/ヨースト・オリマンズ 和訳版監修 宮永忠将 翻訳 村西野安 平田光夫) 大日本絵画 ISBN978-4-499-23327-9 C0076