北朝鮮軍装備大全@ ウィキ
An-2コルト
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元山航空祭にて飛行するAn-2。胴体下に地形追従レーダー、胴体上にGPSレーダーらしきセンサー機器が装備されている(画像出典:UK Airshow review 撮影:Sam Wise)

ロケット弾を発射した瞬間(画像出典:KCNA)
- 概要
1947年にソ連のアントノフで開発された複葉輸送機。NATOコードネームはコルト(Colt)。星型エンジンに複葉機という古めかしいスタイルながら、頑丈で未整備の飛行場でも運用でき、信頼性に優れていた。低価格の手頃な機体としてアメリカでも販売された他、他国で消防や農薬散布など様々な分野で長年活躍している。中国やポーランドでも生産されたため、ソ連で生産された分を含めると総生産数は17000機に達する。
- 北朝鮮のAn-2
1950年代にソ連、ポーランド、中国から約300機のAn-2(中国製のY-5を含む)を輸入したことで、An-2は北朝鮮空軍で最も多い機体となった。An-2は通常の輸送任務のみならず、低速での低空飛行が容易なため韓国への低空侵入及び特殊部隊の輸送にも適している上に、短距離離着陸性能にも優れているためゴルフ場などの空き地に着陸、特殊部隊を降ろす重要任務を担っている。韓国ではこのAn-2の侵入を阻止するためにゴルフ場のワイヤー設置や侵入を想定した訓練を行い、更に中東からAn-2を導入。L-2の秘匿名称で低空侵入訓練を実行した。また、北朝鮮は更なる特殊部隊輸送の多様性を探るために国産化が進むAn-2をベースにしたWIG(Wing in Ground effect)機、すなわち地面効果機を開発している可能性があるとする文献が存在するが真偽は不明。
北朝鮮はAn-2の国産化や近代化改修を行っている。その一環として普及しているのが、コックピットのディスプレイ設置や地形追従レーダーなどの装備である。加えて、本来は非武装の機体にハードポイントを追加することで、主翼下には最大で4基の5連装国産ロケット弾を、胴体下に4発または8発の100kg爆弾を懸架可能になった。これ以外では珍しい例ではあるが、2015年の演習では機体真下に向けて発射するタイプのロケット弾が確認されている。こうした電子機器の強化、そして武装追加で北朝鮮のAn-2は従来より優れた戦闘能力を手にしたと言える。ただし、機体によっては地形追従レーダーを装備しながらGPSレーダーが無いものなどばらつきが見られる。
工場で改修を終えたコックピット。アナログな計器盤に2つのディスプレイが設置されている(画像出典:KCTV)

工場で改修を終えたコックピット。アナログな計器盤に2つのディスプレイが設置されている(画像出典:KCTV)
初飛行から70年以上経つ旧式機だが、これらの近代化改修を行いながら現在も運用中である。2010年代後半からは新たな迷彩塗装が施されたAn-2が増加しており、元山航空祭にも参加。展示飛行や観光客を乗せての遊覧飛行も行った。
- 事故
デイリーNKの報道によれば、2021年1月初頭に平安北道の泰川(テチョン)空軍基地から卒業を控えた軍事学校生徒4名を乗せたAn-2が離陸したが、墜落したという。An-2は離陸するや否や煙を上げ制御不能になり、近くの山に墜落。パイロットと生徒は全員即死した。事故は国防省経由で金正恩総書記に伝達される筈だったが、第8回党大会の最中であることを考慮して幹部が伝達を見送った結果、幹部は解雇された。事故を知らされた金正恩総書記は追悼の意を述べ、遺族にも事故死が伝えられた。
要目
全長:12.40m
全幅:18.2m(上翼)、14.2m(下翼)
高さ:4.10m
機体重量:3.3t
最大離陸重量:5.5t
最大速度:253km/h
巡航速度:185km/h(50km/hでも飛行可能)
乗員:1-2名
乗客:12名
エンジン:シュベツォフASh-62空冷9気筒レシプロエンジン×1
出力:1000馬力
最大上昇高度:4500m
航続距離:845km
武装(北朝鮮独自):5連装国産ロケット弾ポッド×4、100kg通常爆弾×4または8、独自型ロケット弾
全幅:18.2m(上翼)、14.2m(下翼)
高さ:4.10m
機体重量:3.3t
最大離陸重量:5.5t
最大速度:253km/h
巡航速度:185km/h(50km/hでも飛行可能)
乗員:1-2名
乗客:12名
エンジン:シュベツォフASh-62空冷9気筒レシプロエンジン×1
出力:1000馬力
最大上昇高度:4500m
航続距離:845km
武装(北朝鮮独自):5連装国産ロケット弾ポッド×4、100kg通常爆弾×4または8、独自型ロケット弾
朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍(著 ステイン・ミッツァー/ヨースト・オリマンズ 和訳版監修 宮永忠将 翻訳 村西野安 平田光夫) 大日本絵画 ISBN978-4-499-23327-9 C0076
北朝鮮軍の全貌(著 清水惇) 光人社 ISBN4-7698-1282-5