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  • The last battle -混迷の黄昏にて-

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

The last battle -混迷の黄昏にて-

最終更新:2019年10月13日 19:51

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The last battle -混迷の黄昏にて-1


彼は、己の体が燃えるような感覚に包まれていた。
全身が、熱い。
熱い。
熱い。
熱い。
この感覚、まるで己が未精錬の銑鉄に例えるなら――。
その銑鉄である己の体が溶鉱炉の中で煮えたぎり、そして型に詰められあるべき姿を取るように鋳造されている、
とでも言えばいいのだろうか。
じじつ、彼の肉体はドロドロの流体と化していた。
まるでさなぎの中にこもり、一旦自身の体を完全に溶解させ、蝶の形質を得んとする芋虫のように。
しかしそれは蝶の羽化のような、真っ当な生物の真っ当な生理現象に例えて説明するには、余りにも醜悪な現象だった。
全身の肌が溶け崩れ、火山の岩漿のようにぐらぐらと泡立ち、徐々に暗緑色を帯びてゆく。
肌の下から現れた全身の筋肉は、全てが全て発作を起こした心臓のようにバクバクと波打つ。
その隙間から盛り上がる骨は、筋肉を突き破ってでたらめな方向に増殖を始め伸びゆく。
質量保存の法則を完璧に無視して、全身に存在する彼の細胞が肥大化し、腫瘍のように野放図に増殖する。
並の人間なら確実に耐え切れず、命を落としているであろう程の巨大な腫瘍……
否、これは肉体そのものがひと塊の、超巨大な腫瘍とすら言い切ってもあながち間違いではない。
緑色の泡を吹きながら、その腫瘍は成長と素体の修復を同時に行う。
理不尽な殺し合いを要求されるこの島で生まれた存在にふさわしく、
理不尽な成長と巨大化を果たした、その生物の行く末にあるものは――。

/

キール・ツァイベルは、珍しくその思考回路に完全な空白状態を作っていた。
もとい、作らざるをえなかった。
人は過剰な騒音をその身に受ければ、聴覚を守るためにその耳を覆う。
人は余りにも辛過ぎる料理を口にすれば、水を飲み舌を守ろうとする。
それと同じように、キールは自らの思考を本能的に停止させていたのだ。
目の前の光景をありのままに受け入れれば、精神が耐え切れない。余りの負荷に、確実に発狂する。
その危険性を無意識のうちに理解していたからこその、真っ当な反応である。
3本の触手に、メルディが串刺しにされた。
そのまま、メルディは「そいつ」の前に、高々と掲げられる。
たとえ小柄な少女とは言え、人一人を軽々と持ち上げて見せるほどの筋力が、その触手にはこもっているのだ。
生物学の理論に則れば、ありえてはいけないほどの筋力。
「そいつ」が串刺しにされたメルディを完全に持ち上げ終わった時。
キール達から見て、メルディはちょうど夕日を背に負う形で宙吊りになる。
キールの自己防衛本能が、この瞬間客観的思考という行為に許可を与えていたなら、
キールは書物の濫読で近眼気味になっていたその目と、
ちょうど逆光になってくれたメルディの位置取りに感謝していたことに間違いはあるまい。
肉を引き裂く音と共に、メルディの影が夕日の中でひん曲がった。
蠢く触手の影と共に、固い物が砕ける音が幾度となく鳴り響く。
さながらそれは、雑貨屋の店員が客から注文を受け、
売った品物にプレゼント用の装飾としてリボンを結わえ付ける、その作業のようにも見えなくはない。
最も、こんな結わえ方をしてみせたなら、中身の商品は確実に原型を留めてはいまいが。
すでにメルディの肉体もまた、原型を留めてはいない。
その背骨は本来曲がってはいけない方向を向き、触手の一うねりごとに、肉片が次から次へと零れ落ちる。
湿った物が引き千切れる音が、次に彼女を襲った。
彼女の胴体についていた手足を、「そいつ」の爪がつつと撫でると、べりべりと何かが剥がれた。
細い糸のようなものが、彼女の体に通った芯と剥がれ落ちたものを結び付けてはいたが、それもほんの僅かのこと。
剥がれ落ちた物はそのまま、突如水飴と化したように、だろんと長く間延びしながら地面に滴る。
粘液状の物体はメルディとの間にしつこく糸を引いていたが、糸の繋がる先も粘液と同化するのは時間の問題だった。
ぼたぼたと崩れ落ち、垂れ流れ、地面に広がる液体を見て、それが元々人間の一部だったことを推理するには、
果たしてどれほど限りのない想像力が必要となるのだろうか。
気が付けば「そいつ」が触手で捧げ持っているのは、
先端に一つだけ団子が残っている、半ばからへし折れた串のような物体だけだった。
「そいつ」は、その骨で出来た串を左手でむんずと掴み、力任せに引き抜き、髪の毛の生えた団子のみを右腕に取る。
怪物は、右腕に全筋力を注ぎ込んだ。


もしこの時光が逆光に差していなければ、メルディの顔を使った福笑いをしかと見ることが出来ていたであろう。
目と鼻と口の配置バランスが、人間のそれを超越したメルディの顔面が。
「そいつ」の手元から破砕音が響いたなら、あとは一瞬の出来事だった。
「そいつ」の手の中で、盛大な花火が上がった。
指の隙間からは肉片と脳漿と粉砕された骨の混合物が噴出し、山折りにされた顎が地面に落ちる。
キールの頬に、それがぶつかった。
「そいつ」の打ち上げた、花火のかけら。
メルディの血でまだらに染まった頬にぶつかった、球体と思しき物体が、たまたまキールの手の中に転がり込む。
それは全体的に白を基調とした、湿り気を帯びた物体だった。
ちょうど真ん中ほどに紫色の円形の模様が描き込まれ、
その反対側には、赤い湿った糸が何本か絡まり情けなく伸びている。
球体は、持ち前の湿気でキールの手の平にへばりつこうと試みたが、それは無駄な試みに過ぎなかった。
力なく地面に転がり、砕け散った石畳の隙間から覗けた土に汚れる。
キールの頭脳は、この期に及んでもまだ理解を拒否していた。
たった一つ。
たった一つの、本当に守りたかったもの。
それを守るためなら、寝食も生死も共にし、真の絆を結んだはずの仲間ですら捨て去り、
人として行ってはならないことも、悪鬼外道の所業にも平気で手を染めることが出来た、大切なもの。
それが今、己の手の中を零れ落ちていった球体。
メルディ。
あの化け物の手の中で、デログチャのスライムと化した1人の少女。
メルディ。
頭と、そこから生えた背骨以外を全て削ぎ落とされ、最終的にはその背骨すらブチ抜かれ頭部を圧搾された紫髪の少女。
めるでぃ。
怪物は、その足を一歩踏み出した。
ぷぎゅ、というやる気のない音が、その足の下から鳴り響いた。
メルディの眼球が踏み潰され、白目だった部分が隙間から覗ける。
どうして?
キールはその一部始終を通して、ようやく思考回路が解凍されつつあるのを知った。
どうして、僕の計算が間違った?
メルディの血と臓物をたっぷりと啜った触手は、再びその顔を手の平から見せた。
もっとも、どう見ても受ければ致命的なのは明らかな、毒性と激性をたっぷり備えているであろう液体が、
絶えることなく染み出る爪を生やした2本の長大で極太の組織が、「手」という言葉の定義で括れるなら、
初めてこの表現は正しい表現と言えるだろうが。
僕はミンツ大学を首席で卒業するほどの頭脳の持ち主なんだぞ? その僕が計算を誤ったのか?
キールは本能的に後ずさろうと、腰を抜かしたままの体勢で、その腕を後方に投げ出そうと試みた。
そこでキールは、初めて自分の手足が動かないことを知った。
恐怖のあまり、全身がすくみ上がっているというわけではない。
本当に、物理的に手足が動かせないのだ。
キールは、最後の最後になるまで、その原因に気が付かなかった。
地面に投げ出された手の平と踝から下が、凍て付く氷に包まれていたことにより、動きを縛められていたことに。
その氷は、フォルス使いであるヴェイグ・リュングベルが張り巡らせたことに。
キールは、体よく囮として使われたという事実には、下手をすれば永遠にたどり着けないかも知れない。
5本の触手が、キールの肉体に襲い掛かった。
キールはなす術もなく、触手の嵐に己の身を雁字搦めに縛り上げられる。
キールの体は、そのまま持ち上がろうとしていた。
だが、キールの手と足は、凍り付いている。地面に、へばりついている。
おまけに、キールを地面に釘付けにしているのは、フォルスにより生み出された氷。
闘気か魔力かフォルスを用いねば、破壊されることはまずないのだ。
では、この際破壊されるべきは一体何なのか?
消去法を用いれば、自ずとその答えは浮かび上がってくる。
それは、キールの四肢。
キールは激痛のあまりに、絶叫を上げた。
胴体を強引に宙に持ち上げられ、しかしその胴体に付いた手足は地面から離れられない。
実質上、これはもはや八つ裂き刑の執行も同然の事態であった。
四頭の馬に綱を結わえ付け、その綱のもう一端は罪人の右手、右足、左手、左足に結わえ付けられる。
そしてそれら四頭の馬にてんでばらばらな方向を向かせ鞭を入れればどうなるか。
その答えはあまりに明白。それが今、キールの体を用いて実演されようとしている。
鈍い破砕音が聞こえた。
キールの腕が、少しばかり伸びた。


関節が脱臼を起こし、本来あるべき位置から骨がずれたのだ。
ほんの僅かな時間差で、彼の足もまた同じく。
もしこの時点で怪物がこの所業を中止していたなら、
キールの膝と肘は360度好きな方向に曲げられるようになっていたことに、誰もが気付いていただろう。
だが、怪物がここでこの行為を中止すると期待することは、
ウィスで最初に引き当てた手札全てが闇のカードと光のカードである事を期待するにも等しい、あまりに浅はかな願い。
キールの四肢の全てが全て、ゴム紐のように伸び始めた。
束ねた綱を力ずくで引きちぎるような凄絶なまでの音が、キール自身の絶叫に負けじと鳴り響く。
怪物が、ぐい、ぐい、ぐい、と反動を付け、そして4度目。
キールの胴体を空中に思い切り引き上げた瞬間。
夕日を背景に、4つの飛沫が吹き上がった。
その飛沫のあるものはそのまま地面に落ち、あるものは学士の服の裾を汚す。
その中で、特に氷の上に落ちたものは美しかった。
フォルスの冷気に当てられ、弾け散った形を維持したまま、一瞬で凍結を起こした。
それは、この世界で唯一咲くことを許された、背徳的な美の体現とも言えなくはないか。
その上では、肉が強酸に焼かれ変質する際の発泡音が、妙に空々しく響いた。
咲いた血華のすぐ近くにはやがて、暗緑色の粘液が滴り落ち、補色効果を見事に活かしきった、
醜悪なまでに鮮やかな彩りを添えた。

/

「メルディは死んだ。キールも今頃、シャーリィの餌食になってくれただろう」
ヴェイグが放ったその言葉には、キールがかつての仲間であったことを偲ばせる調子は微塵もなかった。
(あの化け物を前にして放心している隙を縫い、両手両足をフォルスで凍結させたのだからな。
両手の自由を奪われてはさしものキールとて、魔杖の力を以ってしても晶術……ではなく晶霊術は使えまい。
フォルスの氷を処理する手立てがないのなら、キールは間違いなく今頃あの世逝きだろうな)
答えるソーディアン・ディムロスの声もまた、余りにに自身らの話している内容に無感動な様相を示していた。
「今年はスールズの冬は一層厳しそうだな」、だとか「今度セインガルドで正規兵の大募集をやるらしいね」だとか、
そんな手軽な世間話をする程度にしか、キールの行く末のことを考えていない。
死と暴力が日常のこの「バトル・ロワイアル」の中でなければ、一同の会話は確実に異常と言えよう。
そもそも、2人にはこの会話を異常と感じる感性すら、すでに磨滅して久しいのかも知れないが。
(……あらあら、かつての仲間を見捨てておいて、言う事がそれ?
あの利口気取りの学士君も、随分とお仲間には恵まれていたようね)
語り合う銀髪の青年と、一振りの心持つ剣。
そこに割り込んだのは、1人の金髪の少女だった。
厳密に言えば、1人の金髪の少女の肉体を仮住まいとする、同じく心を持った剣だった。
ヴェイグは、彼女の放った声を……耳ではなく直接心に響く声を聞いて、小さく肩を竦めた。
「お前からそんな事を言われるのなら、誉め言葉として受け止めさせてもらうとしようか」
そして、即座に手に握り締めたソーディアンを握り直した。
コレットの肉体を借り受けたアトワイトもまた、自分自身に腕力を込める。
ヴェイグの首筋にしかと吸い付くアトワイトと。
コレットの眉間に切っ先を突きつけられたまま、ぴくりとも動かないディムロスと。
ヴェイグがコレットの脳を刺突で破壊しようと思えば、それが完了するまでにアトワイトはヴェイグの首筋を薙ぐ。
アトワイトがヴェイグの首を刈り取ろうと思えば、ヴェイグは戦士の本能のみでコレットの眉間を貫く。
一瞬間の時間があれば、互いが互いを殺め合うには十二分。
双方、共に逃げ場なし。
重苦しく引き締まった、静寂な空気の中。
それを破ったのはヴェイグの側だった。
「お前こそ、自分の仲間をあっさり見捨てて俺と共に遁走するとは、随分と仲間想いなことだな」
(あら? 何のことかしら?)
「誤魔化しても無駄だ。あの状況を見れば、子供だって何があったか理解出来る。
キールはロイドの死を受けて、目的は知らないがお前達の側に寝返ったんだろう?
流石に俺もこんな事態は予想出来なかったが、現実が目の前にあるなら、それを受け止め――」
まるで鈴が鳴るかのような、澄み渡った笑い声。
余りにも澄み渡り過ぎていて、その笑い声の中のどす黒い何かを、隠そうともしない。
「貴様……何がおかしい!?」
ヴェイグは、ディムロスの切っ先を押し込んだ。
アトワイトの刀身が、己の首を両断にかかる寸前にかかるまで。
「…………」
(…………)


もう一度、耳の痛くなりそうな静寂。
多少のノイズは混じっているが、この張り詰めた空気を震わせるには、そのノイズは余りに弱々しかった。
今度、その静寂を打ち破ったのは、アトワイト。
(一つだけ。これだけは言っておくわ。
私はあの男を……キールを仲間と思った事は、今の今まで、そしてこれからも一瞬もない。
精々が、使い捨ての駒というところかしらね)
アトワイトのコアクリスタルは、夕闇の中で静かにきらめく。
(地上軍の天使と呼ばれたお前が、そのような血も涙もない台詞を吐く日が来ようとはな。
おまけに寝返った先が、よりにもよってあのミトス。
――昨晩の朝に出会い、その日の真夜中にすれ違い、そして今日この時に三度出会った。
変わってしまったな、アトワイト)
(それはあなたも同じことよ、ディムロス。
地上軍では『核爆弾』というあだ名を受けたあなたが、こうして私達の怨敵であるミクトランに膝を屈し、
奴の言うなりのまま、意味のない人殺しに走っている。
『敵には一片の慈悲もかけるな。しかし虐殺を楽しむな。それでは鬼畜外道の天上人どもと同じ穴の狢になる』。
そんな気取った麗辞をほざいておきながら、結局今こうしてミクトランに屈した負け犬はどこの誰かしら?)
(…………)
その言葉を受けたディムロスは、言葉を失った。
コアクリスタルの明滅も静かで穏やかで、それゆえに陰鬱なものと化していた。
「違う」
そこに降り注いだのは、スールズに降る初雪のように静謐ながらも、苛烈な冷気を帯びた言葉。
「俺達はミクトランなどには屈していない。屈しはしない」
ディムロスを握り締める、ヴェイグの言葉。
それを受けたアトワイトは、嘲弄のニュアンスを隠しもせずに、コアクリスタルを輝かせた。
エクスフィアの毒素で濁った光が、ソーディアン・アトワイトの柄に宿る。
(『屈しはしない?』
あなたは十分屈しているわ、今の時点で。
このミクトランが仕組んだ『バトル・ロワイアル』で、ミクトランが注文した通り殺人劇の殺人者を担っている。
ミクトランに糸を繋がれた操り人形が、何を言っても負け犬の遠吠えにしか過ぎないわ)
「だったらその糸を引き千切って、脚本家のミクトランをこの俺の手で殺し去るまでだ。
そのための障害になるお前達には、1人残らず消えてもらう。
カイルも死んだ。ティトレイも死んだ。クレスも死んだ。ロイドも、メルディも、キールも。
残っているのはもう、両手の指で十分数え切れるほどの命なんだ。
俺はすでに、3人を殺し、1人を盾にしてここに立っている。
ここまで来たら、もう何人殺そうが同じことだ。
お前達は、ミクトランを殺すための通過点に過ぎない。
その通過点ごときが、寝言をのたまうのは止めてもらおうか」
断言するヴェイグの瞳には、すでに一部の揺れも存在していなかった。
まさに、絶対零度の世界。存在する物質が、その動きを完全に停止し、揺らぐことさえも禁じられた終焉。
だが、それすらもアトワイトにとっては白痴のたわ言に過ぎないとでも言うのだろうか。
どす黒い嗤い声が、細身の刀身から漏れ出る。
(ええ、分かっているわ。
あなたも何のかんのと言っておきながら、自分が生き残ることを正当化したいだけなのでしょう?
たった一つしかない自分の命は、あらゆるものよりも価値がある。
そう、百万人の他人の命を犠牲にしてでも救いたいくらいに、ね。
つくづく、人間というのは下衆な生き物だわ。あのキールという男もそう。
この『バトル・ロワイアル』の犠牲になった者達を救うためと称して仲間を売り、
ご高説を垂れておきながら、結局は自分が生き延びることしか考えていなかった――)
「仲間を売っただと?」
ヴェイグの眉が、不意に峻厳さを帯びる。アトワイトが心に投げかけた、その単語を聞きつけて。
(ええ。その表情を見るだに、詳しい話を聞きたそうね?)
「馬鹿を言うな。誰が誰を裏切ったかなど、今の俺には関係のない話だ。
察するに、キールと誰かが仲間割れでもしたといった下らない内容だろう? 消去法で行くなら――」
(ロイドかグリッド、もしくはその両方だな)
ディムロスは最後の言葉で、真実を射止めていた。
アトワイトはそんなディムロスに、形式ばかりの賛辞を送る。
(よく出来ました、それで正解よ。キールはロイドとグリッドを売って、私達の側についたわ。
あそこまでの見事な狸ぶり、クレメンテ老辺りも顔負けの腹芸、と言ったところかしら。
たとえ我が身可愛さでも、あそこまで出来るのならあの男も大したものね)


(案外それも、下衆の勘繰りというやつかも知れないぞ?
私も奴と付き合ってみて、頭脳はそれなりのものを備えているのは認められる。
ジェイという軍師の経験を持つ少年から、
即席で教わった付け焼刃の兵法でも、奴はそれなりにものにしていたようだからな。
案外奴は、お前らに寝返ったふりをして獅子身中の虫となることを、狙っていたのかも分からんぞ?)
(ないわね、それは)
アトワイトは断言した。
(キールは私達の側に寝返る際、ご丁寧にも彼の知りうる情報を全て私達に引き渡したわ。
ハロルドの持っていたメモごと、ね。
これだけやるということは、あの男がユグドラシル様に徹底的に媚びを売ることを決めた、その証左に他ならないわ)
(……キールめ、随分と味な真似をしてくれるな)
ディムロスは、そのささやきだけを念話として飛ばし、そこから先の事は全てコアクリスタルの中に留め置く。
キールが己の知りうる情報を全てミトスに伝えたということは、もちろんこちらの戦力内容も筒抜けということになる。
こちらの持つ手札は、『インブレイスエンド』を除き、切り札も弱点も余すことなく相手に伝わったということ。
キールの打った手は、ディムロスらにとっては最悪に近い妨害手法である。
確かにこちらもロイドを通じてミトスの得意技や弱点などは知ってはいるが、
けれどもヴェイグらはロイドと違い、ミトスの剣や魔術を見切っているわけでもない。
冷静に思考するディムロスは、その事実を静かに己に言い聞かせた。
ここで下手に動揺している様子を見せれば、その動揺がヴェイグにも伝わりアトワイトに隙を突かれかねない。
ディムロスは地上軍将校にしてソーディアンたるその名に劣らぬ、沈着な判断のもとに沈黙した。
「それで、お前は何故そんなキールをあっさり見捨てて、
一旦間合いを離し体勢を立て直そうとした俺に対する牽制を優先したんだ?
キールはお前達の忠実な犬なんだろう?
俺がキールの手足を凍りつかせ、地面に釘付けにする作業を妨害すらしなかったのは何故だ?」
ディムロスの判断を、醸し出す雰囲気だけで汲み取ったのであろうか。
ヴェイグもまた、狼狽した様子は見受けられない。狼狽を見せない。
(簡単な話ね。キールはもう、私達にとって利用価値がないから、と判断したからよ。
まあ欲を言えばあの化け物の力を少しでも削って死んで欲しかったけれども、時間を稼げただけよしとするべきね)
言い放つアトワイトは、彼らのその動揺を知ってか知らずか、彼らを更に揺さぶる発言は行わない。
ならばとばかりに、ディムロスはあくまで沈着冷静を維持して、アトワイトから情報を引き出さんとして切り返す。
(その判断は戦術的に苦しいと言わざるを得まい。
キールは先ほどの時点で、魔杖ケイオスハートを装備していたのだぞ?
あの杖に秘められた魔力の増幅効果は凄まじい。
装備者との相乗効果や、他の魔導具との併用までを計算に入れれば、この村どころか城すらも跡形もなく
消滅させるほどの破壊の力さえ手にしうる。
お前はそれだけの破壊力を秘めたキールという大砲を、みすみす捨てたことになるのだぞ。
確かにあの状況下では、のんびり作戦会議としゃれ込むわけにはいかなかったのは分かるが、
それでも我々に一時共闘を求める交渉すら切り出さなかったのは何故だ?
まさかソーディアンに意識を宿し、あまつさえその肉体を借りているお前が、
あの時点で恐慌を起こして戦術的判断を誤ったなどとは――)
(さあ、どうしてかしらね?)
「……貴様、とぼける気か?」
ヴェイグの突きつけたソーディアン・ディムロスの刀身が、ずいと前に突き出される。
ほんの、髪の毛一本分の幅ほどに。
それ以上突き出したら、首を飛ばされる事を本能的に悟ったがゆえの自制。
三度、沈黙の帳が落ちる。
沈思黙考する三者。
今度沈黙を破ったのは、光り輝くアトワイトのコアクリスタルだった。
(……まあ、教えてあげてもいいかしら。その答えは『レイズデッド』……蘇生晶術よ)
一拍の思考の時間をおいて、答えは一同に帰る。
けれどもヴェイグの突き刺さるような視線は、ハイデルベルグの根雪のように、一向に溶け去る気配がない。
「それがどうかしたというのか? 今更になって誰の一命を取り留める必要がある?」
(話は最後まで聞きなさい。アクアヴェイルのことわざにもこうあるわ。『餅は餅屋』、晶術は晶術師ってね)
(つまり?)
(つまり?)
ディムロスは、ややもすれば苛立った様子を見せるヴェイグをたしなめんと、アトワイトに相槌を打った。
それに応えたアトワイトは、コアクリスタルの光を鼓動させる。


(ユグドラシル様の来られた世界には、何でもボルトマン術書と呼ばれる、
治癒術の秘儀が記された書物があるらしいの。ユグドラシル様はその内容をそらんじていたから、
その中の重要な一節……晶術や晶霊術を若干変容させるための追加術式を、
即興でアレンジして私とキールに教えて下さったのよ)
「ボルトマン術書だと? ロイドはそんな書物について、一切触れてはいなかったが……?」
思わず疑問符を浮かべるヴェイグ。
(ヴェイグ、ロイドはそもそもが術の使い手ではないし、率直に言えば
頭を使うことはおよそ苦手としていたような男だ。
ロイドは本当にそのボルトマン術書とやらのことを失念していたのかも知れんし、
仮に覚えていたとしても重要度の低い情報と判断して、あえて告げなかった可能性も十分ある。
とにかく、最後まで話を聞こうではないか)
説明を付け足し、諭すディムロス。
アトワイトは口火を切り直した。
(ユグドラシル様によると、あのエクスフィギュアと呼ばれる怪物は、エクスフィアの毒素により
全身の組織が異常発達した人間の慣れの果てだそうよ。
そして『レイズデッド』のような蘇生術の原理は、犠牲者の肉体の再生能力を極限まで引き出し、
同時に魔法的な作用で破壊された肉体組織を物理的にも、元通りに修復する、というもの。
そう、『元通り』にね)
ディムロスのコアクリスタルが、閃光を放った。
アトワイトがことさらに強調した、「元通り」という言葉を受け、アトワイトの言わんとすることが一気に理解できた。
ディムロスは、念を押すようにしてアトワイトに聞く。
(つまりそのボルトマン術書とやらには、蘇生術の持つ『肉体を元通りにする』という作用を
増幅するための手法が記述されており、ミトスはその内容をお前達に教えたというわけか。
確かに、人間の肉体が異形化したエクスフィギュアを『元通りに』すれば、人間の肉体が戻ってくるのは道理。
それでエクスフィギュアの肉体を奴から奪い去れば、エクスフィギュア化したことによる
戦闘力の増大分は丸ごと打ち消すことが出来る)
(ご名答よ、ディムロス)
ディムロスの考えは、見事にアトワイトの言わんとしていた事の正鵠を射ていた。
ヴェイグはそれを聞き、一瞬ばかり驚きの表情を浮かべたのち、もとの仏頂面にそれを沈み込ませる。
「ディムロス、ということは……!」
(ああ、そういうことになるな)
シャーリィを撃破するための糸口が、思いもよらぬところから見つかった。
素体のままのシャーリィが相手なら、どれほど悲観的に見積もってもまず劣勢の戦いを強いられる事はあるまい。
今のシャーリィは、一切の爪術を操ることができないのだ。
人道を否定し、仲間を否定し、世界を否定し、
そして最後にはあろうことか、自らが仕えるべき大いなる滄我すら否定した。
その大罪の罰が下ったとでも言うのだろうか、E3の平原での決戦時、シャーリィは途中から一切の爪術を失った。
滄我から賜りし力である爪術……滄我を否定すれば、爪術も否定されるのは道理。
今や目に余りある狼藉ゆえに、シャーリィは大いなる滄我からすら見限られている。
たとえネルフェス・エクスフィアによる能力の強化があろうとも、
爪術やメガグランチャーなどを失った痛手は相殺しきれまい。
だがそれをわざわざアトワイトに告げてやる義理はないと、胸中で同意したヴェイグとディムロスは沈黙を選ぶ。
スタンがマスターであった頃には成し得なかった、一心同体の沈黙を。
ヴェイグはすかさず、放ちかけた言葉を掴み直し、あたかも別のことを考えていたとは思えないよう会話を続行する。
「……お前がさっきキールを見捨てたのは、最悪お前1人でもエクスフィギュアを始末できる見込みがあったから、
ということか」
おそらくこれなら、素体のシャーリィの戦闘力についての情報を推理することは出来まい。
アトワイトもその点については無関心に、ヴェイグを首肯する。
(ただ厳密な話をすれば、エクスフィギュアが持つ異形化した肉体の抵抗力を、
『レイズデッド』による肉体の復元能力が上回れば、という制限はつくわね。
けれども、『レイズデッド』の使用者の晶力と『レイズデッド』の手数さえ十分なら、
理論上人間に戻すことの出来ないエクスフィギュアは存在しないわ)
そして、アトワイトにはそれだけの晶力と手数を、共に揃え切る見込みも共にある。
言わずと知れた、ミトスの存在。
ミトスの持つ強大な魔力から放たれる『レイズデッド』を、
ミスティシンボルを用いた超高速詠唱で連発すれば、元に戻らぬエクスフィギュアなど存在するはずもない。


そして今度はミトスの存在について、アトワイトが沈黙する番であった。
双方共に、情報の一部を隠しながらの、丁々発止のやり取りが進む。
(私は『レイズデッド』を使える事を考えれば、
あの場で危なっかしい共同戦線を張ろうと提案するのは、下策だと言うのが理解できたかしら?
そもそもあの状態で、私があなたと一時共闘しようと提案していたら、あなたは素直にそれを受け入れていたか……)
ヴェイグの答えは、無論決まっている。
「冗談を言え。たとえ相手が無差別攻撃を仕掛けてくる化け物だろうと、
お前達のような信用のおけない手合いとなど、共闘なんてするはずはないだろう。
いつ背中を刺しに来るか分からない相手に、背中を預けるなど余りに無警戒だ」
(まあ、それが順当な答えよね。
ならばあの時の私には、あの怪物を牽制してキールが大火力の晶霊術を撃ち込む時間を稼ぐ、
という選択肢が来るわ。
シャーリィの不意打ちの一撃で、メルディは事実上戦闘不能になったから、今回は計算外とするわね)
不意打ちの一撃を受けた際、メルディはその右胸を触手で貫かれた。
心臓を貫かれなかっただけ即死は免れたが、
どう楽観的に見てもあの時点で確実に肺に穴が開いていただろう。
すなわちまともな発声が不可能になっていたということになるが、そんな晶霊術師はもはやただの足手まといである。
そこまで考えた上での、アトワイトの「戦闘不能」発言である。
(さて、そこで問題よ。私がシャーリィを相手に立ち回りを始め、キールは呪文の詠唱で無防備になる。
もしそうなっていたら、あなたはそこでどんな手を取っていたかしら?)
「決まっているだろう。まずシャーリィを相手に立ち回るお前の背中を刺す……
いや、天使の肉体を持つお前なら、脳天を唐竹割りにする。
術の詠唱が終わった瞬間、キールも斬殺する。
その後キールの晶霊術を受けて怯んだシャーリィを殺す。
万一生きていたなら、メルディにもきっちり止めを刺す。
4人まとめて皆殺しにさせてもらっていただろうな」
アトワイトは、コレットの首を縦に振った。予想に違わぬ答えを受けた、という意思をそこに示す。
(でしょうね。
そうなるとあの時点で、戦いの輪は私とキール対あなた対シャーリィという乱闘になっていた、と考えるのが自然ね。
そうなると、あの状況で最も利を受け取りやすいのは誰だったかしら?)
アトワイトのその問いには、ディムロスが答える。
(乱戦に巻き込まれてしまえばたちまち無力化する、術の使い手であるキールはまず除外される。
乱戦の際有利なのは、詠唱などの隙なく範囲攻撃を放つことの出来る者か、
もしくは巧みなフットワークを利用して、常に一対多ではなく一対一の戦線を維持できる俊敏な者、となるな。
するとここで真っ先に候補に挙がるのは触手による広範囲制圧が可能なシャーリィか、
小柄でかつ瞬発力も期待出来る、コレットの肉体の持ち主であるアトワイト、お前の二択になる。
消去法で、ヴェイグは脱落するだろうな)
その見解は、二振りのソーディアンで共通のものとなる。
(そうね。確かに私はある程度の利を取ることは出来ていたかもしれない。
それでも何か一つアクシデントがあれば、その利は覆りたちまち優劣が逆転し兼ねない。
ダメージコントロールを優先するなら、あの場でなし崩し的に乱戦にもつれ込むのは避けたいわ。
事実上、乱戦にもつれ込むのはそれしか手がないときの最後の手段ね。
……とすると、必然的にあの場は一旦離脱して体勢を整えたのち、シャーリィの対策を練るのが最善、
という結論になるわ)
「なるほど……そこでお前は、確実な逃走の機会とキールという大砲……この二つを瞬時に秤にかけ、
そしてキールを切り捨てるという結論を導いたわけか」
(それに、キールのくれた情報にもあったわよね?
ヴェイグ、あなたの使うフォルスという能力で作られたモノは、フォルスもしくは闘気か晶力でしか破壊できない。
あの場であなたを妨害し、かつキールの手足を固定したあの氷の解凍を試みていたら、
その隙にあなたから横っ腹を突かれる危険性も増すし、迅速な撤退も不可能になっていた。
そこまでしてキールを救うのは余りに釣果が釣り合わない……そう判断したがゆえの、この現状というわけよ)
アトワイトは、ようやくその言葉を以って結びとする。
何故キールを見捨てることをよしとしたのか、その理由の説明の言葉を。
静まる夕暮れの村の路地裏。
遠くで響く地鳴りが、1人と2振りの剣の間の沈黙を彩る。
遠くで暴れ回るシャーリィのものだと、説明する必要は今更あるまい。
今頃、キールはあいつに殺されただろうか。


そんな事を考えるヴェイグは、しかし次の瞬間違和感を覚える。
本当に、それだけがアトワイトの目的か?
確かにあの状況、確実な撤退のための代償としてキールを支払ったのは分かる。
その後、『レイズデッド』という逆襲の矛をお見舞いしてやるための、布石として。
だが、それだけでああも簡単にキールを見捨てることは……
首輪!
ヴェイグはようやくその違和感の正体を掴んだ。
ヴェイグは、その疑問が頭に浮かんだ瞬間に口からそれを放った。
「だが待て……それだけではお前が、キールを見捨てる十分な理由にはならない!」
まさかとは思うが、アトワイトはまだ腹の中で何らかの悪しき策略を巡らせているかも分からない。
ならば、この疑問もまた問わねばなるまい。
ヴェイグは、半ば叫ぶようにしてアトワイトに疑問をぶつけた。
「ならば……お前達はこれをどうするつもりだったんだ!?」
ヴェイグは開いた右手の親指で、己の首筋を指した。
蝙蝠をかたどった、悪趣味な首輪。
この「バトル・ロワイアル」の惨劇の全てを支えていると言っても過言ではない、キーアイテムを。
「確かキールは……これに関する情報を持っていたはずだ……それはどうした!?」
(それ……首輪のこと?)
アトワイトは、確認のために呟いた。それをディムロスが補完する形で、説明を行う。
(つまりヴェイグ、お前は
『キールは首輪の解除方法を詳しく調べていた様子だったが、その情報は惜しくなかったのか?』
と聞きたいのだな?)
ソーディアンの思念は、ミクトランによる盗聴を受けない。ソーディアンの思念は、音波という形で放射されないのだ。
そのアドバンテージを持つディムロスは、平然とその話題を出してみせた。
そしてヴェイグはディムロスの言葉を受けて、静かに二度首を振る。無論上下に。
アトワイトは、一瞬迷うような素振りを見せつつも、最終的に問題はないと判断したのか。
およそ呼吸3回分。アトワイトはたっぷりと間を取ってから、ヴェイグに答える。
(ヴェイグ、もう一度言うわよ?
キールは私達の側に寝返る際、ご丁寧にも彼の知りうる情報を全て私達に引き渡したわ。
そう、首輪の解除手法についても、細大漏らさずね)
(首輪の解除手法についてすらだと……!?)
ディムロスは、今度こそ本気で驚愕した。
そして、次の瞬間には呆れ返る羽目になる。
(……私も前言を撤回するべきだろうな。
確かに奴の頭脳の冴えに関しては、私も評価をしてやろう。
だが、奴は人間を相手とした駆け引きや取り引きには絶望的なまでに才能がなかったようだな)
「どういうことだ、ディムロス?」
二振りの剣の間で進んで行く会話に、ヴェイグは思わず困惑の声を上げる。
ディムロスは手間を厭うことなく、ヴェイグにその事実を告げた。
(いいか、ヴェイグ。つまりキールが本来打つべきであった最善手は……)
ミトスに対し寝返った際に、首輪に関する情報を一度に全て渡すのではなく、核心を除き全てを告げること、であった。
少し頭を働かせれば分かる。
ミトスにとっても、首輪を解除する方法は決して不要な情報ではない。
ロイドが一同にもたらした情報の通り、ミトスは実姉マーテルを蘇生させるために、
この島で陰謀野望の類を縦横無尽に張り巡らせていたのだ。
無論、首輪がついたままであっても、マーテルの蘇生にさえ成功すれば、ミトスの悲願は果たされる。
マーテルを蘇生させる前に他の参加者を殲滅し、そしてマーテルの蘇生後に自ら命を断って彼女を優勝者としても、
ミトスにとっては望ましい終着点である。
だが、己とマーテルが共に生き延びるという最善の終結を迎えるには、どうしても首輪を解除する手法が必要なのだ。
(キールはそこでミトスに首輪の情報を渡すとは、余りにもお人好しが過ぎる。
ここで誤謬を起こすと後々から話が混乱するから確認するぞ。
つまりミトスにとって重要なのはキールの握っていた首輪の情報であり、キール個人ではない。これは分かるな?)
「ああ。つまり、それがどうなる?」
ディムロスは、もう一度語りだした。
キールはミトスと接触した段階で、全ての首輪の情報を渡すなど、本来あってはならない愚行なのだ。
首輪の情報さえ手に入れれば、ミトスはキールに対し用はない。むしろその場で殺されたとしてもおかしくはなかった。
それは単に、相手を一方的に利するだけに過ぎない悪手中の悪手。
実際にはシャーリィが突如復活したことにより、大砲としてのキールの価値もまた復活したが、
無論それは一同が予想だにしなかったハプニングに起因する、偶然が作用した結果論でしかない。


(キールが手渡した解除のプランに、彼しか持たない特殊な技術や異能があれば、
また話は変わっていたかも知れないけれどもね。
けれども、首輪の解除それ自体には、キール自身の持つ能力自体は必要なかったわ)
今はその事を告げるべきではないと判断したのか、
アトワイトはヴェイグのフォルスの重要性については伏せたまま語る。
アトワイトにしてみれば、今後の展望を見ればヴェイグは是非とも確保せねばならない札の一枚。
キールを盾にして逃走を試みたヴェイグを迷わず追跡し、
かつあわよくばヴェイグを懐柔せんとして、あえて積極的に情報を提供したアトワイトの真意もそこにある。
だがそれを悟られては、弱みを握られかねないと判断したがゆえの慎重な言質で、アトワイトはヴェイグに答える。
無論、キールに詳しい首輪解除の情報を遮蔽されたヴェイグとディムロスは、その事情などらぬまま話を続ける。
今度切り出したのは、ディムロス。
(キールが取り引きを持ちかけた相手はミトスだ。
一度は奴を討ち果たしたというロイドや、実際にこの島で剣を交えたカイルの話を聞けば、
奴の人となりはおおよそ推理できるが、取り引きを持ちかけるのはかなり難易度が高い、強かな相手のようだな。
一言で言えば、『頭の切れる狂人』と表せるだろう。
そんな相手に初手から己の手の内を全て公開するとは、キールも相手の値踏みを見事に誤ったな)
「だが、手の内の一部を伏せておくのは、もっと危険が伴うとは思わないか?
それこそミトスにしてみれば、手の内の一部を隠されるというのは、反意を疑うための材料にしかならない。
その手の内を白状しなければ自白を強要されて拷問、という危険もあるし、
最悪の場合その場で切り捨て御免という事態にも――」
(ならんな。拷問して情報を吐かされるというシナリオならまだしも、その場で斬殺するなど有り得ん。
それこそキールがミトスの堪忍袋の緒を切れさせるほどの、酷い挑発を行わない限りはな。
ミトスとてこの『バトル・ロワイアル』をここまで生き延びたほどの手合いだ。
奴の高慢な性格はロイドの口の端々にも上ってはいたが、
その高慢さゆえに、あえて自らに下策を強要するほどには愚かではあるまい。
奴は必要ならば、生き延びるために奴の言うところの『劣悪種』のたわ言にも耳を貸すような、
泥水を啜るような恥辱にだって耐えてみせるだろう。
先ほどキールの言葉に耳を貸して、ミントに止めを刺しに行ったのがその何よりの証左だ)
ヴェイグが持ちかけた疑問を、ディムロスは意思ある剣らしく、一刀両断に切り払う。
ヴェイグはそのまま口を閉じ、代わってその耳をディムロスの方に傾ける。
(考えてもみろ、ヴェイグ。
もしキールが伏せた手の内を明かさないというだけで、ミトスが逆上してキールを殺したらどうなる?
屍霊術や降霊術といったものの心得のないミトスにとっては、
肝心要の首輪解除の情報を、キールにあの世まで持ち逃げされる形になるぞ。
それに、拷問を行って力ずくで吐かせるという可能性も低いと言わざるを得ない。
私も天地戦争時代、天上軍の捕虜を何度か拷問して情報を吐かせたことはあるが、
拷問の苦痛逃れたさに、知らない情報を知っていると言ったり、
でたらめな情報を吐いたりという事態もよく発生した。
この状況下では自白剤などという好都合なものはあるまいし、結果として一番確実性の高いのは、
うまいことキールを懐柔した上での誘導尋問あたりに落ち着くだろうな。
キールを自ら口封じする形にしてしまったり、誤情報の混入を起こしてしまったり、
そんな危険を冒すくらいなら、ひとまず自らの手の中に飼ってやって、
徐々に譲歩を導き出す方がよほど賢い選択だろう)
ディムロスの言葉に、アトワイトも後を追った。


(ひとまずユグドラシル様と接触したなら、その時点で自分が首輪を解除するための情報を持っていることを告げ、
いざ首輪を本当に解除する段になったら全ての情報を開示する。
これがキールが取ることの出来た、最適の打ち方ね。
最初から全ての情報を開示したら、その場で用済みになって殺されかねないこと、
首輪を解除するチャンス……ひいては命を担保に取らせるのだから、自身が裏切る心配はまずないこと、
それらを説明しておけば、相手からの譲歩を誘うのは比較的たやすいはずよ。
普通の人間なら、命を担保に取っておけば裏切りを起こす心配はまずないわけだもの。
それ以前に、いざとなればキールにはメルディという、破壊的に強力な切り札があったのだから、
最初からユグドラシル様に全面降伏したり、何なら下手に出る必要すらなかったともいえるわね。
まあその破壊的に強力な切り札もハッタリであった可能性も大いにあるし、
そうでなくとも今こうしてメルディが死んでしまえば、無化されることに変わりはないのだけれども。
実際には、キールがそこまで小難しいことを考えずに素直に情報を渡してくれて、大助かりだったわ。
後はキールが死のうが生きようが関係ないし、だから私はあっさりキールを見捨てることが出来たのよ)
「だがそれでも……!」
(キールが生き延びるつもりがあったのなら――)
ヴェイグの執拗な反駁を、ディムロスは路傍の石のように軽々と一蹴する。
(――逆に言うならこれ以外の選択肢はなかった。
もちろん何か一つ手違いがあれば、ミトスは拷問や脅迫で早々に情報を吐かせ、
しかる後にキールをそのまま殺し去っていた可能性もあったことは認めよう。
だがどれほどの最善手を打っても生存が確約されないのならば、
その中でも一番可能性の高い手を選び取るべきであろう。それが、相手に譲歩を求めた上での情報の小出しだ。
まさかこの島で、誰もが常にリスクのない最善手を打てた可能性があった、
などという虫のいい寝言は今更吐く気にもなれないだろう、ヴェイグ?)
「……そうか、それもそうだったな」
ヴェイグは、ディムロスの最後の言葉でようやく得心し、その舌鋒を静かに収めることとなった。
キールがミトスとの交渉の席に立たされたときの状況。
それは名工ギースの工房で、ごく僅かにしか作られない「じゃんぱい」を用いた遊戯「まーじゃん」で言うなら、
ビハインドで迎えたオーラス親で、相手に多面聴気配濃厚のリーチをかけられたも同然の状況であった。
ベタオリすれば負けは確定、しかし強気に突っ張れば放銃で討ち取られる可能性は極めて大。
何としてでも危険牌を止め、闇聴で打ち回しながら親連荘に逆転の目を期待するという、
何とも頼りない手法に頼らざるを得ない状況だったのだ。
(まあ、私達がどれほどここでキールの最善手を議論しようと、
結果としてキールが周りの人間全員に不要な駒とみなされ、今こうして捨てられたことに変わりはないわ。
さて、今から私たちはどうするべきか……)
「残念だが、それについて議論している暇はなさそうだ」
コレットの耳を通して、アトワイトにその発言が伝わった。
無論その声の持ち主は、この中で唯一肉声を持つことを許されている、ヴェイグのもの。
ヴェイグは、コレットの眉間に突きつけていたディムロスの切っ先を、徐々に離した。
無論、その瞬間にアトワイトに切りかかられてはたまったものではない。
ヴェイグはその可能性までを見越し、アトワイトを睨みつけたまま、その間合いを徐々に話す。
最終的に、ヴェイグはその背を近くの家屋の外壁に預け、アトワイトを視界に収めたまま、首を上方に向ける。
赤い。
陳腐な表現だが、血のように赤い夕暮れの空が、ヴェイグの目に微かに痛い。
「一旦間合いを離して体勢や準備を整えようと思ったら、お前とのお喋りでその目論見が丸潰れだ。
……奴が来るぞ。どうやら、向こうも俺達を追って来たらしい」
(シャーリィのこと?
奴はまだ足音からして遠くにいるわ。さっきまではドタバタと駆け回っていたようだけれども、
まだ間合いは遠いわ。それに今は向こうで停止状態ね)
アトワイトはそういい、コレットの指でコレットの耳を静かに指した。
天使の超聴覚に、エクスフィギュアの足音は感じられないというアピールだと、ヴェイグは言われずとも悟っている。
ヴェイグはそんな彼女に対し、苛立たしげに吐き捨てた。


「『遠くにいる』? 『ドタバタと駆け回っていた』? 『今は停止状態』?
お前は、つまり『先ほどまでシャーリィは遠くでけたたましく足音を立て』、『そして今は足音が消えている』、
という情報からそう推理したのか?
だったら、その2つの情報から考えうる、もう一つの可能性を見落としている」
ヴェイグの瞳は、すでに焦点がアトワイトに対し合っていない。夕焼けの空の、その一点を睨んでいる。
ヴェイグは、ディムロスをこれ以上ないほどに力強く握り締めて、身構える。
「お前達天使とやらは常人に比べ感覚力が発達している、とロイドから聞いた。
だがその天使の肉体を以ってしても、殺気を感じるための第六感までは強化できないようだな。
俺はもうさっきから、奴の撒き散らす禍々しい殺気を感じ取っているというのに、
お前はその素振りが全くないのがその証拠だ。
相手がジェイやティトレイのように気配を消す達人だというならまだしも、
こんな隠す素振りすら見せない凄まじい殺気、二流程度の剣士でも十分感じ取れる」
(!?)
アトワイトが、コレットの肩をぴくりと揺らした。
ようやく、それがアトワイトにも伝わる。
まるで漆黒の津波のように荒れ狂う、殺意の波動を。
(これは……一体何処から!?)
驚愕するアトワイトを尻目に、ヴェイグはその空の一点を睨みつけている。
まるで釘でも打たれたように、瞳が動かない。
その先にわだかまっていたのは、夕暮れの空に一つ浮いた黒い染み。
「その答えは簡単だ」
空に浮いた黒い染みは、ヴェイグが睨み続ける一瞬間ごとに、光り輝く赤い尾を引きながら加速度的に巨大化してゆく。
やがて、巨大な染みはこちらに向かっていると、誰もが理解できるほどに視界に広がってゆく。
「奴は助走をつけて空に跳び上がった後……!」
今や家ほどの大きさにまで成長した、火柱を吹き上げる巨影は、恐ろしい勢いで風を叩き切り、一同に肉薄する。
激震。
アトワイトは、その余波によって宙を舞った。
砕け散った木の柱。
剥がれ落ちる家の漆喰。
舞い上がる煉瓦。
もうもうと立ち込める土ぼこり。
「俺達のもとに空を通じて迫って来た、ということだ!」
そいつは、目の前に立っていた。
ヴェイグらの目の前にあったはずの家屋を、その3mを越え4mに迫らんばかりの巨躯で踏み潰し、
跡形もなく瓦解させた怪物。
「GOOORRRRGAAAAAHHHHHHRRRR!!!」
土ぼこりの中にシルエットを浮かばせた怪物は、本来エクスフィギュアにはないはずの頭部の亀裂……
すなわち口から乱杭歯を覗かせ、汚物は消毒だと言わんばかりに、天に向けて火炎を吐いた。
いつの間にか、その背には先ほどなかったはずの翼が生えていた。
その翼が震える。たちまちのうちに萎えてゆく。
萎えた翼の各所に、夕闇の赤光を取り込む隙間が生まれてゆく。
翼が萎え、最後に残ったもの。
それは、網状に編まれたあの触手だった。
メルディに致命の一撃を与えた、あの触手!
触手はあっという間にほどけ去り、エクスフィギュアの背の内に消える。
それはあたかも、海底の亀裂にその体を隠し込む、ウツボの動作を思わせた。
(触手を背中で網状に織り上げた後、その網の隙間を肉で埋めることで、即席の翼を作ったというのか……!?)
ディムロスは、その光景を辛うじてそう解釈することに成功した。
ヴェイグはもう、驚いていいのか苦笑していいのか、分からないといった表情を張り付かせる。
「なるほど……助走を十分に取って空に跳躍した後、翼を広げて滑空しつつ……
口から吐き出す火炎で更なる推力を得て、アトワイトが安全圏だと判断するほどの遠くから、
一跳びで俺達の元までやって来たというのか!」
(ついでに空の上からなら、我々もまた発見しやすかったというメリットも存在する……いちいち小賢しい事だ!)
この島において、魔力やその類のものに頼って行われる飛行は、本来ならば禁じられている。
しかし物理的に翼で揚力を受け、それで飛ぶこと自体は何ら禁止されていない。
目の前の怪物は、ロイドと同じく翼を用いて、その跳躍距離を伸ばしここまで跳んで来たのだ。
そこに口から吐き出す火炎で得た、更なる推力もまた付加されれば、
あの巨躯を持ちながらも、これほどの長距離を跳んだのも納得は出来よう。
「だが奴は……シャーリィはすでに爪術を用いる力を失くしているというのに、何故炎を吐ける!?
シャーリィの吐く炎は、どう見ても魔力を帯びた炎だぞ!?」


折角アトワイトに秘匿した情報を、同様の余り思わず漏らすヴェイグ。その困惑ぶりは言わずもがなか。
カレギアの旅の中、ヴェイグは旅先で暖を取ったり食事を作ったりする際、何度もマオの炎は目にしている。
その時の経験から分かるが、フォルスで生み出された炎と自然界に存在する炎は、
その輝き方や揺らめき方が微妙に異なるのだ。
ヴェイグのその経験は、間違いなくシャーリィの噴き出す炎は魔力の炎だと告げている。
(おそらくはキールの持っていたクレーメルケイジあたりを用いて、爪術ではなく晶霊術を……いや、待て!)
ディムロスのコアクリスタルは、一瞬限り覗けたそのエクスフィギュアの口内を確かに写した。
奴の口内に輝く、2つの輝き……
小さな金属と、それから血赤色の水晶……
(……なるほど、分かったぞ! あの火炎の正体はソーサラーリングから放射される炎だ!
シャーリィはソーサラーリングを喉に埋め込み、その炎を魔杖ケイオスハートで極限まで増幅して、
即興で体内に火炎放射器を作り上げたのだ!!)
ディムロスが見た小さな金属、ソーサラーリング。
そして血赤色の水晶、それが嵌まった魔杖であるケイオスハート。
これらを組み合わせた結果が、シャーリィの火炎の吐息として成ったのだ。
本来ならば敵をしばらくの間足止めするのが精々の弱々しい火は、魔杖の持つ増幅作用で、
十二分の殺傷力を持つ業火に生まれ変わったのである。
「……くそ、せめてキールの荷物だけでも奪ってから、あの場は逃げておくべきだったか……!」
それはまさしく、火中に栗を拾いに行くような危険な行為であったとは、頭で理解出来る。
だがヴェイグの心に浮かぶ後悔の念は、それで押し留めようなどあるはずもなかった。
「VARRRRROOOOOOHHHHHHWWWWWW!!!」
目の前で吼え猛りながら、まるで大噴火を起こす火山のように炎を吐くシャーリィ。
遠巻きに戦っていれば、360度全方向からもれなく急所や死角を狙ってくる、嵐のような触手が襲い掛かる。
ある程度近寄ればそれに加え、触れる物全てを焼き尽くさんばかりの灼熱の火炎が、敵を舐めにかかる。
格闘戦の間合いに近寄れば、そこに更にエクスフィギュアの怪力と共に振るわれる、一対の毒爪が加わる。
受けた者の生命活動を阻害するなどという生易しいものではなく、
冒された体組織そのものを溶解させる、おぞましい猛毒を秘めた爪が。
おそらくあの毒素を受ければ、本来ならば毒が効かないはずの無機生命体ですら、ひとたまりもあるまい。
むしろ対無機生命体戦のために異形の進化を遂げた結果があの猛毒、と表現した方が正しいか。
目の前に存在する怪物。
それは生まれて初めてモンスター図鑑を眺め、夢中になった読み続けた幼子が、
刺激されたあどけない想像力のままに考えついた、本来ならば架空の存在であるべきモノとでも評すべきか。
いくら無邪気な空想とは言え、それがこうして実際に血肉を持って動き回っているのであれば、
それはもはや悪夢の産物以外の、何物でもない。
ディムロスは怪物を観察しながらも、必死で己に冷静であるよう言い聞かせ、最適とおぼしき戦法を組み立てる。
(く……! ヴェイグ! 奴に対しては決して無茶な突撃を行うな!
相対的に小柄なお前の体を駆使して、小回りを利かせてかき回しながら、一撃離脱の戦法で攻めろ!
火炎や触手はともかくあの毒の爪……一撃でもかすったら、その瞬間終わりだ!
『アンチドート』やパナシーアボトルなどのない我々には解毒の手段がない以上、
毒を受ければ遅かれ早かれスライムのようになって、アタモニ神の御許に召される羽目になるぞ!)
ディムロスのアドバイスに、叫びながら答えるヴェイグ。
「問題はない! 俺にはクローナシンボルがあることを忘れたのか!?
これさえあれば、どんな猛毒だって俺を蝕むことはない!」
(だがそのクローナシンボルすら、あの爪の毒を必ず防いでくれる保証は何処にもない!
自らの命を賭けて実験してみるのでなければ……!)
「へきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ!!!」
そこに、一つの笑い声が転がり込む。
ヴェイグとディムロスは、同時に怪訝そうな声を、それぞれ口とコアクリスタルから放った。
「……何なんだ、この笑い声は?」
(この笑い声、聞き覚えのある声だが……?)
「うひはうヒハウヒハウヒアハハハハハハハハハハハハハハハハハHAHAHAHA!!!」
その声は、まさに狂笑という以外ない。
人間が持っていなければならない何かが吹き飛んでしまった響きを含み、笑い声は辺りに広がる。


ヴェイグとディムロスは、意を決してその音源を探る事を決めた。
この声の元、それはおそらく角度的に、シャーリィが着地の際に巻き起こした土ぼこりの中に……
「!!!」
(!!!)
「フヒヒヒヒヒへへへへきょきょきょきょふへろふへろふへろホホほほほははっはは!!!」
見た。
見つけた。
見つけてしまった。
音源を見つけてしまった。
確かにこの聞き覚えのある笑い声の音源は、土ぼこりの内側だった。
だが更に厳密な答えを求め、そして知ってしまった時。
ヴェイグは、脱力した。
ソーディアン・ディムロスが、手の中から思わずずり落ちた。
ソーディアン・ディムロスの刀身は地面とぶつかり、からんからんと乾いた音を立てた。
「げひょえへへへへへへへふぉろホホホホホほほぐけヒャハハハハハハハ!!!」
何故ならその音源は、目の前のエクスフィギュア……エクスフィギュアそのものだったから。
エクスフィギュアの胸部に、腫瘍のようにへばりついた汚らしい肉塊が、ひたすらに笑い続けている。
もともと腕があったであろう断面は、すでに緑色の汚液がぐらぐらと煮えたぎり、わだかまっている。
肉塊の腰から下は、エクスフィギュア自身の触手によって完全に縛り上げられ、
その隙間からのスライムの出来損ないのようなドロドロの粘液が絶え間なく染み出している。
肉塊の上部に開いた比較的小さな穴からは、ナメクジのようになるまで膨潤した舌が、30cm近くにまで伸びている。
更にその上では、細長い無数の体毛が緑色の混合物となって、どんな偏食家でも食べた瞬間嘔吐を起こしそうな、
青緑色のスパゲッティの出来損ないのような物体が固まっている。
肉塊の中ほどが、突如風船のように膨れ上がった。
爆裂。
それはまるで肉塊の体内から、寄生虫やらなんやらが腹を食い破って噴出したかのようにも思える。
強烈な腐敗臭を撒き散らす緑色のスープと、その具とも言うべき臓物があたりにぶちまけられる。
地面に落下し、折りしも夕闇と共に立ち込めてきた夜気に当てられ、スープはほくほくと湯気を上げる。
爆裂した肉塊に、残っていた物は体内の肋骨と、今や正面からでも丸見えになった脊椎。
ヴェイグは人間の皮膚の裏側はこうなっているのか、と肋骨に張り付いた血管の走る膜を見て、一瞬限り感心する。
だが感心は、やがて寒心に変わる。
辛うじて肋骨の籠の内部に残っていた、食道の残骸と思しき肉の管が、いきなり上へと引っ張られた。
何事か? ヴェイグはすぐさまその上の光景を眺めた。
ヴェイグは、自身の胃がぎゅっと絞り上げられたような錯覚に襲われた。
その肉塊の上部に付いていた顔が、180度回転していたから。
つまり頭頂部を下に、顎を天に向ける形で、その首は上を向いていたのだ。
いつの間にか、その肉塊は笑い声を上げることを止めた。止めざるを得なかった。
どんなトリックを使えば、肺や横隔膜を失って笑い声を上げられる人間がいるというのか。
そう、その肉塊の正体は、人間だった。
凄惨な死体ならいくらでも見慣れているはずの軍医すら、一瞥しただけでは見間違えかねないが、
その肉塊は、実に恐ろしく受け入れがたいことに、人間だった。
口からはみ出た30cm近い舌が、だらんと大地に向けて垂れ下がる。
首を180度回転させるために使われていた右手が、そのまま垂れ下がった舌に伸びる。
握り締め、一気に天に持ち上げられた。
ごりぶち、という音と共に、その首は切り離された。もとい、ブッ千切られた。
その拍子に下顎の組織もまた一部剥離し、骨が露出するほどにまでなっていたが、
エクスフィギュアはまるでそんなことなど意にも介さない。
首元から、気管だか食道だか頚動脈だか分からない肉の管が、色とりどりと言った様相で踊る。
エクスフィギュアは、その右手にぶら下げた生首を一瞬見つめた後、その乱杭歯の覗ける口を不気味に歪める。
再度火炎の吐息を吹きかけ、生首の丸焼きを作るつもりか?
だが、エクスフィギュアの行った所業は、そんなものすら児戯にも等しく感じられる凄惨なものだった。
大口を開けたエクスフィギュアは、そこに右手の中身を近付ける。
このショーのクライマックス、成功したなら拍手喝采、とでもこの怪物は思っていたのだろうか。
時間が、その瞬間灰色に歪んだ。
キールの生首に、無数の杭が突き立てられた。
黄ばみを帯びた、白い杭が。
白い杭は一直線に突き立ち、その間に一列の赤い裂け目を作り上げる。
さながら、楔を複数打ち込まれて、その楔の並び通りに割られ、切り出される石材のように。
ヴェイグは、それ以上の正視が出来なかった。


たまらずに口元を押さえ、汚物を流すための側溝に駆け寄る。
トーマによればミミーなる少女によって作られたという、
ウイングパックの中に入っていたピザが、未消化のままヴェイグの口から吐き出された。
地面に転がったままのディムロスは、その光景に思わず背筋……もとい刃筋が凍りついたような錯覚に捕らわれる。
あのエクスフィギュアは、喰ったのだ。
キールの、生首を。
エクスフィギュアは、キールの首に残った食道を、マカロニのようにして音を立ててずるずると啜る。
キールの下顎が、エクスフィギュアの下によって割り裂かれた。
キールの顎が270度は開くくらいになったのを見て、エクスフィギュアは歓喜に堪えないといった様子で唸る。
更に、もう一噛み。
柔らかい物と固い物が、一緒くたのドログチャの離乳食のようになる音が、怪物の口元から響く。
ギトギトの溶解液がまぶされた髪が頭皮ごと剥がれ落ち、地面に落ちる。
そこに加え、更に落ちてきた物。
歯のかけら。
プギュッと潰れた眼球。
牛タンならぬ、人タン。
皺の寄ったピンク色の豆腐のような脳漿。
幼児がまだ慣れぬ食事をよだれかけの上にボロボロとこぼすようにして、キールの残骸が降り注ぐ。
こんな光景を見せられて、動揺せずにいられる者がいようか。
これを直視しても狂わずにいられる人間の方が、よほど狂っている。
クレスのように殺戮に快楽を見出す手合いか、ロイドのように死への恐怖を失った手合いほどに狂ってなければ、
この狂気じみた惨殺の実演を見ても、心を揺らがさずにはいられまい。
残念なことに、ヴェイグはそのどちらでもなかった。
確かにヴェイグはヒトとしては立派に狂ってはいるが、一個体の生物として未だ狂ってはいない。
同族殺しへの禁忌感はすでに磨滅して久しいが、生物の感じる死への本能的恐怖は、いまだ彼の内に残っているのだ。
涙と共に汚物を垂れ流すヴェイグを横目に、地面に転がった大剣は呻く。
(さすが……曲がりなりにも水の民の外交官をやっていただけのことはある……!
示威行為のやり方というやつを、よく心得ているようだな……!)
ディムロスさえ、それだけの念話を独り言のように投射し、己を奮い立たせることだけで精一杯だった。
かの「串刺し公」の異名を持つ、伝説のヴァンパイアの逸話など、
ものの話には非人道的なまでに残虐な戦いぶりを見せて、勝利を飾った英雄は多い。
だが、兵法を心得るものならばみな知っていよう。虐殺は、本来ならばやるべきではない悪手の一つである事を。
何故か。
確かに敵兵を一兵残らず惨殺し、それを生き残った敵軍に見せ付ければ、
非人間的な所業で相手の士気を挫く事は出来よう。
だがそれも一時ばかりの話に過ぎない。
敵はやがて虐殺の恐怖から立ち直った際、その心に免疫を宿らせ逆襲を試みる。
同胞を惨殺した敵に、子々孫々感じ続ける怨恨と憎悪という名の免疫を。
そしてこれらは一度植えつけられれば、そう簡単には失わせることは出来ない。
虐殺を一度試みれば、それにより屈服させた敵国を、自国に同和させることは不可能になる。
誰が、恐怖と暴力で己を締め上げるような手合いに敬意と忠誠心を抱こうか。
やがて恐怖という箍(たが)が時と共に緩めば、そこには恐ろしい復讐劇が待ち構えている。
虐殺劇は一時ばかり士気を挫くために、そこまでの代償を要求される、余りにも帳尻の合わぬ戦法なのだ。
だが、虐殺が有用である事例も、わずかばかりなら存在する。
その一例が、相手の国や民族を構成する人間を、1人残らずこの世から消し去る、殲滅戦を挑む時。
相手を1人残らず消し去り、女子供すら容赦なくその命を奪うのなら、復讐を受ける恐れはまったくない。
裏を返せば、相手が正気を保ったまま虐殺や惨殺を試みたなら、それは相手からの無言のメッセージと言えよう。
徹底抗戦。一切の降伏を認めない、皆殺しを行う準備があると。
そしてこの「バトル・ロワイアル」という限定戦争の中でもやはり、
相手を動揺させるための虐殺に代償は求められない。
厳密に言えば「バトル・ロワイアル」はルール上、永続的な同和や講和の余地はないがゆえに、
誰もが相手からの復讐というリスクを等しく負っている。
どの道代償を支払わされるのであれば、そこには虐殺をためらう理由など、ない。
(奴はそこまで計算して、わざわざキールをあの場で殺さず、
あえて生け捕りにしてこの場で惨殺ショーを見せてのけた、というところか……!)


無論、シャーリィがこんな惨たらしい所業を行ったのは、
単に人間のものとは思えぬほどの異能と残虐性を見せつけ、それに怯える一同の姿を見て、
溢れんばかりの嗜虐心を満たし、優越感に浸りたいだけだとも考えうる。
だが思考能力を含めた相手の能力について、過小評価と過大評価するのでは、前者の方がより危険。
ディムロスはよって、この所業をシャーリィの計算と考えることとした。
ディムロスが冷静な思考という行為そのもので、己の心を浮き足立たせまいと律する、その最中で。
突如として、地面に皮袋が落ちる。
シャーリィが、触手を用いて皮袋を投げ捨てたのだ。
無論、キールが持っていた皮袋を。
刹那。
びぐん、とエクスフィギュアの体が震える。
全身が、ぐらぐらと煮え立つ。泡が至る所で、吹き上がる。
(! 今度は何を……まさか!?)
昨日の朝方、ディムロスはその光景を惜しくも見逃していた。
だが、歴戦の英雄であるディムロスの勘と経験が、目の前の怪物の体に起きている現象を、たちまちに理解せしめる。
肉体の急速な再生現象。
だが、これはいくら何でも速過ぎはしまいか……
(!!)
そして、ディムロスはこの急速な再生の理由を、空になったキールの皮袋と共に理解した。
(ミラクルグミを……ミラクルグミを使われたか!!)
E2を発った時点で、残されていた最後の回復アイテムである、ミラクルグミ。
それの持ち主は誰であったか。言うまでもなく、キール。
そして、現在そのミラクルグミは誰の手に渡ったのか。
言うまでもない。キールの持っていたアイテムを奪った、目の前の怪物に決まっている。
そしてそれをこの異常な再生現象と結び付けて考えれば、それは余りにも自明。
それ以外にも、シャーリィはキールの持っていたアイテムを殆ど奪い去ったと見てよかろう。
あの皮袋の中に入っていたアイテム、全てを。
(く……ヴェイグ! 呑気に吐く物を吐いている場合ではない!
急いで私を握り直せ! さもなくばお前はこのまま……)
「WOOOOAAAARRRRRRRGGGGGAAAAAA!!!」
だがディムロスの言葉は、そこで途切れた。途切れざるを得なかった。
怪物は屋根の上から跳躍し、地面に降り立った。大地を激しく震わせながら。
地面にそのまま横倒しになっていたディムロスは、ガタガタとその刀身を鳴らせて跳ね回る。
キールの臓物と血を、全身に塗りたくった化け物は。
吼えた。
吼えながら繰り出した。
両手から、計5本の触手を。
口からは、灼熱の火炎を。
そして巨躯を揺らして、一気に間合いを詰め寄る。
ディムロスの視界が赤一色に染め上げられたのは、その一瞬未来のことであった。
夕焼け空がより一層赤くなったのは、おそらく錯覚ではあるまい。
もはや何が焦げた臭いかも分からない、凄絶なまでに乾いた臭いが舞い上がった。
キールだったものの切れ端のいくつかを、たちどころに灰と煙に変えながら。


【ヴェイグ=リュングベル 生存確認】
状態:HP40%(ホーリィリングによる治癒) TP40% リオンのサック所持 左腕重度火傷 絶望 深い怒り 極めて冷静
   両腕内出血 背中に3箇所裂傷 中度疲労 左眼失明 胸甲無し 半暴走 迷いを克服
   エクスフィギュアの正体を誤解 キールの惨たらしい死に動揺
所持品:ミトスの手紙 メンタルバングル
    45ACP弾7発マガジン×3 ナイトメアブーツ ホーリィリング
    エメラルドリング クローナシンボル フィートシンボル エターナルソード
基本行動方針:優勝してミクトランを殺す
第一行動方針:???
第二行動方針:現状を打開する
現在位置:C3村某所・路地裏
※キールの惨殺のショックの余り、ディムロスを拾い直すことを失念

【SD】
状態:自分への激しい失望及び憤慨 後悔 ヴェイグの感情に同調 感情希薄? エクスフィギュアの正体を誤解
基本行動方針:優勝してミクトランを殺す
第一行動方針:ヴェイグを叱咤激励し立ち直らせる
第二行動方針:目の前のエクスフィギュアに対処する
第三行動方針:アトワイトが気になる
現在位置:C3村某所・路地裏
※現在シャーリィ@グリッドの目の前に放置

【アトワイト=エックス@コレット 生存確認】
状態:HP30% TP20% コレットの精神への介入 ミトスへの羨望と同情 エクスフィア侵食 “コレット”消失
   思考を放棄したい 胸部に大裂傷(処置済) エクスフィギュアの正体を誤解 どこかに吹き飛ばされた
所持品:苦無(残り1) ピヨチェック ホーリィスタッフ エクスフィア強化S・A(エクスフィア侵食中)
基本行動方針:積極的にミトスに従う
第一行動方針:現れたエクスフィギュアに対処する
第二行動方針:エターナルソードを回収する
第三行動方針:可能であればヴェイグを懐柔する
現在位置:C3村某所・路地裏(?)
特記事項:エクスフィア強化S・Aを装備解除した時点でコレット死亡

【シャーリィ・フェンネス@グリッド 生存確認】
状態:ミラクルグミで負傷全快 TP全快
   エクスフィギュア化 決心? シャーリィの干渉 ネルフェス・エクスフィア寄生により感情希薄?
   力こそ正義?
所持品:マジックミスト 占いの本 ロープ6本 ハロルドレシピ プリムラ・ユアンのサック
    ネルフェス・エクスフィア リーダー用漆黒の翼バッジ メルディの漆黒の翼バッジ
    ダブルセイバー 
    魔杖ケイオスハート ソーサラーリング(魔杖ケイオスハートと組み合わせて、火炎放射器として使用)
    ベレット セイファートキー ジェイのメモ ダオスの遺書 首輪×3
    凍らせたロイドの左腕 邪剣ファフニール
    C・ケイジ@I(水・雷・闇・氷・火) マジカルポーチ 分解中のレーダー
    実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) ハロルドメモ1・2 フェアリィリング(hiding)
    ハロルドの首輪 スティレット 金のフライパン ウィングパック(メガグランチャーとUZISMGが入っている)
基本行動方針(グリッド):???
第一行動方針(グリッド):ロイドの仇を取る
第ニ行動方針(グリッド):裏切りは許さない
基本行動方針(シャーリィ):全員殺してお兄ちゃんと会う
第一行動方針(シャーリィ):ヴェイグを殺す カイルは見当たらないので後回し
第ニ行動方針(シャーリィ):グリッドを完全に乗っ取る
現在位置:C3村某所・路地裏
備考:持ち物は全て体内に取り込んでいます
   グリッドの意識は現在ほぼありませんが、
   ショック等あればアリシアやアンナの時のように正気を取り戻すかもしれません
   正気に戻った場合支配権はグリッドに移ります


ドロップアイテム一覧:
スカウトオーブ・少ない トレカ カードキー ウグイスブエ BCロッド C・ケイジ@C(風・光・元・土・時)
    ダーツセット クナイ(3枚)双眼鏡 クィッキー
(全てC3村・中央広場に放置)

【キール・ツァイベル 死亡】
【メルディ 死亡】

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