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金髪少女たちのお茶会

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金髪少女たちのお茶会 ◆PR56Flbm0Q


「ここは……練馬区というのね」

そう地図を手に呟くのは巴マミ
殺し合いを破壊するために行動を始めたマミであるが、彼女は程なく一つの問題に気付いた。
そう、自らの現在地がわからなかったのだ。
いくら地図があったところで、現在地がわからなければ意味はない。
まずは現在地を把握することが先決と考えたマミは、しばらく動き回って区名の書かれた電柱を発見したのである。

「結構端の方だったのね。
 だったら私が向かうべきなのは……都心、か」

殺し合いを破壊するためにも、マミには仲間が必要だ。
だから、参加者が集まるであろう都心を目指すのは当然と言える。
無論、集まるのは殺し合いに乗っていない参加者だけではない。
殺し合いに乗った参加者も、獲物を探して集まってくるだろう。
仲間を見つけられるかもしれないが、襲われるかもしれない。
まさにハイリスク・ハイリターン。
それでもマミの決意は固かった。

「仮に都心に向かわなくても、いつかは絶対に襲われる。だったら、多少のリスクは覚悟してでも行動したほうがいいわ。それに――」

マミはソウルジェムをギュッと握り締める。

「誰かが襲われているかもしれないのに助けに行かないなんて、魔法少女失格よね」

マミは魔法少女としては珍しいタイプである。
自らの利益――グリーフシードの獲得よりも、誰かが魔女に襲われないことを重要視し、使い魔でも見逃さず、魔女になる前に倒す。
そんなマミが、襲われる危険が高まることを恐れて行動しないなんてことは、あるわけがなかった。

(もちろん、行動は慎重にしなければね)

地図をデイバックに入れ、コンパスを取り出す。
方位を確認したマミは、デイバックを背負い歩きだした。
この殺し合いを破壊するために。

「意気込んで飛び出したはいいけど、誰も見つからないな……」

そうネギのような剣を手に呟くのは鏡音リン
打倒主催者のための仲間と家族捜索のために、リンが行動を開始してから一時間ほどが経過していた。

(やっぱ闇雲に探しても見つからないよね……それにしても疲れたな……)

元々リンはただのボーカロイドであり、歌うことが専門だ。
それ故運動は不得手ではないが得手でもない、といった具合である。
そんなリンが、持ち物の中では一番軽いとはいえ剣を両手に持ち、周囲を警戒しながら一時間動き続けたのだ。
疲労を感じるのも当然と言えるであろう。

(疲れて動けないところを襲われても困るし、どこか休める場所を探さなきゃ……)

リンが辺りを見回すと、ちょうど前方に喫茶店の看板を見つけることが出来た。

(屋外よりは屋内のほうが安全だよね……よし)

意を決して、リンは喫茶店に向かい歩き始めた。



普段ならば大勢の客で賑わっていたであろう喫茶店。
しかしこの殺し合いの中では、店員すらいない寂しさすら感じられる場所となっていた。
店内の電気をつけ、リンは椅子に腰掛ける。ツインネッギとデイバックは机の上に置いた。
店内を探索したいという気持ちもあったが、今はそれより疲労感のほうが勝っていた。

(一先ずはここで休むとして……その後どこに向かおうかな……)

闇雲に探しても家族や仲間は見つからないだろう。
しかし、どこに向かうかを決める決定的な要因もない。
リンは今後の動きを決めあぐねていた。
その時である。
からんこらん、と小気味のいい音が店内に響いた。
喫茶店のドアにつけられているベルが鳴る音である。
それはつまり、他の参加者が喫茶店に入ってきたことを示している。
急いでツインネッギを手に取り、入り口を見やる。
そこに立っていたのは、何やら物騒な砲台を従えた一人の少女だった。


「ここに入って行くのが見えたから後をつけさせてもらったわ。私は巴マミ。
 あなたは?」
「鏡音……リン……です」
「そう、鏡音さんというのね。……鏡音さん、単刀直入に聞かせてもらうわ。
 ……あなたはこの殺し合いに乗っている? それとも乗っていない?
 答えによっては、こちらもそれなりの対応をさせてもらうわ」

入って来た少女――巴マミはリンを見据えて問い掛ける。

「乗っていません! 私はお兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に生きて帰りたいから……」

その問いに対して、リンは即答する。
心は決まっている。大切な家族がいるのに殺し合いに乗るなんて選択肢は、リンには端から存在していなかった。

リンの言葉に頷き、マミは再度問い掛ける。
今マミが見据えているのはリンではなく、リンが身につけている衣服だった。

「そう……なら、その服に付いた血は何かしら?」
「これは、最初に殺されたあの人の……」

その光景を思い出したのだろうか、リンの言葉はどこか震えていた。

「そう……鏡音さん、疑うようなことを言って悪かったわね。ごめんなさい」

リンの答えに満足したのか、マミは笑みを見せる。

「いえ……この状況では仕方ないですし……」
「そう言ってもらえると助かるわ」
「あの、巴さんもこの殺し合いには乗ってないんですよね?」

不安げにリンが尋ねる。
既にマミは砲台をおろしていたが、それでも実際に聞くまでは安心できない。

「ええ、もちろんよ。あの魔女を倒すために私は仲間を集めるつもりなの。
 ……それに、友達も連れて来られているみたいだしね」
「魔女……ってなんですか?」
「ああ、ごめんなさい。……そうね、本当はあまり一般人に教えるべきではないんだけど、この状況じゃそうも言ってられないわよね。
 ちょっと長くなっちゃうかもしれないけど、教えるわ。
 魔女、そして私たち魔法少女について――」


(魔法少女かぁ……そんな人たちがいたんだ……)
マミの話が終わった後、お互いの情報交換をしたリンとマミ。
リンはマミの語った話を思い出していた。
ちなみなマミは、
「ちょっと店内を見てくるわ」
と言って店の奥へ入っていってしまった。
希望を振りまく魔法少女と絶望を撒き散らす魔女。
にわかには信じがたい話だったが、マミが魔法少女の力の源であるソウルジェムを見せ、さらには変身の実演までしてくれたので、信じざるを得なかった。

「鏡音さん、お待たせ」
「あ、巴さん、おかえりなさい。……それは?」

その時、マミが戻ってきた。
その手には、トレイを持っている。

「マミでいいわ。……店の奥で見つけたの。一緒に食べましょう?」
「だったら私もリンでいいです……って、わあああ!!」

テーブルの上にお盆が置かれる。
その上に乗っていたのは、いくつかのケーキと紅茶だった。

「これから動き回ることになるだろうし、甘い物を食べて疲れを癒していこうかと思ったの。
 リンさんはケーキ大丈夫?」
「はい、大好きです!」
「良かった。まだ冷蔵庫の中にいっぱいあったから、おかわりしても大丈夫よ?」
「もうっ、そんなに食べられないですって!」

殺し合いの中とは思えない、平和な時間が過ぎていく。
無論、それはいつまでも続くものではない。
彼女たちも、それは十分理解している。
理解しているからこそ、彼女たちは今を楽しもうとしているのだ。
願わくは、少女たちの小さなお茶会が、少しでも長く続きますように。

(私も魔法少女になれたら、あの魔女と戦えるのかな……)

彼女が契約するような事態が、少女たちの身に起きませんように。


【一日目・日中/中野区 喫茶店店内】
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、ソウルジェム残魔力100%
[装備]:魔法銃二丁、砲台一門
[道具]:支給品一式、ソウルジェム
[思考]
基本:仲間を集め、触手の魔女(禍神)を倒す。
1:リンと行動を共にする。
2:慎重に行動し、魔力の消費、無駄な戦闘を極力控える。
3:殺し合いには乗らないが、危険だと判断した人物は撃つ。
4:キュゥべえを探す
【備考】
※リンと情報交換をしました。
リンの家族についての情報を得ました。

【個人制限及び特殊体質】
については、『黒い子は火薬、黄色い子は魔砲』を参照。



【鏡音リン@VOCALOID
【状態】:健康、一部にブロリーの返り血
【装備】:ツインネッギ
【道具】:基本支給品一式、ヴォーパルソード、グラットンソード
【思考】
基本:家族と共に生還する
1:マミと行動を共にする。
2:打倒主催者思考の参加者を探し、協力する
3:家族が心配
4:首輪の無効化方法を知りたい
5:魔法少女かぁ……
【備考】
※マミと情報交換をしました
キュゥべえの情報と、マミが知るかぎりでの魔女と魔法少女の情報を得ました

027:オーガ、吠える 投下順に読む 029:異なる価値観
027:オーガ、吠える 時系列順に読む 029:異なる価値観
003:黒い子は火薬、黄色い子は魔砲 巴マミ 036:守る、その意味
012:少女の旅にフランベルジュはいらない 鏡音リン 036:守る、その意味

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