「さあ今回は街中レースですよ。どうせですから一般参加者として>>1から>>449までの方々に来て頂きました」
会場には特別に招かれたスレ住人達がわらわらと詰め込まれていた。
「なお今回の車両製造を含め、技術提供と解説を河童のにとりさんにお願いしています」
「今回は腕がなりますね」
「今回は腕がなりますね」
「あのー、身動きが取れないほどにぎゅうぎゅうの状態でどうレースをすればいいんですか?」
キスメから至極もっともな疑問が飛び出す。
「そこを考えるのがこのレースの肝なのですよ。能力使用、妨害、姑息な手。なんでもありのデスマッチレース! 心が躍りますね」
(ヤバイ、目が笑ってない……ストレス溜まってる?)
「さあ咲夜、いくわよこの華麗なるレミサク号で!」
あくまでレミリアはマイペース。
「さあ全選手スタートにつきましたね? ではスタート!」
こうして参加数502人の大レースがとうとう始まってしまったのであった。
「これはどうしたことでしょう、レミサク号周辺の車両が次々とクラッシュ! しかもレミサク号の進路は一切塞がない。なんという理不尽!」
「この私の運命操作があるだけでも勝負はついているわね。しかし完璧な勝利こそが、この私にふさわしいわ……咲夜!」
「お任せ下さい」
「お任せ下さい」
「今度は……なんと他の車両の速度が急激にダウン! 解説のにとりさん、これはどういうことでしょう」
「恐らくは車両周辺の空間が拡張されているものと思われます。つまり私たち観測者にとっては10メートルしか進んでないように見えても、彼ら自身にとっては100メートルの距離を進まねばならないのです。しかし人や車両とかの『物質』は引き伸ばされずに『距離だけ』が引き伸ばされるとは、いったいどのような理論で……?」
「やはり理不尽なことには変わりないみたいですね。さて、キスメ選手の方も見てみましょう、……未だスタートラインにいますね。」
「クラッシュ車両の残骸に囲まれて身動きできないようですね。これはひどすぎる」
「一方独走態勢で走るレミサク号……必要もないのに街角ドリフトとか決めてますね。あ、コースアウト」
ギャン! と車輪を空転させながらレミサク号が民家に踊りこむ。
「あははははは、最短ルート一直線! 私たちの前に敵はいないわ」
「あのお嬢様、少し自重なされた方が」
「大丈夫よ、この車両は特別にパチェに再改造してもらったんだから隕石が落ちたって無傷よ」
「……お嬢様がそう言われるのであれば」
その後もレミサク号は進路にある障害物を次々と破砕しながら進み、ゴールゲートを1位でくぐった。
「レミリアさん」
「なによ映姫、まさか能力とか改造のこと? このレースはなんでもアリなんでしょ、よもや文句はないでしょうね」
「いえいえ、レースはあなた方の勝利ですよ。しかし事後処理がありまして、これをどうぞ」
「なにこの紙切れ?」
「お、お嬢様……クラッシュさせたスレ住人の治療費や器物破損など、諸々の請求書です!」
「あと当然ながらコース外では一般交通ルールを守らなければならなかったのですが……ということで交通法規違反で逮捕させて頂きます」
「そっ、そんな……ッ!」
結果:咲夜&レミリアの圧倒的勝利