――霧の湖の岸
「残念ながら今回のジャッジ、土曜日ではありませんが……
ともかく請われた以上は行うのが空気というもの。
お二人とも、用意はよろしいでしょうか」
「それより寒いんですけど」
「出来れば船の上の方がいいんですが……」
ともかく請われた以上は行うのが空気というもの。
お二人とも、用意はよろしいでしょうか」
「それより寒いんですけど」
「出来れば船の上の方がいいんですが……」
文句をつける二人をスルーして、衣玖はきらりとスキルカードを掲げた。
「水得の龍魚Lv1」
ポーズをつけながらステップを踏む衣玖。
それについていく二人。それをしばらく続けた後、衣玖は二枚目を取り出す。
それについていく二人。それをしばらく続けた後、衣玖は二枚目を取り出す。
「水得の龍魚Lv2」
「は、速い……!」
「は、速い……!」
加速した衣玖の動きに、村紗は慌てて自分の足を速めた。
思わず文を見やる。そこには一切の乱れもない。バスタオルすら。
風を操る能力で、バスタオルが捲れ上がることは決してないのだ。
思わず文を見やる。そこには一切の乱れもない。バスタオルすら。
風を操る能力で、バスタオルが捲れ上がることは決してないのだ。
「水得の龍魚Lv3!」
更に加速する衣玖。しっかりついていく文。村紗の息は切れかけている。
もう駄目だ、ついていけない。そう思い始めた村紗の耳に、衣玖の言葉が届いた。
もう駄目だ、ついていけない。そう思い始めた村紗の耳に、衣玖の言葉が届いた。
「激流に身を任せ同化する――水得の龍魚レベルマックス! 」
「……激流」
「……激流」
その言葉を聴いて、村紗は足を止めた。
そのままじっと湖を見つめている彼女に声をかける衣玖。
そのままじっと湖を見つめている彼女に声をかける衣玖。
「足を止めてどうしたのですか? 諦めましたか」
「待って下さい、今準備しているところ」
「準備?」
「激流なら私の十八番です。湖で水難事故が起こるような激流を起こします」
「……で、その水難事故は踊る上で何のメリットがあるとお考えですか?」
「はい。船を沈められます」
「いえ、踊りには船は関係ありませんよね」
「でも、戦艦大和にも勝てるかもしれませんよ」
「聞いてません。帰って下さい」
「あれあれ?怒らせていいんですか? 使いますよ。水難事故を引き起こす程度の能力」
「いいですよ。使って下さい。能力とやらを。それで満足したら帰って下さい」
「運がよかったな。この湖には船がないみたいだ」
「帰れよ」
「待って下さい、今準備しているところ」
「準備?」
「激流なら私の十八番です。湖で水難事故が起こるような激流を起こします」
「……で、その水難事故は踊る上で何のメリットがあるとお考えですか?」
「はい。船を沈められます」
「いえ、踊りには船は関係ありませんよね」
「でも、戦艦大和にも勝てるかもしれませんよ」
「聞いてません。帰って下さい」
「あれあれ?怒らせていいんですか? 使いますよ。水難事故を引き起こす程度の能力」
「いいですよ。使って下さい。能力とやらを。それで満足したら帰って下さい」
「運がよかったな。この湖には船がないみたいだ」
「帰れよ」
結果:文の勝ち