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33スレ第11戦

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狐は元々肉食獣だ。そして肉食獣の歯は元々、肉を噛み潰すのではなく噛み切ることに長けている。
つまりどういうことかというと、多少大きな肉の塊でも、問題なく飲み込める構造の口を持っているのである。
しかも藍は九尾の狐。その本性は、四足で立っても大の大人を見下ろせそうなほどに巨大な狐なのだ。

藍「橙は見てるだけでいいからね、私が全部食べつくしてあげるから」
橙「(ガクガクブルブル)」←本性を現した藍の溢れ出る妖力に気圧されて身動きが取れない。
藍「おお、感動で声も出ないか。よしよし、私も頑張らないとね」

橙の分まで頑張る藍。だが、藍は毛ほども油断してはいない。
何せ、相手はあの八雲紫。妖怪の中でも随一の賢人にして、自らの主。
そう、何かやってくるはずだ……藍たちでは想像もつかないような、起死回生の一手を……!



紫「ちょ、何この無理ゲー」

紫は途方に暮れていた。こっそりと身を隠し、スキマごしに藍の食べっぷりを目の当たりにしていた。
だが、紫にはわかる。藍が紫の出番を心待ちにしていることを。
これであっさりギブアップでもしてみろ。藍にがっかりされてしまう。
それはもう、千年の恋も一瞬にして冷めたといわんばかりに、落胆されてしまう。
紫は考えた。考えに考えた。そして……これしかない、という手を一つ思いついた。



藍「ふう、食べた食べた……しかし、紫様はまだ姿を現さないのか……」

さて藍はというと、満腹という段階になって、体をいつもの人型へと戻していた。
その藍の前に、紫がようやく姿を現す。

紫「待たせたわね、藍」
藍「ああ、来ましたか紫様。しかし……私に勝つ方法、本当にあるのですか? 私は既に、二百さんじゅう――」
紫「別に言わなくてもいいわ。私の勝ちは決定しているのだから」
藍「ほう……? 面白いですね。それでは見せていただきましょうか」

言われて紫、一つの餅を手に取り、口に放り込む。
もにゅもにゅ、とかなり苦戦してはいたが、妖怪の気合と根性でがんばって、何とか一個、餅の丸飲みに成功する。

紫「うっぷ……やっぱり餅は噛んで食べるものね、何か喉の奥でつっかえてる感じがして気持ち悪いわ」
藍「……? 普通の大食いで、私に敵うつもりですか?」
紫「いいえ、普通に食べるのはこの一つで十分なの」
藍「どういうことです?」
紫「藍、式としてのあなたに命令します。妖術で体を変質させ、幽体におなりなさい」
藍「なっ!」
紫「藍、どうしたの? 主の命令が聞けないの?」
藍「むっ、う、くっ……、か、かしこまりました、紫様」

命じられた藍、たちまち妖怪変化の術を使い、自らの体を薄く透明な、気体のような体に変じる。
紫はそれを満足そうに見つめ、藍におもむろに近寄り――すうっと、一息で吸い込んだ。
紫の口の中に、たちまちに吸い込まれていく藍。明らかに紫の内臓より大きな藍の体は、すっかり紫の口の中へと消えてしまった。

紫「『そういうお前をわしゃ食った』――これで私の勝ちね」
映姫「ちょ、ちょっと待ちなさい! この勝負は「餅の大食い、方法は丸呑み限定」ですよ! それは丸呑みじゃないでしょう!?」
紫「どうして? 私はちゃんと、たくさんのお餅を呑んだ藍の体を丸呑みにしたじゃない」
映姫「しかし、その藍の体を呑む際、呑みやすいよう藍の体を加工しました! これを丸呑みと言いますか!」
紫「では閻魔様、藍が体を獣の姿から元の人型へと戻したのは、「餅の加工」に当たるでしょうか?」
映姫「は、はぁ??」
紫「藍のあの細いウェストに、何百ものお餅が入るわけがないじゃない。
  ならば、藍が姿を戻したとき、あのたくさん呑んだお餅はどこに消えたのか?
  答えは『消化された』。藍が獣の姿であった時点では、確かに藍のおなかには大量のお餅があった。
  そして藍が姿を戻した瞬間、それらのお餅は『藍が餅を食べた』という藍の認識する現実が通用するよう、藍の妖力によって消化されたのです。
  つまり、藍が獣型から人型へと姿を戻すことは、『消化を助ける行為』!
  私の『藍の変化による』『消化を助ける行為』を『大食いのための餅の加工』とするならば、
  藍の『藍の変化による』『消化を助ける行為』もまた『餅の加工』と認定されなければおかしいでしょう!」
映姫「む、む、ぬぅ? そ、そう言われてみれば……うう……」
紫「つまり、ジャッジは?」
映姫「ぐうう……白、白です。丸呑みと認めます」

橙「……まだだ、私がお餅を二つ以上丸呑みすれば、合計で私たちの……」
紫「無駄なことはやめておきなさい、橙」
橙「!?」
紫「確かに貴女には、藍のような高度な変化術は使えないから、命じて幽体化させることはできない……
  だけど、貴女程度になら、私がじきじきに術をかけることはできるわ。
  ミクロ単位に小さくするも良し、藍と同じように幽体にするも良し……そういうことよ」
橙「……すいませんでした、紫様。ギブアップします」
紫「よろしい」


というわけで今回の勝負、八雲紫の勝利!


紫「主と式の境界、私と藍の境界を操作して……はいっと」
藍「戻ってこれた……全く、ひどい目に遭いました」
紫「あらあら、私のおなかの中ってそんなにひどいのかしら?」
藍「そういう問題ではなく……しかしまあ、紫様もやってくれますね」
紫「ふふ、我ながらよく出来た作戦だとは思ったわ」
藍「よく出来た、ですか……にしては、賭けの要素が強くなかったですか?」
紫「ななな、何のことかしら?」
藍「閻魔の説得、あれ、詭弁もいいとこじゃないですか。
  私が自分の姿に戻ることと、紫様が食べる対象である私に変化を命じるのとでは、意味合いが全く違います。
  閻魔がこの論理にうなずくかどうかは四分六分で不利なほうでした……紫様は、持ち前の迫力とその場の勢いで乗り切ったようですが」
紫「ぎくぎく」
藍「さらに橙の説得。紫様、橙を幽体化させることも小型化させることもできないでしょう?
  いや、もしかしたら出来るかも知れませんけど、その橙を飲み込んで、さらに飲み込んだ橙を元に戻す、そこまでは不可能です。
  自分から幽体化した私の場合とはわけが違いますからね。
  全く、素直に言うことを聞いてくれた橙に感謝、というところですか」
紫「何よー、結局勝ったんだからいいじゃないの。計算通り、万歳万歳万々歳よ」
藍「はいはい、まったく……」
























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