東映怪人怪獣大百科シリーズ


ジャンル 再編集作品シリーズ
メーカー 東映ビデオ
メディア VHS
発売年月 1985~86年
収録時間 60分
巻数 全5巻
ポイント シリーズを超えて特撮作品を総体的に扱った初のシリーズ
マニアックな作品セレクト
激レア映像も多数収録
ナレーションにはそれぞれの作品と縁の深い男性キャスト2名が起用
東映特撮作品関連
仮面ライダーシリーズ
スーパー戦隊シリーズ

概要

ビデオ時代が本格化しつつあった1985年9月~86年1月にかけて、東映ビデオが、すでに30年近い膨大な特撮作品のフィルムの歴史を生かすため、怪人・怪獣をテーマに打ち出した、全5巻のシリーズ。
各巻、それぞれの特性に見合った作品群の怪獣・怪人・ドラマの見所を取り上げるとともに、ナレーションに各作品になじみの深い男性俳優・声優を2名ずつ起用しており、各氏の絶妙な掛け合いがまた濃い印象を残すシリーズである。
本シリーズでは、メジャー級作品からマイナー作品まで、モノクロ・カラー、テレビ・映画を問わず、多彩な作品が収録されており、特番『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』までの1950~80年代初頭までの東映特撮作品のほぼ全般が取り扱われている*1
なお、後年、同じ東映ビデオから発売された東映特撮を代表する怪人を取り上げた『東映怪人大図鑑』とはまったくの無関係である。

ラインナップ一覧

タイトル 発売年月 ナレーション 備考
妖怪篇 1985/9 潮健児
牧冬吉
『悪魔くん*2』のメフィスト(弟)と、『河童の三平 妖怪大作戦』の六兵衛が、妖怪たちについて紹介
ロボット篇 1985/10 団次郎*3
伴直弥*4
『ロボット8ちゃん』の青井博士と、『人造人間キカイダー』のジローが、ロボットたちについて紹介
怪獣篇 1985/11 安藤三男*5
飯塚昭三
汐路章*6
『ジャイアントロボ』のドクトル・オーヴァと、『超人バロム・1』のドルゲが、怪獣(怪獣型の怪人含めて)たちについて紹介
忍者篇 1985/12 坂口徹郎*7
汐路章
『仮面の忍者 赤影』の赤影と魔風雷丸が、忍者たちについて紹介
怪人篇 1986/1 天本英世
柴田秀勝
仮面ライダーシリーズの死神博士とジェネラルシャドウが、怪人たちについて紹介
  • ナレーションを担当するキャスト各氏は、水木しげる氏原作作品つながりの妖怪篇、間逆な作風の石ノ森作品からのロボット篇、作者違いの怪獣篇、同一作品からの忍者篇、そして同一シリーズの別作品からの怪人篇という具合に、個性的な面々を取り揃えている。
    • なお、ロボット篇を担当していた団・伴両氏は、どちらもナレーション担当では最若手の部類に入る30代*8であった。


各巻ごとの概要


妖怪篇

メフィストと六兵衛が進行役として、『悪魔くん』、『妖怪大作戦』両作品をメインに、あらゆる東映特撮の妖怪キャラの魅力を紹介。
それ以外では『変身忍者 嵐(西洋妖怪関連)』、『アクマイザー3』&『超神ビビューン』関連の映像が目立っている。
また、潮・牧両氏が演じたキャラをピックアップするコーナーも設けられているが、潮氏の場合、メジャーな仮面ライダーシリーズの地獄大使&暗闇大使や、メフィスト以外で数少ないヒーロー側の『忍者キャプター』の袋三郎兵衛(雷忍キャプター1)はなぜか未紹介である。
巻末映像として、女性妖怪キャラをピックアップした『妖怪美人コンテスト』、『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』内の映像から『悪魔くん』登場のモルゴン対化石人ショーの映像が収録されており、特に前者は『スパイダーマン(東映版)』のへび女魔女猿まで取り上げられているマニアックぶりである*9

ロボット篇

ジローと青井博士が進行役として、等身大、巨大、シリアス、コミカルを問わず、善悪バラエティ豊かなロボットの魅力を紹介。
『キカイダー』2作品および、『宇宙鉄人キョーダイン』、『大鉄人17』は独立したコーナーで紹介されているが、それ以外にも同じロボット作品の『ジャイアントロボ』、『ロボット刑事』、ロボットコメディ作品はもちろん、敵がロボット怪人の『イナズマンF』、『ジャッカー電撃隊』からの映像も多く取り上げられている。
巻末映像として、代表的な博士キャラを紹介する『ロボット博士グラフィティ』、東映まんがまつりで上映された『冒険ファミリー ここは惑星0番地』&『大鉄人17』のパイロット版の映像が収録されている。

怪獣篇

ドクトル・オーヴァとドルゲが進行役として、巨大怪獣はもちろん、怪獣タイプの怪人についても紹介。
もっとも、怪獣の頭数が足りない関係からか、ドルゲ魔人も怪獣扱いとして紹介されている。
メイン扱いとなる『Gロボ』と『バロム・1』はもちろんながら、60年代の代表的な作品である『赤影』、『キャプテンウルトラ』の両作品についても、それなりの尺で取り上げられており、1977年公開の映画『恐竜・怪鳥の伝説』まで取り上げられている。
なお、『赤影』の魔風忍群の六大怪獣を紹介するパートにおいて、一言のみだが、次巻の忍者篇に先駆けて雷丸が友情出演し、ドルゲの名前を発するクロスオーバーネタがあり、直後に流れる『Gロボ』のイカゲラスのシーンでも、ドクトル・オーヴァが雷丸の名前を発している
巻末映像として、安藤・飯塚両氏が演じた悪役キャラの紹介および、東映特撮映画3タイトルの予告映像*10が収録されている。

忍者篇

赤影と雷丸が進行役として、東映特撮の忍者キャラについて紹介。
『赤影』はもちろんだが、同じ忍者モチーフの『嵐』や『キャプター』に関する尺も多い。
巻末には、東映特撮時代劇映画2タイトル*11および、『赤影』の海外吹き替え版の映像が2カット収録されている。

怪人篇

死神博士とジェネラルシャドウが進行役として、多種多様な怪人たちの魅力を紹介したシリーズ最終巻。
ライダーシリーズ以外では、主に『イナズマン』、『ザ・カゲスター』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『バトルフィーバーJ』関連の映像が多い。
最終巻らしく、代表的な作品のアイキャッチパート*12や、1950年代後半~60年代前半の作品の紹介*13、正統派怪人→妖怪→ロボット→巨大怪獣→宇宙人関連の順で系統ごとに分類された歴代組織の紹介*14、『快傑ズバット』の用心棒対決集が盛り込まれており、OP以外で映像が視聴できる唯一のソフトとなるモノクロコメディドラマ『怪盗ラレロ』のシーンも収録されている。
巻末には代表的な戦闘員を紹介する『戦闘員グラフィティ』に加え、60年代中期のモノクロ特撮ドラマの2タイトル『スパイキャッチャーJ3』&『アタック拳』のダイジェストシーンが収録されている。

余談

  • 各巻共通のOP映像では『電子戦隊デンジマン』の映像カット*15が使用されているが、本編ではデンジマン関連の映像はサンバルカン以前の戦隊シリーズで唯一、一切未紹介である。
  • 各巻とも、巻末には上記の巻ごとの巻末映像に加え、シリーズ各巻の紹介映像があるが、それぞれの映像とBGMおよび、収録順が巻ごとに異なっている。
    • BGMは基本的にフリーBGMが使われているが、一部は実際の作品の劇伴も使われている。

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最終更新:2025年09月04日 20:40

*1 ただし、戦隊シリーズは『太陽戦隊サンバルカン』、不思議コメディシリーズは『バッテンロボ丸』までの作品のみの紹介であり、メタルヒーローシリーズについては一切紹介されていない。

*2 1966年の実写テレビドラマ版。

*3 のちに団時朗に改名。

*4 旧芸名および現芸名:伴大介。

*5 公式で確認できる最後の出演作品。

*6 一言のみの友情出演扱い。ジャケットに表記なし。

*7 旧芸名:坂口祐三郎。

*8 団氏は当時36歳、伴氏は当時38歳。

*9 なお、同作が取り上げられたのは本巻のみであり、以降の巻には一切未紹介となった。

*10 モノクロ作品の『宇宙快速船』、『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』、カラー作品の『海底大戦争(海外版)』の3タイトル。

*11 どちらもカラー作品の『大忍術映画 ワタリ』、『里見八犬傳(1959年公開の映画)』の2タイトル。

*12 ただし、BGMは差し替えられており、複数の作品がつながる構成となっている。

*13 『ナショナルキッド』、『アラーの使者』、『七色仮面』、『月光仮面(東映制作の劇場版シリーズ)』の各作品。唯一、フィルムが現存している#1以外で、アラーの使者の本編映像が収録されているのは、本作および、『東映100大ヒーロー スーパーファイト』のみである。

*14 ライダーシリーズの組織に関しては、ラストで独立して紹介されている。

*15 マシンで出動するデンジマンの面々とそびえ立つダイデンジン、飛行するデンジタイガーのシーン。