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「わざわざありがと、父さん」
「いいんだよジェネシス、お父さん今日はなんもやることないし」
「...」
「こうして会うのはあの決勝の日以来だったかな?」
「父さん、私日本語の会話忘れちゃった。」
「いいんだよジェネシス、お父さん今日はなんもやることないし」
「...」
「こうして会うのはあの決勝の日以来だったかな?」
「父さん、私日本語の会話忘れちゃった。」
「そんなんで日本トレセンでやっていけるのか?」
「いや、それはどうだろまだ半年猶予があるから...日本語学びなおさなきゃ。」
「いや、それはどうだろまだ半年猶予があるから...日本語学びなおさなきゃ。」
雨が降りしきる秋のハイウェイを走る車の中
とんでもなく微妙な空気感がたちこめる。
とんでもなく微妙な空気感がたちこめる。
私の名前はヌーベルジェネシス。
ひょんなことから一度は捨てた日本に帰ってきたウマ娘です。
ひょんなことから一度は捨てた日本に帰ってきたウマ娘です。
私は幼稚園当時の頃は他より物が出来なく、園の仲間から悪気のない純粋な迫害を受けていたそうです。
登園を渋り、落ち着きのなくなった私は父さんのツテでアメリカに留学し、
年の割には異例のホームステイ生活を小学校時代からしていました。
アメリカの空気感は見事なまでに私に合っていて
急速に心を開いた私はいろんなことにチャレンジし成果を出し
命知らずのブレイン兼サイドキックスとしての地位を確固たるものとしていました。
登園を渋り、落ち着きのなくなった私は父さんのツテでアメリカに留学し、
年の割には異例のホームステイ生活を小学校時代からしていました。
アメリカの空気感は見事なまでに私に合っていて
急速に心を開いた私はいろんなことにチャレンジし成果を出し
命知らずのブレイン兼サイドキックスとしての地位を確固たるものとしていました。
帰ってきた理由はケガで野球が出来なくなったから。
私が出した成果で一番誇れるものが
リベルタメモリアル,ホーシーズチャンピオンシップで獲ったミドル級盗塁王と最優秀フィールダー。
他人種にフィジカルで劣っても、アジアンの繊細な体からしか繰り出せぬ
技のあるプレーや足で貢献でき、喝采をもらえる野球はいちばん楽しかった。
でも私は、闘志を燃やし尽くしたLHC大会での決勝戦のプレーで手首を負傷。
チームは敗北、私は送球の正確性を失い、もう野球では最前線に立てなくなってしまった。
リベルタメモリアル,ホーシーズチャンピオンシップで獲ったミドル級盗塁王と最優秀フィールダー。
他人種にフィジカルで劣っても、アジアンの繊細な体からしか繰り出せぬ
技のあるプレーや足で貢献でき、喝采をもらえる野球はいちばん楽しかった。
でも私は、闘志を燃やし尽くしたLHC大会での決勝戦のプレーで手首を負傷。
チームは敗北、私は送球の正確性を失い、もう野球では最前線に立てなくなってしまった。
何か熱中できることのないとすぐ活力をなくす私は
ウマ娘の本懐たるレースに救いを求め、ここ日本に帰ってきたのです...
ウマ娘の本懐たるレースに救いを求め、ここ日本に帰ってきたのです...
「ん...ぐぐぐ さあ着いたぞジェネシス、久しぶりの我が家はどうだ?」
「運転お疲れっす。ってか、私のいたころと全然違うじゃん」
「運転お疲れっす。ってか、私のいたころと全然違うじゃん」
ここ二子玉川のマイホーム、私がいたころの面影が全くない。
お隣さんも人が変わったのか、すごく豪華な建物が建ってる。
お隣さんも人が変わったのか、すごく豪華な建物が建ってる。
「ぼさっと立ってないで早く自分の荷物おろすの手伝ってくれよ。ウマ娘のほうが力強いんだから。」
「家が雰囲気変わりすぎてて呆然としただけだっつの。」
「家が雰囲気変わりすぎてて呆然としただけだっつの。」
内装もとんでもなく変わっている。というか体感家がすごく広い。
「ねね、この家こんな広かったっけ?」
「ん、まあ昔はお前とお前の姉ちゃんたちで賑わってはいたけど、
もうみんな巣立っていなくなったからじゃないか?
お母さんも、結構終業時間まで遅いし、基本トレセン泊だしな...」
「そゆことね...母さんは今も元気にあそこに勤めてるの?」
「そうだぞ、まあマーチャ...お母さんにとってはあそこが天職だと父さんは思う。」
「ん、まあ昔はお前とお前の姉ちゃんたちで賑わってはいたけど、
もうみんな巣立っていなくなったからじゃないか?
お母さんも、結構終業時間まで遅いし、基本トレセン泊だしな...」
「そゆことね...母さんは今も元気にあそこに勤めてるの?」
「そうだぞ、まあマーチャ...お母さんにとってはあそこが天職だと父さんは思う。」
我が家のお母さんの名はアストンマーチャン。
スプリンターズステークスを獲ったけどケガに悩んで引退した、一応名ウマ娘らしい。
お父さんがトレーナーだったころから何かと人に覚えてもらうことに喜びを感じているらしく、
今はおばあちゃんの稼業と、同時にいろんな人の心に残るというモットーを両立でき、
何より自分のようにケガに泣くウマ娘を見たくないという気持ち一心で
日本トレセン学園の保健室教諭を立派に勤めあげているらしい。
スプリンターズステークスを獲ったけどケガに悩んで引退した、一応名ウマ娘らしい。
お父さんがトレーナーだったころから何かと人に覚えてもらうことに喜びを感じているらしく、
今はおばあちゃんの稼業と、同時にいろんな人の心に残るというモットーを両立でき、
何より自分のようにケガに泣くウマ娘を見たくないという気持ち一心で
日本トレセン学園の保健室教諭を立派に勤めあげているらしい。
「ぐえー...荷物降ろし終わったらマジで暇だ。時差で寝ることすら出来やせん」
カウチに顔をうずめながら足をバタバタさせ、あることないこと考えてみる。
「丁度いい、これまでのことこれからのこと、一度考える時間を設けなきゃ。」
カウチに顔をうずめながら足をバタバタさせ、あることないこと考えてみる。
「丁度いい、これまでのことこれからのこと、一度考える時間を設けなきゃ。」
「...い」
「おーい、もしもーし」
「ぐ、父さんごめん、ぼ~としてた。」
「ジェネシス今腹減ってるか?日本時間ではそろそろ夕食の時間だけど。」
「うーん、機内食食べちゃったから軽めでお願いするよ」
「おーい、もしもーし」
「ぐ、父さんごめん、ぼ~としてた。」
「ジェネシス今腹減ってるか?日本時間ではそろそろ夕食の時間だけど。」
「うーん、機内食食べちゃったから軽めでお願いするよ」
薄い、味が。
日本の味付けがここまで薄かった記憶はないのだが。
向こうの食に慣れすぎたのか?
「父さん、こんなに家の料理味薄かったっけ?」
「まあ若干薄めだな。これから半年は体を整えるために栄養の管理された食事を採ってもらうぞ。」
「はいはい御父上の仰せのままに...」
(食ってる気しねえなこれ...)
「そういえばジェネシス、家の隣見たか?」
「まあうん、私の記憶のお隣さんの家と明らかに違った。小ブルジョアでも越してきたの?」
「小ブルジョアだかなんだかはいい、食ったら行くぞ。」
「え、あいさつにでも行くの?お隣さんそんなに要人なんだ?」
「...詳細はお楽しみ。」
こっちは疲れてるってのに。めんどくさい父だ。
日本の味付けがここまで薄かった記憶はないのだが。
向こうの食に慣れすぎたのか?
「父さん、こんなに家の料理味薄かったっけ?」
「まあ若干薄めだな。これから半年は体を整えるために栄養の管理された食事を採ってもらうぞ。」
「はいはい御父上の仰せのままに...」
(食ってる気しねえなこれ...)
「そういえばジェネシス、家の隣見たか?」
「まあうん、私の記憶のお隣さんの家と明らかに違った。小ブルジョアでも越してきたの?」
「小ブルジョアだかなんだかはいい、食ったら行くぞ。」
「え、あいさつにでも行くの?お隣さんそんなに要人なんだ?」
「...詳細はお楽しみ。」
こっちは疲れてるってのに。めんどくさい父だ。
「ふう食った食った。ささ、行くぞ。」
「ちょっと待ってって、人へのあいさつにこんな服じゃさすがに無礼でしょ!
"なにわのサイクロプス"とか書かれたTシャツきて訪問しちゃあお笑いもいいとこだよ。」
「いや、今は閉まってるから人はいないぞ。」
は?
閉まってるとはなんだ?
「意味わかんねぇよ、いい加減何なのか教えてって!」
「知りたければとにかくついて来い。」
教えてくれりゃあいいのに、父は何を考えてるんだか。
「ちょっと待ってって、人へのあいさつにこんな服じゃさすがに無礼でしょ!
"なにわのサイクロプス"とか書かれたTシャツきて訪問しちゃあお笑いもいいとこだよ。」
「いや、今は閉まってるから人はいないぞ。」
は?
閉まってるとはなんだ?
「意味わかんねぇよ、いい加減何なのか教えてって!」
「知りたければとにかくついて来い。」
教えてくれりゃあいいのに、父は何を考えてるんだか。
「うーわ。近くで見ると余計豪勢だ。結局ここは何なのさ。」
「ジェネシス...そこの金色の表札を見てみろ。」
「ジェネシス...そこの金色の表札を見てみろ。」
見た瞬間、とても目を疑った。
「...は。なんだよ
アストンマーチャン記念館って...って父さん!ついには母さんの記念館まで作ったのかよ!?」
「へへ...まあな...」
「まじで、これ東アジア圏一の愛妻家名乗ってもいいレベルだよ父さん、かえって呆れた。」
「...は。なんだよ
アストンマーチャン記念館って...って父さん!ついには母さんの記念館まで作ったのかよ!?」
「へへ...まあな...」
「まじで、これ東アジア圏一の愛妻家名乗ってもいいレベルだよ父さん、かえって呆れた。」
父さんは母さんのトレーナー時代からとてつもなく母さんを大事にし、尽したと聞いている。
でもここまでくるとどう考えても母さん依存症レベルだろう。
でもここまでくるとどう考えても母さん依存症レベルだろう。
[...しかしアストンマーチャン逃げ切った!勝ったのは7番アストンマーチャン!見事な逃げっぷり!]
すごい。内装も洗礼されていれば本格的な映像展示も。
1つ1つの優勝レイのために照明配置までこだわっている。
家の隣に作ったのは防犯上問題しか感じないが、
ここまでしてもらえるなんて、現役時代の母さんはどれだけ人を引き付けたのだろう。
1つ1つの優勝レイのために照明配置までこだわっている。
家の隣に作ったのは防犯上問題しか感じないが、
ここまでしてもらえるなんて、現役時代の母さんはどれだけ人を引き付けたのだろう。
「素晴らしかった。ここまでの資金、どうやって集めたの?まさか全部父さんの実費...」
「バカな!そんなことしたらいくらウチでも破産まっしぐらだっての!
...クラウドファンディングだよ、今でも母さんを覚えてくれている人からいっぱい支援があったさ。」
「そっか。それならお母さん余計にうれしいだろうな。」
「そうとも。」
「バカな!そんなことしたらいくらウチでも破産まっしぐらだっての!
...クラウドファンディングだよ、今でも母さんを覚えてくれている人からいっぱい支援があったさ。」
「そっか。それならお母さん余計にうれしいだろうな。」
「そうとも。」
「お前も皆の心に残るような走りができるといいな。」
皆の心に残るような走り...か
それがどんな走りかは今はまだ、よくわからないけど
せっかくなら私も皆の心に残るような走りがしたい。いつかは...必ず。
それがどんな走りかは今はまだ、よくわからないけど
せっかくなら私も皆の心に残るような走りがしたい。いつかは...必ず。
「母さんにできて私にできないはずがないよ。期待してて。」
「...いい返事だ。」
ああ、ようやく実感がわいてきた。
私が次に立つのはボールパークではなく、ターフなんだな。
「...いい返事だ。」
ああ、ようやく実感がわいてきた。
私が次に立つのはボールパークではなく、ターフなんだな。
「そろそろ帰るかジェネシス。」
「そうだね、なんかありがと父さん、いろいろ考えるきっかけになったよ」
「な、来てよかっただろ?」
すげー、出口にはでかマーチャン人形とのフォトスポットまでちゃっかりあるや。
「あの人形すごいね父さん、高くついたでしょアレ?」
「...あれは自作だ。それにあれはただの人形じゃない。
もうお役御免だからフォトスポットに再利用したが、あれはそもそも着ぐるみなんだ。」
「そうだね、なんかありがと父さん、いろいろ考えるきっかけになったよ」
「な、来てよかっただろ?」
すげー、出口にはでかマーチャン人形とのフォトスポットまでちゃっかりあるや。
「あの人形すごいね父さん、高くついたでしょアレ?」
「...あれは自作だ。それにあれはただの人形じゃない。
もうお役御免だからフォトスポットに再利用したが、あれはそもそも着ぐるみなんだ。」
WHAT THE HECK...
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