悪女の
罠に嵌められ、
恋愛脳も大満足なデラックスラブ盛りパフェを一緒に食べる羽目になった哀れな
インドア派男子。
その上、この策謀家は次なる策に打って出る。
「というわけで、はいラグナ。あ~ん♪」
「にゃぬっ?!」
「抜かったわ、まさかそんな禁じ手を……ッ」
騒めき立つ
恋敵を始め、周囲に見せつけるように掬い取ったイチゴを小悪魔の笑みを浮かべながら差し出してきたのだ。
余裕綽々のその表情に、ちょっとした反骨心と悪戯心が沸いたので――。
「じゃあ遠慮なく―――。愛情たっぷりだ。召し上がりませ、お嬢様」
「んむっ!?むぐぅ……っ」
にやついていたセシルの口へ逆にイチゴを掬い取ったスプーンを咥えさせた。想定外の不意打ちをもらったセシルは無防備のままパフェを咀嚼し、飲み込む。
だが、終焉吼竜の反撃は終わらない。手管を見切った畜生宜しく女の弱点を更に攻め立てる。
「相変わらず逆に攻められると弱いよな、セシルは。不意を打たれると可愛い顔も出来るじゃないか」
「なっ、なっ、なっ、~~~~!」
たった今食べたイチゴのように頬を染めるセシルは普段の敏腕駐在官としての顔ではなく、拗ねた子猫のような愛らしい女の子の顔をしていた。
「狡いわ、ラグナ。こんな、いきなり……」
「先に仕掛けたのはそっちが先だろ。自業自得だ、観念してくれ」
「だからってこんな……。うわ、心臓バクバク。ちょっとやばすぎ。止まっちゃったらどうするのよ」
知らんとばかりに、雛へ餌付けする感覚でせっせと掬っては運ぶと、観念したのかセシルは素直にそれを口にする。普段と違う魅力に溢れたそれは、なんというか――。
「受けにまわると別人すぎて、少し心配になってきたな」
「そんなの、仕方ないでしょ。素直になるの慣れてないし。誰かさんが構ってくれないせいなんだから」
「ていうか、私だって女だし。これが初恋だし。経験ないからどうすればいいのかなんて、まったく分からないし……もう、もう、もうッ」
「なのにあなたは、いつもしれっとした顔でさ。とんでもない爆弾を放り投げてくるんだから、本当にズルい」
「じゃあ止めようか?」
「……イジワル。そういうところがズルいのよ」
なんて文句を言いつつ、それでも素直にスプーンに口を付けていく。分かりやすくて実に結構。
「ふふ、美味しい。今まで食べたデザートの中で、一番甘くて蕩けそう」
────悪くない
屈託なく、年頃の少女として微笑む姿は花のように可憐だった。
いつの日にか全ての重い荷を下ろし、こういう表情を当たり前に見せてほしい。そういう未来をラグナは夢想しながら肩を竦めて笑みをこぼした。
※端から見ていた女性達の会話
田舎娘M「うっわ、綺麗にカウンター決めましたわよあの男。あれで女性は不得手とか抜かすなんて、いったいどう思います奥さん」
ロリータA「女たらしの素質が見えるわね。こじれた女を狙い撃ちするのが得意と見たわ、厄介な」
腐女子P「ああ、だからアンジーも……いいえなんでもございません」
- こじれた女どころかこじれた男(リチャード、塩野郎)すらも狙い打ちするからな、さすラグ -- 名無しさん (2020-06-27 20:12:13)
- ↑ リチャードは許してやれ。 -- 名無しさん (2020-06-27 20:26:33)
- 無敵眼帯ゴリラ「普段攻めの女が受けにまわった時のギャップに男はキュンと来るのか・・・。なるほど、やるか」銀狼「やべぇ寒気がしたぞ、おい……。なんかこれから致命傷を10回喰らってもおつりが来るようなとんでもない罠を準備されているような」 -- 名無しさん (2020-06-27 20:48:59)
- ゼファーさんは致命傷貰っても立つことを強要されるから大したことないよね? -- 名無しさん (2020-06-27 22:17:08)
- れいげんどのなら・・・・いや、なんでもない -- 名無しさん (2020-06-28 01:28:53)
- その昔、腐れバーテンダーは言いました「向こうっ気の強い女ほど、ちょっとした優しさや安心感ってものに餓えている」と…… -- 名無しさん (2020-06-28 01:31:02)
- ↑お前ホント慧眼だよな! -- 名無しさん (2020-06-28 08:29:57)
- リチャードはむしろ会うごとに異様な速度でラグナ側の好感度が急上昇してた印象が -- 名無しさん (2020-06-30 10:58:52)
- ラグナは自虐と先輩風吹かせつつ、リチャードに関わるたびに感心してべた褒めするからな・・・ -- 名無しさん (2020-07-01 01:05:02)
- ↑3あのヤンホモバーテンダーマジで慧眼だからな。 -- 名無し (2020-07-11 07:58:11)
最終更新:2020年07月18日 12:27