私の名を口にするなら───オルフィレウスと呼ぶがいい

発言者:オルフィレウス
対象者:秋月凌駕


隻眼の少女の歩み、それが全て誘導されてきた道のりに過ぎないと告げた、圧倒的存在感を放つ謎の男。
凌駕は問う――どうやって、俺達のこれまでの動きを手玉にとってこれたのか
いやそもそも現在の八紘市一帯を包み込む強制昏睡現象は、一体どのようにして可能となったのかと。

そこに込めた幾重もの疑問を読み取り、遂に男は周波数に乗せて、機人達の視界に自らの居場所を映し出す――


『全ては成層圏(ここ)から、微かな大気を伝い連鎖し増幅した所業によって一つの街を眠りに落とした。
この鉄塔にそれを成した装置(モノ)はない』



『そう──全てはこの玉座から』


「君達の奮闘を、欠片も逃さず眺めていた」



重なる音声。脳裏に走る激痛と歪な人影。指し示された答えは―――天。



機械神が、そこに在る。



戦慄に声が出ない。導きによって見えたのは、成層圏上空に存在する怪人物の影。
時計仕掛けの衛星内部で睥睨するは、支配者の視線。
透明な円環、外側に存在するのは煌めく無数の星々か。
月が見える、太陽が見える、その人物の足元に見えるのは、母なる大地――地球だった。

無数の命が混在する世界を見下ろし、玉座に腰掛けるその姿はいったい何だ?どうなっている?
欠けず軋まず廻る歯車、衛星内部を駆け巡る力の流動を眺めているだけで、眼孔の奥が焦げ付いていくようだ。
膨大なまでの質量と、それを維持する無限の出力。爆発する核兵器を間近で見続けていたとしても、こんな怖気は走らないだろう。

「これが、科学の生み出した象徴(かみ)なのか……」

森羅万象、悉くはこの時計による観察対象。
宇宙開発という新領域への進出。そこの開拓と掌握、それは即ち神の創造と同義であった。
稲妻や地震をその地位から引き摺り下ろし、物質文明の信仰を凝縮して誕生した支配者の居城……


「貴様は、誰だ……?」


驚愕に震える凌駕は、ずっと無意識で知りたくなかったが故に遠ざけていた最初の質問を男に向ける。
誰もが明確に訊ねられずにいたその問いに、()は、まるで神託の如くこう答えた


「永久定理が創始者、ヨハン・エルンスト・エリアス・ベスラー。そして──」

「私の名を口にするなら──オルフィレウスと呼ぶがいい」


それは、歴史上に存在した奇人の名。
永久機関の原初たる自動輪を生み出し、歴史の影に不確かなままその姿を消したとされる謎の科学者だと告げた。

二世紀以上に渡って生き続けていた支配者は、天に浮かぶ機械の星(ホロロギウム)に坐したまま、宣誓を口にする。
真実、彼こそが科学文明の象徴であるかのように。


「では──これより六時間後、我々は君達の本格的な掃討を実行しよう」

「戦いたまえ、生き残りたくば。掴み取りたまえ、我が後進よ。
大衆から権力者まで、人類種が望む繁栄の先端を」

「科学の可能性(ユメ)に終わりはない」


そして、襲い掛かるアレクサンドルとネイムレスを躱す為、凌駕達は電波塔から降下するも―――

彼らの元には、さらに恐ろしい神の雷が降り注ぐこととなる……




  • オルフィウス…じゃなかったヨハン君はあだ名なんて呼ばれてたんだろね(トオイメ -- 名無しさん (2020-08-04 00:06:52)
  • 『では―――私の名を言ってみろ(世紀末なメットを被りながら』 -- 名無しさん (2020-08-05 12:41:33)
  • 名前をよんで(切実 -- 名無しさん (2020-08-05 23:52:10)
  • アポルオンの中の人……? -- 名無しさん (2020-08-05 23:52:46)
  • ↑喰らえ、ネイムレス -- 名無しさん (2020-08-06 00:20:19)
  • そう――きみ(後進)のことが(実験体として)大好きで、数日前夢を救ってもらったばかりの男の子だよ―― -- 名無しさん (2020-09-15 00:26:48)
  • 第一印象から(凌駕君に)決めてました…! -- 名無しさん (2020-09-15 00:29:26)
  • 君のことが好きだったんだよ!(内蔵した永久機関を介して四六時中モニターしながら -- 名無しさん (2020-11-25 23:32:27)
  • では──これより六時間後、我々は凌駕君の本格的な調教を実行しよう♂ -- 名無しさん (2020-11-26 00:09:31)
  • ギアーズ(え……我々も……?) -- 名無しさん (2020-11-26 00:11:17)
  • 君達の奮闘を、人類種が望む繁栄♂を、心の底より願っている。戦いたまえ、生き残りたくば。掴み取りたまえ -- 名無しさん (2020-11-26 02:42:19)
  • ↑6 ──そうだ、そうだった。あのいつも絡みつくようなねっとりとした視線、《もう逃げられないゾ♡》と言わんばかりの言葉……お前の名はオルフィレウス(嚇怒 -- 名無しさん (2020-11-26 03:06:20)
  • あんまりソワソワしないで、私が誰より一番 -- 名無しさん (2020-11-26 03:08:31)
  • 君に素敵な呪文を教えよう――タカルクルクルハマ狂え -- 名無しさん (2020-11-26 09:23:45)
  • うっ・・・ -- 名無しさん (2020-11-26 23:42:10)
  • ひどいメロディーだ……(蛇倉頭痛感 -- 名無しさん (2020-12-07 13:26:13)
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最終更新:2022年06月09日 01:50