ふふっ、おめでとう。念願のパーティバトルね。
そしてクランにとっても初体験か。そう考えると感慨深いのかもしれん。
じゃ、まずは好きに突っ込んでいいわよ零示。後のことは任せなさい。あたしら乙女連合が優しくフォローしてあげるから。
吹かすじゃねえかよ淑女共。……ありがた過ぎて笑っちまうぜぇッ！
その数戦後――
「なんてこったい……」
あれから都合八度目のパーティバトルは、実にあっけなく終わっていた。
胸に去来するのは空しさのみ。先のハイテンションとは何とやら、とばかりにやるせない気分で茫洋と見つめるしかない。
後ろできゃいきゃいと楽し気にしている女子共の声など、オレには知らない。聞こえない。
共通√、意気揚々と初のパーティでの戦闘に臨んだはいいが、
その高すぎるプレイヤースキル故に、誰も零示の動きに合わせられないという問題が発生し、
フォローを買って出たはずのさつきが思わず零した発言。
優れた見切りと閃き。現実で養われた洞察力に動体視力をEAでも武器とし、
三種武器併用という際物過ぎるプレイスタイルでも多少のレベル差を覆せる程に零示個人のEAのプレイスキルは高度なものだったのだが。
奇想天外、変幻自在。流れるような連徹武装。
次に何をしてくるか分からない破天荒さを武器にソロで戦ってきた彼の闘い方には実に幅があり過ぎた。
「変態機動すぎんだけど」
「どう援護すればよいのやら……」
「ワタシは読めるわよ。リーチ足らないけど」
……パーティプレイの肝は
『仲間が相手の行動選択と傾向を熟知していること』が基点であり、
故に
『動きが分かりやすい味方』が求められるという基本的な考え方からすると。
常に見切られない動きを意識する桐原零示の場合、味方さえ彼が何をしてくるか読めなくなり、
さつきと
忍は、連徹武装を繰り返す彼の動きを持て余し大半の援護が危うく誤爆しかけるという散々たる結果に。
唯一
レオナはその変則機動を読むことができてはいたが、如何せん武装がリーチの短い
バスターフィストであるためフォロー役には向かず。
僅か三回の戦闘で、こいつを突っ込ませては駄目だ……という判断がパーティ全体に共有される。
要は性格から闘い方から考え方から、何から何までソロ向きだった零示が、
複数における戦闘にてんで向いていないという当たり前の結果が露呈したのだった。
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+
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……逆に。 |
「……んだよ。言いたいことがあるなら言えって」
「あー、そのなんていうかさ……うん」
「絵的に違和感バリバリなのよねえ、零示に援護されるって。それも驚くほど的確だし」
「案外君には統率者の素質があるのかもな」
アタッカーを女子に任せ、零示が援護役に回るとぎこちなかった４人の動きは 劇的に改善。
常に盤面全体を見渡し、多種多様な攻撃手段と判断力で乱戦中の味方の弱点を補う……
そうした動きを可能としたのは、少年が現実での一対多数の喧嘩で培った、 周辺の状況を常に察知、把握し、利用する能力のおかげであった。
自分と相手とを見抜いてしまえば、あとは動くだけ。
アリーナでそういったスキルを磨いてきたレオナも、武装的な制約から状況把握が可能でも使える手札がどうしても少なくなってしまう。
ゆえに、手数があり、敵の機微や戦況に敏く、行動選択が早くかつ手段を多数保有している零示が、援護、というか司令塔役に適任だった。
だが、零示としては甚だ不本意であるようで……嬉しくねえと、武装を入れ替えながら一人呟くのだった。
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- ﾕｰｷｬﾝﾋｯﾐｰ -- 名無しさん (2020-11-27 15:43:43)
- 逆に戦い方に幅がないのに統率力皆無で突出するしか芸のない無いやつもいましてですね? -- 名無しさん (2020-12-17 03:58:16)
- ｷｼﾝﾘｭｳｵｳｷﾞ!ﾃﾞﾔｱ!ﾎｧｲ!ﾎｧｲ!ﾎｧｲ!ﾎｧｲ!ﾃﾞﾔｱ!ﾎｧｲ!ﾃﾞﾔｱ! ｳﾞｵｰ -- 名無しさん (2020-12-18 19:11:41)
- ﾌｯﾌｯｱﾀﾗﾝﾖ -- 名無しさん (2021-10-31 15:51:11)
最終更新：2021年10月31日 15:51
