らごうあしゅらおう・にんげんじょうのけつじん
『この西郷ッ、今こそ倒幕の御剣と罷り成る!
諸君等の命、おいが確かに引き受けもそ!』
『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』『大西郷!』
『我が墓碑銘をここに謳おう―――』
【羅喉阿修羅王・人間城ノ血陣】
全身漆黒の岩塊のような硬質の表皮に覆われ、真紅に輝く血脈が力強く脈動を繰り返す。
まるで人間の形をした活火山がその場に隆起したかのような威容を誇る。
吸血種に転化した東征大総督府・東海道先鋒軍参謀
西郷吉之助の
墓碑銘。
薩摩の民に積もり積もった徳川幕府への怨念、幕府を討つという志を同じくした薩摩兵達の命をも背負う覚悟により発現した異能。
それは、一人の人間の枠を超え、《血染ノ民》と化した将兵達と一体化した“倒幕”という一つの巨大な概念である。
西郷単体で発動するのではなく、
血の霧と化した数百の将兵達の命をその身に取り込み、約百メートルもの大巨人に変化する規格外の能力。
数多の命で編まれたその肉体は極めて頑強であり、銃や火砲、最新式のカノン砲ですら十分な打撃を与えられず、
その足で、その拳で、意気を上げていたはずの幕軍側の歩兵達は瞬く間に紅い染みに変えられていく。
血族となった
近藤の太刀に傷を受けつつも、圧倒的な質量差を以て粉砕した巨人は江戸の地を睨み、箱根の夜空の下蹂躙の限りを尽くすかに思われたが―――
最終更新:2021年12月28日 23:12