はちだいりゅうおう・びゃくそうのけつじん
「待たせたな、壬生の狼ども。存分に引き裂き、喰いちぎれ」
「我が墓碑銘をここに謳おう───八大龍王・白霜ノ血陣」
薩摩藩兵士たちを、極寒の風が運ぶ白い濃霧が覆い尽くしていく。
同時に、空気中を美しく涼やかな音が満たしていった。まるで空気が玻璃と化してひび割れるかのような響き。
次瞬――大規模な怪奇があちこちで発生する。凍てつく風と霧に包まれた者たちが、次々と白い霜柱と化して氷結していく……
そしてそのまま血の一滴までも凍りつき、澄んだ音を立てて砕け散っていった。
クリストヴァン・フェレイラの《洗礼》を受け、
血族と化した
土方歳三が至った
墓碑銘。
武士としてどれだけ見事に散ってみせるかという“終焉”の実現に取り憑かれた土方が操るのは、
風に乗り戦場を駆け巡る氷結の異能。極低温の死の霧に迂闊に身をさらけ出せば、末端から霜柱と変じ、容易く打ち砕かれるのみ。
その圧倒的な力を前に、最期の相手として立ちはだかった沖田は、
無残に蹂躙された鳥羽伏見の戦での強烈な無念と後悔がこうした一騎当千の能力を生み出した背景にあるのではないか、と推察している。
まず特徴的なのは、その能力の射程範囲の広さである。箱根での倒幕軍との戦いでは、戦場となった高原を白い霧が包み込んだかと思えば、瞬時に敵方の薩摩兵は凍結させられ、敵の前線は立ちどころに壊乱していた。
しかもこの霧はただ広範囲に散布するだけではなく、土方自身の意思で対象を絞った上で軌道を制御することも可能。
発動媒体が不定形であるため、ただ振り払ってしまうだけでは簡単に包囲され、僅か一部分でも接触してしまえばそこから容易に人体を凍てつかせてしまうという猛悪さも備えている。
(さらに自滅の危険性を孕むものの、自らの肉体の一部を一時的に凍結――その硬度をもって攻撃を防ぐという利用法も(土方は沖田の四段突きの最後の一突を心臓を凍らせる事で咄嗟に防いで見せている))
―――だが、沖田との最終決戦において、土方はこの
墓碑銘のさらなる権能を引き出してみせる。
それこそ、限界を超えた凍気が生み出す局地的な気圧変化……それによる
本物の雷雲の招来である。
対象へと瞬時に奔る雷撃は、人並み外れた沖田の眼ですら直撃を避けるのが精一杯であり、発生した閃光と轟音、爆ぜた大気の壁がその身体へと襲い掛かっていた。
氷獄の檻だけでなく、雷撃の牙まで備えた天をも操る龍王の如き強大極まる権能。
攻防一体の能力を備えた最強の敵を前に、絶対に
柩の元へ行かせないと覚悟を固めた沖田は、遂に決断を下す。
- 氷結系のMAP攻撃だけど使い手がウラヌスちゃんと違って絶対に油断しない精神強者の上に、ボーナスで雷撃まで付くという比類ない凶悪な能力だよな -- 名無しさん (2021-10-12 20:22:55)
- ウラヌスちゃんの能力が如何に強大でだけどそれを扱いきれないポンコツなのかの比較対象ができてしまった… -- 名無しさん (2021-10-13 04:39:00)
- 薔薇の園の維持を願ったゴドフリの、闇の中で外敵を滅ぼすことに特化した賜力との好対照ぶりが面白い。どっちもめちゃめちゃ好きだわ -- 名無しさん (2022-01-12 08:16:37)
- 昏式さん氷属性好きすぎる -- 名無しさん (2022-06-05 15:20:25)
最終更新:2024年07月07日 22:39