『双血の墓碑銘』の登場人物。
元・幕府海軍奉行にして、今は政の中心より離れ赤坂氷川の武家屋敷に留まり、
坂本龍馬の協力者として“機”を待つ武士。
背は隼人よりも低く、質素な平服に身を包んだ姿は肉体的な威圧感を与えず、常に砕けた口調で親し気に
隼人や
柩に接するが、
引き締まった口元や笑みの中にも消える事のない鋭い眼差しは、幕府の重臣を務め上げてきた風格をうかがわせる。
龍馬とはかつて江戸で知り合って以来の付き合いであり、
万次郎と彼を引き合わせたのも勝。
欧米の
吸血種が本格的に来訪して以降、英国血族を後ろ盾に持つ官軍への対応を巡り幕府内部は大きく二つの陣営に分かれ対立。
勝自身は官軍との衝突を回避、西方雄藩連合と融和しつつ段階的な欧米血族社会との共存を目指す非戦派であったが、
陸軍奉行・小栗上野介率いる主戦派の徹底抗戦論が事実上勝利する形となった事で、彼は官位を返上し表舞台から退かざるを得なくなった。
しかし、主戦派が鳥羽・伏見で官軍が用いた血族部隊の脅威に対し、急ぎ仏国の吸血種の力を得るべく焦る現状は、
英国と仏国の利益争いをますます激化させ、やがて多数の民が互いに使い捨ての《血染ノ民》として殺し合いをさせられる未来を生むだろうと勝は憂慮……
そこで彼は龍馬が語る、日ノ本が列強国の血族全てに対し優位に立てる――その一発逆転の
“賭け”に相乗りするしかないと決断。
その“鍵”となるとされる少女――柩とその眷属となった隼人を、江戸の地において庇護する役割を請け負ったのだった。
――以降、隼人達は江戸の勝邸を中心の拠点として、日本各地へと足を運んでいくこととなる。
最終更新:2021年12月21日 22:45