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  • (848-927)マーロンvsベジータ

女が男を倒すスレまとめ

(848-927)マーロンvsベジータ

最終更新:2020年04月04日 01:14

wbmwbm

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だれでも歓迎! 編集
深夜。
人気も疎らな薄暗い路地を1人の男が歩いている。
その男の名はベジータ。
かつてはサイヤ人の王子として数々の闘いを繰り広げてきた彼だったが、泰平の世となって以来は2人の子供の面倒を見るのが主な日課になっていた。

腕っ節の強い彼の事だから雇い手などいくらでもあるのだが、彼の気難しい性格が災いしてどの仕事も長くは続かなかった。
かねがね現場復帰に意欲を燃やしていたブルマは、ロクに仕事も出来ない夫に子育てを命じてカプセルコーポレーションの代表取締役へ復帰した。
かくして彼は専業主夫となったのである。

しかし、専業主夫となっても彼の無能ぶりは相変わらずで、何度も何度もミスをしてはブルマに怒鳴られている。
養ってもらっている手前頭も上がらず、床に正座させられ、毎日のように額を床に擦り付けて赦しを乞うていた。
最初の頃は悔しさもあったが、今はもう慣れて来たのか恥ずかしさも薄れ、ブルマの足下へ跪くことにも抵抗は無くなってきた。
もっとも、他人にはこんな姿は見せられないが。

今日もブルマに命じられていたおつかいを忘れてしまい、夜中に買いに行かされていたのであった。

袋を片手に歩くベジータが、一層暗い裏道に入りかかった時だった。
彼は背後に人の気配を感じた。

(なんだ…?)

やや怪訝に思ったベジータだったが、それ以上は気にしなかった。

(遅くなるとまたブルマに怒られる。)

そう思い歩みを早めようとしたその時、前方に数人の人だかりがあることに気が付いた。
と思うと背後にも数人。
一瞬の内に彼は囲まれてしまった。

「なんのマネだ…?」

ベジータは圧し殺すような声で言ったが、相手はクスクスと笑だけで答えない。

暗くて顔はよく解らないが、どうやら若い女のようだ。
大体8人ぐらいだろうか。

「…まあいい。先を急ぐんでな。失礼する。」

彼女らは相変わらずクスクスと笑っている。
不気味に思いながら人だかりを押し退けようとしたその時、ベジータは背中に痺れるような激痛を感じた。

「グアッ!お、お前らな、なにを…」

激痛と共に急激に全身が麻痺してしまい、彼はその場に俯せに崩れた。

「えへへーオジサン油断しすぎだよ~。
今まで狩られた事無かったのかな?」

初めて1人の女が喋った。

(そうか…これがオヤジ狩りってやつか)

今、街では女子中高生によるオヤジ狩りが社会問題化していた。
法律の改正により、16~18歳までの女子が風俗店で働けるようになったため、援助交際の値が一気に崩れた。
手軽に稼ぐ術を失った彼女らが、次に見つけた手段が暴力だったという訳だ。

「お前…な、なにをした…」

「これはねー最新の護身用麻酔針だよ!
これを身体に刺すと、凄い痛みが走ってその後に麻酔で動けなくなっちゃうの。」

背後に立っていた金髪の少女は少し甲高い天然ぽい口調で、右手に持った道具をちらつかせながら答えた。
その道具には、皮肉にもカプセルコーポレーションのロゴが刻まれていた。

「な…るほどな…。しかし、お前ら…相手が悪かった…な。
俺…はサイヤ人の王子…ベジータ様だ…。
お前…らクソガキには万に…一つも勝ち目は…」

「ベジータ?」

不思議そうな声を上げたのは先程の金髪の少女だった。
少女はつと歩み寄り、ベジータの近くにしゃがみ込むと顔を覗き込んだ。
ミニスカートから下着な見えそうになり、ベジータは思わず目を逸らしたが、少女はそんな事を気にするよりも驚きの声を上げた。

「あ~!あたしこの人知ってる!トランクス君のお父さんだよ!」

(トランクスを知ってる…?)

今度はベジータが疑問を抱いた。
何とか頭をもたげ、金髪少女の顔を凝視したベジータは、見覚えのある顔にようやく気づいた。

「お、お前は確かマーロン…!」
「あ、覚えててくれたんだ~♪久しぶりだねえ!」

マーロンはクリリンと18号の娘である。
歳は今年で15歳。中学3年だ。

(まさかマーロンだったとは…)

マーロンがオヤジ狩りなどをしていることにベジータは驚きを隠せなかったが、とりあえずこれを利用する手はない。

「マーロン、今日の所は諦めろ。
そしたら父さんや母さんには黙っておいてやる。」

その言葉に一瞬マーロンの表情が変わったように見えたが、すぐにまた笑顔に戻るとベジータの元へ再び近付いた。

「おいマーロン。この麻酔どれぐらいで切れ…」

(ボゴオッッ!)

ベジータの言葉を鈍い打撃音が遮り、その余韻をベジータの悲鳴が遮った。

「あが…げぶう…おま、なにを…」

言葉に成らないベジータの脇腹に刺さったブーツの爪先を引き抜くと、マーロンはその右脚でベジータの後頭部を勢いよく踏みつけた。
ギャッという声とグシャっという鈍い音が合わさる。
その少女の足下で、焦点の定まらない眼で涎を垂らしながらアウアウと呻きながら痙攣しているベジータ。

「ゴミがあたしに命令してんじゃねえよ」

低くしかし透き通った声にベジータはビクリとした。

(この声は…)

「ママからよく聞いてるよ~♪オジサンは昔ママにボッコボコにされちゃったんでしょ?血吐いて両腕へし折られて気絶しちゃったんでしょ?」

マーロンはクスクスと笑いながら、ベジータを罵倒した。
他の女子もそれを聞いて失笑を隠せないようだ。

しかし、ベジータにはそんなことを気にする余裕など無かった。

(この声は18号…そっくりだ…)

「こわい…やめ…」

“あの”18号の血を引く少女に、罵倒されたことで忌まわしきトラウマが呼び起こされたのか。ベジータの精神は少しずつ狂い始めていた。

「ベジータくんビビり過ぎでしょーw顔色悪いよ?
クスクス…。もう一度その体験させてあげるよ。もっと残酷にね♪」

マーロンはそう言うと右手でベジータの髪の毛を掴んで強引に立たせ、残った左手でベジータの着衣を全てひっぺがした。

「うああ…やめて…おねがいいいひい…」

無様なアヘ顔で悲鳴交じりに懇願するベジータのペニスはなぜか天を突くようにいきり立っていた。

「変態マゾ王子。完っ璧に壊してやるから覚悟しなよ♪
あたしはママみたいに甘くないからね」

ベジータの耳元でささやくマーロン。
その声は妙な中学生とは思えぬ妙な色気を帯びており、母親の声と瓜二つであった。
ベジータはアヘアヘという奇妙な声で喘ぐ。
彼のペニスの先からいつしかトロトロと我慢汁が垂れ流されていた。

その後1時間近くに渡ってベジータはなぶられ続けた。
全裸にひん剥かれ強制土下座。そして全員から集団リンチ。
もっとも、マーロン以外の攻撃は肉体的には全く効いていなかったが、その恥辱は肉体よりも精神を大きく蝕んだ。
その後、彼女らのブーツを舐めさせられたり、四つん這いの状態で自ら買ってきた健康ドリンクの瓶をマーロンの手でアナルにブチ込まれたり。
凌辱されたベジータの精神は完全に崩壊し、口ではごめんなさいごめんなさいと哀願しながらも表情は白眼を剥いて恍惚、ペニスの先からは止めどなく精液を垂れ流すと言うまさに異常な状態であった。

漸く解放されたベジータだったが、写真を撮られた挙句にマーロンからは奴隷としての誓いをさせられ、その一端としてアナルの自己開発を命じられることとなった。

「もし逆らったらこの写真、ブルマさんとブラちゃんに見せちゃうからね」

ベジータの目前で写真をちらつかせながらマーロンは意地悪そうな笑みを浮かべながら呟いた。
アナルに瓶を突っ込まれ、女子中学生に踏みつけられたままアヘ顔で射精はしている自らの姿。
ベジータは直視することが出来ず思わず目を逸らし屈辱に懸命に耐えていた。

満身創痍で帰宅したベジータを待っていたのは、妻や娘からの罵倒であった。

「アンタ、買い物1つするのにどれだけ時間かかるのよ」
「ホント使えない男ね~」
「ブラの方がよっぽどお利口だわあ。ねぇブラ?」

「んーでもパパなんかに任せるママも悪いよー(笑)」

「あはは、それもそうね(笑)」

いくらなんでもマーロンになぶられたと言える筈もなく、2人の前で正座をさせられながらベジータは只々俯くばかりであった。

「まあ、今日のところは許してあげるわ。私も眠たいし。ブラも早く寝なさい。」

「はーい」

「あ、あとママ明日から1ヶ月程海外出張で帰って来れないのよ。
だからパパのこと頼んだわよ」

「えーめんどくさい(笑)」

「こら、そんな事言わないの!パパ泣いちゃうでしょ!」

「はーい。じゃあおやすみなさい、ママ」

まるで自分がそこに存在しないかのように、自分を蔑みながら会話する妻と娘。
しかし、ベジータにとってはかけがえの無い存在であった。

(もし、あの事を2人が知ったら…)

いよいよ棄てられるかも知れない。と、ベジータは思った。

(何とかしてあの写真を…)

誰もいなくなったリビングで、ベジータは独りマーロンへの復讐計画を頭の中で張り巡らせていた。

3日程して、マーロンからメールが来た。

「今日の17:00に私の家に来なさい。
遅れたら承知しないからね」

ベジータはゴクリの唾を呑んだ。
そして一呼吸置いた後、意を決して一言「わかった」とだけ返信した。

マーロンの家はベジータの家から歩いて10分程の場所にある。
クリリンは1年程前から単身赴任していおり、今は18号と2人で暮らしているらしい。

インターホンを鳴らすと、学校帰りなのか制服姿のマーロンが出てきた。
マーロンに促されて中に入る。
どうやら18号はいないらしい。

「心配しなくてもママは夜まで帰らないよ。仕事に行ってるから。」

「あ、ああ。」

ベジータの心を見透かしたように、マーロンがため息交じりに言った。

マーロンの部屋は2Fにあった。
中に入れられて周りを見渡す。
ごくごく普通の可愛らしい部屋だった。
心なしか安堵の色を隠せないベジータを尻目に、マーロンはベッドに腰掛けた。

「そこに座りなさい」

彼女の指差した先、床の上にベジータは言われるまま腰を下ろした。
無論正座である。

「覚悟は出来てる?」

マーロンの問いにベジータはやや狼狽えながら、

「はい!」

と答えた。自分でも驚く程威勢の良い返事だった。

マーロンはそれに気分を良くしたのか、

「そう」

と一瞬笑みを溢した。
しかし、すぐに元の凛とした表情に戻り、ベジータに全裸になるように命じた。

「少しだけ出てくるから。ちゃんと良い子にして待ってるのよ」

そう言ってマーロンは部屋を後にした。

すマーロンの気配が消えたのを確認すると、ベジータはすぐに部屋を漁り始めた。

(写真はどこだ…?)

手当たり次第に探す。が、目的の物は意外にもすぐに見つかった。
マーロンの引き出しに入っていたのだ。
枚数を確認する。計5枚間違いない。

「フハハハ!バカめ!所詮はガキの浅知恵だな。これさえ取り戻せば、何も怖いものは無い!」

ベジータは思わず大声で勝鬨を挙げた。
興奮の余り背後にいるマーロンの気配にも気付かずに。

「誰が浅知恵って?」

背後からの唐突な声に一瞬ビクリとしたベジータだったが、すぐに形勢を立て直した。

「フフッ…勿論お前の事だ。これさえあればお前など恐るるに足らん!」

得意満面のベジータ。
その姿に、マーロンは呆れを通り越して同情の念さえ沸いていた。

「こんな見事に引っ掛かるなんて…」

その言葉にベジータの口許がピクリと反応した。

「ば、ばかめ。そんな負け惜しみを…」

「あのさ…。アンタの事だからそう来るだろうと思ってわざと見付けやすいとこに入れといたのよ。部屋散らかされちゃ敵わないしね(笑)」

「な、なにを言って…」

ベジータの表情はみるみる曇り始める。
しかし、何とか狼狽した姿を見せまいとするその姿がなんとも健気であった。

「画像は全て複数のパソコンに取り込んであるわ。それに私をどうにかしようとしても無駄よ?
全てのパソコンには、私が1日に1回パスを入力しなかったら自動的に画像が流出するようにプログラミングしてあるわ。」

「ど、どういうことだ…」

いまいち話を理解出来ないベジータ。
しかし、窮地にいる事だけは理解しているのだろう。
顔面は既に蒼白だった。

「まあ簡単に言うと、私に逆らったらアンタの写真は至る所にバラ撒かれるってこと。
勿論アンタの家族にもね(笑)」

「うあ…あ、あ…まさかそんな…ばかな…」

一瞬にして希望を打ち砕かれたベジータは、ヘナヘナとその場にへたりこんだ。

「浅知恵はアンタの方だったわね(笑)」

マーロンの瞳に不気味な光が宿る。

「さてと…反逆者には徹底的な教育が必要ね。覚悟しなさいよ」

項垂れるベジータの後頭部をローファーで踏みつけ、無理矢理四つん這いにさせると、引き出しから取り出していた乗馬鞭を右手にした。
そして一言耳元で、

「死ね」

と囁くと振り上げた鞭を一思いに振り下ろした。

ピシャアアアッ!

「ぐわっ!」

静かな部屋に透き通った鞭の音が響く。
今までに経験した物とは全く別種の刺すような痛みが背中を襲い、思わず声を洩らすベジータ。

「き、貴様…こんな事をしてただで済むと…ぐはっ!あぐうっ!」

ビシィッ!ピシャア!バシィッ!

何とか抵抗する姿勢を見せようとするベジータだったが、その言葉は鋭く襲いかかる鞭の前に途切れる。

「まだそんな生意気言えるんだあ!余裕だなあー。」

確かにベジータにはまだ余裕はあった。
歴戦の強者である彼にとっては乗馬鞭とは言えど大したダメージはなかった。
それをマーロンが気付いていたかどうかは解らないが、彼女はその手を一時休めると奥の戸棚から鋼鉄の棒を持ち出した。
いわゆる、ケインと呼ばれる拷問用の道具である。

その禍々しい道具に流石のベジータもやや怯んだが、情けない姿を見せる訳にはいかない。
ベジータは精一杯の意地で、

「そんな下らん道具では俺の身体には傷1つつかんぞ!」

と高笑いしながら叫んだ。
しかし、マーロンはその眼に宿った僅な恐怖を見逃してはいなかった。

「ふうん、傷1つね…。じゃあ試してみよっかな♪」

そういうと、マーロンはツカツカとベジータの元へ歩み寄り、

「壁に手を置いて尻を突き出しなさい」

と静かに命じた。

「ふ、ふざけ…」

「早くしなさい!あの写真、バラ撒かれてもいいの?」

「う…ぐぐ」

グウの音も出ず、ベジータは渋々言う通りにした。
全裸で尻を突き出したその姿勢は普通の男にとっても恥辱である。
ましてや、サイヤ人の王子たる者が年端も行かない少女に強制されているのである。
その心境は推し測るに容易い。

「その顔ムカつくからこれでも被ってなさい。」

背後から革の全頭マスクを被され、ベジータの顔はスッポリと覆われ、視界は全て奪われた。

(うぐううう…サイヤ人の王子たる俺がなぜ…なぜこんな恥辱を…!)

耐え難い屈辱に唇を噛んだ。
皮肉にもマーロンが着けたマスクのお陰で、ベジータは涙を隠すことが出来た。

「じゃあいくよ~。勝手に倒れたりしたらもっと痛い目見るからね。我慢しなさいよ」

消え入りそうなベジータの返事を感じると、マーロンはキラキラとした愉悦の眼でベジータの尻目掛けてケインを降り下ろした。

ピシュウッ!

「ぎあああっ!」

風を斬る冷たい音と共に、ベジータは突き出した尻に激痛を感じた。
先程の鞭とは比べ物にならない。
激痛。

「あれー?もう皮裂けちゃったよ?
傷1つ付かないんじゃなかったのかなっ!っと」

バシュウ! ビシィッ!

「あびいあいい!ひがああはあ!」

ベジータの尻からは叩かれる毎に血飛沫が飛んだ。
皮はあっと言う間に裂け、その上から更に打たれる事で肉も弾け飛んだ。
しかし、マーロンは手を緩めない。

「あはは!その声最高♪もっと鳴いていいよっ!と」

バチィーン

「ギャッ…」

しかし、マーロンの期待とは裏腹に僅か十数発でベジータの身体はビクンと大きく痙攣した後に気絶してしまった。

「えーもう終わりー?」

ジョロジョロジョロ…

気絶と同時に大量の尿を垂れ流すベジータ。マスクに唯一開けられた口のパイプからは涎が零れている。
そして、それを見下ろす中学生の美少女。
この構図は余りにも倒錯的であった。
数年前、まだベジータが歴戦の強者と闘っていたあの頃に、この光景を誰が想像出来ただろうか。

壁から力無くずり落ちた男の尻を、マーロンは何度か叩いてみたが全く動く気配はない。

「はあ…ちょっと電圧上げすぎたかなあ…」

マーロンはその男の手応えの無さにやや落胆の溜息を溢した。
それもそのはず、彼女が手にしていたケインは、打擲と同時に高圧電流を流す特殊ケインだったのだ。

打擲の刺すような衝撃と、脳を揺らすような電流によって、ベジータはあえなく崩れた。
あえなくとは言っても、普通の奴隷などなら一撃で失神、下手すれば心臓麻痺で即死してもおかしくないのだから、まあサイヤ人としての溜飲は下げたと言っても過言ではないのだが。

マーロンは一息吐き、次の調教は何にしようかと頭の中で色々な考えを巡らせていた。
そしてベッドに腰掛けようとした時、思わぬ視線を感じた。
18号であった。

「マ、ママ…!!なんでこんな時間に…」

驚きを隠せないマーロンとは対照的に、尻を血塗れにした男の姿を見ても18号はやけに落ち着いていた。

「人手が足りてたから早めに上がらせて貰ったのよ。それよりあなた何してるの?」

「こ、これは…」

口籠るマーロン。
その様子を見て18号は1つ溜息を吐いた。そして、グッタリとした男のマスクを掴むと強引に引き剥がした。
白眼を剥いて液体という液体を排出しているベジータの姿を見て、18号も流石に驚かざるを得なかった。
まさかマスクの中身がこの男だとは思っていなかったのだろう。

「べ、ベジータ!マーロンあんた…」

「ごめんなさい…。おじさん、思ったより弱くて…だから奴隷にしようと思って…」

急にしおらしくなり、泣きながら謝るマーロンに18号は複雑な気持ちでもう1つ溜息を吐いた。
そして、ベジータの髪を鷲掴みにすると、

「付いておいで」

と娘に一言告げて階段を降り始めた。

「あの子もアンタもそういう“血”なんだね…」

後ろにいる娘に聞こえない程の声で18号は気を失ったままのベジータに向けて呟いた。
そして、庭にある倉庫の扉を開けると少しだけ躊躇いながら中へと入っていった。

「ん…ここは…」

ベジータが目を覚ますと見覚えの無い暗く、しかし広い部屋の中だった。
しばらく記憶を辿っているうちに、自分の身体が不自由であることに気付いた。
両手両足が鎖で繋がれ、大の字の状態で固定されている。

(そうか…俺はマーロンに…)

記憶が戻ってくる度に徐々に悔しさが滲み出てくる。
自然と涙が溢れた。

(あんなガキに…このベジータ様が…)

いくら特殊な武器を使われたと言っても、あんな醜態を晒すことはサイヤ人の王子としてのプライドが決して許さなかった。
しかし、今のベジータにそこから奮起する気力が無かった。
長く続いた不遇の時間がベジータを腑抜けさせてしまっていたのだ。

「前にもまして惨めな顔だね、ベジータ。お似合いだよ。」

その声の主をマーロンだと思い込んでいたベジータは顔を上げて驚いた。
そこには18号が立っていたのだ。
全身を黒い革のボンデージに身を纏って。

「じゅ…18号!!なぜお前がここに…。それにその格好は…」

「そりゃこっちの台詞だよ。人が留守の間に勝手に上がり込まれて、全裸で小便垂れ流されたんじゃ堪ったもんじゃないよ(笑)」

ケラケラと笑いながら18号は答えた。
その反面、ベジータの顔色はますます悪くなっていた。

(小便まで…垂れ流していたと言うのか…
それを18号にまで…)

最早ベジータの屈辱は頂点に達していた。

「しっかしまさかアンタがマーロンにねえ…驚いたよ。まあそういう運命なんだろうね。」

「どういうータはその言葉の真意を図りかねた。

「アンタには本当の事を教えてあげようと思ってね…」

そう言うと、18号は近くにあった檻のようなものに被せてあった布をサッと引きはがした。
その中にはベジータと同じように…いやベジータよりも恥辱に塗れた姿で拘束された男の姿があった。

全裸の状態で身体はM字開脚の様に吊るされている。
顔には目隠しをされ、鼻はフックにより吊り上げられ、口にはボールギャグが嵌められていた。
アナルは地面から伸びた鉄の棒によって貫かれ、皮膚は打撲や裂傷など無数の傷が付いていた。
そして、その横にマーロンが制服姿にブーツという異様な出で立ちで立っている。
左手には首輪のリードである鎖を握っている。

男のコフーコフーと力無い呼吸が僅かにベジータの元まで聞こえてきた。
その力無い呼吸が、マーロンの鋭い鞭によって叫び声に変わる。

「ギャビイイィ!!ぶびいいいっ!!」

既に付けられた傷口を更に鞭が抉る。
鮮血が飛び、その度に男の身体がビクンと跳ねる。
しかし、叩かれれば叩かれる程、男の股間は勃起していた。

ベジータはその光景に嫌悪感を感じずにはいられなかった。
同時になぜこんなものを見せるのかという疑問も感じた。

(暗に脅迫しているのか…?次は俺だと。)

「悪趣味な。あのガキは…いつもこんな事をしているのか?」

ベジータは18号に問い質した。
18号はまたケラケラと笑いながら。

「あはは!違う違う。あの男を調教したのは私。マーロンをここに連れて来たのは初めてだよ。」

「なるほどな…で、これを俺に見せてどういうつもりだ?俺はこんな脅迫には…」

「やっぱ気付かないか…。」

18号は意地悪そうにニヤリと笑うと、無言で男の元へと歩み寄った。

「この男が誰か解らないかい?ベジータ。アンタもよーく知ってる男だよ。」

その言葉にベジータは一瞬戸惑った。
しかし、その瞬間にその男に見覚えのある記憶が脳裏を過り、そしてその記憶がベジータの表情を今までとはまた違った絶望的な表情へと変化させていった。

「ま…まさか…」

ベジータの表情にやや高揚感を感じながら、18号は男のマスクをゆっくりと剥ぎ取った。
その瞬間、ベジータの絶望は確たるものへとなった。

「ト、トランクス…」

そう。
家畜同然に調教されたその男は、紛れもなく息子トランクスであった。

「な、なぜ…トランクスが…」

ベジータが驚くのも無理は無い。
トランクスは進学の為、3ヶ月前から独り暮らしをしているはずだったのだ。
その心を読み取るかのように18号が答えた。

「トランクスは大分前に私がリンチしてやったの。それからずっと調教してやってたんだけど、面倒だから独り暮らしを口実にさせてここで監禁してたってわけ。
もっとも怪しまれるから学校だけは行かせてたけど(笑)」

「そ、そんな…」

「最初はこの子もアンタみたいな事言ってたよ。サイヤ人を舐めるなーってね(笑)
流石に手こずったけど、タイマンで徹底的になぶってやったらアッサリ従順になっちゃった(笑)今じゃほら…」

そう言うと、18号は右手に振り上げたケインをトランクスの剥き出しの尻に向けて降り下ろした。

「はぶゅうううう!ごちゅじんしゃまあー!!」

「アハハ!こんなに壊れちゃった(笑)」

マーロンの鞭と18号のケインが交互にトランクスの身体を抉っていく。
その度にトランクスの断末魔のような悲鳴が室内を揺らした。
しかし、トランクスの表情はその悲鳴とは裏腹にますます恍惚の色を帯びていた。

「ぶひゃあ!ひぶう!もっどおおおお!!」

その瞬間、ベジータの中で何かが弾けた。

「よくも…よくもトランクスを…」

ただならぬ気配に18号とマーロンは思わず手を止めた。
静かな部屋にトランクスの

「やめないれぇー!ごしゅじんしゃまあー!まーろんしゃまー!ヤメナイデー」

という声だけが悲しく響いた。

(トランクス…くそお…)

「クソオオオオオ!!!!」

ベジータの慟哭交じりの怒声がまるで地響きのように響いた。
気が付けばベジータは無意識の内に何年ぶりかの超サイヤ人になっていた。
すぐさま両手足の鎖を引きちぎると、2人の元へ飛びかかった。
18号は間一髪で避けたものの、マーロンは一撃で吹き飛ばされ轟音を立てて壁に叩き付けられた。

トランクスの拘束をほどくベジータ。
しかし、誇り高きサイヤ人の血を引くはずの我が子は、焦点の合わない眼でダラダラと涎を垂らしながらぶひぶひと鳴くばかりで、ついにベジータを認識しなかった。

「貴様ら…許さんぞ。この世から消し去ってやる!!」

2人への憎悪の念がフツフツと沸くごとに、長らく失われていたベジータの誇りが甦ってきた。

(そうだ…俺はサイヤ人の王子たるベジータ様だ!こんな女ども本気を出せば一瞬で殺せる。)

「お前らには感謝するぞ。お前らのお陰で忘れていたサイヤ人としての誇りを思い出した。
せめてもの礼だ。苦痛を与えずに一瞬殺してやろう。」

これ以上ないほどに高慢なベジータの口上を聞きながら、18号はどこか懐かしさを感じていた。

「笑わせるね…また私にやられたいのかい?」

「バカめ。いつの話をしている。今の俺が本気を出せばお前など敵ではない。」

向かい合う二人。
視線が合い、一瞬ベジータの脳裏にかつての悪夢が過る。
しかし、そんなトラウマも今のベジータには糧にしかならなかった。
ベジータの顔にいつしかあの不敵な笑みが浮かんでいた。

(ちょっと遊び過ぎたかな…)

18号は少し後悔していた。
未だかつてこれほどの気を発しているベジータは見たことがなかったのだ。

「なんだ、かかってこんのか?ではこちらから行くぞ!」

宣戦布告の後、瞬時に姿を消すベジータ。
次の瞬間、ベジータは18号の背後に回り込んでいた。

(しまっ…!)

思う間も無く18号の身体は地面へと叩き付けられた。
その後を無数のエネルギー弾が追う。
轟音と砂煙。

しかし、18号もこの程度ではくたばらない。

「ふふっ。前よりは強くなったじゃないか。少しは楽しめそうだ。」

18号は強がってみせたが、内心は穏やかではなかった。
18号とて素人ではない。自分が戦って勝てるかどうかぐらいは大体の見当はつく。

(これはまずいな…)

18号の表情がややひきつっている事に、ベジータは愉悦を覚えた。

「ほざいていられるのも今のうちだ。このベジータ様が全力を出せば、お前など虫ケラに過ぎん。」

「面白いこと言うねえ。さっきまで小便ちびってた男が」

「黙れ」

再びベジータが18号に襲いかかる。
今度は18号も応戦する。
しかし、ベジータの圧倒的スピードとパワーに徐々に圧され始める。

(くそ…)

と、その時18号の眼にマーロンの姿が見えた。
漸く気が付いたのだ。

(マーロン!)

しかし、そちらに気を取られた18号の僅かな隙をベジータは見逃さなかった。
背中にエネルギー弾を打たれ、ちょうどマーロンのいる辺りに18号は叩きつけられた。
そのせいで、マーロンは不運にもベジータに気付かれてしまった。

「ほう。マーロンまだ生きていたのか。
普通の人間ならば即死のはずだが…流石18号とクリリンの娘だ。誉めてやろう。だが…」

ベジータは2人の元へつかつかと歩み寄った。
18号は動こうとしたが、先程のエネルギー弾のダメージで体が言うことを利かない。

「褒美に2人仲良く殺してやる。あの世で仲良く暮らせよ。」

邪悪な笑みを浮かべながら、ベジータはビッグバンアタックの構えをとった。

(く、くそ…やられる…っ!)

18号はマーロンを庇うように抱き締めた。

「フハハハッ!死ねぇ!!!」

掛け声と共にベジータの手から想像を絶する程のエネルギー波が2人目掛けて撃ち込まれた。
それは凄まじい音を立てて一瞬にして2人を飲み込んだ。

「他愛無い…。所詮このベジータ様の敵では無いわ。」

勝利を確信し、満面の笑みを浮かべるベジータの。
しかし次の瞬間。その表情に険しさが甦った。
何故なら、消し飛んでいるはずの2人の姿が鮮明に残っていたからであった。

「ほう…まだ、バリアを張るほどの気が残っていたとは意外だったな。」

確かにそれは意外であった。
しかし、ベジータの圧倒的優位は依然変わらない…はずであった。

この時、ベジータよりも驚いていたのは実は18号であった。
一旦は死を覚悟した。しかし、生きている。

(バリアを張った?私じゃない…!)

しかし、そんな真実を知る由も無いベジータは余裕綽々である。

「仕方無いな…。手間だがまず娘を先に殺してやろう。
18号、お前は後から存分になぶり殺してやる」

そう言うとベジータはマーロンの目の前へと歩み寄り、至近距離で無抵抗なマーロン目掛けてエネルギー波を撃ち込んだ。

「フン!くたばれ!」

マーロンを一撃で倒し、高笑いするベジータは振り返って18号に向き直った。

「さて、次はお前の…」

言いかけたその時。
ベジータ背後に残る気配は察した。
半信半疑で振り返った彼の眼には、消し飛ぶどころか傷1つ付いていないマーロンの姿がそこにあった。

「なっ!俺様のエネルギー波を喰らって無傷だと!?
18号貴様コイツに何をしたッ!?」

流石に目の前の現実を受け入れがたいベジータ。

「あたしゃなにもしちゃいないよ」

「そんなハズは無い!でなければ、たかが人間の小娘が俺様の一撃を喰らって平気なハズが…」

「ベジータさん…」

想定外の出来事を前にして、知らず知らずの内に声を張り上げてしまっていたベジータ。
それをマーロンの一言が遮り、不思議と辺りは水を打ったような静けさになった。

「なんだガキ。ベジータ“さん”と呼ぶからには少しは自分の立場がわかったようだな。」

「いえ…私ベジータさんを殺したくなってしまいました」

「なんだと…?」

ニコニコと話すマーロンは口調こそ先刻よりも丁寧だが、その言葉の裏には底知れない冷たさが感じられた。

(やっぱり…様子がおかしい)

過ごす時間の長い18号はすぐにその異常を感じとった。
しかし、ベジータは彼女の変化を異変と受け取らなかったようだ。

「フン…何がどうなったのかは知らんが、あの程度の攻撃を防いだぐらいで良い気になられては心外だな。」

ベジータはより尊大な態度でマーロンに凄んだ。

(どれだけ強くなろうが所詮は人間だ)
という気持ちが強かった。

マーロンは依然としてニコニコとしている。
その余裕ぶった態度に業を煮やしたか、ベジータは瞬時にマーロンの腹部へ渾身のパンチを加えた。
マーロンの身体は衝撃でぶっ飛ぶハズであった。
しかし…。

(な…なにっ!?)

マーロンの身体は吹き飛ぶどころか僅か数cm程度動いたのみであった。

「どうかしましたか?ベジータさん」

マーロンの表情に変化は見られない。
ベジータの眼には全くダメージが無いように映った。

(そんな訳はない…効いているハズだ!)

頭に血が上ったベジータはすぐさまラッシュを加えた。
横で見ている18号ですら、その軌道を掴まえる事が出来ないほどの速さ。
これにはひとたまりも無かったか、激しく吹き飛ばされそのまま向かいの壁まで打ち付けられるマーロン。
だが、それすらもベジータを心の満足させるものにはならなかった。

マーロンはすぐにむっくりと起き上がると、 服に付いた砂ぼこりをパタパタと手で叩いた。
そしてベジータの方を見てニヤリと笑うと、ゆっくりと距離を縮めて来た。

(ありえん…!なぜ喰らわんのだ)

「ウオオオオオッ!!」

いよいよ脅威を感じたベジータ。
歩み寄ってくるマーロンに向けてひたすらエネルギー弾を撃ち込んだ。
しかし、いくら撃てどもその身体を傷付けるどころか怯ませることすら出来なかった。
不可解な現象にベジータの焦りと苛立ちはとうとう頂点に達した。

「クソオオオオッ!死ねェェェェッ!」

ベジータの手からとてつもないエネルギーが閃光を帯びて放出される。ギャリック砲だ。
閃光は地響きや粉塵を巻き起こし、瞬時にしてマーロンを飲み込んだ。
やがて粉塵が晴れたその跡にはマーロンの姿は跡形もなく、ベジータは漸く安堵の表情を見せた。

「フハハ…見たか!!ベジータ様の力を!! お前などこのベジータ様にとっては赤子どうぜ… ん…?」

その時ふと、ベジータは自分の身体が影に隠れている事に気付いた。
おもむろに振り向いたベジータの視界には、先刻となんら変わらない姿のマーロンが不敵な笑みを浮かべて見下ろしていた。
組んだ両手を頭上に大きく振りかぶって。

ベジータに僅か驚く時間すら与えずに、マーロンはその拳を降り下ろした。
風を切る音。

グシャアアアアッ!!

「はあがあああああッ!!」

何かが砕けたような鈍い音がして、ベジータの身体は一度グンと沈んだ後、獣のような咆哮を上げながらビーンと跳ねてその場に俯せに倒れ込んだ。
打撃を受けた脳天からは血がピュルピュルと噴き出している。

(い、い、一体なにが…痛い…な、なんだ今のは…)

何が起こったのかまるで理解出来ないベジータ。 最早事態はベジータの許容量を遥かに凌駕していた。
渾身の力で身体を起こすベジータ。

「うーん…確かに頭蓋骨砕いたと思ったんだけど…やっぱ一発じゃ無理なのかなあ…」

マーロンは顔に浴びた血飛沫を拭いながら、ブツブツと呟いている。

何とか起き上がったベジータだったが、意識は朦朧とし、足元はふらつく。
なぜこんな事になっているのか。必死に状況を整理しようとした。

「貴様…がやったのか…?」

だが、上の空のマーロンにはその声は届いていないようだった。

「貴様…このベジータ様を無視するなあああッッ!!」

完全に我を失ってしまったベジータは、反動も省みず最後の技を繰り出した。
ファイナルフラッシュ。ベジータの最終奥義であった。
惑星1つ溶かすほどの威力を持つ技を、たかが人間の少女相手に使う事自体彼にとってはプライドを削がれる現実だったが、そんな理性が彼に残っているはずもない。

想像を絶する程の閃光がマーロン目掛けて一目散に駆ける。
もう避けられない距離。

「ふは…ふははは…しねしねシネエエエッッ!!!」

しかし。

「うるさいなあ、もうっ」

ぴんっ

マーロンはベジータの総力を込めた一撃を指で軽く弾いた。
途端、その光球は舵を180度切り返し、発射点目掛けて一目散に向かっていった。
それは、一瞬にして満身創痍のベジータの身体を焼いた。

「アグアアアアエアアアアッッッ!!」

その上、マーロンは瀕死のベジータに飛びかかると、その髪の毛を鷲掴みにして下腹部目掛け白い肌の覗く膝を力強く打ち込んだ。

「げぶびゅうううッ!」

その一撃はベジータの身体をあわや貫通するかという程で、背中にはボッコリと彼女の膝の形が現れていた。
続けて、胃液を垂れ流すベジータの顔面を両拳で滅多打ちして砕き、とどめに背面へスレッジハンマーを喰らわせた。

「ガハアッッ!!」

その衝撃でベジータの身体は力無くまるで茹で上がった海老のように反り返り、そのままの姿勢で地面に衝突した。

地面に叩き付けられたベジータ同様に、18号もその戦闘力の高さに驚いていた。
しかも、マーロンは殆んど修行らしい修行をしていないのだ。
クリリンが彼女に格闘技を教える事に断固として反対していたからだった。

(もしかして…)

18号はふと思った。
夫は知っていたのかも知れない。娘の異常なまでの素質に。
だからこそ、あんなに反対していたのだろう。
18号は、また娘が小学校の時分にクラスの男の子と喧嘩したことがあったのを思い出していた。
あの時、学校に迎えに行ったクリリンは大した事はないと言っていた。
確かに、マーロンに怪我は全く無かったから18号は安堵した。
ただ…洗濯しようとしたマーロンの服には洗い落としたような無数の血の痕と、洗い落とせなかった血の臭いが染みついていたのだ。

(あれは…返り血だったのね…)

18号が娘の隠された力に気付き初めた頃、当の本人はその能力をいよいよ開花させようとしていた。
彼女は、地面とキスしながらピクピクと痙攣しているベジータの元へ降り立つと、侮蔑の視線を向けながら右手で彼の後頭部をグシャっと掴み持ち上げた。
ベジータの身体は軽く宙に浮き上がる。

「うああああ…」

ボコボコに腫れ上がり、血と鼻水でグシャグシャになっているベジータの顔を覗き込むマーロン。
その表情は今の彼には余りにも美しく神々しく映った。

マーロンは、ガクガクと無言のまま震えるベジータの身体を更にもう1段持ち上げると、そのまま壁に向けてベジータの顔面を叩き付けた。

「う、うあああああ!!!!ギャッ…」

恐怖とも何とも形容し難い叫び声が響いた後、ぐちゃっと顔の潰れる音がして鮮血が舞った。
同時に吊り上げられたままのベジータの身体はグッタリと力無く重力に従い、その股間からはジョロジョロと黄色い液体が流れ出し地面を汚していた。

「はあ…つまんない」

マーロンはその手応えの無さにはあ…と深い溜息を吐いた。

「マーロン!大丈夫!?」

18号は気を取り直し娘の元へ駆け寄り、そして力強く抱き締めた。
マーロンは屈託の無い表情で、

「大丈夫だよー」

と頷いた。
しかし、その表情にはどこか憂いが浮かんでいた。

「どうしたの?」

気になった18号が訊ねた。

「んー…ベジータさんすぐ倒れちゃったから…つまんなくて」

そう語る彼女の表情は本当に残念そうだった。
しかし、次の瞬間その表情は一気に良化した。
キラキラと好奇の眼に変わった娘の表情に気付かない18号ではなかったが、僅かに遅かった。

マーロンは、母の腰に括ってあった袋を無理矢理千切り取ると、引き止める母の声も届かない様子で、矢のようにベジータの元へと向かった。

そして袋の中にあった豆を一粒取ると、瀕死のベジータの口へ押し込んだ。
それは昔大ケガをしたマーロンに、母が飲ませた特効薬であった。

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