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「そういえば文香さん、聞きましたか?」
442プロダクション、ロビーにて。
ソファに並んで腰掛けるアイドルが二人。
その内の片方、橘ありすが隣に座る女性に声を掛ける。
「はい……何でしょうか?」
「ライブ会場で漏電による小火騒ぎが起こったそうですよ。小規模だったので幸い明日の進行には支障は無いらしいですが……
近頃は不審者も多くて心配だって、美波さんが言ってました」
ありすと会話する女性、鷺沢文香は少々不安げな様子を見せる。
此処最近の冬木市は、何やら騒がしい。
銀行等から大量の金銭が盗まれる事件。
『人食い』という恐ろしい異名が付けられた猟奇殺人事件。
そして、相次いで発生している不可解な殺人事件。
ライブが近いと言うのに、気が滅入ることが少なくない。
今回の小火騒ぎも、少し不吉なように感じてしまった。
「……この頃は、物騒な話も多くなってきましたね」
憂うように呟く文香を、ありすは見つめる。
ありすは文香と動揺に美波とは親しい間柄だ。
三人で同じ仕事をしたこともある。
そんな美波とは今朝、プロダクションに来た時に真っ先に対面した。
その時に会場の事故や不審者のあれこれについて、親しい間柄の文香への『伝言』を頼まれた。
言い付け通りに伝言をしたのだが――――やはり文香の不安げな顔をありすは見たくはなかった。
ありすにとって、文香は憧れの対象だ。
彼女が辛い表情を見せていると、ありすも悲しい気持ちになる。
だからありすは、文香を支えようと言葉を紡ぎ出した。
「……そんな暗い話なんて、吹っ飛ばしちゃいましょう。クリスマスライブを成功させて、パーッと明るくしちゃえばいいんです!」
咄嗟に出た言葉に、ありすは直後にハッとする。
――――――吹っ飛ばしちゃいましょうとか、パーッと明るくとか。
――――――ちょっと、子供っぽいのではないか?
口にしてから、急に恥ずかしくなってきた。
あっ、その、と言葉を吃らせてしまう。
何でもないです。今のは忘れて下さい。
そう言おうと思ったが。
文香は、ふっと微笑む表情を見せており。
「……ふふ……ありがとうございます、ありすちゃん」
ありすへ、静かに礼を述べた。
彼女の微笑に照れてしまったありすは、少し目を逸らす。
ちょっと恥ずかしかったけど―――――結果オーライなら、まあいいかな。
文香さんを励ませたなら、何よりだ。
そう思い、ありすは「どういたしまして」と小さな声で呟いた。
そんなありすの様子を、文香は微笑ましげに見つめていた。
「……そういえば、楓さんやほたるちゃんは……他所でのお仕事、でしたよね」
「あ、はい。既に現場に向かってるみたいですよ。幸子さん達もテレビの収録だとか―――――――」
文香がふと口にした言葉を皮切りに、空気は元に戻る。
そのまま適当な世間話へと移行しようとしていた。
だが、唐突に会話は打ち切られることになる。
「――――――おお!此処がプロダクションとやらか!!余は興奮してきたぞ!!」
聞き覚えの無い声が、耳に入ってきた。
ありすと文香は、ほぼ同時に入り口の方へと視線を向ける。
そこにいたのは、金色の髪を靡かせる美少女だった。
◆◆◆◆
「うーん……」
事務所の椅子に座り、プロデューサーは頭を悩ませる様子を見せていた。
時折眼鏡を弄るようにズレを直しながら、背もたれに寄り掛かって考え込んでいる。
そんなプロデューサーの姿を、
新田美波は机の前に立ちながら見つめていた。
彼が、『この世界』における美波のプロデューサーだ。
この冬木で彼女の才能を見出し、アイドルとして育てた人物だ。
明日控えるライブを主導しているのもこのプロデューサーである。
その風貌は、美波の知る『彼』には似ても似つかなくて。
それ故に、美波は仄かな安心感を覚える。
目の前のプロデューサーとの思い出は、きっと幾つも積み重なっている。
この世界の新田美波は彼と共に歩み、彼と共に成長していったのだろう。
そこには様々なドラマがあったはずだ。
ここにいる『新田美波』にも、19年分の人生と、冬木でのアイドルとしての生活が在る。
だが、今の彼女にはそれに深く入れ込むことなど出来ない。
何故なら、今の彼女は背負っているから。
本当の新田美波が歩んできた青春を知覚し、その心に抱えているからだ。
『彼』に才能を見出され、『彼』と共に歩み、大好きな『彼』に恋い焦がれ。
しかし大好きな『彼女』と『彼』が結ばれ、想いを隠して二人を祝福した――――――そんな悲恋のような青春。
それが、新田美波の歩んできた本当の人生。
彼女が体験してきた、アイドルとしての生活。
故に、美波は『今の』アイドルとしての生活には複雑な想いを抱えていた。
442プロダクション所属アイドル、新田美波。
それは冬木という戦場の街で与えられた、偽りのロール。
どれだけ努力しようと、どれだけ成果を出そうと、結局は偽りのものでしかない。
その気になれば、放り出すことだって出来たかもしれない。
しかし、美波にはそれは出来ない。
美波は元より責任感や挑戦志向の強い性格の持ち主だ。
例えこの日常が偽りであろうと、与えられた『役』は遣り遂げなければ気が済まない。
それがアイドルという情熱の対象であるのならば、尚更だ。
そして、この街にも他のアイドルがいる。
この街にもアイドル・新田美波のファンがいる。
仲間と共に努力し、声援に応えるのがアイドルの役目だ。
それは元のプロダクションでも、冬木でも変わらない。
彼女らを危険な目に遭わせたくないという思いもまた、変わらなかった。
美波は、追憶する。
アイドルとしての在り方を教えてくれたのも『彼』だったことを思い出す。
恋に敗れても、アイドルへの情熱は捨て切れない。
ファンに応え、笑顔で舞台に立つのがアイドルだという『彼』の教えを守り続けている。
『彼』と共にいることがつらくなったのに。
結ばれなかった自分を惨めに思ってしまったのに。
『彼』と『彼女』を見るだけで、胸が締め付けられるような想いを微かにでも抱くようになってしまったのに。
それでも『彼』が居ないこの世界では、『生真面目な優等生アイドル』をやっていられる。
自分の中のアイドルへの情熱はまだ昂っているのか。
それとも、『彼』がいないからこうして生真面目なままでいられるのか。
このプロダクションにいるかもしれない『彼女』と会えば、心が揺らいでしまうのだろうか。
美波は心中で問答を続ける。
この冬木には、本来の知り合い達が似たような役割を与えられて暮らしている。
もし、『彼』が此処にいたら。
自分は、どうなっていたんだろう。
ぼんやりと、美波はそんなことを考える。
案外何ともなく、いつものように付き合っていくことになっていたのか。
ちくりとした蟠りを胸に抱えたまま関わっていくのか。
あるいは、『彼』の存在に耐え切れずにアイドルから逃避していたのだろうか。
それとも――――――――――。
ふと思い浮かんだ考えを振り払う。
自らの心のうちに仄かに浮かんだ想いを抑え込みつつ、美波はプロデューサーに声を掛ける。
「やっぱり、厳しそうですか?」
「まあ、何とか一、二枠捩じ込むことは出来なくもないと思うんだけどね……」
そう言うプロデューサーの反応は、やはり困った様子であり。
「……上に相談してみるよ。もしかしたら入れて貰えるかもしれないしね。
ただ、あまり期待しないでほしい」
気を遣うようにそう返答するプロデューサー。
しかしその態度や口振りからは『急な相談は厳しい』と言わんばかりの様子が見て取れた。
そんな彼を見つめつつ、美波は『例の主従』のことについて思い返す。
「ですよね……」
「ベル・スタアさん、だったかな。アイドルになりたいという娘を拒みはしない。
でも、流石に明日参加のライブに土壇場で参加と言うのは厳しいかな……」
ベル・スタア―――――それがセイバーが出会ったというアーチャーのサーヴァントの名である。
サーヴァントとは真名を隠すものだという話を聞いていたが、まさか堂々と名乗る相手がいるとは思わなかった。
セイバー曰く、何でもベル・スタアと共闘してバーサーカーのサーヴァントを追い払ったのだという。
共闘の見返りとして要求してきたのが、今回のライブ参加。
無理ならば金銭での報酬でも構わない、とのことだった。
美波はサーヴァントのことに関して思い返す。
サーヴァントとは古今東西の英雄の化身。
人類史に名を連ねる豪傑を使い魔の枠組みに当て嵌めたもの。
美波のサーヴァントであるセイバーもまた、浮世離れした雰囲気を纏っており。
そして、あのプールで枝のような剣を抜いた時は―――――只ならぬ気迫を感じた。
なんとなく、なんとなくだが。
まるで魂や存在とか、そんな次元で格が違うような。
それだけの凄みが、彼女からは感じられた。
サーヴァントは、そういったものだと思っていた。
ただの人間とは格が違う、超級の存在。
英雄として讃えられ、歴史にその名を刻んだ超人。
そんな存在の一人が、あろうことか『ライブに出たい』と言ってきた。らしい。
英雄にも様々な性格の持ち主が居るのだろう。アイドルだって十人十色の形相を見せているのだから。
それにしたって、アイドルのライブに出演したいなんていうお願いは美波にとっても予想外だった。
(どういう人なのかしら……)
プロダクションに着く前、美波はベル・スタアという名前をスマートフォンの検索機能で調べた。
名前はすぐに見つかった。どうやら西部開拓時代の無法者らしい。
『山賊女王』という異名を付けられ数々の伝説が語られた女強盗、とのことだ。
西部開拓時代風の装いを身に纏った、銃を扱う女性。
セイバーが語っていた特徴とベル・スタアは確かに一致していた。
確かに無法者ならライブに乗り込もうなんていう発想に至るのかもしれない、なんてことも考える。
それにしても、本当に彼女は本名を堂々とバラしたのだろうか―――――と、美波はふと思った。
真名の秘匿というものに余程無頓着な人なのだろうか。
あるいは実は偽名を名乗っていて、上手いこと誤摩化しているのだろうか。
考えてみても答えは出ない。
どんな人物なのかはやはり一度会わなければ解らないだろう、なんてことを思った矢先だった。
《ミナミ!》
「えっ?」
頭の中で声が反響する。
突然のことについ声が漏れてしまう。
それが自身のサーヴァント、セイバーによる念話で伝えられた言葉だと言うことに気付き。
こちらを怪訝そうに見てきたプロデューサーを誤摩化しつつ、美波は念話の声に応対する。
《サーヴァントが貴方の元に向かってきています!それも実体化した状態で、正面から――――――》
その直後のことだった。
バタン、と乱暴に事務室の扉が開かれたのだ。
美波は咄嗟に振り返った。
そこにいたのは、堂々とした佇まいで立つ――――――一人の女子高生だった。
「お前がプロデューサーだな?」
◇◇◇
ヘリオガバルスは全てに於いてローマ史上最悪の皇帝であった。
彼は醜い欲望に身を委ね、女々しい振る舞いによって皇帝の権威を傷付けた最初の男である。
――――十八世紀英国の歴史家、エドワード・ギボン
◇◇◇
学生服を身に纏った金髪の少女―――もとい青年は、呆気に取られる美波を尻目にずけずけと事務室へと入る。
そのまま彼は美波を押し退け、椅子に座るプロデューサーに妖艶な眼差しを向けた。
「ライブとやらに出たい。余をライブに出せ」
彼はキャスターのサーヴァント、ヘリオガバルス。
テレビで目にした『アイドル』に惹かれ、442プロが主催するクリスマスライブへの飛び入り参加という正気を疑う目論みを立てた皇帝である。
市原仁奈らを巻き込む形での断行を決めたキャスターはすぐさま442プロへと向かい、仁奈の案内でクリスマスライブに携わるプロデューサーの事務室へと赴いた。
プロデューサーと対面したキャスターの開口一番の発言が、これだった。
突然の乱入者に、プロデューサーは唖然とし。
ニヤニヤとしたキャスターの笑みに頭を抱える。
―――――新田さんが言っていた方といい、この女の子といい、何がどうなっているのだろうか。
事務室の椅子に座るプロデューサーは、呆気に取られたまま思う。
彼女が来る少し前にも、442所属のアイドル・新田美波が『明日のライブに出たいという方がいる』という話を持ち込んできた。
一応別の出演者が入れるだけの枠は存在しているが、それにしたって突然過ぎる。
そもそも、その『ライブに出たい方』というのは442プロ所属のアイドルではない。
それどころか、アイドルですらない素人なのだという。
何かの悪戯かと最初は思ったが、美波はこんな嘘で困らせてくるような人間ではない。
それにこの件を頼んできた時の美波の態度からして冗談にも見えない。
信じ難いことだが、この土壇場で本当にライブに出演したいという人物がいるのだろう。
「ええと、何故出たいと……」
「何故?美しき花園に余という貴き華を添えるのは当然のことであろう?」
何が当然なんだとプロデューサーは思う。
ライブに限らず、どんなイベントも綿密な計画作りや上層部や出演者との事前の打ち合わせが欠かせない。
特に出演者は何週間も前から歌やダンスのレッスンに打ち込まなければならないのだ。
長い時間をかけた積み重ねの練習、そして他の出演者との結束や連携によって初めて『アイドル』は舞台の上で輝く。
誰もが何気なく見ているライブを作り出すのは数多くのスタッフの努力であり、ステージに立つ少女達の努力でもあるのだ。
本番前日に飛び入り参加を相談されて「はい出しますよ」と気軽に出演させられるような仕事ではないのだ。
そう思っていた矢先の、『二人目』の飛び入り参加希望者だ。
本当に、何がどうなっているのか。
プロデューサーは心底そう思う。
「急にそう言われましてもね……」
プロデューサーが渋い顔をするのも当然だった。
美波の言っていた人物に関しても『上に相談してみる』と言っておいたものの、十中八九無理だろうと考えていた。
ただの素人による飛び入り参加を認めてしまえば現場の混乱は免れないだろう。
そもそも、ファン達は熱狂的に支持するアイドル達を見にライブへと来るのだ。
どこの誰とも解らない民間人を見に来ているのではない。
故に目の前の少女の参加に関しても、見込みは極めて薄いものだと思った。
彼女の容姿が優れていることは認めるが、それとこれとは話が別だ。
というか、近くでよく見たら―――――――女性ですらないような気がする。
顔つきは確かに綺麗だし、髪も女性的なのだが、女性にしては身長が高い。
腕や肩も細いことには細いのだが、どことなく男性的な線をしている。
もしかして、女装した身で少女達のライブに参加しようと言うのか。
かつてそんなアイドルがいたという噂も聞いたが、今は関係ない。
本番前日に参加の要求、ズブの素人、しかも男かもしれない人物。
こんな無茶な条件による提案を受け入れるつもりはない。
プロデューサーは青年の傍に立つ者達へちらりと視線を向ける。
青年の付き添いらしい高校生くらいの少女と、事務所に所属するアイドルの二人が視界に入る。
「プロデューサー、キャスターおねーさんはすげーんですよ!
おねーさんはおとこの人達の前で『つやめかしく、みだらに』踊ったんでごぜーますよね!」
「フフフ、然り!」
「仁奈ちゃん、あの、そういうこと言わない。こいつの話まじめに聞いたら駄目だから」
「あれは余が十七の頃、宮廷の美男を……おふぅっ!?」
「だから!教育に悪いから静かにしてろ変態!」
新田美波と同じく442プロのアイドル、市原仁奈は目を輝かせながらプロデューサーに語る。
まだ小学生という幼い年頃のアイドルだ。その傍らには霊体化したライダーがキャスターの監視役を兼ねて佇んでいる。
淫惑の世界を知る筈もない彼女が、あろうことかキャスターに懐いてしまっている。
彼の持つ魅了の能力がそれを可能とし、こうしてキャスターのライブ参加を推薦してしまうほど虜にされていた。
キャスターの後方に立つマスター・
南城優子はいつものように彼の脇腹を裏拳でどつき、淫らな体験談を止めさせる。
殴られているキャスターの表情はどこか気持ち良さげだったのは触れるまでもない。
「ふー……で、どうなのだ?余は「ライブに出せ」と言っているのだが?」
再びグイっとプロデューサーに近付いてきた。
強引な参加要求に加え、何やら問題発言まで行おうとしていたらしい青年をプロデューサーは怪訝に見つめる。
出来ることならば丁重に断りたい。
上に相談することも無く自分の判断で追い出そうか、とさえ考えていた。
どうやら仁奈は彼に懐いているらしく、断るに断りづらいとは想っていたが。
先程からの態度を見る限り、むしろさっさと断るべき人物である気がしてきた。
そう考えたプロデューサーは、青年の参加をきっぱりと切り捨てようとした。
そうすべきだと考えた。
だが。
「――――――――――なあ?」
プロデューサーの口から、言葉が出なかった。
唇が震え、先程まで考えていたことを口に出せなかった。
何故、どうして。
そう考えるプロデューサーの視線は、気が付けば青年に釘付けになっていた。
否、視線だけではない。
脳が青年のことを考え、心が青年のことを想い、神経が青年を求めている。
全身のありとあらゆる感覚が、目の前の彼に向いている。
心臓が高鳴る。鼓動が速くなる。
目の前の青年に恋をしているかのような感情が駆け巡る。
まるで『魅了』でもされたかのように、プロデューサーの緊張が高まる。
彼は知る由も無い。
青年の美貌によって『魅了』されていることを。
目の前の青年の麗しき容姿によって、誘惑されていることを。
それがサーヴァントであるキャスターの能力。
老若男女を問わずに視線を集め、魅惑する『美』のスキル。
聖杯戦争の参加者ですらない彼に、それを理解する余地はない。
「た、確かにスケジュールにある程度の余裕はありますが……その、貴方は当プロダクションのアイドルではありませんので……」
「余を誰と心得ている」
まあ今の貴様らには解らんか、とキャスターは苦笑しながらごちる。
宝石にも似たキャスターの瞳がプロデューサーを捉える。
彼の心を鷲掴みするかのように――――――じっと『視る』。
頬を紅潮させて緊張するプロデューサーは、その場から動けない。
青年の美貌から、麗しさから、目を離すことが出来ない。
「余を、ライブとやらに出せ」
呪文のような一言が、囁かれる。
再び、プロデューサーが心を掴まれる。
いいから帰れ。君が介入する余地なんて無い。
そう言うべきである筈なのに、プロデューサーの口はぱくぱくと動くのみだ。
そんな有様を見て、キャスターはニヤッと妖艶な笑みを浮かべる。
「いいな?」
「は……はい。喜んでお引き受け致します」
上擦った声の返答に、キャスターは満足げに微笑する。
最後の一押しは、皇帝特権よって一時的に得た魔術スキルによる『暗示』。
彼の象徴とも言える紅顔の美少年スキルでの魅了によって徐々に骨抜きにし、暗示で一気に攻め落とす。
こうしてキャスターは、とうとうライブ参加の許可を取り付けた。
ローマで堕落と淫乱の限りを尽くした皇帝が、清く可憐なアイドルのライブへと乱入することが決定したのだ。
◇◇◇
「はぁ……」
「優子おねーさん、どうしたでごぜーますか?」
「いや、なんでもないわよ……」
キャスターの後方で優子が小さく溜め息を吐く。
小さな女の子に心配されるほどくたびれた顔をしていることを彼女自身情けなく思ってしまう。
442プロに来た時点で、こうなることはほぼ解っていた。
というより、こうなって当然だったと言うべきだろう。
キャスターには『こういう手段』を実行できる力があるのだから。
霊体化して姿の見えないライダーが何を思っているのかは解らないが、こんな馬鹿に付き合わされる羽目になる彼には同情する。
元を辿ればライダーの良心にかこつけて同盟を結んだのは自分であるため、優子は少々申し訳ない気持ちにもなるが。
ライダーへの軽い同情を覚えつつ、内心では彼が今後のキャスターを抑えてくれることを祈る。
令呪という切り札を使わずにキャスターを抑え込むには、他のサーヴァントの助力に頼る他無いのだから。
ともかく、これで本当にキャスターがライブに参加することが確定した。
改めて考えるだけで頭が痛くなる。
『枕営業』とか変な真似をやらかさずに済んだだけよかったのかもしれないが――――などと優子が考えていた矢先。
「それで、貴方のお名前は……」
「ヘリオガバルス」
―――――は?
優子はぽかんと口を開く。
キャスターはプロデューサーに名前を問われた。
それは解る。確かに聞いていた。
名前が解らなければ話が進まないということも解る。
だが、キャスターはそれに何と答えた。
古今東西の英雄で、その名の露呈が弱点の発覚に繋がるらしいサーヴァントが何を言った。
「余のことはヘリオガバルスと呼べ」
堂々と名乗るキャスターに、優子は唖然とした。
ヘリオガバルス。太陽神エル・ガバルの司祭であったことを由来とする異名。
それを晒すことは、ほぼ真名を晒すことに等しい。
優子はキャスターの詳しい素性は知らないが、彼の真名と異名は聞いている。
故に彼女は、驚愕せざるを得なかった。
「偽名くらい使ってくれるだろう」「流石に本名をばらすほどボンクラではないだろう」という甘い見通しが裏目に出た。
自らのアキレス腱に等しい呼び名を堂々と明かした自らのサーヴァントへの動揺を優子は隠せなかった。
「ちょっ、あんた、それ―――!」
「何か不満か?」
「当たり前でしょう!」
「ああ、
マルクス・アウレリウス・アントニヌス・アウグストゥスの方が良かったか?」
「違う!なんでバラしてんのよ!?さっきまで、ほら、ライダーとかには別に名乗ってなかったじゃない!」
「うん?先程は別に名乗る必要がなかったのでな。だが、舞台に立つと決まればそうは言ってられぬだろう?
観衆の前に立つ美しき新参者の名を明かす必要があるのだからな」
憤る優子にキャスターは何処吹く風と言った様子で答える。
反省の色はまるで無いし、悪気も全く見えない。
自分がヘリオガバルスと名乗ることが当然であると言わんばかりにふてぶてしい態度を貫く。
そんな彼の有様に優子が憤慨しない筈がない。
ただでさえ此処まで振り回され続けたのだから、キャスターに対する苛立ちは相当のものだ。
優子はキャスターの肩を掴み、声を荒らげる。
しかし。
「ふざけんな馬鹿!ただでさえ弱いのに、名前までバレたら……!」
「言っておくが」
酷く冷たく、威圧的な声が、優子の言葉を遮った。
同時に肩を掴んでいた優子の手が煩わしげに振り払われる。
振り返ったキャスターの表情は苛立たしげで、冷ややかであり。
あの時の『悪寒』が、再び優子の背筋に走る。
「余は皇帝だ」
尊大に、傲慢にキャスターは言い放つ。
その口元は歪み、不敵で傲岸な笑みが浮かび上がる。
「観衆の前でこそこそ名を隠す支配者が此の世の何処にいる?
此処に居るのはヘリオガバルス―――太陽神エル・ガバルの司祭にして美しき皇帝。
それを諸人に示さずしてどうする」
唖然とする優子を尻目に、キャスターの言葉は続く。
太陽神エル・ガバルの司祭にして極端な宗教政策を執った皇帝。
若くしてローマの頂点に立ち、四年余り淫靡の限りを尽くした暴君。
それがキャスター。それがヘリオガバルスだ。
己が暗愚の君主として名を残していること自体は、彼自身知っている。
ローマ史上最悪の皇帝―――そんな二つ名も座の知識によって把握している。
だが、『それが何だというのだ』。
正体の露呈を恐れる者が、こんな戯れに走るものか。
外聞に怯える者が、四年に渡って皇帝の権威を傷つけるものか。
キャスターは、己の所業を恥とも思わない。
ヘリオガバルスという名を汚点であるとも考えていない。
彼は己の名と所業への評価に関心など抱いていなかった。
『己の神を信奉し』『自由奔放に生きた』。
彼にとって、皇帝として生きた四年間はただそれだけのことだ。
自制心や道徳心、それに暗黙の規範など、己の享楽と信仰に比べれば取るに足らぬもの。
敬意を払うべきは太陽神エル・ガバル。
最後まで己の権力を支えてくれた母ソエミアスも、まあ敬意を払わんでもない。
だが、それ以外はどうだって構わない。
己が望むのなら、己は何だってやる。
故に名を明かすことにも躊躇わないし、ヘリオガバルスという皇帝の名を晒すことも恥とは思わない。
キャスターは、本気でそう考えていた。
プロデューサーも、仁奈も、頑然のキャスターの異常性に関心を持たない。
寧ろ、その美しさに目を奪われ―――見惚れたままだ。
優子は僅かに震える身体を抑え、きっと睨むような強張った表情で彼を見据える。
「明日、観衆は思い知ることになる。
崇高なる余の有り様を。ヘリオガバルスという麗しき君主の名を!」
キャスターは――――ヘリオガバルスは、心底愉しみにしていた。
訪れる宴の時を、明日に控える享楽の舞台を。
己の意思を示し、満足げな笑みを浮かべたキャスターは優子の肩にぽんと手を置く。
びくりと僅かに身構えそうになった優子だったが、そのままゆっくりと近づけられるキャスターの顔に寒気を覚える。
そして、化粧を施されたキャスターの艶めかしい唇が。
彼女の耳元へと近寄り。
ぽつりと、囁いた。
「命拾いしたな、女。お前がマスターでなければ、余はその首を飛ばしていた」
◇◇◇
「ニッタミナミだな?」
突然話し掛けられた美波は、はっとした様子で声の方へと顔を向ける。
たった今、飛び入り参加を承諾させた新人アイドル―――ヘリオガバルスが、麗しい笑みを口元に浮かべていた。
「えっ?はい、そうですけど……」
「やはりそうか。お前もライブに出演するのだったな。
明日は宜しく頼むぞ、お前は中々に美しい。ま、余ほどではないがな」
ふっ、と微笑と共に紡がれた彼の言葉に、胸が微かに高鳴った。
金色の髪が靡き、甘い香りが美波の感覚を刺激する。
きょとんとした表情が、僅かに紅潮し。
気が付けば、部屋から去っていくヘリオガバルスの姿を目で追っていた。
複雑な表情を浮かべる優子、目を輝かせる仁奈も彼に着いていっている。
――――仁奈ちゃん達は、あんなキレイな人と一緒にいられる。
――――少し、羨ましいな。
彼に着いていく後ろ姿を見て、そんなことを思ってしまった。
惚けた表情で、美波は彼らを見送っていた。
ぼんやりとしたまま右手を動かし、胸に当てようとした―――瞬間。
《ミナミ、大丈夫ですか!?》
《えっ!?あ、ええ、はい!大丈夫よ……!》
セイバーからの念話が、美波の頭に響いた。
現実に引き戻された美波の心の昂りは、途端に落ち着き出した。
あんな胸の高鳴りを、他の誰かに抱くなんて――――いつぶりだったのか。
何故だろう。どうして彼女には惹かれたのだろう。
美しい容姿を持つセイバーにも、心を惹かれなかったのに。
少しだけ覚える違和感と奇妙な悔しさを隠しつつ、美波は念話を送る。
《……セイバー、あれって》
《ええ。どう見ても、サーヴァント……ですね》
取り留めの無い様子のセイバーの返答が美波の頭に響く。
あの『ヘリオガバルス』と名乗った少女は、間違いなくサーヴァントだった。
魔力の気配――――というものは、美波にはよく解らなかったが。
少なくとも、彼を視認することでステータスを見ることが出来たのだ。
何故堂々とライブに参加しようなどと思ったのか。
何か目論みがあるのだろうか。
そう思って少しばかり警戒を抱きつつ、美波はセイバーの念話の言葉を聞く。
《……ミナミが直接頼み込んでも苦い反応だった御仁が、彼女の前ではあっさりと崩されましたね。
何らかの術……それも魅了や暗示の類いを備えている可能性が高いでしょう。そちらからの干渉は避けるべきかと》
魅了。
誰かを誘惑し、虜にする才能。
『強い魂を魅了する導く魂』―――――なんてことを、セイバーに言われたのを美波は思い出す。
仕草に魅了され、その美しさの虜になるとは、ああいった気持ちなのだろうか。
『彼』に抱いた想いとはまた異なる感情の残痕に、美波は少しばかりの戸惑いを覚える。
確かに、彼女を見ていた時の自分は惚けていた。
そして、彼女に見られていたプロデューサーもまた骨抜きにされていた。
あれが暗示と魅了の力なのだろうと美波は理解する。
恐らくはスキルか宝具――――美波はまだ『ステータスを視る』という感覚に慣れていない為、魅了がどういったスキルあるいは宝具なのかを確認することまでは出来なかったが。
サーヴァントとは戦闘者のみならず、アサシンやキャスターといった技巧者も存在するとは聞いている。
ああいったことが出来る手合いも居るのだろう。
美波はセイバーの呼びかけの御陰で正気に戻ることが出来たと安心する。
美波の持つ、『他人を魅了し、魂を惹かせる』というある種ヘリオガバルスに性質を持つ強い魂。
そして既に備えている他人への強い恋慕――――――それも聖杯戦争に引き寄せられるきっかけになるほどの想い。
その二つが魅了の魔術の効果を少しでも抑えていたことを、美波は知る由も無い。
《そういえば、仁奈ちゃん……》
《どうしました?》
《市原仁奈ちゃん……あの子、442プロダクションのアイドルなの。
どうして、サーヴァントと一緒に居たのかしら……》
そうぼやいてから、美波の頭にある可能性が思い浮かぶのにさほど時間はかからなかった。
あのサーヴァントは魅了の力を持っている可能性が高い。
そして、仁奈は何故彼女に付いていっているのか。
何故彼女と行動を共にしているのか。
一つの答えが心中に浮かび上がった時―――――美波の胸の内に不安が込み上げる。
《……可能性は、高いでしょうね》
美波の心中の懸念を汲むように、セイバーは呟いた。
やはり、彼女も思っていたらしい。
仁奈はあのサーヴァントに魅了されているのではないか。
それによって友好的な関係を構築させられているのではないか、と。
マスターは恐らく、ヘリオガバルスと行動を共にしていた茶色のソバージュの髪を持つ少女の方だ。
振る舞い、言動、上下関係――――それらを鑑みるに、やはりあの少女がマスターである可能性が高い。
彼女がヘリオガバルスに憤っていたのを見るに、どうやらライブ参加は彼女にとっても不本意であったらしいが。
ともかく、仁奈を抑えられているのは危険と言わざるを得ない。
無力な人間を手元に置いている、ということは『その気になれば人質として使える』ことを意味するのだから。
例えマスターの方にその気が無くとも―――――あのヘリオガバルスというサーヴァントが、何をするか解らない。
直後にセイバーが「マスターはあのサーヴァントを制御出来ていない可能性も高いでしょう」と念話で告げてきた。
美波はその言葉に納得する。
彼女はヘリオガバルスの物言いに対し不本意な態度を示していたのに、結局は意思を押し通されていたのだから。
アーチャーはまだ制御出来る、近代の英雄である彼女は然程強力な存在ではない。
不敵で厄介な手練だが、話はそれなりに通じる―――とはセイバーの談。
しかし、マスターですら制御出来ていないヘリオガバルスはどうか。
《……セイバー、アーチャーにも連絡しておきましょう。
あのサーヴァントについて言っておきたいから。それと……》
美波はそう告げ、セイバーからの情報で携帯に登録した『アーチャーのマスターの連絡先』を見つめつつ考える。
何を企んでいるのかも解らないあのサーヴァントがライブに食い込めば、どうなるのか。
仁奈のみならず、他のアイドル、ファンも危険に晒されるのではないか。
懸念は次々と込み上げてくる。
故に美波は、セイバーに言う。
《もし、あのサーヴァントが何か企んでいたら。その時はセイバー、貴女の力を借りるわ》
《言われずとも。私は、ミナミの剣として此処に居ますから》
この世界が嘘偽りだとして。
共に切磋琢磨するアイドルや応援してくれるファン達が、例え『本物』でなかったとしても。
それでも彼女達は仲間であり、彼らは大切な人達だ。
関係ない、彼らはきっと偽物だ――――そう断言して彼女らを切り捨てられる程、冷酷にはなれなかった。
新田美波は恋をしていた少女であると同時に、希望を背負って輝くアイドルなのだから。
決意を固めた美波は、ボイスレッスンをすべくレッスンルームの一つへと赴こうとする。
しかし、唐突にセイバーが呼びかけてきた。
《――――――ミナミ》
その声は、緊迫しており。
何が起こっているのかは美波には解らないが、彼女を焦らせる機会が訪れていることは理解出来た。
《危機が迫ったら、迷わず令呪を使って下さい。……私は、少々出掛けます。
この建物へと真っ直ぐに向かってくる『魔力の気配』が感じられました》
◆◆◆◆
「―――――もしもし、プロデューサー!?」
「その……ごめんなさい!ちょっと寝坊というか、色々あって……」
「本当にごめん、すぐ事務所向かうから……それより!」
「皆は大丈夫か!?誰もその、危ない目に遭ってないか!?」
「幸子達が!?あいつらどうしたんだ!?大丈夫なのかよ!!」
「そ、そうか……!無事なら、良かった……」
「……え?」
「ちょっと待って、それどういうこと……」
「え、嘘だろ、加蓮が、またって……!」
「そんな筈ない!加蓮は治った筈だろ!?何の異常もないって言われて退院しただろ!?」
「また『発症する』なんて、ある筈が……!!」
「あ……その、ごめん、取り乱した……」
「…………なあ、プロデューサー」
「加蓮、今どこだ!?」
「ありがとう、そしてごめん!ちょっと先に加蓮とこ行く!!」
「あと、それと!!」
「―――――『人喰い』に気をつけろって皆に伝えといて!ライブもダメだ!!あいつらがアイドルを狙ってるんだ!!」
◆◆◆◆
今や獣は大きく吼える。
聖夜を待つ辺境の大地で。
枷は壊れるであろう。
獣は奔るだろう。
彼らは見るだろう。
偶像の黄昏(ラグナロク)を。
乙女達の惨い運命を―――――――。
◆◆◆◆
臭いがする。
肉の臭い。
獲物の臭い。
女子供の臭いだ。
赤黒い風が荒々しく、奔放に宙を駆け抜ける。
赤黒の髪を靡かせる一匹の獣が、ビルの屋上から屋上へと跳び回っている。
獲物を求めて駆け回る『人食いの獣』が空を跳んでいるのだ。
サーヴァントの筋力と敏捷性を駆使して跳躍する彼女の姿は、常人には捉えることも出来ない。
故に街を往く人々は、赤黒き獣の存在に気付くことは無い。
平穏のすぐ側に存在する異形の者を知る由も無く、日常を過ごし続ける。
バーサーカーのサーヴァント――――ジェヴォーダンの獣。
人間の業が生み出した望まれぬ生命にして、数多くの人間を喰らい殺した魔獣。
その在り方はこの場でも変わることは無い。
反英雄として召還された彼女は、相も変わらず血肉のみを求める。
もっと。
もっと、欲しい。
もっと、喰らわねば。
『そうしなければならない』。
『殺さなければならない』。
獲物は何処だ。
肉は何処だ。
餌は何処だ。
何処だ。
何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ。
ただただ、求め続ける。
彼女の脳を埋め尽くすのは、貪欲なまでの意志。
彼女の鼻を瑞々しい香りが刺激し続けている。
本能で駆け回る彼女は、誘蛾灯に引き寄せられる虫のように『臭い』の宛へと向かう。
飢えた眼差しで世界を見下ろす獣の口は赤く汚れ、牙は紅に塗れている。
明け方の戦闘の後、既に彼女は幾人かの人間を喰らっていた。
全て、若く可憐な女子だった。
アイドルを殺せ。
それが主である『もう一人の人食い』によって彼女に下された令呪。
アイドルとは、何だ。
『彼』が憎み、殺すことを望むアイドルとは何だ。
獣としての本能で思考した。
彼女の価値観で解釈した。
その結果、辿り着いた答え。
少女だ。
あの時、自分と打ち合った『剣士』と共にいた少女。
『彼』が殺さんとし、途中で打ち止めにした少女。
あれと同じニオイを発する者が『アイドル』だ。
つまり、若く瑞々しい女子を喰らえば良い。
その中でも、あの少女により近い臭いを発する者がいれば――――――――それを優先的に狙えば良い。
ジェヴォーダンの獣は、本能で解釈した。
それから彼女は、少女を獲物として狙い続けている。
臭いが、次第に近付いている。
濃い。
どんどん濃くなっている。
先程の獲物よりも濃密で、そしてより近い。
『あの少女』に似た香りが、獣の鼻を刺激する。
彼女は本能的に察知する。
あいつらがいる。
『アイドル』がいる。
近くにいる。
この先にいる。
潰す。
抉る。
嬲る。
殺す。
食う。
食って食って、食い尽くす。
それが彼女の本能。
そして―――――――彼の望み。
だが。
彼女は、足を止めることになる。
臭いとは異なる『複数の気配』を感じ取ったからだ。
そのうちの一つが、すぐ側にまで接近している。
否―――――既に前方に『立ちはだかっている』。
とある高層ビルの屋上に着地した獣は、十数メートル離れた位置に立つ敵の姿を見据える。
喉の奥から、獅子の如き唸り声を上げる。
眼前の影を威嚇しつつ、牙を剥き出しにする。
対する『敵』は、無言で獣を見据える。
野生に塗れた表情を浮かべる獣とは裏腹に。
目の前の存在は、落ち着き払った佇まいで視線を送っていた。
「……『獣』ですか」
獣の正面に立ち塞がる『敵』。
それは、黒煌の戦乙女だった。
焔で編み込まれた鎧を身に纏い、黒い髪を風に揺らす麗人。
貧相で野性的な装いの獣とは対照的な整った出で立ちだ。
戦乙女は奇怪な棒状の武器を握り締め、十数メートル程離れた位置に立つ『獣』を見据えている。
「私のマスターは、『今はまだ』貴方を積極的に刈り取ろうとは考えていません」
戦乙女が、語りかけるように呟く。
首を傾げるような動作をしつつ、獣は乙女を見据える。
その姿は、凛としており。
されど、何処か虚無的な――――――歪なようにも見え。
美しさと虚しさを身に纏った戦乙女は、淡々と言葉を続ける。
「されど、彼女の在るべき場所を踏み躙ろうと言うのならば。
私とて、容赦をするつもりもありません」
戦乙女の言葉に、敵意が滲む。
獣が僅かに身構える。
『それ』を本能で感じ取ったからか。
「それでも全てを喰らわんとするならば、来なさい」
空気が、揺らいだ。
戦乙女の心に火が灯った。
それは情熱ではなく。
黒く、禍々しい熱であり。
びくりと、獣の背筋が微かに震えた。
恐怖か。自分はアレに一瞬でも怯えたのか。
獣はそれを知覚する。
未知の畏れに、彼女は戸惑いを覚える。
そして、戦乙女が――――――再び口を開いた。
「貴様が相対するのは、天地を灰燼に帰す焔だ」
―――――戦乙女の肉体から、焔が溢れた。
獣の本能が感じ取った。
あれはヒトか。
否、違う。
炎だ。
おぞましい業火だ。
黒い、黒い、死の滾り。
歪に燃える『黒き者』。
そして。
乙女は。
黒い焔を滾らせながら、嗤っていた。
獣の内に込み上げた危機感と、恐怖。
『アイドルを殺せ』と言う令呪の効力。
それらが獣を動かした。
此処で奴と戦うべきではないと、判断させた。
◆◆◆◆
「1・2・3・4!5・6・7・8!」
振り付けのリズムを示す女性トレーナーの通った声。
キュッ、トン、とシューズの底が床へ小刻みに打ち付けられる音。
レッスンルームに響くのは『新人アイドル』の研鑽の音色だ。
本日付でアイドルとなった彼女はレッスンの真っ最中であった。
彼女の励む様子を、プロデューサーが見守る。
「1・2・3・4!5・6・7・8!」
女性トレーナーの振り付けに合わせ、『新人アイドル』がそれに追従して踊る。
アイドルとして正式に採用されてから半日も経っていない。
にも関わらず、彼女はプロさながらの動きでダンスをこなしていた。
揺れる金色の髪から覗く表情は、まだまだ余裕に満ちている。
それどころか、不敵に笑ってさえいる。
「はい、ここでステップ!そしてターン!」
軽やかなステップ。
そしてフィニッシュ、くるりと身体を回転。
そのまま――――決めポーズ。
踊りきってみせた新人アイドルの『皇帝』は、艶めかしいしたり顔を浮かべた。
皇帝アイドル、ヘリオガバルス。
卑しい夢に向かって努力の真っ最中である。
逸材。そんな言葉がトレーナーの脳裏をよぎる。
ダンスレッスンを終え、レッスンルームの外のベンチに腰掛けるヘリオガバルスに「おつかれさま」と声を掛ける。
初めて目にした時からその美貌に心を奪われた。
それだけでも衝撃的だったのに、これほどの短時間で曲の振り付けをマスターしてしまうとは。
いったい彼女は何者なのだろうか。
トレーナーはそんなことを思いつつ、ヘリオガバルスを労う。
「凄いですね、ヘリオガバルスさん。まさかこの短時間で振り付けを殆ど覚えてしまうとは……」
「ふふ、かつてを男達の目を楽しませる為に芝居や舞に興じたこともあったのでな!この程度は造作もない!
時には芸の最中に衣服を脱ぎ捨て裸身を晒し、男達の淫らな情欲を一身に受けたことも……あふゥッ!?」
嬌声にも似た苦悶の声を上げた。
ヘリオガバルスの隣で不満げに座り込んでいた優子が、その脇腹に肘鉄を叩き込んでいたのである。
「いい加減にしろ馬鹿!そんなこといちいち言わなくていいから!」
「舞踊を終え、艶めかしき肉体に汗が滴る余を蹂躙するか?フフフ、それも良かろう!
なら存分に楽しませて……んほぉっ!いいッ!!」
「もう黙ってなさいアンタは!!」
「キャスターおねーさんと優子おねーさんは仲良しでごぜーますね!」
「違うから!!」
優子がど突き、ヘリオガバルスが悦び、仁奈が無垢な反応を返す。
さながら度の過ぎた漫才のような掛け合い。
三人の美少女の異様なやり取りに困惑するトレーナーを尻目に、ヘリオガバルスは恍惚とした表情を浮かべていた。
「あの、そういえば南城さんはいいんですか?折角ヘリオガバルスさんも出るんですから、貴女もご一緒に出演とか……」
「あー、いや、別にいいかなって感じですね……」
トレーナーさんからのお誘いをやんわりと断る。
優子も女子だ。ああいう煌びやかな舞台に憧れていた時期も無くはなかった。
そんじょそこらのアイドルにも負けない容姿を持っていることも彼女自身、自負している。
だが、少なくともヘリオガバルスと一緒にステージに立ちたいとは思わない。
ヘリオガバルスと切磋琢磨してレッスンするのはもっと嫌だった。
そういう訳で、結局優子の立場は『キャスターの付き添い』以外の何でもなくなっている。
とうのヘリオガバルスはトレーナーやスタッフに『ユウコは余の友人である』と心にも無いであろう紹介を気さくにやってのける。
それ優子に取って不愉快で仕方が無かったのだが、口には出さず。
代わりに、心底疲れ果てた様子で溜め息を一つ吐いた。
◇◇◇
たのしみだなー、と心から思っていた。
仁奈は、明日のライブが楽しみだった。
楽しみだったライブに綺麗なキャスターおねーさんが加わり、もっと賑やかになる。
きっと、もっともっと楽しくなる。
明日のステージはもっとキラキラ輝く。
そう思うと、ニコニコが止まらなかった。
聖杯戦争。
与えられた偽りの日常。
人食いと、道化師。
仁奈は、本来マスターなら意識すべき事柄を殆ど認識していない。
彼女にとってライダーは友達であり、従者などとは思っていない。
優子達を敵だとも思っていない。
他の主従が命を懸けてこの戦いに臨んでいることも理解しておらず。
ましてや、自分がその土俵に立っていることなど――――――知る由も無い。
だから、楽しかった。
キャスターおねーさんと一緒にいられる今が、嬉しかった。
キレイで、かっこよくて、セクシーで、やさしくて。
そんなキャスターが仁奈は大好きだった。
優子おねーさんに叩かれてるのはかわいそうだけど、少し微笑ましかった。
不思議とふたりは仲良しに見えたから。
きっと、みくおねーさんと李衣菜おねーさんと一緒だ。
仲良しだからこそ、いつもああいう風に『かいさん芸』みたいなことが出来てしまう。
だから仁奈は、ニコニコと見守ってしまう。
たのしみだなー。
仁奈は、明日の平穏を決して疑わない。
当然のように明日はライブに参加して。
そして、努力の成果をめいっぱい出せるのだと、信じて疑わなかった。
だからこそ、もしもの事態なんて考えていない。
「……奈緒の言った通りになりそうだな……」
自販機の傍の壁で、携帯を片手にプロデューサーが何かぼやいていた。
困ったような、やっぱりと思っているような。
そんな複雑な顔を浮かべて、腕を組んでいた。
そのままプロデューサーは、廊下を歩いていく。
「おいプロデューサー、何処へ行く?」
「加蓮の病状の再発と、今朝の幸子達の生放送中の事件を受けて……緊急の会議だよ」
キャスターの呼び止めに、プロデューサーが答えた。
仁奈はぽかんとした表情を浮かべる。
――――――加蓮おねーさんの、びょーじょーさいはつ?
――――――生放送中のじけん?
――――――きんきゅー、かいぎ?
たまに一緒にレッスンしてくれた優しい加蓮おねーさんの『びょーじょー』がさいはつして。
幸子おねーさんや小梅おねーさん、輝子おねーさんの生放送中に、何かあって。
そして、きんきゅうのかいぎが開かれる。
仁奈の中で不安が急激に込み上げた。
何か嫌なことが起こりそうな気がした。
悲しいことが、つらいことがありそうな気がした。
そう思った途端、彼女の表情は途端に不安げなものへと変わり始める。
そして、彼女の中の懸念は。
すぐに、実を結ぶことになる。
「多分、ライブは中止になるだろう。申し訳ない――――」
「え?」
プロデューサーの一言に、唖然とした。
中止。中止?ライブを?
仁奈の頭の中は真っ白になった。
明日は、何事も無く楽しいライブが出来ると思っていた。
キャスターおねーさんも加えて、皆でせいいっぱい頑張って。
そして、ファンのみんなからカワイイ、カワイイって褒められて。
すっごく幸せな気持ちになると思っていた。
だから仁奈は、とても悲しくなった。
プロデューサーの言葉に、泣きそうな顔になり―――――――
「―――――何だと!?おい、どういうことだ!余の舞台だぞ!!」
そんな中、ただ一人だけ激怒する者がいた。
キャスターが、見たことも無い顔で取り乱していた。
ちょっと待って、と優子が彼を止めようとした。
だが、彼は彼女の手を容赦なく振り払い。
肩を怒らせながら、怒声を上げた。
「おいプロデューサー、案内しろ!会議の場へ!!」
その時のキャスターは、烈火の如く怒り狂っているのに。
何故だか、仁奈の目には――――――いつもよりキレイに、キラキラと輝いている風に見えた。
彼が己の『魅了スキル』を全力で発揮していることは、知る由も無い。
両目に溜めていた涙を拭い、仁奈は再び笑顔を取り戻した。
◇◇◇
《おねーさん、みんなでライブ出来るようにえらい人達の所にいったでごぜーますね?》
《……そうみたいだね。きっと彼女が話を付けてくれる筈さ》
霊体化した状態のライダー――――オシーンは、複雑な心境だった。
プロデューサーの言葉に涙ぐんでいた仁奈の表情に、明るさが戻っていた。
それは紛れもなく、キャスターのおかげだった。
あのヘリオガバルスと名乗る危険なサーヴァントが、結果的に仁奈の涙を拭ったのだ。
《うれしいなー……おねーさんはやっぱりすげーです》
仁奈の顔に張り付く笑顔と、憧れ。
あのキャスターに思慕を抱いているのは、端から見ても明らかだった。
しかし、それも『魅了』の力によるものだ。
スキルによって偽りの感情でしかない―――――と断言出来る程、ライダーは冷淡にはなれなかった。
仁奈の笑顔を守る為に、自分は戦う。
そう誓ったのだ。
自分と同じ、悲しみを味合わせてはならない。
彼女の騎士として振る舞い、彼女を必ずや父君と再会させる。
ライダーはそう決意している。
その過程で彼女に涙を流させることは、しない。
乙女の笑顔を、護り続けなくてはならない。
故に――――――ライダーは、キャスターを止められない。
ライブを護ることは、仁奈の笑顔を護ることに繋がる。
ライブを護れなければ、仁奈に先程のような悲しい表情をさせてしまう。
例えキャスターが己の快楽を目的にライブを利用しようとしていたとしても。
ライダーには、彼を止められない。止めることを躊躇ってしまう。
だからこそ、ライダーはキャスターを見過ごした。
『仁奈の為にライブを続行させる』という形で、彼を利用したのだ。
《ライブ、楽しみでごぜーますね、ライダー!》
仁奈は、何も知らず。
無垢な表情でそんなことを言う。
―――――だが、それでいい。
苦難を背負うのは、自分だけで構わない。
悲しみを背負うのは、自分だけで良い。
幼き淑女に涙は似合わない。
《ああ、私も楽しみさ!何せレディ・ニナの晴れ舞台なのだからね!》
だからこそ、ライダーも気丈に応える。
仁奈を不安にさせない為にも、辛い思いをさせない為にも。
ライダーは、『フィオナ騎士団の英雄
オシーン』で無くてはならないのだ。
懸念はある。
人食いの主従、道化師の主従。
プロデューサーが言っていたカレンという人物の病状再発、生放送中の事件。
あの油断ならぬキャスターの存在。
そして――――――たった今感じ取っている、魔力の気配二つ。
それが新田美波のセイバー、人食いのバーサーカーのものであることを知る由は無く。
魔力の気配のうち一つは、直後に気配が途切れた。
消滅による脱落にしては、戦闘での激しい魔力の放出が感じられない。
恐らく逃走したか。
どちらにせよ、この近辺にサーヴァントが潜んでいることは確実だった。
もしかすると、仁奈のようにプロダクション内にマスターが潜んでいるのかもしれない。
だとすればますます気を引き締めなければならない。
仁奈に迫る危機を払う為にも、自分が戦わねばならない。
例え味方が居らずとも、たった一人で戦うことになるとしても。
それでもライダーは、構わない。
護るべき者を守る為に戦う時――――――乙女の為に戦う時、騎士は何よりも強くなるのだから。
◆◆◆◆
Hr��vitnir
やがて『悪名高き狼』となるかもしれない魔獣か。
あるいは、ただの凶暴な犬畜生か。
どちらにせよ、災いを齎すことには変わりないだろう。
ビルの屋上に立つセイバーは、たった今逃げられたバーサーカーのことを思い返す。
スルト/スキールニール。
彼女は人理が世界を覆う前―――――神代の世界に生きた英霊であり、世界を破滅へと導く巨人である。
つまり、人類史が始まるより以前の神秘に覆われた時代に存在した神話の英霊。
神を殺し、世界樹(ユグドラシル)によって形成された世界を劫火で焼き付くし、神話の時代を終結させた終焉の使徒。
その格は、並の英霊の比では無い。
数多の人間を喰らった死の獣でさえも、彼女の前では身を竦める。
(……ミナミ)
主の顔を、脳裏に過らせる。
あの人食いに加え、ヘリオガバルスと名乗るキャスター。
紅き稲妻を操るあの甲冑のバーサーカーとの決着も未だ着いては居らず。
美波の身に迫る危機は、着実に増えている。
状況がますます混沌としてきた。
癪だが、あの大胆不敵なアーチャー―――ベル・スタアと連携を取り続ける必要は着実に増している。
彼女は食えない厄介者ではあるが、実力は確かだ。
自らの弱さを理解した上で強かに立ち回ることが出来る、ある種の強者だ。
奴は恐らく、自分との実力差も理解しているだろう。
ライブ参加の取り付けも、後ろから刺されないようにする為の保険の可能性が高い。
戦力を必要とする序盤では、少なくとも裏切りはしないだろう。
(あの獣のバーサーカーも、無視出来ない存在になってきていますね)
同時に、獣のバーサーカーがプロダクションの近辺を彷徨っていたことも懸念だ。
今回は戦わずして追い払うことが出来たものの、何時奴が再び襲撃を仕掛けてくるか解らない。
明日のライブの時にでも襲撃されれば、被害と混乱も免れないだろう。
決して油断は出来ない。次に相見える時は、必ずや討ち払う。
そして――――――あの異様なキャスター、ヘリオガバルス。
奴の目的は何なのか。何を狙ってライブに乗り込んできたのか。
理解し難いのが不気味だ。もしや、本当にライブに出たいだけだとでも言うのか。
だとすれば、相当の愚者であるとしか言い様が無い。
しかし、あれもあれで厄介なのは確かだ。
奴は魅了の力を持つ可能性が極めて高いのだから。
故に美波を下手に接近させることは危険だ。
可能な限り交流は避けるように注意しておいた。
あの他人を魅了する美貌と欲望に忠実な奔放さは、フレイと同じ豊穣神にして双子の妹であるフレイヤを思わせる。
否――――――『あれ』を彼女と比べるのは、流石に烏滸がましいか。
心中で己の無礼を戒めつつ、美波に念話を送った。
《ミナミ、例のバーサーカー……人食いを目撃しました》
◆◆◆◆
昨今、世間を騒がせている連続殺人事件。
ライブ会場での出火騒ぎ。
退院したばかりだった北条加蓮の『奇病』の再発。
朝の報道番組での『人食い殺人鬼』襲撃事件。
思えば、危険な事態が余りにも連続していた。
祟りか何かだろうか――――等と、柄にも無いことを考える。
そんな非現実的な話がある筈も無い。
不幸な事態が偶然連続して起こった、そう考えるべきだろう。
例えどれだけ状況が奇怪であっても、それが事実である以上は事実を超えられない。
アイドルを含めた関係者の危険を保障し切れないことも事実だ。
ならば、然るべき対応を取らなければならない。
会議室へと向かう彼女―――専務は、442プロダクションのアイドル部門を統括する立場の人間だった。
あるプロデューサーが提案したクリスマスライブの企画を受け入れ、実行に移したのも彼女だ。
クリスマス・イブでの多数のアイドルが出演するライブ。
それは大きな収益となるだろうし、ファンにも喜ばれるだろう。
しかし、そうも言っていられない状況になった。
アイドルやファン、関係者には申し訳ないが―――――これ以上はこちらでは対処し切れない。
警察でも対処出来ていないという『人食い殺人鬼』がアイドルの仕事場まで乗り込んだとなれば、黙ってはいられない。
ライブを実行するには危険が残り過ぎている。
故に、一先ず中止――――埋め合わせのライブ企画を立てられれば其れで善し。
最悪の場合、企画の凍結もやむを得ない。
こちらとて不本意だ。しかし、アイドル達を危険に晒す訳にもいかない。
彼女達には悪いが、後ほど事情を説明して納得して貰うとしよう。
長い廊下を歩き、会議室の扉を開く。
既に複数名のスタッフが席に座っている。
彼らも薄々察しているだろう。
これから何を言い渡されるのか。
ライブが今後どうなるのかを。
プロダクション内でも囁かれていたという。
危険な事件が未だ解決していないらしいじゃないか、本当にライブは開けるのか、と。
生憎、その通りになってしまった。
申し訳ないと思うが、仕方の無いことだ。
彼らにも説明を果たし、納得して貰う他無い。
それしか、出来ることは無い。
ふう、と専務は一息つく。
正面に立ち、会議室に集まった者達を見渡す。
一人―――――肝心の『プロデューサー』がいない。
何をしているのだろうか。
遅刻をするとは、アイドルのプロデュースを請け負う自らの立場を解っているのだろうか。
少し眉間に皺を寄せた彼女は、予定の時間になったことを確認する。
遅刻した者を待ってやる程、自分は甘くはない。
始めるとしよう。
クリスマス・イブの夢は、一旦幕を下ろすことになる。
本意ではないが、致し方無い。
「皆に集まって貰ったのは―――――――」
「余を見ろ!!貴様ら全員、余を見ろッ!!!」
バタン、と乱暴に入り口が開かれた。
直後に怒声が轟いた。
誰もが驚愕し、そちらへと顔を向ける。
当然、彼女もそうだった。
「中止だと!?誰の赦しを得ている!?」
そこにいたのは――――――――美しき少女だった。
それが『飛び入り参加を果たした新人』であることを理解するのにさほど時間はかからず。
その傍らには、例のプロデューサーの姿もあり。
少女は、心底不本意な様子で怒りの声を上げていた。
「出演者や観客の安全とやらの為に余の享楽が興醒めのまま終わるというのか!?
そんな戯言が通じると思ったか。終わらせるものか!妨げられてたまるものか!!」
轟く怒りの声。
撒き散らされる憤怒。
誰もが唖然としていた。
何だ君は。何故勝手に入ってきているんだ。
そんな抗議の声も上げることも出来ず。
――――――――怒り狂う彼に、誰もが見蕩れていた。
「太陽神エル・ガバルの司祭ヘリオガバルスが告げる!ライブは『予定通り開催』だ!!」
高らかに宣言する、その姿に誰もが飲み込まれていた。
なんて美しいのだろう。
なんて可憐なのだろう。
なんて艶めかしいのだろう。
誰もが魅了されていた。
少女を中心に、渦が生まれていた。
彼らは気付かない。
ヘリオガバルスの怒りによって全力で行使された『魅了』によって、虜にされていることを。
昂る感情と共に行使された『魔術』によって、思考を支配されていることを。
目の前のヘリオガバルスが、この空間を支配していることを――――――!
「……解りました」
頬を紅く染めた専務の口から―――――自然と、言葉が溢れていた。
只の人間である彼女らに、抵抗の手段等持たない。
責任者である専務が『予定通り開催』を受け入れた以上、ライブは終わらない。
ライブは、続行だ。
◇◇◇
「ふーっ………」
肩を揺らし、息を整える。
怒りの余り、取り乱してしまった。
不本意な事態になると、つい激情に駆られてしまう。
生意気な口を利く家庭教師を衝動的に殺したこともあったな、と過去の経験をふと思い出す。
だが、まあ結果としては上々だ。
ライブが始まる前に終わってしまう所だった。
余の美しさによって強引にでも続行させることが出来てよかった。
ヘリオガバルスは会議室の者達を見渡し、満足げに笑みを浮かべる。
皆が皇帝に見蕩れている。
誰もが皇帝に魅了され、胸を高鳴らせている。
これでいい。やはりこの空気が心地良い。
一先ず安心してから、ライブがますます楽しみになってきた。
今度はこの程度の規模では終わらない。
会場に集まった数百、あるいは数千を超える人間に魅了を掛けることが出来るかもしれないのだから。
薔薇の雨に埋もれさせることも面白い。手段は数多だ。
そうだ、陣地作成スキルを使うのも面白いかもしれない。
会場を外見そのままにヘリオガバルスの神殿とするのだ。
そうすればライブ会場は皇帝の独壇場へと変貌する。
魅了を使って現場に介入すれば如何様にもなる。
他の下郎共が邪魔してくるならば、その時はその時だ。
恐らくはあの道化師や獣もこのライブを嗅ぎつけてくるだろう。
ああいう遊び好きの手合いは派手な祭りに引き寄せられるもの。
特に獣の主―――――奴は、生放送の現場に殴り込みをかけてきたという。
会議場へ向かう途中、プロデューサーからそれを聞いた。
何らかの理由でアイドルを狙っているのかもしれない。
奴がライブ会場に来ない保障は無い。
とはいえ、その時は――――あのライダーをぶつけてやればいい。
どうせ奴は優子と何らかの形で組み、皇帝に対する牽制の為に仁奈の傍にいるのだろうが。
万が一あの下郎共が現れれば、余なんぞに気を配っている暇など無くなるだろう。
そうなれば、後は奴に下郎共の始末を任せればいい。
抹殺してくれればそれで良し。自らが手を下すことなく目障りな下衆共を排除できる。
返り討ちに遭っても、それはそれで良し。奴はいずれは始末すべき存在。
余を見張らんとしている目障りな下郎を獣と道化が狩ってくれるのも悪くない。
そして、このプロダクションの近辺に存在していた魔力の気配をヘリオガバルスは察知していた。
何者かは解らないが、少なくともライブ会場に堂々と殴り込みを掛けるような思考を持つ者は早々いないだろう。
そんなことが出来るのはあの獣共のような余程の馬鹿か、この皇帝のような粋な傾奇者だけだ。
乱戦に至る心配は薄いだろう。もしかすると、あのライダーのような善人が他にもいるかもしれない。
その時は、利用してやればいい。
(それに――――)
もし、ライダーと獣や道化が戦ったとして、どちらかが勝てば。
勝ち残った方は、疲弊していることだろう。
最後にその隙を突いてやれば、余は労することなく敵を排除できる。
尤も、無理なら無理で適当に今後の身の振り方を考えればいいだけのこと。
ライダーを始末した暁には、仁奈は手元に置いてやってもいい。
あの小娘は物の道理を解っている。
従うべきは余。尊ぶべきは余。それを理解している。
そう言った手合いは、それなりに丁重に扱うつもりだ。
ああ、何と寛大であることか。ヘリオガバルスは己の器の大きさに酔う。
むしろ奴らが連中を抑えている隙に観客を相手に魅了を掛けてやるのも面白いかもしれない。
獣共にかまけている隙に、会場は淫乱の限りを尽くされている――――その時のライダーの絶望の表情を見てやるのも一興。
ああ、実に楽しみだ。
宴の時は迫っている。
◆◆◆◆
―――――切り払う『死』。
―――――煌々と燃え盛る焔。
―――――血に塗れた主君。
―――――『彼』は、間に合わなかった。
―――――微睡みの中で、少女は見た。
―――――何故だか、悲しくなった。
◆◆◆◆
腕を組み、足を揺らす。
その表情は苛立ち、焦り。
同時に、不安が浮かんでいる。
ラジオからは延々と『アイドルの生中継現場襲撃事件』の速報が流れ続けている。
神谷奈緒は、焦燥していた。
急いで掴まえたタクシーの後部座席に座りながら、物思いに耽っていた。
奈緒は気絶から目覚めた直後、すぐにセイバーと情報交換を行った。
あの『人食い』がアイドルを狙い、令呪を使ってバーサーカーを動かしたことを伝えた。
彼は、奈緒を挑発するかのようにアイドルの皆殺しを宣言したのだ。
気絶によってそれなりの時間を消費してしまった奈緒は焦っていた。
このままでは皆死ぬ。そもそも、既に被害が出ているのではないか。
不安を募らせた奈緒は、プロデューサーに遅刻や人食いへの警告を伝えるべく電話をかけたのだが。
そこで奈緒は、信じられない情報を知ることになる。
加蓮が『以前と同じような症状』で再び倒れたのだ。
馬鹿な。そんな筈が、あいつの症状はセイバーのおかげで治った筈だ。
兎に角、奈緒は加蓮が心配だった。何が起こったのか確かめたかった。
それ故に加蓮がいるという病院へと向かったのだが―――――もう一つ、やはり『人食い』の懸念があった。
《……セイバー》
《どうした、主殿》
《セイバーは、事務所に向かってくれ》
奈緒は、護衛として付き従うセイバーに念話でそう告げる。
彼に頼んだのは、事務所へ向かうこと。
つまり442プロダクションのアイドルの守護を意味する。
意図はセイバーにも解る。
『人食い』によるプロダクション襲撃を防ぐ為だろう。
親友である加蓮を感情で優先してしまったが――――プロダクションの皆だって護らなければならない。
人食いの襲撃。加蓮の病状の再発。
此処まで来て、ライブが何事も無く予定通り決行される可能性は低いだろう。
きっと中止になる。でも、それでいい。
ライブの練習や、皆との切磋琢磨が無駄になるのは悲しい。
だけど、もうライブなんて言っている場合じゃない。
皆が殺されるかもしれない。今は皆の命が優先だ。
命あっての物種、生きていれば後で立て直せる。
例えこの世界が偽物でも、プロダクションの皆を見捨てたくはない。
何故なら、奈緒はアイドルなのだから。
《あいつらが、皆を―――――》
《否、俺も病院へ向かうとしよう。主殿の友の病状も確認しておきたいのでな》
だが、セイバーは奈緒と共に病院へと向かうことを選んだ。
えっ、と奈緒は呆気に取られる。
直後に「何でだよ」と声を上げそうになったが、それよりも先にセイバーが念話を送る。
《人食いは“あいどる”を狙った。其れらを喰らうには主殿が務める事務所を襲撃するのが手っ取り早い。
だが、奴はそうしなかった。敢えて外部にいる者を狙ったのだ》
セイバーは冷静に状況を分析するように語る。
確かに――――アイドルを殺すのなら、プロダクションを狙う方がよっぽど早い。
少なくとも、虱潰しに外に居るアイドルを狙うよりは遥かに効率的だ。
だが、あの人食いはそうしなかった。
奈緒が気絶している間にも、プロダクションを襲撃したりはしなかった。
プロデューサーに電話をした所、プロダクション内で異変は起こっていなかったのは確実だ――――加蓮の件を除けば。
《奴らは……事務所を襲いはしないであろう。恐らくは、一人一人刈り取っていく算段だ》
奈緒は、息を飲む。
あいつは、あの人食いは―――――そうやって、自分の心を折るつもりなのか。
奈緒の胸の内に恐怖が込み上げてくる。
《その上で、「輿水幸子」という少女らは生還している。
警察とやらですら対処出来ないあの化物の強襲から生き延びたと言うのだ。
恐らく、俺達と同じように怪物を止めんとする主従がおり、其奴に阻まれた……少なくとも俺はそう見ている》
言われてみれば、そうだ。
幸子達はテレビの生放送中に『人食い』に襲撃された。
あいつには警察ですら太刀打ち出来ない。なのに、生き延びた。
運が良かった?奇跡的に逃げられた?そんな相手ではない。
あいつの力があれば、追いかけて殺すことだって訳も無いだろう。
でも、幸子達は無事に逃げ延びた。
それは何故か。
自分達と同じように人食いを止めようとしている主従がいる、ということの証明ではないか。
そう言われれば、確かに納得出来る。
それでも、やっぱり不安はあると奈緒は告げようとしたが―――――
《……それに、胸騒ぎがする。今は主殿の友人の元へと向かうべきだと、俺は思っている》
奈緒の背筋に、寒気のような感覚が走った。
自分よりもよっぽど戦い慣れしてて、よっぽど『そういうこと』に聡いセイバーが、胸騒ぎを感じている。
そう考えた途端、奈緒の恐怖と焦燥はより強く込み上げてきた。
奈緒は、何も言葉を返さなかった。
事務所の安全をある程度保障されたのも、ある。
しかし、何より―――――親友である加蓮のことが、気になって仕方が無かった。
突然再発した病状。そして、セイバーが感じた胸騒ぎ。
何か、何か解らないが。
それでも、加蓮に何らかの危機が迫っていることは理解出来た。
ならば、一刻も早く加蓮のもとへ向かいたかった。
今の奈緒には、病院への到着を待つことしか出来ない。
今はただ、願うことしか出来ない。
加蓮の無事を、祈ることしか出来ない。
「……間に合ってくれ……!」
奈緒の口から、言葉が漏れていた。
切実な表情を浮かべながら、彼女は拳を握りしめる。
脳裏に、『燃え盛る焔』が過った。
人食いと相対し、気を失っていた時。
彼女は、奇妙な夢を見ていた。
『彼』は死を切り払い、突き進んでいた。
『燃え盛る焔』を目に焼き付け、誰かを支えていた。
しかし、結局間に合うことは無く。
それが何なのか――――――彼女には、解らなかった。
◇◇◇
『それは、駄目だ』
『加蓮……みんな……助けなきゃ』
あの人食いとの初戦。
主が呟いた言葉を、セイバーは自らの脳裏に過らせていた。
人食い共は、主と同じ『アイドル』を狙っている。
彼女らを殺すべく、令呪すら切ったという。
決して見過ごす訳にはならない。
何としてでも凶行を食い止めねばならぬ。
主は、神谷奈緒は戦っている。
あの化外共から友を守る為に、必死に動いている。
まだ若い女子であるのに、何処までも気概のある御仁だ。
セイバーは彼女へ心からの感心を抱いていた。
故に、彼女の期待を裏切りたくはなかった。
彼女の努力が実を結ぶかは未だ解らない。
されど、実が結ぶよう後押しをすることは出来る。
決して無駄にはさせない。
主を支え、必ずや彼女の望みを叶える。
それが己の役目だ。
それが主に仕えし、従者の使命だ。
今の己は、源頼政だ。
その名に恥じぬ英雄として、戦わねばならない。
それが『生前の主』に成し得なかった理想だったのだから。
己は、其れを背負って戦っている。
沸き上がる疑問は数多。
何故あの『症状』が再発したのか。
北条加蓮を蝕む怨霊は、確かにこの『目』で殺した筈。
形無き鵺を切り伏せることで手にした『死を視る魔眼』は、あらゆるものの死の形―――線や点を捉える。
死の形を断ち切られた者は、例え悪霊であろうと完全な『死』を齎される。
再び蘇る筈が無い。そしてあの悪霊は、“さあばんと”の使い魔の類いでもない。
ならば、何故だ。
何らかの形で『怨霊の力』を再現する者がいると言うのか。
兎に角今は、北条加蓮の状態を見ておきたい。
彼女がどうなっているのか、何が起こっているのかを確認せねばならない。
そして―――――――この胸騒ぎの正体を、解き明かしたい。
心眼スキルによる第六感なのか。戦の中で培った直感によるものか。
あるいは、ただの思い違いなのか。
己の判断が誤っていないことを、切に願う。
“ぷろだくしょん”と“あいどる”の無事を祈る。
向かわねばならない。北条加蓮が搬送された病院へと。
自分は、遅れてしまった。
護るべきものを掌から零してしまった。
主殿に、己と同じ経験をして欲しくはない。
どうか―――――間に合ってくれ。
◆◆◆◆
令呪の感覚が全身を駆け巡る。
『アイドルを殺せ』という命令が彼女の肉体を動かす。
セイバーと対面し、撤退したバーサーカーが再びビルの上を飛び交っていた。
本能が避けた。令呪の命令が拒ませた。
あのセイバーと戦うことを、否定させた。
それが正しい判断であったかは、解らない。
だが、今の彼女は走ることしか出来なかった。
令呪の魔力の高まりが獣の神経を震えさせる。
それを通して感じたのは、主の憎しみ。
人食い/タキザワが少女に抱いた、溢れんばかりの蔑み。
あるいは、哀れな程の妬み。
彼女にそれが何なのかは、理解できない。
ヒトとしての知性を持つタキザワと、『彼女』は違う。
彼女には、何かを想えるだけの心は存在しない。
複雑な思考など到底出来ない、犬畜生に等しい魔獣だ。
それでも。
奇妙な疼きが、少しだけ脳を刺激した。
理由は解らない。
そう思ったのも、所詮は令呪による暗示に過ぎないのかもしれない。
だが、彼女は確かに『彼の望み通りに殺さねばならない』と思った。
本能と狂気で駆け回る獣は、無意識で主の意志を汲んだ。
令呪を介して、彼の絶望に従った。
彼の怒りが、憎悪が、悲しみが、その肉体に染み渡った。
同胞である彼の想いを、彼女は背負っていた。
彼女の脳は、己の荒々しい肉体に命令を下す。
奔れ。
思うがままに殺せ。
そして喰らえ。
餓えを満たせ。
同胞の望みを果たせ、と。
向かうは――――――もう一つ、『あの少女に近い臭いがする方向』。
タキザワと相対した、あの少女。
彼女に似た臭いを辿っていた。
令呪による能力の増強によってより感覚が鋭く、強く研澄まされる。
故に彼女は感じ取れる。
より『神谷奈緒』に近い気配を、探ることが出来る。
獣は知る由も無い。だが、構いはしない。
その臭いは、神谷奈緒の親友『北条加蓮』のものだということを。
獣が向かう先は、彼女が搬送された病院だということを―――――!
【新都 442プロダクション/1日目 午前】
【南城優子@陰を往く人】
[状態]精神的疲労(小)
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]携帯電話、財布など
[所持金]月末の学生程度(つまりあまり持っていない)
[思考・状況]
基本行動方針:キャスターを制御し、なんとしても勝ち残る。
[備考]
1.キャスターの暴走を抑える。最悪令呪の使用も辞さないが……
2.ひとまず市原仁奈、オシーンと共に442プロの事務所へと向かおう。
3.できるだけ討伐令にも手を出していきたい。
※新都の住宅街にアパートを借りています。
※市原仁奈・オシーンとなし崩し的に同盟を組みました。
ひとまずライブ終了までは行動を共にするつもりです。
【キャスター(ヘリオガバルス)@史実(3世紀ローマ)】
[状態]魔力消費(小)、疲労(小)
[装備]短剣、レッスン用のジャージ、金髪のカツラ
[道具]女子高生服
[思考・状況]
基本行動方針:楽しいことをする。
[備考]
1.ライブは派手に面白く! 方法は考え中。
2.後でライブ会場に赴き、陣地化する。
※市原仁奈・オシーンとの同盟についてまだ知りませんが、優子が何らかの形で協力を仰いでいることは推測しています。
※バーサーカー(ジェヴォーダンの獣)、セイバー(スキールニール)の気配を察知しました。
【市原仁奈@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]健康(魅了)
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]財布など
[所持金]小学生並(つまりあまり持っていない)
[思考・状況]
基本行動方針:ライブに出て、みんなに笑顔を届ける。
[備考]
1.聖杯戦争については、よくわかっていない。
※キャスター(ヘリオガバルス)のスキル『紅顔の美少年』による魅了を受けています。
恋心には至っていませんが、美人であるヘリオガバルスに対し憧れを抱き、懐いています。
※南城優子・ヘリオガバルスとの同盟についてまだ知りません。
【ライダー(オシーン)@ケルト神話】
[状態]健康
[装備]白馬、金の剣
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを守る。肉体的にも、精神的にも。
[備考]
1.英雄らしく在ろう。
2.討伐令には参加したいが、マスターを守るためにはあまり離れられない。
3.キャスター(ヘリオガバルス)をあまりマスターと関わらせたくない。教育に悪い。
※南城優子・ヘリオガバルスとなし崩し的に同盟を組みました。
ひとまずライブ終了までは行動を共にするつもりです。
※セイバー(スキールニール)、バーサーカー(ジェヴォーダンの獣)の魔力を感知しました。
【新田美波@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無し
[所持金] アイドルとしての平均的
[思考・状況]
基本行動方針:ライブを成功させる
[備考]
1.討伐令については保留し、対象の情報をアイドル達に周知、警告しました。
2.アーチャー(
ヴェルマ・ヘンリエッタ・アントリム)を「ベル・スタア」と誤認しています。
3.アーチャー(ヴェルマ・ヘンリエッタ・アントリウム)にライブ出演の件(実現の可能性は低いと考えている)とキャスター(ヘリオガバルス)の情報について伝えました。
4.キャスター(ヘリオガバルス)の名前とパラメーターを把握しました。スキルについてはまだ上手く把握出来ていません。
5.『他者を魅了する魂』と『他人への強い恋慕』によって魅了に耐性を持っています。ただし無効化は出来ず、多少効きづらい程度です。
6.バーサーカー(ジェヴォーダンの獣)を警戒しました。
7.少なくとも『思いを寄せていたプロデューサー』は442プロダクションに存在しないようです。
【スルト(スキールニル)@セイバー】
[状態] 健康
[装備] 万象焼却せし栄光の灰燼 焔の鎧
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:ミナミを守る
[備考]
1.ロキとの経験から、
ジョーカーがライブ会場を襲撃するだろうと判断しました。
2.アーチャー(ヴェルマ・ヘンリエッタ・アントリム)、バーサーカー(
モードレッド)を認識しました。
3.アーチャー(ヴェルマ・ヘンリエッタ・アントリム)を「ベル・スタア」と誤認しています。
4.キャスター(ヘリオガバルス)の名前を知りました。
5.バーサーカー(ジェヴォーダンの獣)を警戒しています。アーチャーと連携を取る必要性を感じています。
【新都/1日目 午前】
【神谷奈緒@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]焦燥、タクシーに乗車中
[装備] 無し
[道具] 無し
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生並み
[思考・状況]
基本行動方針:セイバーを勝たせてあげたい。
0.間に合え。
1.加蓮がいる新都の病院へ向かう。
2.滝澤を止める。
3.討伐令はなんとかしなければと思う(殺しはしない)
4.ライブを成功させたかったけど、今はそれどころじゃない。
[備考]
※衛宮邸周辺に自宅があるようです。
※気絶中に何かの夢を見ました。
【
源頼政(猪隼太)@セイバー】
[状態]健康
[装備] 骨喰
[道具] 特に無し
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえずは、奈緒の意思に従う。
1.胸騒ぎがする。
2.滝澤、ジョーカーのサーヴァントを消し、二人の足を斬ってでも止める。マスターの意向により殺しはしない。
[備考]
※人食い主従(滝澤&ジェヴォーダンの獣)はプロダクションを積極的に狙っておらず、また彼らを止めようとする主従が他にもいると考えています。
【バーサーカー@ジェヴォーダンの獣】
[状態] 健康
[装備] 特になし
[道具] 特に無し
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:■■■
1.(狂化により現時点では判別不可)
[備考]
※『アイドルを殺せ』との令呪を受けました。
※冬木市の中で、血の臭いの強い方に牽かれます。
※北条加蓮の『臭い』を察知し、彼女が搬送された病院へと向かっています。
時系列順
投下順
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南城優子 |
:[[]] |
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| :お気の召すまま |
市原仁奈 |
:[[]] |
| ライダー(オシーン) |
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Character name |
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| :Belley Star |
新田美波 |
:[[]] |
| セイバー(スルト(スキールニル)) |
最終更新:2017年06月05日 10:57